2019/07/20 - 2019/07/20
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2019/07/20
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初日の奈良・西ノ京ロータスロード・明日香村に続き、二日目は吉野山と壺阪寺を訪ねた。峰峰にそびえる神社仏閣のほか、日本を代表する紅葉の名所ならではの〝初夏の青紅葉〟を満喫した。
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この日は、宿泊した奈良市から吉野山に直行した。最初の訪問地は、吉野山の入り口にあたる場所にある吉野神宮だ。明治天皇の意向で創建された後醍醐天皇を祭神とする神宮だ。境内摂社も日野資朝や児島高徳など南朝方で活躍した公家や武将を祭神としている。
吉野神宮 寺・神社・教会
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神社仏閣は南向きが一般的だが本殿、拝殿、神門は北向きに建てられている。これは後醍醐天皇陵と同じく天皇が京都御所への帰還を熱望していた心情をくんで京都の方角を向いて建てられた。拝殿、幣殿、本殿とも端正な建物で、参拝すると清々しい気持ちになる。
吉野神宮 寺・神社・教会
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吉野神宮を過ぎて下千本駐車場の手前付近の道路沿いにあるのが、村上義光の墓だ。道路沿いに細い石碑があり、ようやくそれとわかる。幕府軍に攻め立てられた大塔宮護良親王を逃すため、義光は親王の鎧を着て切腹。打ち捨てられた遺体を里人があわれに思い、弔ったのがこの墓だ。現地は森の中で、苔むした宝篋印塔が立っている。よく手入れされており、墓前には花と小さな鎧が置かれていた。隣りには忠魂碑が立っていたが、江戸時代に地元の武士が建立したものだ。
村上義光墓 名所・史跡
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村上義光の墓から上って駐車場へ。そこから徒歩でいくとロープウエーの吉野山駅を過ぎた辺りにあるのが、金峯山寺の黒門だ。現地の説明によると、金峯山寺の総門としての格式があり、この門を通る際は公家・大名といえども槍を伏せ、馬を下りて通行したという。ここから先は大峯山に至るところまで修験道の寺院が軒を連ねており、黒門はそれらの総門としても格式を備えていた。門はそう大きくはないが「ここから吉野山だ」というオーラが出ている。
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弘願寺。吉野山の黒門をくぐって最初に見える小ぶりなお寺さんだ。
弘願寺 寺・神社・教会
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弘願寺の本尊は阿弥陀如来像だが、歯痛に霊験があるとされる歯がため関屋地蔵や歯塚の存在で有名だ。虫歯予防週間中の6月第1日曜日に歯の健康祈願祭が行われ、奉納された乳歯や歯ブラシが供養される。
弘願寺 寺・神社・教会
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さらに上ると、見えてくるのが、銅鳥居だ。現地の「概要」によると高さ8・2メートル。創立年代は不明だが、聖武天皇が奈良の大仏を建立した際に余った銅で造ったという伝説がある。
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現在の銅鳥居は後年に建て替えられたものだ。正式名称は発心門。この鳥居は俗界と浄域の結界であり、仏道修行を発心する場所との意だ。独特の文字で描かれた「発心門」という扁額がある。吉野山から山上ケ岳までの間には発心門を含め、修行、等覚、妙覚の四門があり、この鳥居が最初の門だ。黒門からの坂を登りつめたところにあり、この辺りから門前町の雰囲気が濃くなる。
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銅鳥居近くにある柿の葉ずし店。強力におすすめの店だ。買いに入ると、今作った品しかなく、食べられるのは夕方以降、食べごろは翌日以降だという。なじむ時間が必要なのだ。この言に従って翌日の夕ご飯で食べると、うまい。さばがよくなじんでいるうえ、柿の葉も生き生きとしている。ごはんも大きい。大手にはない、専門店ならではの手づくり感がこの柿の葉ずしの魅力を引き上げている。
柿の葉すし ひょうたろう グルメ・レストラン
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吉野山の歩みを進めているとやがて見えてくるのが、金峯山寺二王門だ。まるで吉野山門前町の入り口のようだ。訪れたときは2028年まで大修理中で見ることはかなわなかった。
金峯山寺仁王門 名所・史跡
