浜松出張の帰路は高速バスに乗りました＆相良油田回想記

2025/05/29 - 2025/05/30

昭和16年12月に始まった太平洋戦争が長期化していました。その頃広められた言葉が「石油の一滴は血の一滴」です。
静岡県の相良油田は、明治5年に発見された太平洋岸で唯一の石油坑で、大東亜戦争の頃には最盛期を過ぎていましたが、それでも産出した超軽質の石油は零戦の燃料として使われました。
浜松周辺には浜松陸軍飛行場、浜松教導飛行師団などの軍施設や中島飛行機などの軍需工場が多数あったことから、艦砲射撃を含め、27回に及ぶ激しい空襲を受けました。
また、東京・名古屋を空襲するB-29爆撃機の往復ルートに当たっていたことから、空襲後、基地に帰る部隊は残った爆弾を浜松に捨てて帰るように命じられていたようです。
昭和20年（1945年）6月18日、浜松都市地域を第一目標とした、市街地への空襲（浜松大空襲）では死者約1,800名の尊い人命が奪われ、市街地は焦土と化しました。
市内には浜松大空襲や市民生活、文化、街並みの変遷を後世に伝えるとともに、全市をあげて取り組んだ戦災復興の記録を伝えるため、昭和63年に浜松復興記念館が開館しました。

エリア 牧之原(静岡)

• 旅行の満足度: 4.0
• 観光: 4.0

• 同行者: 一人旅
• 一人あたり費用: 1万円未満
• 交通手段: 高速・路線バス 徒歩

鴨江寺を辞して、浜松駅へ向かいます。
少し時間があるので、五社神社に寄りましょう。

歩いてみると、浜松って意外に坂が多いことに気づきました。

なんか上り坂が多い気がしています。

両側に石垣のある切り通しの道を歩きます。

切り通しの道を進むと、五社神社の鳥居（北門）です。

五社神社通りに正式な入り口があり、諏訪神社･五社神社の社号柱がありました。
延暦10年（791年）、坂上田村麻呂が東征の折り、敷智郡上中島村に諏訪神社を奉斎したと伝えられています。

鳥居。
徳川家康公が浜松城主となった後の天正7年（1579年）４月７日、秀忠公が誕生し、その産土神として諏訪神社･五社神社を崇敬し、現在地に社殿を造営したと伝わります。

寛永18年（1641年）に竣工した五社神社の社殿は、国宝建造物に指定されていましたが、昭和20年（1945年）6月18日、アメリカ軍による浜松空襲で焼失しました。

光海霊神碑（うなてりのみたまのひ）。明和4年建立。
賀茂真渕が幼少の頃、師と仰いだ五社神社神主・森暉昌の功績を記した顕彰碑です。
賀茂真渕は元禄10年（1697年）に遠江国敷智郡浜松庄伊庭村（現浜松市）で生まれました。賀茂神社の末社の神職を代々務める旧家の末裔です。

社務所。

手水舎。
寛永15年に浜松城主・高力摂津守が寄進した手水鉢です。

傾斜地の上段に社殿があります。

五社神社は、曳馬城（後の浜松城）主・久野越中守が城内に創建しました。
天正8年（1580年）、徳川家康公が現在地に社殿を造営して遷座しました。
昭和37年（1962年）、両社が合祀され、新たに五社神社・諏訪神社として発足しました。

大きな狛犬が鎮座しています。

狛犬。

現社殿は昭和57年（1982年）に竣工し、諏訪神社･五社神社の両社の御祭神を奉斎しています。

出世城の酒樽。
縁起の良い名前にあやかった銘柄は、祝いの場には欠かせないお酒です。
明治4年（1871年）創業の浜松酒造株式会社のお酒です。天竜川の伏流水を地下100ｍから汲み上げた軟水を使用しており、かつては浜松周辺に10数軒の蔵元がありましたが、現在は唯一の蔵元になりました。

いろいろな御神籤がありますが、その中の武将御籤です。

珍しいので試してみたら、伊奈半左衛門忠次が当たりました。
最近の街歩きで頻繁にお目にかかっている「治水の神様」です。

稲荷社。

諏訪神社･五社神社の北側に心造寺があります。

先照山 心造寺は浄土宗のお寺で、遠江四十九薬師霊場第二十二番札所になります。

参道の両側が庭になっています。

親子カエル。

石灯籠。

心造寺本堂。御本尊は阿弥陀如来です。
徳川家康公の側室・西郷局（徳川秀忠の生母）の発願により、五社神社の北側に開いたお寺です。
本堂は昭和26年（1951年）に再建されました。

開山は讃誉智眼上人、開基は西郷局です。
知恩院末の浄土宗寺院です。

昭和20年6月18日にアメリカ軍の空襲により伽藍が焼失した際、西郷局が奉納した鉄灯籠も破壊され、一つだけが寺宝として残されています。また恵心僧都の作と伝えられた御本尊の阿弥陀如来像もこの時に焼失しました。
現在の御本尊は昭和26年の本堂再建時に祀られた阿弥陀如来です。

本堂の奥、高くなっている場所が墓地です。

五社神社通りに戻って少し南へ歩くと浜松復興記念館です。
浜松医学校跡に建てられました。

専用駐車場は2台分です。

大東亜戦争では、浜松も艦砲射撃を含め27回も爆撃されました。昭和20年6月18日の浜松大空襲では多くの人命が奪われ、市街地は焦土と化しました。
戦後の復興土地区画整理事業が完了した後の昭和63年に浜松復興記念館を開館しました。

