2023/11/21 - 2023/11/21
249位(同エリア820件中)
まりも母さん
気軽に度々来ていた吉祥寺 訳あってもう来ることはほとんど無くなりそう。
そんな杉並区滞在中 吉祥寺の登録有形文化財建物が見学できる事を知りました。
私の好きな歴史的建造物は もうちょっと時代の古い 明治から昭和初期のもので
アントニン・レーモンドのようなモダニズム建築は
ちょっと私のターゲットからは外れる所もありますが(なので知らない事も多いかと)
最後のチャンスかも?と 早速、申し込み 11月の午後 出かけてきました。
- 旅行の満足度
- 4.0
- 観光
- 4.0
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-
旧赤星鉄馬邸 国指定登録有形文化財 昭和9(1934)
アントニン・レーモンド設計 RC造
五日市街道にある成蹊大学の通り向かいあたり。広大な敷地にあります。
実業家 赤星鉄馬の旧邸宅で 広い庭園には大きな木も沢山残っています。
2021年 武蔵野市が建物の寄贈を受け 市の所有になった事から2023年5月に初の一般公開
今回 11月が2回目の一般公開(事前予約制)となりました。
webで申し込みをし 指定の時間少し前に現地に到着。
入り口前で 予約を確認し あとは自由見学です。
曲面と縦スリットのガラス窓 水平な軒には円形の穴。
最初に見えるモダニズム建築らしい印象的な玄関。 -
受付を済ませると 案内の方が 「まずこちらをご覧ください」と 連れて行って下さったのは玄関右脇の方。
壁面に 玄関軒下と同様の丸穴が並んでいます。
中にはガラスがはまっています。
後で中から見ると判る この建物一番のポイントとも言える部分だそう。 -
上の方には丸穴がありましたが、
下の方にも四角い穴がいくつも見えます。
四角い穴を通して 建物向こう側の庭園が望めます。 -
敷地の奥にはこの建物。
窓の鉄格子に十字架のモチーフがあります。
こちらは 後年増築された礼拝堂棟です。 -
玄関扉はガラスの入ったものと 木製の二重扉。
玄関で持参したスリッパに履き替え、邸宅内に入ります。
(スリッパと下足入れは持参との指示) -
玄関を入ると見えるのはこの階段。
緩いらせん状のコンクリート壁と茶色の手すりが柔らかな印象です。
ここが表から見えた円柱状の部分なのですね。 -
廊下の右手 ガラス窓の向こうに中庭が。
苔生した巨大な水盤や石灯籠が。
この中庭の壁に先ほど外から見えた四角い穴がありました。
外壁かと思った四角い穴のある壁面は 建物に続いた中庭を囲う塀でした。
(ガラスに庭園側が映って見えにくいです) -
最初のお部屋は広い「居間・食堂」約36畳の広さ
庭園側は一面ガラス戸。円柱が2本ありました。 -
左側には板張りのコーナーと作り付けのキャビネット。
アメリカから取り寄せた 赤セコイヤ材の家具だそう。
赤星邸はGHQに接収された後 ナミュール・ノートルダム修道女会が所有する事になりました。
現在 登録有形文化財指定を受けているのは本館部分のみであり
礼拝棟や修室棟は修道女会時代の増築部分です。 -
パンフレットに「日本間」とある食堂隣の部屋。
大きな作り付けのキャビネットがあります。
建物各所にこのような作り付けの家具があり、それらはアントニン・レーモンドの妻である ノエミ・レーモンドのデザインによるものです。 -