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吉野の独特な建築様式である吉野建。吉野は平野が少なく、斜面に谷を背にして家屋を建てる。表から見るとどれも平屋か二階建てだが、家の裏は急な崖のため、家屋は下方へ二階、三階となる。
萬松堂 グルメ・レストラン
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金峯山寺の本堂にあたる蔵王堂をゆっくりと観賞することができた。正面5間、高さ34メートルの大建築だ。参拝までは無料だが、内陣に入るには拝観料が必要。修験道の総本山であり、南北朝の戦いの一端を担った歴史の場所でもある。一度桜の開花時期に来たことがあるが、ものすごい人出だった。今回は夏の暑い時季だったので、土曜日にもかかわらず、のんびりと拝観できた。
金峯山寺蔵王堂(国宝) 寺・神社・教会
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蔵王堂から少し下った辺りにある吉野朝宮跡。足利尊氏の京都奪還で吉野に落ち延びた後醍醐天皇は、この辺りにあった実成寺を金輪王寺と改称し、行宮と定めた。京都を奪還するための捲土重来の地だったのだ。
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その後、実成寺は明治の廃仏毀釈で廃寺となり、跡地には南朝の人々を弔うために南朝妙法殿が建立された。蔵王堂から少し離れており、現地にはそんなオーラはないが、当時に思いを馳せると感慨深い。
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蔵王堂の境内にある「四本桜」。後醍醐天皇の皇子である大塔宮が幕府軍に追い詰められ、この場で最後の酒宴を開いた。その時、四本の桜を柱にして幕を張ったという。その後はこの旅行記三枚目の写真説明にあるように、村上義光が身代わりとなり脱出した。
金峯山寺蔵王堂(国宝) 寺・神社・教会
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現地には「大塔宮御陣地」との石碑がある。
金峯山寺蔵王堂(国宝) 寺・神社・教会
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蔵王堂のそばにある東南院。吉野山のような霊山を開く時は中心となる伽藍を建てた後、辰巳(東南)の方角にお寺を開創し、全山の守りとするのが通例という。このお寺は蔵王堂を開創した時に、その役割で建立された。
東南院 寺・神社・教会
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東南院は役行者が開いたお寺だ。こじんまりとしているが、境内にある多宝塔と、しだれ桜は美しさで有名だ。
東南院 寺・神社・教会
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ここは歴史の舞台だ。吉水神社。もとは寺院だったが、明治の神仏分離令で神社に変わったという。その寺院の時代に歴史の舞台になっている。
吉水神社 寺・神社・教会
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源平合戦で功をたてたものの、追われる身となった源義経は弁慶や静御前らとここに隠れていた。さらに建武の新政に失敗した後醍醐天皇はここを行宮とし、南朝を宣言した。境内にはそうした歴史関連の文化財が残されており、展示されている。
吉水神社 寺・神社・教会
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ここもこの神社の歴史の一コマだ。豊臣秀吉は「一目千本」と呼ばれるこの場所を花見の本陣とした。
吉水神社 寺・神社・教会
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境内にある書院は初期書院造りの傑作。義経潜居の間、後醍醐天皇玉座の間、太閤秀吉花見の間がある。
吉水神社書院 美術館・博物館
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数年前に火災で焼失した勝手神社もここに勧請されていた。
吉水神社 寺・神社・教会
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如意輪寺。後醍醐天皇の勅願寺であり、境内には天皇陵がある。金峰山寺の門前町とは少し離れており、歩くと結構、距離がある。
如意輪寺 寺・神社・教会
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この日は自動車で吉野山に上ったが、下千本の駐車場に止めて金峰山寺を参拝した後、駐車場に戻って自動車に乗り、如意輪寺に向かった。如意輪寺の駐車場は広いし、帰路に使った観光用の道路は広く、ふもとまで便利だった。
如意輪寺 寺・神社・教会
