2014/07/25 - 2014/07/25
364位(同エリア623件中)
まりも母さん
夏の暑い日、父の長年の友人が亡くなられ、正教会信徒であった為 神田駿河台のニコライ堂にて葬儀が行われました。
通常でも 建物見学は、出来る教会ですが、儀式に参加できる機会は、なかなかありません。
父とは長く、建築学の繫がりがあった方とのお別れの式でしたが、
式の行われた、ニコライ堂の見学と共に すばらしい大聖堂の中で、荘厳な儀式に参列できたのは、大変貴重な体験でした。
- 旅行の満足度
- 4.5
- 同行者
- その他
- 交通手段
- JRローカル
-
御茶ノ水駅聖橋口を出てすぐ近くに ニコライ堂はあります。
猛暑の日、告別式にあたる埋葬式に参列する為にやってきました。 -
”ニコライ堂” 正式名は ”東京復活大聖堂”
正教会の教会です。
正教会は1ヶ国にひとつの正教会組織を作るのが原則だそうで、よく聞くのはロシア正教会、ギリシャ正教会などです。
日本には日本正教会(日本ハリストス正教会)があります。
ニコライ堂はその日本の正教会の中心となる首座主教座大聖堂という位置づけです。
なので、ロシア正教会の教会ではないのですが、ロシア正教会の大主教ニコライによって正教が日本に伝えられ、ロシア正教会の影響が強く現れているようです。 -
教会入り口は 紅梅坂に面した場所です。石垣の続く坂道を登ると、門の前に出ます。
-
”東京復活大聖堂” 煉瓦及び石造 銅板葺
明治17年(1884)聖ニコライの指導にて建築開始 明治24年(1891)竣工
元設計ミハイル・シチュールポフのものを
鹿鳴館を作り、日本近代建築の父と呼ばれる、ジョサイア・コンドルが実施設計。
大正12年(1923)関東大震災でドームが崩壊、火災で、内部の大部分が消失。
昭和2〜4年(1927〜1929)復興工事 復興設計岡田信一郎
1990〜94年修復及び構造強化工事
国指定重要文化財
門の左には、今日行われる永眠者の聖名が書かれた案内板が立てられていました。
(個人名なので、画像からは消してあります) -
敷地内には大聖堂の他にいくつかの建物があります。
それらの建物にも大聖堂と同じ、アーチ型が並んだロンバルディア帯の装飾がつけられています。 -
敷地端の方には、別の建物で伝道会室
-
ドームの鐘楼
鐘は、関東大震災以後に他所から運ばれた親鐘にポーランドで鋳造された5つの鐘とで「ニコライの鐘」となって今日使われているもの。 -
大聖堂入り口上部のステンドグラスは聖人の図柄。
-
大聖堂内のステンドグラスから明かりが入ります。
堂内には大きなシャンデリアの照明が下がっています。
今は、蝋燭ではなく、ランプが灯っていました。
シャンデリアは、明治時代のものの複製です。平成の修復時に新調されましたが、デザインは同じだとか。 -
中では、埋葬式の準備が始められていました。
壁のイコンにはフリンジのついた布がかけられ、蝋燭が灯されていきました。 -
式のはじまる前の聖堂内の様子です。
棺が中央に置かれ、生花が飾られています。
正面、イコノスタス(聖障と呼び、中の聖所とを区切るイコンで飾られた壁)の装飾がとても美しいです。
平成の修復時に金箔、白金箔がはられたそうです。 -
猛暑日で、外は35℃位の気温の日です。
11時頃ですが、入り口から中に入ると、思ったより暑くありません。
小さな扇風機が置かれていますが、冷房設備は無く、窓もステンドグラスがはまっているので閉まったままですが、
汗が出るほど暑くは無いのです。
ドームの上にはいくつも明り取りの窓がありますので、中はかなり明るいです。 -
ドームの手前には4本の柱。
コリント式のアカンサスのついたオーダーが並びます。
上部のレリーフには深く陰影がありますが、これは、儀式の際、正教会では香炉を焚くので、長年にわたるその煙がススとなってついての事です。 -
壁のあちこちにイコンが飾られています。
それらも、ススがついているのかも・・・どれも長い歴史を感じるような色彩に感じられました。 -
床は石のタイルです。
段通が敷かれています。 -
数々のイコン。
日本人最初のイコン作家 山下りんの作品もあるそうですが、
イコンは作家の名前が残る絵画作品ではないので、どれがそうなのかは判りません。 -
昔は、全部 蝋燭だったのでしょうね。
沢山のキャンドル型のランプが並んだシャンデリアが下がっていました。 -
参列の方たちが集まって来ました。左右には椅子が並べてありますが、
儀式が始まると、全員が立ちます。
一般の参列者用の席はありません。
正教会では儀式中は立って行うのが基本だそうです。
この後、埋葬式は約1時間行われましたが、固い床に1時間立ったままは、私でも結構きつかった・・・。
後ろの方には壁際にベンチがぐるりとあったので、高齢の方たちは途中でベンチに座っていましたね・・・。
儀式中は 写真撮影は禁止(のようで、撮影許可のパスをつけた関係者だけが写真を撮っていました)なので、ありません。
儀式が始まると、イコノスタス中央の赤っぽいカーテンとゲートが開き、奥の聖所が見えました。
奥にもステンドグラス、蝋燭の沢山並んだ祭壇らしきものが見えました。 -
正教会では聖職者を神品(しんぴん)と呼ぶそうです。司祭は「神父」と呼ばれ
輔祭、司祭、主教、とあがっていくのだそう。
埋葬式では、白い祭服(ステハリという)に金色のオラリという帯を肩からかけている方が主に儀式を行っていたので、その方たちは、輔祭
