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コロナ禍を経て、2022年ようやくカンボジアに行って来ました。<br /> 11回目は、アンコール・ワットの通常の観光です。<br />クメール建築の中では特異な西向きのアンコール・ワットは、お陰で日の出鑑賞の人気スポットです。<br />あのシルエットは人の目を惹きつけ、魅了して止みません。早朝、その日の出鑑賞をしてからホテルに戻って朝食を摂り、再度9時に出発して観光が始まりました。<br /> 5日目にして、ようやくカンボジアの代名詞であるアンコール・ワットを見学します。<br />真っ暗な中で渡った環濠を、今度はキッチリと計算された姿を見ながら進みます。<br />「逆さアンコール・ワット」を楽しんだ聖池を横目に、十字テラスに上がり、第一回廊の長大なレリーフ群を見て歩きます。西の真ん中から入って南に進み、東の回廊まで行くと中庭に入ります。そこから第二回廊に上がって更に急階段の上の第三回廊に上がって4つの塔と中央祠堂に辿り着きます。<br />帰り道に十字回廊を通って、「森本右近太夫の墨書」を見て終わります。<br />アンコール・ワットを訪れるのは3回目ですが、慣れているからこそ過剰に舞い上がらずに落ち着いて見学できたと思います。<br />

カンボジア紀行11 - アンコール・ワット 後編 -

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2022/10/30 - 2022/11/06

1050位(同エリア8639件中)

旅行記グループ カンボジア紀行

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ミズ旅撮る人

ミズ旅撮る人さん

コロナ禍を経て、2022年ようやくカンボジアに行って来ました。
 11回目は、アンコール・ワットの通常の観光です。
クメール建築の中では特異な西向きのアンコール・ワットは、お陰で日の出鑑賞の人気スポットです。
あのシルエットは人の目を惹きつけ、魅了して止みません。早朝、その日の出鑑賞をしてからホテルに戻って朝食を摂り、再度9時に出発して観光が始まりました。
 5日目にして、ようやくカンボジアの代名詞であるアンコール・ワットを見学します。
真っ暗な中で渡った環濠を、今度はキッチリと計算された姿を見ながら進みます。
「逆さアンコール・ワット」を楽しんだ聖池を横目に、十字テラスに上がり、第一回廊の長大なレリーフ群を見て歩きます。西の真ん中から入って南に進み、東の回廊まで行くと中庭に入ります。そこから第二回廊に上がって更に急階段の上の第三回廊に上がって4つの塔と中央祠堂に辿り着きます。
帰り道に十字回廊を通って、「森本右近太夫の墨書」を見て終わります。
アンコール・ワットを訪れるのは3回目ですが、慣れているからこそ過剰に舞い上がらずに落ち着いて見学できたと思います。

旅行の満足度
5.0
観光
5.0
交通手段
観光バス 徒歩
旅行の手配内容
ツアー(添乗員同行あり)
利用旅行会社
クラブツーリズム

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  • アンコール・ワットの環濠に設けられた仮設の橋の袂から撮っています。<br />本来の西参道の橋からは、もちろん西塔門の真後ろに中央祠堂の塔が見えるのですが、ここからだと随分ずれてしまい、塔は5本ともハッキリ見ることが出来ます。<br />

    アンコール・ワットの環濠に設けられた仮設の橋の袂から撮っています。
    本来の西参道の橋からは、もちろん西塔門の真後ろに中央祠堂の塔が見えるのですが、ここからだと随分ずれてしまい、塔は5本ともハッキリ見ることが出来ます。

  • 環濠の外側の道を小坊主たちが歩いています。ほとんど遠足のようなノリですね。<br />クメール人のほとんどが上座部仏教の信者で、一生に一度は出家して功徳を積みたいと考えています。<br />雨季の7~10月は「チョール・ヴォッサー(雨安居入り)」という、寺院に籠って修行をする期間になります。ようやく乾季になり、外に出て来られるようになったので楽しいのでしょう。<br />雨季から乾季への切り替えの時期には、農民たちが僧の衣を寄進するので、新しい衣で気持ちよく歩いているのかもしれません。<br />

    環濠の外側の道を小坊主たちが歩いています。ほとんど遠足のようなノリですね。
    クメール人のほとんどが上座部仏教の信者で、一生に一度は出家して功徳を積みたいと考えています。
    雨季の7~10月は「チョール・ヴォッサー(雨安居入り)」という、寺院に籠って修行をする期間になります。ようやく乾季になり、外に出て来られるようになったので楽しいのでしょう。
    雨季から乾季への切り替えの時期には、農民たちが僧の衣を寄進するので、新しい衣で気持ちよく歩いているのかもしれません。

  • 仮設の橋を歩いて行きます。<br />バンテアイ・スレイのような離れたところにある寺院だと、敷地の入口でアンコール・パスのチェックがありますが、アンコール・ワットやトムのような遺跡が集中している所では、そこに至る途上にチェック・ポイントがあり、バスの中に係員が乗り込んできて、顔とパスをチェックします。<br />寺院の入口でパスを出し入れする必要が無いので、気楽に観光が始められます。<br />このシステムは他国には無い画期的で効率の良いものです。世界遺産が建物だけの点で認定されているのではなく、地域全体を面で包括しているので可能になっているのでしょう。<br />1992年にはもちろん無かったシステムで、2001年には別の場所にチェックポイントがあり、予め写真を日本から用意して行って、見学の前にパスを作っていました。進化しているのですね。<br />