庭園に面したガラス戸には 横開きのシャッターも設置されています。
クラシックなアイアン格子のシャッターは 幾何学模様の装飾のようで、
モダニズム建築に効果を添えているようです。 -
ガラス戸の手前 床にこんな喚起口らしきものもありました。
他の部屋にはスチーム暖房のラジエーターも残っているようで、
この家は セントラルヒーティングが採用されているっぽいですね。 -
廊下に出ると もう一つ 坪庭的な中庭がありました。
-
建物中央辺りにもう一つの階段が。
この階段下右に キッチン(と言うには広すぎの厨房です)への入り口があります。 -
階段左側の「夫人室」
夫人室には着物を入れる引き出し。 -
出窓の端には円弧状に開く 変わった引き出しも。
この引き出しは珍しく、かわいらしいです。 -
夫人室の隣には子供部屋。
南向きの出窓が明るいお部屋です。 -
1階の子供部屋は 小さめのものと広めの2部屋がありました。
そちらにもノエミデザインの作り付け家具。
壁に埋め込まれたスタイルのクローゼット。
小さな引き出しが少しだけ。上の白い壁のような部分が無駄に見えますが… -
脇の一面にも棚が作られた 2方向から使える工夫のあるデザインの物でした。
これらは 大切に修道院時代も使われていたのでしょうね。 -
出窓下のキャビネットは クローゼットと取っ手部分のデザインがお揃い。
右には暖房用のラジエーターも見えます。 -
この広い方の子供部屋 庭園側の壁が一部抜かれ
修室棟の増築部分へ繋がっています。 -
そして 本館西側端には蔵があります。
扉は鉄製の金庫の扉のような頑丈そうなもの。 -
内部は板張りで天井まで収納棚が設えられています。
窓には鉄格子があります。 -
蔵の手前北側にある納戸。
ここにもノエミデザインの家具。 -
修道女会時代に増築された部分の和室。
-
こちらも修室棟の個室。
この小さなお部屋が1階には4つありました。 -
戻って、本館の廊下にあるガラスブロックの壁。
この向こうは一番大きな中庭。
中庭は3か所共壁に囲まれていました。
上部は開いていて木も植えられています。
廊下や部屋側には窓があったり
四角い穴がありましたから、
通気や換気を考えての中庭なのかも。 -
厨房を北側から見た所。
シンクの上の窓からは中庭が見えます。
この反対側にも真ん中の中庭にむけた窓がありました。 -
北側増築部分の1階礼拝堂
既に取り払われているのか?最初からこうなのか?
祭壇的な物はありませんでした。 -
本館へ戻り2階へ。
子供部屋 1階の子供部屋と同じノエミデザインの作り付け家具も。
こちらも2面から使える仕様になっています。 -
子供部屋はふたつ並んでいます。
この4部屋は廊下より一段高くなっています。
暖房などの配管があるのかもしれませんね。 -
東側の子供部屋
東の壁面にドアがあります。
この隣 竣工当時はバルコニーがあり
そこへの出入りの為の扉だったそうです。
その後 バルコニーには窓が造られ 部屋に改装されています。 -
子供部屋の西側には納戸とされている
ほぼ同じサイズのお部屋が更にふたつありました。 -
蔵の2階部分。
やはり板壁の造り。
作り付けの棚はありませんでした。 -
北側にはトイレと浴室が一緒になった 欧米風バスルーム。
シャワーも建築当初からあったものでしょうか?
