Inzell　

2000/06/02 - 2000/06/14

このたった一晩宿泊したあまり知られていない人口4300人余りの村、なぜか個人的に最も強烈な印象が残った村なのである。
この付近は信州の安曇野に似る。

エリア ドイツ

中央が村の教会　左手手前は旅行案内と土産物屋　そしてその向こうがパン屋（早朝から開店していて焼きたてのパンの香りが香ばしく）右手が宿泊したホテル。　ここが街道がぶっつかる村の中心部。

実はここから北西10Ｋｍ先に Siegsdorf という人口8200人余りの街がある。　独逸語講座でご一緒したきれいな娘さんが３年ほど前お嫁に来た。何でも独検の受験の時　知り合った独逸の青年にぞっこんほれられ、彼の故郷のこの地までさらわれてしまったんだ。
彼女の廻りに居た日本の若者共よ、いったい何をしておったのか！！　　　　　　　　　　　　　　　　　　「このバイエルンの花嫁ドロボーーーウ！！」

（どうも日本人と独逸人は気が合うのかカップルが以外といる。講座の二人の独逸人の先生の奥方が日本人、講座に来ている奥さんの娘さんが独逸人と結婚し、ヴォルムスで花屋さんをしているとか。蛇足ながら吾家に鎮座ましましている山の神は典型的　胴長短足の大和民族である）

宿泊したホテル「Zur Post：郵便亭」
おそらく昔は「駅逓所」だったであろう。

広場の公園にあった馬の水飲み場の名残だろうか？

バイエルンのアチコチで見かける独特の標識　これも「Maibaum：マイバウム/５月の木」と呼ぶのかな？

日本で云えば「道祖神」であろうか？

ホテルの壁のフレスコ画

”Postillion um 1825 ”と書いてある。1825年頃の郵便馬車の御者　勿論シンボルの”Posthorn：郵便ラッパ”を持っている。（ポストホルンは現在の独逸郵便のシンボル・マーク）

なおバイエルン王国で郵便切手が初めて発行されたのが　1849年　独逸帝国統一（1871年）以降も郵政は独立していて、1920年まで発行された。
（切手が世界で初めて発行されたのが英吉利で1837年　日本は1871年/明治４年）

19世紀から20世紀初頭のバイエルンの切手
上段左端は1862年発行　

バイエルン王国の膨大な切手コレクションはニュルンベルクの交通博物館（ＤＢ博物館）で見られる。

1914/1920年頃の発行　人物はルードヴィッヒ３世　バイエルン国王（1845/1921　ルードヴィッヒ２世の父方の従兄で同い年）

ホテルの部屋のベランダから。おそらく方角からいってバッツマン山塊の一部だと思う。

ホテルのすぐ前に小さな村の教会があった。初夏の夕方はなかなか暮れずまない。夕食後、教会の敷地に立ち入ってみた。建物の周囲は墓地となっている。そのうちに一つの墓石の前で立ち止まってしまった。
と云うのも・・・・・

この墓石には日本風に抄訳すれば５人の軍服姿の若者の写真と共に次のように書かれていた

「神の下に鎮まります」（独逸の墓銘碑の決り文句）
「戦死した息子達を追悼して」

長男　ウイーン にて　行年45才　
次男　ロシアにて　　31才
三男　Kremria　にて　23才
四男　ロシアにて　20才
五男　Kaschau　にて　22才

1952年4月15日　建之（この時父親79才）

平和な時代なら親爺の墓は息子が建てる。しかし　５人もの戦死した息子達の墓を戦後建てるはめになった親御さんの気持ちはいかばかりであったろうか！！
1945年　小学校３年生の時　空襲で灼熱の火炎の中を逃げ廻った時の事が強烈に思い出され　しばし佇んでしまった。こんな親御さん達は独逸のみならず　アメリカでもロシアでも勿論日本でも　戦争をした国や戦争に巻き込まれた国々には沢山いるに違いない。今日でもなおパレスチナで　イラクでアフガンニスタンで！！