    仮設の橋を歩いて行きます。
    バンテアイ・スレイのような離れたところにある寺院だと、敷地の入口でアンコール・パスのチェックがありますが、アンコール・ワットやトムのような遺跡が集中している所では、そこに至る途上にチェック・ポイントがあり、バスの中に係員が乗り込んできて、顔とパスをチェックします。
    寺院の入口でパスを出し入れする必要が無いので、気楽に観光が始められます。
    このシステムは他国には無い画期的で効率の良いものです。世界遺産が建物だけの点で認定されているのではなく、地域全体を面で包括しているので可能になっているのでしょう。
    1992年にはもちろん無かったシステムで、2001年には別の場所にチェックポイントがあり、予め写真を日本から用意して行って、見学の前にパスを作っていました。進化しているのですね。

  • 仮設の橋を渡り切ると真ん前には、象の門があります。<br />これは周壁の門で、西塔門を挟んで両側にあります。<br />

    仮設の橋を渡り切ると真ん前には、象の門があります。
    これは周壁の門で、西塔門を挟んで両側にあります。

  • 今日も椰子の木は元気です。<br />

    今日も椰子の木は元気です。

  • 西塔門に行きましょう。<br />西参道の橋を渡ったなら真っ直ぐ西塔門に入ってしまうので、こういうアングルで西塔門を撮ることは無いでしょう。今ならではの視点です。<br /><br />

    西塔門に行きましょう。
    西参道の橋を渡ったなら真っ直ぐ西塔門に入ってしまうので、こういうアングルで西塔門を撮ることは無いでしょう。今ならではの視点です。

  • 西塔門の入口で上を向いて撮っています。天井部分の花文様が綺麗です。<br />その上のまぐさ石などには、彫りの深いレリーフが施されていますが、かなり摩滅してしまっています。<br />

    西塔門の入口で上を向いて撮っています。天井部分の花文様が綺麗です。
    その上のまぐさ石などには、彫りの深いレリーフが施されていますが、かなり摩滅してしまっています。

  • 西塔門の南側には、修復されたヴィシュヌ神像が立っています。<br />失われた中央祠堂の本尊だったのではないかと言われています。<br />

    西塔門の南側には、修復されたヴィシュヌ神像が立っています。
    失われた中央祠堂の本尊だったのではないかと言われています。

  • 反対側には、頭のない神像が立っています。<br />こちらには観光客は行かないので、静かにお参りする人がいます。<br />

    反対側には、頭のない神像が立っています。
    こちらには観光客は行かないので、静かにお参りする人がいます。

  • 周壁の中は回廊になっていますが、ちょこちょこ間仕切りがあり、その度に段差の高い仕切りがあるので、木製の階段がこんなことになっています。<br />

    周壁の中は回廊になっていますが、ちょこちょこ間仕切りがあり、その度に段差の高い仕切りがあるので、木製の階段がこんなことになっています。

  • 西塔門を通り抜けると、脇に素晴らしいレリーフとデヴァターの姿がありました。一気にテンションが跳ね上がります。<br />

    西塔門を通り抜けると、脇に素晴らしいレリーフとデヴァターの姿がありました。一気にテンションが跳ね上がります。

  • デヴァターばかりが注目されますが、その周囲のレリーフの見事さは、筆舌に尽くせません。<br />観光客はさっさと第一回廊のレリーフや中央祠堂を目指しますが、<br />ここはもっと時間をかけて、じっくり見たい!ああ、ツアーなんて融通が利かないったら。<br />

    デヴァターばかりが注目されますが、その周囲のレリーフの見事さは、筆舌に尽くせません。
    観光客はさっさと第一回廊のレリーフや中央祠堂を目指しますが、
    ここはもっと時間をかけて、じっくり見たい!ああ、ツアーなんて融通が利かないったら。

  • このものすごいレリーフに見向きもしないで、さっさと進むなんて惨いですぅ。パネルの上部には、すっかり見慣れた国花のロムドゥオルが並んでいます。<br />

    このものすごいレリーフに見向きもしないで、さっさと進むなんて惨いですぅ。パネルの上部には、すっかり見慣れた国花のロムドゥオルが並んでいます。

  • ガイドブックで有名な「歯を見せて笑うデヴァター」です。探さなくても、簡単に見つかります。<br />デヴァター自身も美しいですし、素晴らしいレリーフに囲まれているので、どうか「歯」にだけ注目せずに、全体を見てください。<br />

    ガイドブックで有名な「歯を見せて笑うデヴァター」です。探さなくても、簡単に見つかります。
    デヴァター自身も美しいですし、素晴らしいレリーフに囲まれているので、どうか「歯」にだけ注目せずに、全体を見てください。

  • 実は「歯を見せて笑うデヴァター」はもう一人います。<br />西塔門の出入り口の左右にそれぞれいたのだと思います。<br />こちらは半分変色してしまっていて、それ故に注目度が低いのですが、<br />珍しく目玉がくっきりと描かれており、他のデヴァターの天女らしい顔立ちに比べてキリッと男前。<br />

    実は「歯を見せて笑うデヴァター」はもう一人います。
    西塔門の出入り口の左右にそれぞれいたのだと思います。
    こちらは半分変色してしまっていて、それ故に注目度が低いのですが、
    珍しく目玉がくっきりと描かれており、他のデヴァターの天女らしい顔立ちに比べてキリッと男前。

  • 目の前に参道が中央祠堂に向けて伸びているので、真っ直ぐ進みたくなりますが、周壁の内側は振り返って見てくださいね。<br />右手前のデヴァターは「鏡を覗くデヴァター」です。<br />インドでよく見られるポーズで、ヒンドゥー教のモチーフの定番です。<br />インド・カジュラホではもっとコケティッシュに踊っていたり、なまめかしいポーズをとっていたりします。

    目の前に参道が中央祠堂に向けて伸びているので、真っ直ぐ進みたくなりますが、周壁の内側は振り返って見てくださいね。
    右手前のデヴァターは「鏡を覗くデヴァター」です。
    インドでよく見られるポーズで、ヒンドゥー教のモチーフの定番です。
    インド・カジュラホではもっとコケティッシュに踊っていたり、なまめかしいポーズをとっていたりします。