昭和初期 庶民の暮らしとはかけ離れた豪華さですね。 -
3階への階段もありました。
3階は非公開です。屋上もあるそうで、そこへの階段になります。
この階段の表面はテラゾー仕上げになっていました。 -
主寝室
一部が板張りの壁です。
この壁前にベッドを置いたのでしょうか。 -
主寝室には専用のバス、トイレもありました。
洗面台を挟んで廊下側に洋式トイレ。
脱衣場を兼ねているであろう洗面台のある場所には暖房のラジエーターも。
この時代にあっては 最高級の設備ですね。 -
浴槽は南側に。猫足のバスタブ。
日当たりの良い気持ち良さそうなバスルームでした。 -
主寝室前からは建物東端までバルコニーも。
ただしバルコニーに出られる掃き出し窓はこの部屋にはありませんでした。 -
主寝室の隣に書斎スペース。
ここはドアの無い廊下と一緒のオープンスペース。
書棚や暖炉スペースがありました。煙突は無かったと思います。
火を焚くのではなく、ガスストーブを置いたとか(ガス栓は見当たらなかった)
つくば市の旧矢中家住宅で マントルピースの中に
当時めちゃくちゃ高価だった電気ストーブを置いていた、と言うのも見ましたので
財力のある赤星邸なら 電気ストーブ採用の可能性も高いですね。 -
明るい広い書斎。
バルコニーに出られる掃き出し窓もありました。 -
赤星邸で一番の見どころである
飾り棚の奥に造られた明り取りの丸窓。
規則正しく並んだ奥が小さく手前が広い丸い窓。
ひとつひとつにガラスがはめられています。
棚板を支えるのは金属の支柱。
扉のガラス引き戸にも丸穴が開けられ引手となっています。 -
一番東側の 和室
こちらも一段 小上がり状に高くなったお部屋。
畳ではなく絨毯敷きでした。
この画像には映っていませんが、天井は高級そうな材の板張りです。 -
一通り建物内は見ました。
玄関脇の階段で1階ヘ降ります。
円形ではなく、U字型のらせん階段室はスリット窓からの光で明るいです。
木のような色の手すりは スチール製のようです。
が、この色味の効果で木製の柔らかい印象を感じさせます。 -
建物のメイン階段となるここは ステップ部分は石のようでした。
黒い滑り止めは リノリュームなのか?
ゴムのようにも見えますが 白いマーブル模様が入れられているようなのです。
ガン見すると、表面が劣化の為かヒビっぽくもなっていて
ゴムなのか?リノリュームなのか?判別がつきません。
しかし、石を削って 黒い滑り止めをフラットにはめてある とても手の込んだ造りのようでした。 -
庭園へは1階食堂の掃き出し窓から出る順路でした。
芝生の向こうに大きな木々が並ぶ 武蔵野の自然を感じる広い庭園。 -
テラスの上には立派な藤棚。
南の日差しを適度に遮る良い木陰に。
藤棚はレーモンド夫妻が設置した、と何かで読んだ記憶がありましたが、
確認しようと試みたものの 判りませんでしたねぇ。
日本間の所には巨大な沓脱石もありました。 -
庭園奥から本館東の眺め。
藤棚が良いアクセントだと思います。 -
その西側。手前の建物は増築部分。修道女会の修室棟です。
-
お庭には噴水の跡もありました。
タイル張りの円形噴水
円形モザイクタイル張り -
ぐるりと庭を歩き 玄関方面に進むと
もう一つこんなものが。
これは 公園にある水飲み場のようでもありますが・・・。 -
竣工時からあったものなのかは判りません。
こちらも噴水と同様 タイル張りで。よく見るととても美しいモザイクタイル。
葉っぱらしき形も色味もシックでとても素敵。 -
台部分は布目っぽいタイルでした。
タイルは好きなので こういうのを見られてうれしいです。 -
今日は 実家の弟と2人で見学しました。
まだ建物が武蔵野市の所有になったばかりで
手入れや復元などもされておらず 残念に感じる部分もありましたが
長年 謎であった(特に吉祥寺在住の友人などに)広大な敷地のあの建物はなんなんだろう?をこうして見学で来た事がありがたかったです。
5月の第1回見学会は1時間待ちの大行列・・・なんて聞いていました。
2回目はそれもあってか 完全人数制限の予約制で 並ぶことも無く見られてよかったです。
また、期間限定で一般公開は開催されるでしょう。
ちなみに 遠方の方でも 赤星邸の門より井ノ頭通り方面斜め向かいにコインパーキングもあります。ただし 成蹊大学前の通りからは一方通行で入れません。(吉祥寺駅からは徒歩15分程)
近くにアントニン・レーモンドの有名建築 東京女子大もありますが~
そちらは見学会も超少人数だったりで見られそうになく
赤星邸見学の有難さが身に染みたまりも母でした。
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