全列車導入に期待！少なさゆえに混乱の新快速「Aシート」【京阪間「特別車」のりくらべ その１】

2024/03/17 - 2024/03/17

　北陸新幹線延伸の旅を終え、帰路の途中、京都で降りました。この数年、関西でも次々に導入が進んでいる「有料指定席」を乗り比べるべく、京都～大阪間を１．５往復してみようという魂胆です。
　第１ランナーは、ＪＲ西日本の誇る速達サービス列車・新快速に連結がはじまった、有料指定席「Ａシート」。１５分毎の新快速のうち、１日わずか６往復の特別車です。

エリア キタ（大阪駅・梅田）(大阪)

• 旅行の満足度: 5.0
• 観光: 5.0
• 交通: 5.0

• 同行者: 一人旅
• 一人あたり費用: 5万円 - 10万円
• 交通手段: JRローカル
• 旅行の手配内容: 個別手配

　京都駅は、円安を追い風に盛り上がるインバウンド観光客でぎっしり大混雑。嵐山方面の嵯峨野線ホームもぎゅうぎゅうでしたが、ＪＲ京都線も負けてません。
　１５分毎の新快速を狙う人、その合間の快速で座ろうとする人が錯綜し、不慣れな海外の方々は右往左往です。

京都駅 駅

　１５分毎に大阪へ向かう新快速のうち、１日６往復のみ、１両だけ指定席が連結されています。不慣れな人が分かるはずもなく、並ぶ必要はないはずの乗車口に、長い列ができていました。

JR西日本 新快速 (223系・225系) 乗り物

　入って来た指定席車両を見て、大混乱。「逃げ場」となる前後の車両は、ぎゅう詰めになっていました。
　日本人でも迷う人は多く、「コレって普通の新快速ですよね？」と声を掛けられました。「普通の新快速だけど指定席で…」というのも、難しい理屈です。

　有料指定席サービスの愛称は「Ａシート」。関西らしい語呂もかかっています。通常の指定席同様、みどりの窓口でも買える他、ネット予約でチケットレス利用も可能です。
　株主優待券の半額割引は適用にならないので注意！

　乗車時の混乱は、５分ほどで落ち着きました。レアな列車なのに、なんと満席。意外と海外からの旅行客が多く、みなさん指定券をお持ちのようです。ジャパンレールパス利用かな？
　１日６往復の列車をよくぞ見つけたものですが、特急・新快速の区別なく、京都～大阪間で検索したら、ちょうどいい時間に出て来ただけなのかも。

　座席は特急の普通席クラス。木目調の壁、白熱色の照明が落ち着きを演出します。コンセントは全席装備されていて、僕も充電に活用しました。
　２つ扉のオールクロスシート車ということで、令和に生まれた急行型電車とも例えられるかも。

　内側線の快速電車を、走行しながら華麗に追い抜いて行きます。
　京阪間の唯一の停車駅・高槻でも、分からず乗り込んでくる人多数。足の不自由そうな おばあちゃんが「優先席はないの？優先席はどこ？」と席を探していましたが、別の乗客に「この車両は立っても乗れませんよ」と追い返されていました。

　本来、このおばあちゃんこそ有料指定席のメリットを享受できる乗客のはず。試行的な導入からはや５年、そろそろ本格導入してもいいのではと感じます。今日の混雑を見ただけの感想ですが。
　京都～新大阪わずか２３分の乗車では、８４０円の指定席料金はもったいない感じ。郊外へ行く時ほど、価値を発揮できる車両だなと思いました。

新大阪駅 駅

　今回乗った車両は、Ａシート向けに新造された電車。改造車と違い窓割も合っていて、快適そのものでした。
　５歳の我が子も大好きな新快速。しかし混雑が激しく、子連れ乗車に躊躇してしまいます。指定券さえ買えば、確実に座れる列車になってほしいな。

　新大阪～大阪間には、昨年（２０２３年）３月に事実上の「新線」ができたばかり。乗り試すべく、おおさか東線のホームを探しました。
　おおさか東線には、ＪＲ京都線・神戸線では滅多に見られない、「大阪行き」の電車が発着します。遠来の不慣れな人は、大阪駅を目指すため、待ってでも乗ってしまいそうな表示です。

　おおさか東線の普通電車・大阪行きが入って来ました。
　関東圏から来た大荷物の若者グループが乗り込んできたけど、地上の大阪駅に行かないのは理解した上での乗り換えかな？