  • デヴァター好きの人は、ここでいっぱい撮っておいてください。<br />もっとも充実しているのは、ここだと思います。<br />意外ですがこの先、出来が悪かったり、未完成だったりすることがあります。第三回廊は見てのお楽しみ。

    デヴァター好きの人は、ここでいっぱい撮っておいてください。
    もっとも充実しているのは、ここだと思います。
    意外ですがこの先、出来が悪かったり、未完成だったりすることがあります。第三回廊は見てのお楽しみ。

  • 周りのレリーフも欲しいので、欲張り撮りです。<br />

    周りのレリーフも欲しいので、欲張り撮りです。

  • もちろんデヴァターのアップ撮りもしたいです。<br />しかし、如何せん時間があまりにも無いのです。<br />私の隣にはいつも添乗員の姿があります。しんがりを務める大事なお役目です。お世話になります。<br />

    イチオシ

    もちろんデヴァターのアップ撮りもしたいです。
    しかし、如何せん時間があまりにも無いのです。
    私の隣にはいつも添乗員の姿があります。しんがりを務める大事なお役目です。お世話になります。

  • 周壁の屋根の端飾りです。ナーガが取り囲む中央にカーラに乗るヴィシュヌ神が彫られています。これだけクメール寺院を見て来ると、すっかりお馴染みのモチーフになりました。<br />

    周壁の屋根の端飾りです。ナーガが取り囲む中央にカーラに乗るヴィシュヌ神が彫られています。これだけクメール寺院を見て来ると、すっかりお馴染みのモチーフになりました。

  • 彼女たちはお腹の前に環をぶら下げています。こういうアクセサリーなのですね。<br />

    彼女たちはお腹の前に環をぶら下げています。こういうアクセサリーなのですね。

  • 二人が手を取り合っています。どうせなら、三人揃って手を繋いでもよかったのに。<br />

    二人が手を取り合っています。どうせなら、三人揃って手を繋いでもよかったのに。

  • 塔門の塔にも緻密なレリーフがあります。<br />

    塔門の塔にも緻密なレリーフがあります。

  • 背景がものすごく凝ったデヴァター。髪飾りも豪華で、その上にカーラがいて、飛天たちが舞い踊ります。最高位のデヴァターでしょう。<br />

    背景がものすごく凝ったデヴァター。髪飾りも豪華で、その上にカーラがいて、飛天たちが舞い踊ります。最高位のデヴァターでしょう。

  • さあ、参道を歩いて中央祠堂に向かいましょう。<br />左側に見えるのが、北経蔵です。<br />

    さあ、参道を歩いて中央祠堂に向かいましょう。
    左側に見えるのが、北経蔵です。

  • 北経蔵と名付けられていても、日本の寺の経蔵とは違っています。<br />そもそもお経本が収められていたのかしら?<br />

    北経蔵と名付けられていても、日本の寺の経蔵とは違っています。
    そもそもお経本が収められていたのかしら?

  • 聖池の前から撮れば誰でも「逆さアンコール・ワット」は撮れるのですが、どこまでを画面に入れるかで個性が出ます。<br />私は、聖池に咲く小さな黄色い花を一緒に入れてみました。<br />

    聖池の前から撮れば誰でも「逆さアンコール・ワット」は撮れるのですが、どこまでを画面に入れるかで個性が出ます。
    私は、聖池に咲く小さな黄色い花を一緒に入れてみました。

  • 北側の聖池には赤い蓮が咲いています。その向こうには土産物店が軒を連ねています。<br />

    北側の聖池には赤い蓮が咲いています。その向こうには土産物店が軒を連ねています。

  • 十字テラスに来ました。第一回廊への入口です。<br />

    十字テラスに来ました。第一回廊への入口です。

  • 十字テラスの上で、西塔門を振り返ります。<br />

    十字テラスの上で、西塔門を振り返ります。

  • 十字テラスから第一回廊を望みます。あの中には「マハーバーラタ」を描いたレリーフがある筈。これからそこに行きます。<br />

    十字テラスから第一回廊を望みます。あの中には「マハーバーラタ」を描いたレリーフがある筈。これからそこに行きます。

  • 北側の第一回廊です。こちらは「ラーマーヤナ」。でもツアーで行ったことはありません。大抵は、南回りで、一周する前に第二回廊に行ってしまうからです。<br />

    北側の第一回廊です。こちらは「ラーマーヤナ」。でもツアーで行ったことはありません。大抵は、南回りで、一周する前に第二回廊に行ってしまうからです。

  • 第一回廊の外側のデヴァター。赤い塗料が残っていますが、あの素晴らしいレリーフは殆ど見られません。<br />

    第一回廊の外側のデヴァター。赤い塗料が残っていますが、あの素晴らしいレリーフは殆ど見られません。

  • アンコール・ワットの撮影の楽しみに、窓の柵のシルエットを如何に使って写真を撮るかがあります。<br />アンコール・ワットの柵は、とても細かい細工になっているので、その縁を使って撮るのはおもしろいです。<br />ただ、これから先はレリーフに主眼が行ってしまうので、窓を気にする余裕がないのです。<br />

    アンコール・ワットの撮影の楽しみに、窓の柵のシルエットを如何に使って写真を撮るかがあります。
    アンコール・ワットの柵は、とても細かい細工になっているので、その縁を使って撮るのはおもしろいです。
    ただ、これから先はレリーフに主眼が行ってしまうので、窓を気にする余裕がないのです。