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楠木正行は足利尊氏との決戦を控え、天皇陵に参拝した折りに辞世の句をやじりでこの寺の扉に刻んだという。有料ゾーンの展示スペースにはこうした史実関連の寺宝が展示されている。
如意輪寺 寺・神社・教会
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後醍醐天皇陵。如意輪寺の寺内にあり、少し小高い丘の上に境内から石段が伸びている。玉垣で囲まれ、正面には鳥居が置かれる。「身はたとへ南山の苔に埋むるとも魂魄は常に北闕の天を望まん」。この辞世に沿って天皇墓陵としては唯一北向きに設けられた。幕府を打倒し、建武の新政を成し遂げた勇敢な天皇の墓としては寂しいような気がする。近くには孫に当たる長慶天皇、その皇子の世泰親王が一緒に葬られている。
後醍醐天皇塔尾陵 名所・史跡
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吉野山を後に壺阪寺へ向かう途中で道の駅「吉野路大淀iセンター」を見つけた。道の駅は風光明美な場所に建つケースが多いが、ここは周辺が土砂採取場となかなかの場所にある。吉野杉をふんだんに使ったという建物は少し変わった形だ。 屋根に明かり取りが二つあるが、これは修験者の額につける「頭巾(ときん)」をデザインしたという。店内は広い。野菜売り場が二カ所に分かれており、安価で品数が多い。この日は旅行中だったので購入を断念したが、ここの野菜、総菜は価格も含めて魅力だ。
道の駅 吉野路 大淀iセンター 道の駅
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山間部にぽっかりと広い寺域が広がる。そこには山門、多宝塔、お堂、八角堂、三重塔、巨大な石像など多種多様な伽藍や石像、寺宝が収容されている。この日、最後に訪れた壺坂寺だ。レプリカなど芸術的な要素も交えてにぎやかなお寺だ。眼病封じのお寺として有名。受付の寺男がとても明るい人だったが、やはり病に悩む参拝者が多いだけに、あの明るさは大切なのだろうと思った。
壷阪寺(南法華寺) 寺・神社・教会
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境内最深部にあるお里澤市像。ハッピーエンドのいいお話だ。目の見えない沢市とお里の夫婦は仲良く暮らしていたが、お里は毎日未明に家を出る。妻の不義を疑う沢市だが、実はお里は沢市の目の快癒を祈願していた。恥じた沢市は目の見えない自分から妻を開放しようと谷に身を投げる。それを知った妻も後を追う。が、あわれに思った観音様が二人の命を救った上に、沢市の目も治した…というお話。壺坂霊験記という浄瑠璃だ。
壷阪寺(南法華寺) 寺・神社・教会
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広大な壺坂寺だが、中心部はやはり礼堂や八角円堂、そしてこの三重塔がある一帯だ。特にこの三重塔は端正な姿をしており、壺坂寺の「核」をきりりと引き締めている。室町時代の建築で、エイジングが進んだ姿はとても風格がある。
壷阪寺(南法華寺) 寺・神社・教会
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大涅槃石像。壺坂寺は1964年からインドでハンセン病患者救済活動に取り組んでおり、この巨大な石像もその活動をきっかけにインドで制作されたものだという。横に寝ている姿だからあえて「長さ」と書くが、約8メートル。現地に赴けば実感できるが、この涅槃像と背後の観音像が重なるような構図で建立されており、二つの石像を背景に撮る写真は爽快だ。
壷阪寺(南法華寺) 寺・神社・教会
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全長50メートルに及ぶレリーフだ。釈迦の歩んだ道の中でよく知られている説話を題材に原図を起こしたという。これも寺内の石像同様、インドの石を用いてインドで制作された。延べ何万人もの石彫師によって彫刻され、日本に輸入。昭和62年に完成した。高さも3メートルあり、なかなかダイナミック。いったい何人の人々が彫りこまれているのか、数えきれないほどだ。
壷阪寺(南法華寺) 寺・神社・教会
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前の像が壺阪寺大涅槃石像。後背の立像が天竺渡来大観音石像だ。壺坂寺は1964年からインドでハンセン病患者救済活動に取り組んでおり、この巨大な石像もその活動をきっかけにインドで制作されたものだという。涅槃像は横に寝ている姿だからあえて「長さ」と書くが、約8メートル。現地に赴けば実感できるが、この涅槃像と背後の観音像が重なるような構図で建立されており、二つの石像を背景に撮る写真は爽快だ。
壷阪寺(南法華寺) 寺・神社・教会
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