JRおおさか東線 乗り物

　ＪＲ創世記デビューの２２１系電車、今でも大好きな車両の一つです。窓が上下方向に大きく、戸袋窓もあるので、車内が明るく開放的。

　淀川を渡り…

淀川 自然・景勝地

　ＪＲ京都線と分かれ、トンネルに入って行きます。昨年（2023年）３月に地下化された新ルートです。

　大阪駅地下ホームに到着。建設時は「うめきた新駅」と通称されていたホームで、従来の大阪駅と直結したことから、大阪駅の一部という扱いになりました。
　将来的には難波、天王寺方面へ直結する「なにわ筋線」も発着する計画。大阪駅周辺のＪＲ路線網は、変革の時を迎えています。

大阪駅 駅

　大阪の玄関口にできた新しい駅ということで、新技術も積極的に取り入れられているのが面白いところ。

　特急、快速が入り乱れ発着するホームなので、ホームドアはドアそのものの位置が動くようになっています。
　一部ホームのみの設置に留まっているのは残念。

　トイレの入り口で、空き状況が把握できます。

　男子トイレの全個室に、ベビーチェアが準備されているのは、パパとして大変ありがたいです。
　大個室にはおむつ替え台に加え、フィッティングボードまで。おむつがなかなか取れない子を持つパパとして、チェックポイントの一つになります。

　フォトジェニックな照明。

　普通の乗り換えサインと見せかけて…

　実はサイネージ。見慣れたテイストのサインなので、画面が変わっても自然と目に入って来ます。

　従来の大阪駅各ホームへは、長い地下連絡通路が結びます。一見無意味なアップダウンもあり、地下構造物を避けるための苦心の跡が見えました。
　巨大な止水壁が仕込まれてあり、災害への備えも万全です。

　数分で、従来の大阪駅各ホームの下へ出てきました。東京駅の京葉線への乗り換えに比べれば、近いものです。
　線路と建物の地下にあたるので、柱だらけ。

　そこを電飾やサインでうまくまとめられていて、デザインの勝利です。

　このコンコースに直結するのが「西口」。名前から判断すると意外ですが、これも昨年開設されたばかりの出口です。

　郵便局会社の再開発ビル「KITTE」最寄りということで、楽しみに出てきたけど、オープンは７月だとか。

　大阪駅高架下のエキマルシェに迷い込みました。こちらは2022年に拡大。一人で関西に来る機会が数年なかったので、どこもかしこも新鮮です。

エキマルシェ大阪 ショッピングモール

　昼飲みスポットがたくさん。最近のＪＲ九州や西鉄の商業施設は「飲み」重視で、呑兵衛の多い九州だけの現象なのではないかと心配していましたが、安心しました（笑）。

　我ら、竹乃屋も進出しとるやなかですか！

博多ぐるぐるとりかわ竹乃屋 エキマルシェ大阪店 グルメ・レストラン

　京都餃子が味わえるという、ルーキーにお邪魔。

　能勢の炭酸水で作ったというレモンサワーを傾けつつ、ランチを待ちます。

　呑み処ながら、がっつり定食を食べられるのはいいですね。お腹いっぱいになりました。

　頭上からの視線を感じたので、顔を上げてみればプレミアム商品券の広告。公的な広告も、実に大阪らしいテイスト…

　呑み比べできる酒屋なんてのもあり、大阪駅で列車に乗る前には、あえて時間を空けて立ち寄りたいエリアです。

　いい気分で大阪駅ビルを「くぐり」、梅田貨物駅跡での開発が進む「うめきた」エリアに出てきました。雨模様なのが残念。
　貨物駅の撤去が終わり、再整備も佳境に入っています。

うめきた広場 名所・史跡

　水にお尻をつけた、みどりのくまさん。

　地上から地下へと流れる滝は、サンクンガーデンのカフェから一望できます。
　東京の街の再開発は、キー局からネットされるテレビで地方でも情報を掴めるけど、副首都たる大阪はなかなか伝わって来ません。距離的にははるかに近い地、実際に見に来ねば分からないことだらけです。

　地上と地下からでは「うめきた」の全容が掴めなっかたので、高い場所から見てみましょう。とはいえスカイビルまで登る時間もないので、大阪駅の屋上を目指します。

　大屋根がかけられた大阪駅。豊かな空間はヨーロッパの駅ようでもあり、「駅ビル」という日本流の駅の一部でもあります。

　上から行き交う電車を眺めていたら、１日過ぎてしまいそう。

　エスカレーターを乗り継ぎ「高度」を稼いでいきます。

　「風の広場」まで上がって来ました。

風の広場 公園・植物園

　人工芝が敷かれ、ベンチも随所に設けられた憩いの空間。晴れていれば、駅弁でも買ってきて広げたい感じです。

　そしてガラス越しに、梅田貨物駅跡の再開発の進捗を見ることができました。
　今のところは土の色が広がる「現場」に外なりませんが、間もなく緑ゆたかな都市公園を交えた街が出現するはず。万博も控え、目が離せない大阪です。