  • 有名な巨大絵巻のレリーフでなくとも、この美しさです。本当に忙しい観光です。<br />

    有名な巨大絵巻のレリーフでなくとも、この美しさです。本当に忙しい観光です。

  • アンコール・ワットは、1113年にスールヤヴァルマン2世によって建て始められました。しかし、1177年にチャンパによってアンコール都城は占領されてしまいます。これによって、アンコール・ワットの造営も中途で放棄されてしまったのでしょう。王が変わると新しい都を別に作るのがクメール王朝だったので、次のジャヤヴァルマン7世が復帰した時は、アンコール・トムが造られました。<br />これら書きかけのレリーフが完成していないのが残念です。<br />王が替わる毎に建て替えていたのでは、完成するのは難しいですね。<br />

    アンコール・ワットは、1113年にスールヤヴァルマン2世によって建て始められました。しかし、1177年にチャンパによってアンコール都城は占領されてしまいます。これによって、アンコール・ワットの造営も中途で放棄されてしまったのでしょう。王が変わると新しい都を別に作るのがクメール王朝だったので、次のジャヤヴァルマン7世が復帰した時は、アンコール・トムが造られました。
    これら書きかけのレリーフが完成していないのが残念です。
    王が替わる毎に建て替えていたのでは、完成するのは難しいですね。

  • では、回廊に入って行きます。<br />

    では、回廊に入って行きます。

  • 「マハーバーラタ」です。西面の南側に描かれています。<br />

    「マハーバーラタ」です。西面の南側に描かれています。

  • 「マハーバーラタ」は、王位をめぐる戦いの物語なので、一面戦闘シーンです。<br />

    「マハーバーラタ」は、王位をめぐる戦いの物語なので、一面戦闘シーンです。

  • 隙間なくびっしりと描かれているので、一人一人、いや1頭1頭を見分けるのがたいへんです。<br />

    隙間なくびっしりと描かれているので、一人一人、いや1頭1頭を見分けるのがたいへんです。

  • 回廊はレリーフのある通路と、並行してある壁のない回廊の二重構造になっています。<br />

    回廊はレリーフのある通路と、並行してある壁のない回廊の二重構造になっています。

  • クメールの回廊を飾るレリーフは、独特の構成になっていて、下が近景、上が遠景になっています。<br />分かりにくいのですが、一応遠近法で場面を表しているのです。<br />

    クメールの回廊を飾るレリーフは、独特の構成になっていて、下が近景、上が遠景になっています。
    分かりにくいのですが、一応遠近法で場面を表しているのです。

  • 最下層が一般の兵士たちの戦闘。中景が王の軍隊、遠景が天上界。<br />マハーバーラタは、王位争いですが、ヴィシュヌ神の化身であるクリシュナを味方につけたパーンダヴァが勝利を収めます。<br />

    最下層が一般の兵士たちの戦闘。中景が王の軍隊、遠景が天上界。
    マハーバーラタは、王位争いですが、ヴィシュヌ神の化身であるクリシュナを味方につけたパーンダヴァが勝利を収めます。

  • 西南の角に来ました。「マハーバーラタ」が終わり、角を曲がって南面に進みます。<br />

    西南の角に来ました。「マハーバーラタ」が終わり、角を曲がって南面に進みます。

  • 角のレリーフも、なかなかおもしろいです。ガイドブックでは紹介されないものが殆どです。<br />右の面が男性たち、左面がデヴァターたちです。<br />

    角のレリーフも、なかなかおもしろいです。ガイドブックでは紹介されないものが殆どです。
    右の面が男性たち、左面がデヴァターたちです。

  • 座った群像になっているデヴァターたちは珍しいので、拡大しておきます。デヴァターは、宮廷の女官たちの姿を映したものと言われています。<br />

    座った群像になっているデヴァターたちは珍しいので、拡大しておきます。デヴァターは、宮廷の女官たちの姿を映したものと言われています。

  • 角の部分が複雑な壁面を持っているので、レリーフもそれぞれ小規模なものが刻まれています。回廊のメインのレリーフは確かに大規模ですごいものですが、完成度はこちらの方が上だと思います。<br />

    角の部分が複雑な壁面を持っているので、レリーフもそれぞれ小規模なものが刻まれています。回廊のメインのレリーフは確かに大規模ですごいものですが、完成度はこちらの方が上だと思います。

  • さて、南面西側の「スールヤヴァルマン2世の行軍」を見て行きます。<br />

    さて、南面西側の「スールヤヴァルマン2世の行軍」を見て行きます。

  • その外側はこんな風になっています。<br />自分にとっては3回目で目新しくないということもあり、<br />大掛かりなレリーフよりも、周囲に目が行ってしまいます。<br />

    その外側はこんな風になっています。
    自分にとっては3回目で目新しくないということもあり、
    大掛かりなレリーフよりも、周囲に目が行ってしまいます。

  • そのため、こんな小さなデヴァターに目が止まったりします。<br />

    そのため、こんな小さなデヴァターに目が止まったりします。

  • 最も有名な「スールヤヴァルマン2世」の図です。<br />上部だけがアップになっていることが多いので、敢えて全体を載せておきます。<br />下の方には、軍隊の様子が描かれていますが、よく見ると乳房のある女性が何人も見受けられます。<br />当時の軍隊は家族も連れて行っていたのだそうです。<br />

    最も有名な「スールヤヴァルマン2世」の図です。
    上部だけがアップになっていることが多いので、敢えて全体を載せておきます。
    下の方には、軍隊の様子が描かれていますが、よく見ると乳房のある女性が何人も見受けられます。
    当時の軍隊は家族も連れて行っていたのだそうです。

  • 屋根のある輿に乗った高貴な女性と女官たちが描かれています。<br />

    屋根のある輿に乗った高貴な女性と女官たちが描かれています。

  • 日傘の数が地位の高さを表しています。<br />下部の兵士たちはそれぞれ2~3の頭が描かれています。これは兵士の動きを表したもので、1人なのです。ややこしくて、全部で何人描かれているのか、全然わかりません。<br />ずらして同じものを描いただけではとても動いているようには見えないのですが、クメール美術の精一杯の表現力です。<br />