黒いローブの方は、神品(上記三役)ではない方なのかも・・・。 -
ドームは内側から見ても大変美しいものでした。
重要文化財の建物は、木造が多く、石造建築物ではこちらの建物が最古となります。
ビザンチン様式ですが、ドームの内側にはモザイクや金色の装飾はありません。 -
すばらしい、ステンドグラス。
聖堂内、ドーム手前左側にあります。 -
埋葬式の儀式は、複数の輔祭の連祷(祈祷を読み上げる)と聖歌隊のアカペラの聖歌が交互に交わされる感じで進んでいきます。
聖歌は、歌詞が祈祷文という事で、賛美歌とは全く内容が異なり、
やりとりのような感じで、最後には「アミン」が入ります。
家族や極親しい身内の方、信徒はドーム下の左右の椅子席の場所に蝋燭を持って立ちます。
一般の参列客は、四本柱の外に立っての参列です。
司祭が香炉を振りながら、棺の周りを歩き、聖書らしい厚い書物を開いて読んだり、閉じたり、
たまに振り香炉から漂う、乳香の香りがしてきます。
祈祷の言葉は、日本語が主らしいのですが、ロシア語なのか、良く判らない言葉や節回しも多く、難解ではありました。
聖歌隊の歌声と祈祷の声、輔祭が朗誦を代わる つど、手に接吻をしたりする儀式的な所作が、荘厳で、心に沁みました。
私が、直接関わった自分の友人ではなく、実父の友人ではありますが、長い年月に沢山頂いた心遣いや父との友情に感謝する貴重な時間と感じました。
参列者はその後 献花をし、信徒は棺への献花の後、永眠者の額に巻かれたイコンに接吻をする方も多く、正教徒として愛されていたのだと感じました。
出棺は、表に移動した聖歌隊の歌声に送られながら、棺は霊柩車に乗せられます。
そして、霊柩車のドアが閉まると、埋葬式用の旋律で、鐘楼の鐘が鳴り渡ります。 -
聖堂内手前右のステンドグラス。
聖堂内でこのようなステンドグラスやイコン、儀式を見ながら、聖歌隊の歌声を聞く
その、独特の雰囲気には圧倒的な「何か」を感じました。
日本正教会のwebサイトで正教会聖歌の視聴ができます。
http://www.orthodoxjapan.jp/
今まで聞いた事のある、賛美歌やパイプオルガンの教会音楽とは全く違う
正教会の聖歌でした。 -
入り口ドアの上部にはサックスブルーの美しいステンドグラスが入ったアーチ。
-
式は終わりました。
参列者は帰って行きます。
私は、少し、大聖堂の建物を外から眺めます。 -
一時は、外壁のモルタルが落下するなどの劣化も見られたそうですが、平成になって修復と構造補強工事が行われています。
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波型のロンバルティア帯が壁面あちこちについています。
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窓には、色々なステンドグラスがはめられています。
これは、正教会で使われている十字架。 -
外にも 窓のステンドグラスにもあるのは、良くカトリックで見かける十字架ではありません。
正教会では、横棒と斜めの棒の2本が多い八端十字架(はったんじゅうじか)です。
名前の通り、端が8箇所あります。
一番上の短い横棒は、「ユダヤ人の王ナザレのイエス」と書かれた、罪状書きを示した物です。
下の斜めの線は、足を乗せた台を示し、斜めになっているのは、同じ日に磔にされた強盗2人の内 ハリストス(キリスト)から見て左の者は、彼をののしり、右の者は罪を懺悔し天国を約束された為、棒が上を向いているという象徴だそうです。 -
ちなみに、磔は、手足を打ち付けて立たせた状態にしますが、体の重みで、窒息死させる処刑方法だそうです。この時、足台があると、体重をここで支える事が出来るので、簡単に死ぬことが出来ず、苦しみを長引かせるという、残酷な意味合いで使われるものだという事です
-
門の上には文字がつけられています。
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ずっと、建物を見たいと思っていたニコライ堂でしたが、今日は、こんなご縁で、貴重な儀式にも参加させて頂く事ができました。
永眠者となられた父の友人は、建築学者で、ニコライ堂再建を行った正教徒 岡田信一郎を尊敬していて、ここでの埋葬式を希望していたそうです。 -
聖橋 昭和2年(1927)完成 山田守、成瀬勝武 設計
聖橋あたりは、現在工事中。
エレベーターやエスカレーターが無く、多くの大学病院が近くにありながらバリアフリー化が遅れていた御茶ノ水駅が便利に変わりつつある所です。
復活大聖堂と湯島聖堂 ふたつの聖堂の間にある橋は、誰にでも優しい場所であって欲しいですね。 -
建物を見てゆっくり、帰ろうとしたら、式に飾られたお花を分けて下さいました。
大きな百合や白バラ、白一色の花束でした。
真夏の暑い中、持ち歩いた花でしたが、その後、きれいに咲き続けていました。
先人が作り上げた多くの名建築。
私は、常々、それらを見て、美しさに感嘆していますが、
今日は、そんな日本の名建築にも携わったお一人をお見送りしてしまったのでした。
建物と設計者、それに関わる人々、色々な事に想いが及ぶ
不思議な気分での建物見物の日でもありました。
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