1階は入館無料の展示スペースです。

シンボル像。
各時代の社会世相を反映する「子供の世界」を、子供達の遊ぶ姿でとらえた作品とのことです。

ギブミーチョコレートかと思いましたが、お手玉で遊ぶ少女像です。

戦災被曝地図。

浜松市役所から半径3kmは焼け野原になりました。

アメリカ軍の主力爆撃機B29の解説図。

戦前・戦時下のお金。

宣戦布告の詔書。

南方戦線での防暑帽。

慰問袋。

軍用手票（軍票）。
軍が戦地で物資の購入のため、通貨の変わりに発行した証票。

戦時下の国民服。

昔は玄米を一升瓶に入れ、棒で突いて糠を取り精米していました。

終戦の御部書。

戦後の暮らし。

高度経済成長期に産業の復興が進みました。

駅へ向かう途中にあった浜松いわた信用金庫伝馬町支店。
杉浦本陣跡。浜松宿には本陣が6軒あり、ここはその中でもっとも古い杉浦助右衛門家の本陣跡です。およそ272坪（約900m2）の屋敷でした。

三菱UFJ銀行浜松支店。
こちらは本陣6ヶ所の内でもっとも新しくできた川口家本陣跡です。建坪は163坪（約540m2）でした。

ザザシティ浜松。
8年前に山田卓司氏のジオラマ作品を常設展示する「浜松ジオラマファクトリー」を訪れたことがあります。
現在も西館2階に健在です。
よろしければ当時の旅行記をご覧ください。
https://4travel.jp/travelogue/11253484

浜松アクトタワーが見えてきました。
地上45階、高さ212.77mの超高層ビル。平成6年10月7日に落成しました。
低層部は飲食・物販・医療など、中層部はオフィス、 高層部はオークラアクトシティホテル浜松です。

浜松駅周辺に「音の天使像」という天使の像があります。
こちらはソル（太陽）。ドレミファの「ソ」の語源と言われ、太鼓を打つソルは、リズムをつくり音楽の骨格をなし秩序と調和を表現しています。
新川橋の袂にあります。

ファータ（諸惑星）。
笛を吹くファータは、メロディを奏で喜びや悲しみを表現します。ドレミファの「ファ」の語源と言われています。

JR浜松駅北口広場に立つMATAKITA LA。
長崎県生まれの彫刻家、流 政之（ながれ まさゆき）氏の作品で御影石製。
流氏は零戦パイロットとして終戦を迎えた後に彫刻家になりました。

この夜の仕事は、上智大学教授・政治学者の前嶋和弘（まえしま かずひろ）氏の講演をお聞きしました。
トランプ大統領は、限られた人気を保つために公約を粛々と実行せざるを得ない状況に置かれていると分析していました。

浜松ステーションホテルに泊まりました。
JR浜松駅南口より徒歩2分ほどです。
17:00～20:00のハッピーアワー では、アルコール類やソフトドリンクのサービスがあり、さらに18:00～20:00には 数量限定のカレーサービス（無料）がありました。
私は到着が20時を過ぎていたので残念でした。

ホテルには貸切サウナがありました。

鳥善一水庵の姫ちらし二段重。
講演会でいただいたちらし寿司と煮物や玉子焼きなどが入った二段重弁当です。
とても美味しかったです。

6:30～9:30は朝食無料サービス。
「呉竹荘総料理長監修のオリジナルカレー」を中心にサラダバー、日替わりパンのブッフェでした。
朝カレーを美味しくいただきました。

帰路は何にも決めてなかったので、前日にバスターミナルで見かけた高速バスを利用しました。新幹線のほぼ半額です。
渋谷駅前経由新宿バスタ行きなので、そのまま都内での仕事に出られます。

牧之原サービスエリアでドライバー休憩です。
ここを利用するのはずいぶん久しぶりで、10年ほど前、相良油田に来たことを思い出しました。

相良油田は、明治5年に発見された太平洋岸で唯一の石油坑です。その跡地を整備した「相良油田の里公園」には、相良油田資料館や手堀井戸の小屋などがあり、明治から昭和の石油採掘の様子を知ることができます。

相良油田の里公園 公園・植物園

相良牧之原インターチェンジを出て約10kmほど南、田園風景の中に相良油田の里公園があります。
現在も昭和25年に開坑した機械堀井戸（相良油田最後の石油坑）の一つが保存されています。

相良油田の里公園 公園・植物園

相良油田資料館。

相良油田の里公園 公園・植物園

相良油田資料館に入りましょう。

相良油田の里公園 公園・植物園

手作り感満載の資料が展示されていました。

相良油田の里公園 公園・植物園

明治17年の様子。手掘井戸小屋が林立していました。

相良油田の里公園 公園・植物園

手掘井戸の仕組み。

相良油田の里公園 公園・植物園

手掘り井戸の実物大模型。

相良油田の里公園 公園・植物園

機械掘りの仕組み。

相良油田の里公園 公園・植物園

油田の模型。櫓は機械掘りになってからの油井。

相良油田の里公園 公園・植物園

熱心に見学していたら特別に見せていただいた相良油田から産出した原油です。
相良油田の原油は超軽質油で、ガソリンや灯油の成分が多く含まれているため、精製しないでも零戦の燃料として使用できたそうです。

相良油田の里公園 公園・植物園

公園内には油井の跡も残っています。

相良油田の里公園 公園・植物園

換気のための大きな窓が特徴です。

相良油田の里公園 公園・植物園

手掘り井戸小屋。

相良油田の里公園 公園・植物園

油井。水面に油が浮いています。

相良油田の里公園 公園・植物園

上澄みの油を桶で汲み上げ、採油していました。

相良油田の里公園 公園・植物園

公園の脇にはお茶畑が広がっています。
写真中央のやや凹んだところが、かつで油坑が掘られていた跡です。時間の経過とともに、埋められていた油坑の跡が沈下するそうです。
懐かしい思い出です。
最後までお読みいただきましてありがとうございました。

相良油田の里公園 公園・植物園