    日傘の数が地位の高さを表しています。
    下部の兵士たちはそれぞれ2~3の頭が描かれています。これは兵士の動きを表したもので、1人なのです。ややこしくて、全部で何人描かれているのか、全然わかりません。
    ずらして同じものを描いただけではとても動いているようには見えないのですが、クメール美術の精一杯の表現力です。

  • 下部の兵士たちは左右で異なります。右はシャム(現タイ)の傭兵で、左の整然としたクメール兵とは態度や装束が違います。<br />

    下部の兵士たちは左右で異なります。右はシャム(現タイ)の傭兵で、左の整然としたクメール兵とは態度や装束が違います。

  • ここから先は、南面東側になります。<br />

    ここから先は、南面東側になります。

  • 南面東側は「天国と地獄」です。<br />3段構造になっていて、上段が極楽浄土、中段が裁定を待つ世界、下段が地獄です。<br />

    南面東側は「天国と地獄」です。
    3段構造になっていて、上段が極楽浄土、中段が裁定を待つ世界、下段が地獄です。

  • 上段と中段。中央では取り調べを受けています。<br />

    上段と中段。中央では取り調べを受けています。

  • 18本の腕を持つのが閻魔大王。<br />

    18本の腕を持つのが閻魔大王。

  • 東面南側の「乳海攪拌」です。<br />何故かアンコール・ワットではこれが有名です。<br />ヒンドゥー教の本家インドではあまり目立ちません。<br />話が見てわかりやすいから、観光客受けするのかな?<br />

    東面南側の「乳海攪拌」です。
    何故かアンコール・ワットではこれが有名です。
    ヒンドゥー教の本家インドではあまり目立ちません。
    話が見てわかりやすいから、観光客受けするのかな?

  • 「乳海攪拌」は、神々と阿修羅が協力して不老不死の妙薬アムリタを作る場面です。<br />大マンダラ山を大亀クールマ(ヴィシュヌ神の化身)の背中に乗せて、大蛇(ヴァースキ)を巻き付け、左右から引っ張り合います。1,000年も掻き回したので海は乳海となり、そこからアプサラやヴィシュヌ神の妻ラクシュミーが生まれ、最後にアムリタが得られたと伝えられています。<br />このアムリタを一説には、カーラが飲み込んでしまい、ヴィシュヌ神に首をはねられたとされています。<br />

    「乳海攪拌」は、神々と阿修羅が協力して不老不死の妙薬アムリタを作る場面です。
    大マンダラ山を大亀クールマ(ヴィシュヌ神の化身)の背中に乗せて、大蛇(ヴァースキ)を巻き付け、左右から引っ張り合います。1,000年も掻き回したので海は乳海となり、そこからアプサラやヴィシュヌ神の妻ラクシュミーが生まれ、最後にアムリタが得られたと伝えられています。
    このアムリタを一説には、カーラが飲み込んでしまい、ヴィシュヌ神に首をはねられたとされています。

  • ヴァースキ(ナーガ族の王)の長い胴体を抱える神々。<br />足元では海が攪拌されて、海の生物が混乱し、千切れているものもあります。<br />

    ヴァースキ(ナーガ族の王)の長い胴体を抱える神々。
    足元では海が攪拌されて、海の生物が混乱し、千切れているものもあります。

  • 大亀クールマの上にマンダラ山を乗せ、ヴァースキを巻き付けている綱引きの真ん中部分です。<br />指揮を執るヴィシュヌ神が描かれています。でもその足元のクールマもヴィシュヌ神の化身なんですよね。<br />「乳海攪拌」によってアムリタが出現した方が獲得するという約束だったのに、阿修羅の方に出現したら、それを飲み込んだ阿修羅の首をヴィシュヌ神がはねて神々の手に渡し、神々が不老不死になりました。阿修羅はカーラになっています。神々は嘘つきで強欲で図々しいものですね。<br />

    大亀クールマの上にマンダラ山を乗せ、ヴァースキを巻き付けている綱引きの真ん中部分です。
    指揮を執るヴィシュヌ神が描かれています。でもその足元のクールマもヴィシュヌ神の化身なんですよね。
    「乳海攪拌」によってアムリタが出現した方が獲得するという約束だったのに、阿修羅の方に出現したら、それを飲み込んだ阿修羅の首をヴィシュヌ神がはねて神々の手に渡し、神々が不老不死になりました。阿修羅はカーラになっています。神々は嘘つきで強欲で図々しいものですね。

  • 東面北側の「ヴィシュヌ神と阿修羅の戦い」。<br />「乳海攪拌」以降は、北面までずっと神々と阿修羅との戦いの場面になります。<br />

    東面北側の「ヴィシュヌ神と阿修羅の戦い」。
    「乳海攪拌」以降は、北面までずっと神々と阿修羅との戦いの場面になります。

  • 北面までで第一回廊の見学は終わります。中庭に入って、一回り小さな第二回廊に行きます。<br />第二回廊は、一周約430mで、内部にはほとんどレリーフが無いため、突き抜けて終わりといった存在です。<br />

    北面までで第一回廊の見学は終わります。中庭に入って、一回り小さな第二回廊に行きます。
    第二回廊は、一周約430mで、内部にはほとんどレリーフが無いため、突き抜けて終わりといった存在です。

  • 第二回廊入り口の両側には、デヴァターだけが彫られています。<br />

    第二回廊入り口の両側には、デヴァターだけが彫られています。

  • そして、描きかけのデヴァター。<br />

    そして、描きかけのデヴァター。

  • これほどの建築物を完成させようとは思わなかったのですね。<br />周囲の壁面を飾る美しいレリーフなどは、まったく見られません。<br />第一回廊が完成形だっただけに、第二回廊の未完成ぶりが際立ちます。<br />

    これほどの建築物を完成させようとは思わなかったのですね。
    周囲の壁面を飾る美しいレリーフなどは、まったく見られません。
    第一回廊が完成形だっただけに、第二回廊の未完成ぶりが際立ちます。

  • アンコール・ワットはヴィシュヌ神に捧げられた寺院として建てられましたが、後の王朝は仏教徒だったので、完成させることが無かっただけでなく、中央祠堂の本尊は捨てられ、あちこちに仏像が安置されました。<br />

    アンコール・ワットはヴィシュヌ神に捧げられた寺院として建てられましたが、後の王朝は仏教徒だったので、完成させることが無かっただけでなく、中央祠堂の本尊は捨てられ、あちこちに仏像が安置されました。

  • 第二回廊を突き抜けると、目の前には第三回廊に至る階段がそそり立っています。かつてはここを上って行ったものですが、現在では観光客用に専用の階段が設けられ、他の階段はすべて立入禁止です。<br />

    第二回廊を突き抜けると、目の前には第三回廊に至る階段がそそり立っています。かつてはここを上って行ったものですが、現在では観光客用に専用の階段が設けられ、他の階段はすべて立入禁止です。

  • 北東の角に造られた階段のみが、第三回廊に続く道です。<br />観光客が多い時期には入場制限などがあったようです。<br />アンコール・パスの提示は求められませんが、整列昇降のために柵が設けられています。<br />

    北東の角に造られた階段のみが、第三回廊に続く道です。
    観光客が多い時期には入場制限などがあったようです。
    アンコール・パスの提示は求められませんが、整列昇降のために柵が設けられています。

  • 第二回廊の内側壁面のデヴァター。第一回廊の物に比べ、彫りは深く髪型は異なるものの身体はほとんど同じで、まったく感銘を受けません。<br />数居ればいい訳じゃないんだけどな。<br />

    第二回廊の内側壁面のデヴァター。第一回廊の物に比べ、彫りは深く髪型は異なるものの身体はほとんど同じで、まったく感銘を受けません。
    数居ればいい訳じゃないんだけどな。

  • 第三回廊の外壁には装飾と完成したデヴァターが見えます。<br />

    第三回廊の外壁には装飾と完成したデヴァターが見えます。

  • さあ、階段を上って、いざ第三回廊へ!<br />この先、バイヨン寺院のようにここにも上がれなくなる日が来ないとも限りません。では、行って来ます。見かけほどキツくはないですよ。<br />

    さあ、階段を上って、いざ第三回廊へ!
    この先、バイヨン寺院のようにここにも上がれなくなる日が来ないとも限りません。では、行って来ます。見かけほどキツくはないですよ。

  • 階段の上からの眺めです。<br />第二回廊の外に第一回廊も見えます。その外は木々に囲まれていて、更にその外に環濠があります。<br />

    階段の上からの眺めです。
    第二回廊の外に第一回廊も見えます。その外は木々に囲まれていて、更にその外に環濠があります。

  • さすがに第三回廊の中のデヴァターは綺麗です。<br />でも、足元が崩れてしまっているのが残念です。雨季の湿気でやられてしまうのかな?<br />

    さすがに第三回廊の中のデヴァターは綺麗です。
    でも、足元が崩れてしまっているのが残念です。雨季の湿気でやられてしまうのかな?

  • 第三回廊の内側は、中央祠堂とそれに接続する十字型の回廊によって、<br />4つに分けられています。4つの一辺が60mの正方形には特に何もなく、何のための空間なのだろうと不思議に思います。<br />

    第三回廊の内側は、中央祠堂とそれに接続する十字型の回廊によって、
    4つに分けられています。4つの一辺が60mの正方形には特に何もなく、何のための空間なのだろうと不思議に思います。

  • かつては「王の沐浴場」と言われていましたが、それなら4つも要らない筈。現在では、王の治水力を示すための貯水池だったと考えられています。第三回廊の4つの池に貯められた水は、排水路によって外に溢れ出し、建物を潤します。その様子をCGにしたものをNHKの特集で見ました。なかなか感動的な内容でした。<br />

    かつては「王の沐浴場」と言われていましたが、それなら4つも要らない筈。現在では、王の治水力を示すための貯水池だったと考えられています。第三回廊の4つの池に貯められた水は、排水路によって外に溢れ出し、建物を潤します。その様子をCGにしたものをNHKの特集で見ました。なかなか感動的な内容でした。

  • 遠くから見ると完全な形のように見える塔は、かなり摩耗しています。<br />

    遠くから見ると完全な形のように見える塔は、かなり摩耗しています。

  • それでも、数多くのデヴァターやガルーダなどの聖獣が散りばめられているのが見られます。ガルーダはヴィシュヌ神の乗り物です。<br />

    それでも、数多くのデヴァターやガルーダなどの聖獣が散りばめられているのが見られます。ガルーダはヴィシュヌ神の乗り物です。

  • 「阿修羅を調伏するヴィシュヌ神」かな?<br />

    「阿修羅を調伏するヴィシュヌ神」かな?

  • 中央祠堂のデヴァターは、逸品です。今回の表紙もここで撮りました。<br />

    中央祠堂のデヴァターは、逸品です。今回の表紙もここで撮りました。

  • 柱の下部に彫られているので、少し屈むか、離れて撮らなければならないのがちょっと不自由です。<br />

    柱の下部に彫られているので、少し屈むか、離れて撮らなければならないのがちょっと不自由です。

  • 本尊のヴィシュヌ神像は失われ、代わりに仏像が安置されています。<br />創建当初は黄金に輝く神像が祀られていたと言われています。<br />1935年にフランスの調査隊が行った発掘調査で、金の円盤が出土したそうです。<br />

    本尊のヴィシュヌ神像は失われ、代わりに仏像が安置されています。
    創建当初は黄金に輝く神像が祀られていたと言われています。
    1935年にフランスの調査隊が行った発掘調査で、金の円盤が出土したそうです。

  • 随分、足が破損してしまっています。悲しいなあ。<br />

    随分、足が破損してしまっています。悲しいなあ。

  • ガイドブックには「約600mの参道を見下ろすことができる」と書いてあったけれど、見えたのは西塔門まで。環濠からは中央祠堂は見えないのだから、ここから見えないのは当たり前か。<br />

    ガイドブックには「約600mの参道を見下ろすことができる」と書いてあったけれど、見えたのは西塔門まで。環濠からは中央祠堂は見えないのだから、ここから見えないのは当たり前か。

  • 第三回廊の中には、ナーガの上で座禅を組む仏像が置かれています。<br />アンコールの地は、隣接するシャム(タイ)やチャンパ(ベトナム)との領土争いに晒され続けました。<br />1431年にアンコールの王都は陥落し、以降ここに都が造られることはありませんでした。<br />しかし、1546年に別の地で即位したアンチャン1世がアンコール・ワットの修復を手掛けたことがあるそうです。<br />まったく放置されたままでもなかったようです。<br />

    第三回廊の中には、ナーガの上で座禅を組む仏像が置かれています。
    アンコールの地は、隣接するシャム(タイ)やチャンパ(ベトナム)との領土争いに晒され続けました。
    1431年にアンコールの王都は陥落し、以降ここに都が造られることはありませんでした。
    しかし、1546年に別の地で即位したアンチャン1世がアンコール・ワットの修復を手掛けたことがあるそうです。
    まったく放置されたままでもなかったようです。

  • ここでは、ツアーについて歩く必要が無いので、好きなだけ好きな場所で撮影できます。なぜなら、階段を上がらない人もいるため、第三回廊は自由見学になったからです。これは嬉しい。羽が生えたように軽やかに階段を上がれたのは、このお陰です。<br />

    ここでは、ツアーについて歩く必要が無いので、好きなだけ好きな場所で撮影できます。なぜなら、階段を上がらない人もいるため、第三回廊は自由見学になったからです。これは嬉しい。羽が生えたように軽やかに階段を上がれたのは、このお陰です。

  • 第二回廊の屋根とその向こうに聖池が見えます。<br />この屋根飾りも未完成なのでしょうか。<br />

    第二回廊の屋根とその向こうに聖池が見えます。
    この屋根飾りも未完成なのでしょうか。

  • 通路の上部の壁には、繊細なレリーフがあります。<br />失敗写真ですが、すごくすてきなので、紹介しておきます。<br />

    通路の上部の壁には、繊細なレリーフがあります。
    失敗写真ですが、すごくすてきなので、紹介しておきます。

  • 第三回廊の中は、宮殿の様に豪華な装飾で満ちています。<br />西洋なら華やかな壁紙になるのでしょうが、ここでは全て手彫りのレリーフです。<br />

    第三回廊の中は、宮殿の様に豪華な装飾で満ちています。
    西洋なら華やかな壁紙になるのでしょうが、ここでは全て手彫りのレリーフです。

  • 完成していると思っていた第三回廊ですが、ここでも未完成のレリーフがありました。<br />

    完成していると思っていた第三回廊ですが、ここでも未完成のレリーフがありました。

  • これだけのものを大量に彫るには、30年では足りなかったのでしょう。<br />

    これだけのものを大量に彫るには、30年では足りなかったのでしょう。

  • 第三回廊と中央祠堂は、最も重要な部分なので、ここだけは完璧に仕上がっていると思っていたのに、意外でした。王にとっては容れ物だけ完成していれば良かったのかな?そろそろ第二回廊の中庭に降ります。<br />

    第三回廊と中央祠堂は、最も重要な部分なので、ここだけは完璧に仕上がっていると思っていたのに、意外でした。王にとっては容れ物だけ完成していれば良かったのかな?そろそろ第二回廊の中庭に降ります。

  • 第二回廊の中庭には、西参道の延長線上に南北2つの経蔵があります。<br />第一回廊の外の聖池の前にもあるので、伽藍配置として様式化しているのでしょう。右が南西の塔、中央塔、左奥が北西の塔と見えています。左手前が南経蔵です。<br />

    第二回廊の中庭には、西参道の延長線上に南北2つの経蔵があります。
    第一回廊の外の聖池の前にもあるので、伽藍配置として様式化しているのでしょう。右が南西の塔、中央塔、左奥が北西の塔と見えています。左手前が南経蔵です。

  • 南経蔵のそばから第二回廊の中に入るギリギリのところで、現地ガイドが塔を振り返るように言いました。<br />北西の角にある塔の根元のデヴァターの足元に犬がいると言うのです。<br />画面一番手前でボケているのが南経蔵の屋根です。それ越しに塔の付け根のデヴァターを撮ってみます。<br />

    南経蔵のそばから第二回廊の中に入るギリギリのところで、現地ガイドが塔を振り返るように言いました。
    北西の角にある塔の根元のデヴァターの足元に犬がいると言うのです。
    画面一番手前でボケているのが南経蔵の屋根です。それ越しに塔の付け根のデヴァターを撮ってみます。

  • その写真を限界まで拡大してみました。確かに右側のデヴァターの向かって左側の足元に犬がいます。これが見える場所は、回廊の入口の敷居の上に立って見上げなければなりません。<br />一番観光客が出入りする狭い場所で、じっくり探すのが難しいです。<br />望遠レンズがあれば、なんとか撮れます。頑張ってみてください。<br />

    その写真を限界まで拡大してみました。確かに右側のデヴァターの向かって左側の足元に犬がいます。これが見える場所は、回廊の入口の敷居の上に立って見上げなければなりません。
    一番観光客が出入りする狭い場所で、じっくり探すのが難しいです。
    望遠レンズがあれば、なんとか撮れます。頑張ってみてください。

  • 経蔵付近の第二回廊の内側には、ちゃんとしたデヴァターが集まっています。<br />

    経蔵付近の第二回廊の内側には、ちゃんとしたデヴァターが集まっています。

  • 少し微笑んでいるように見えるデヴァター。「アルカイック・スマイル」と呼ばれます。日本の仏像にも見られますね。<br />

    少し微笑んでいるように見えるデヴァター。「アルカイック・スマイル」と呼ばれます。日本の仏像にも見られますね。

  • 十字回廊です。構造は第三回廊と中央祠堂に似ていて、4つの貯水池があります。ここに水が溜まっていると、臣下たちにも治水に優れた王として面目が立つことでしょう。<br />

    十字回廊です。構造は第三回廊と中央祠堂に似ていて、4つの貯水池があります。ここに水が溜まっていると、臣下たちにも治水に優れた王として面目が立つことでしょう。

  • 十字回廊には「森本右近太夫の墨書」と呼ばれる日本人の書いた落書きがあります。<br />1632年にここを祇園精舎と思って参拝した旨が書かれています。<br />彼は、第一回廊にも落書きを残していて、それらの日付が10日ずれていることが貴重な資料になっています。<br />また、アンコール・ワット全体では、日本人の落書きは10カ所以上あるそうです。<br />

    十字回廊には「森本右近太夫の墨書」と呼ばれる日本人の書いた落書きがあります。
    1632年にここを祇園精舎と思って参拝した旨が書かれています。
    彼は、第一回廊にも落書きを残していて、それらの日付が10日ずれていることが貴重な資料になっています。
    また、アンコール・ワット全体では、日本人の落書きは10カ所以上あるそうです。

  • 西洋人の落書きは、かなり長いです。<br />

    西洋人の落書きは、かなり長いです。

  • 十字回廊の中にも仏像が祀られています。<br />この辺りはすっかり仏教寺院になっていて、周りにたくさんの仏像が並べられています。<br />

    十字回廊の中にも仏像が祀られています。
    この辺りはすっかり仏教寺院になっていて、周りにたくさんの仏像が並べられています。

  • 十字回廊の天井は彩色の残る華やかなレリーフが占めています。<br />

    十字回廊の天井は彩色の残る華やかなレリーフが占めています。

  • 軽妙に踊るアプサラたちが、ずらっと並んでいます。<br />ずっと日陰で雨に濡れないため、彩色が随分あって、創建当初の雰囲気を醸し出しています。<br />

    軽妙に踊るアプサラたちが、ずらっと並んでいます。
    ずっと日陰で雨に濡れないため、彩色が随分あって、創建当初の雰囲気を醸し出しています。

  • なんとここにも「乳海攪拌」のレリーフがありました。<br />シェムリアップの町中にあるワット・プリア・エン・コサイ(前編参照)のものとはだいぶ違って、<br />やはり第一回廊のレリーフの縮小版と言ったところでしょうか。<br />

    なんとここにも「乳海攪拌」のレリーフがありました。
    シェムリアップの町中にあるワット・プリア・エン・コサイ(前編参照)のものとはだいぶ違って、
    やはり第一回廊のレリーフの縮小版と言ったところでしょうか。

  • 十字回廊の中心。ここに立って回るといいことがあるらしい。<br />ミラノのヴィットーリオ・エマヌエーレ2世のギャレリアの交差点にも、観光客の踵で光っている床がありますね。雄牛のモザイクタイルに踵を付けて回ると幸せになれると、毎日誰かが回っています。考えることは世界中どこでも同じですね。<br />

    十字回廊の中心。ここに立って回るといいことがあるらしい。
    ミラノのヴィットーリオ・エマヌエーレ2世のギャレリアの交差点にも、観光客の踵で光っている床がありますね。雄牛のモザイクタイルに踵を付けて回ると幸せになれると、毎日誰かが回っています。考えることは世界中どこでも同じですね。

  • 第一回廊のデヴァターは、表面がテカテカに光っています。<br />イタリア・ヴェローナの「ジュリエットの家」の中庭にあるジュリエット像の左胸が光沢があるのと同じ理由(観光客が触る)かと思われていましたが、デヴァターには何かが塗られていたのではないかと考え直されているようです。<br />

    第一回廊のデヴァターは、表面がテカテカに光っています。
    イタリア・ヴェローナの「ジュリエットの家」の中庭にあるジュリエット像の左胸が光沢があるのと同じ理由(観光客が触る)かと思われていましたが、デヴァターには何かが塗られていたのではないかと考え直されているようです。

  • 互いに肩を組み、外側の腕で輪を作ったような仲のいいデヴァターに見送られて、クメール文化の最高峰であるアンコール・ワットを後にします。<br />

    互いに肩を組み、外側の腕で輪を作ったような仲のいいデヴァターに見送られて、クメール文化の最高峰であるアンコール・ワットを後にします。

  • 第一回廊から十字テラスに出て、西参道に降りて来ました。<br />振り返ると5本の塔が見えます。これが見納めです。<br />たいへん大きな寺院で、見どころが多くて観光には時間が掛かります。<br />この日に歩いた歩数は2万3千歩でした。暑い時期はたいへんですから、熱射病対策を忘れずに。<br />次回は、928~944年に都が置かれていたコー・ケー遺跡群です。<br />

    第一回廊から十字テラスに出て、西参道に降りて来ました。
    振り返ると5本の塔が見えます。これが見納めです。
    たいへん大きな寺院で、見どころが多くて観光には時間が掛かります。
    この日に歩いた歩数は2万3千歩でした。暑い時期はたいへんですから、熱射病対策を忘れずに。
    次回は、928~944年に都が置かれていたコー・ケー遺跡群です。

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