2022/04/22 - 2022/04/22
53位(同エリア335件中)
キートンさん
この旅行記スケジュールを元に
サクラの花が咲く頃、サイクリングに適した季節の東北へ。
ということで、1日目は午前中に東京で寄り道したものの、午後には東北地方へと突入します。
東北で最初の訪問地に選んだのは、山形県の銀山温泉。
江戸時代初期、延沢銀山の鉱夫によって発見された銀山温泉は、銀採掘が衰退した後、替わって温泉湯治が盛んになったという。
奥州街道から10km以上の山奥にあるため長い間秘湯であったが、テレビドラマの最高視聴率を記録した「おしん」の舞台になったことで全国的に知られるようになった。
できれば宿泊していきたいところだが、宿泊費が高額なうえ一人での宿泊ができない宿が多いため日帰り観光となった。
とはいえ、ガス灯がともるノスタルジックな夕暮れ時は外せないので、日没後のサイクリングを覚悟しての観光となったのでした。
- 旅行の満足度
- 4.0
- 観光
- 4.0
- 交通
- 2.5
- 同行者
- 一人旅
- 一人あたり費用
- 10万円 - 15万円
- 交通手段
- 新幹線
- 旅行の手配内容
- 個別手配
-
東京から乗車したつばさ189号は定刻通り14:42に山形駅に到着し、14:52発の新庄行き普通列車に乗車する。
山形駅 駅
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15:43に大石田に到着。
ここから銀山温泉まで片道約17kmのサイクリング。大石田駅 駅
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大石田町からすぐに尾花沢市の市街地に入り、日影に雪が残る一方で沿道のサクラは散り始めといったところ。
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徳良湖という小さな湖付近まで来ると、残雪も多くなり、サクラもこれからピークを迎えるようだ。
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徳良湖の東端近くでは、湖の上を渡すように並んだこいのぼりが泳いでいた。
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大石田駅をスタートしてからちょうど1時間ほどで銀山温泉の入口付近に到着。
標高差約200mを上ってきたことを考慮すると、まずまずのペースだ。 -
4月も下旬だというのにかなりの残雪。
銀山温泉の雪景色は旅行記などでも見慣れていたが、この時期にこれだけの雪が残っているとは予想外だった。 -
銀山川にかかる白銀橋からは、いよいよ銀山温泉らしい町並みとなってきた。
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もう少し川沿いに進むと、これぞ銀山温泉といった光景となった。
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銀山川の両岸に大正から昭和初期にかけての木造多層建築の旅館が建ち並ぶ景観を私が初めて映像で見たのは、この映画だったと記憶する。
「乱れる」1964年 監督:成瀬巳喜男 主演:加山雄三、高峰秀子
https://www.youtube.com/watch?v=13iJToRcgjU
大石田駅はすっかり変わってしまったが、この温泉街は古き時代の面影をよく残している。
成瀬巳喜男監督作品では一般的に「浮雲」の評価が高いが、個人的には「乱れる」が強く印象に残っている。 -
国の登録有形文化財となっている「能登屋旅館」。
やけに目につく「木戸佐佐エ門」とは、江戸時代前期の1667年(寛文7年)に、現在の石川県七尾市から銀山川沿いの延沢銀山へ銀を採掘に来た山師だったという。
能登屋の創業は1892年(明治25年)。
創業時の館主は木戸家の家系で木戸佐左エ門を襲名したようだ。 -
「能登屋旅館」の隣の「旅館永澤平八」の二階戸袋の鏝絵(こてえ)。
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「旅館永澤平八」の三階戸袋の鏝絵。
鏝絵とは漆喰を用いて作られるレリーフのことである。
左官職人が左官ごてで仕上げていくことから名がついた。
題材は福を招く物語、花鳥風月が中心であり、着色された漆喰を用いて極彩色で表現される。 -
富士山が描かれた能登屋旅館の鏝絵。
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ノスタルジックな観光地には定番ともいえる赤ポスト。
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銀山川にかかる多くの橋とガス灯は、銀山温泉の特徴となっている。
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さらに銀山川をさかのぼって行くと、瀧見亭へ渡る赤い橋が見えてくる。
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瀧見亭の橋からは、白銀の滝が眺められる。
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落差は約20mの滝だが、雪解け水のせいか結構な水量である。
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温泉街の上流部にある白銀公園は広範囲に雪が残っている。
遊歩道はまだ閉鎖されているが、もう少し白銀の滝に近いところまでは行けそうだ。 -
イチオシ
接近した場所からの白銀の滝。
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その地点から振り返った銀山温泉側。
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白銀公園の散策路を上って行くと延沢銀坑洞という銀坑があり、日没まで無料で見学できるということで楽しみにしていたが、残雪のため散策路は進入禁止になっていて行くことができない。
近くの売店で聞いてみると、平年ではゴールデンウィーク明けてからでないと行けないという。
確実に行くなら6月以降に訪れた方が良さそうだ。
その代わりにはならないが、近くに疎水坑跡があるようなので行ってみよう。 -
疎水坑跡の入口。
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この疎水坑は、堅刈山の方向に掘進された排水・運搬・通路を主目的としたという。
タガネを用いた手掘りで、1000mを超える延長があったが、現在は坑口から135m地点で崩落している。 -
温泉街に戻って、銀山川の右岸に建つ「古勢起屋別館」。
ここは700円で日帰り入浴できる旅館なので、入浴するならここにしようと思っていたが、残念ながら昨年11月から日帰り入浴は休業している。 -
銀山川の左岸に建つ、銀山温泉の中で趣の異なる「旅館藤屋」。
東京五輪のメインスタジアムとなった国立競技場をデザインした建築家、隈研吾によって平成18年6月にリノベーションされた。 -
小腹がすいたところで寄ったのが「野川とうふや」。
野川とうふや グルメ・レストラン
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220円の「生あげ」をチョイス。
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それを川沿いの和楽足湯に浸かりながら食した。
日没まじかで冷えてきたのでちょうど良いかと思ったが、予想外のぬるま湯でがっかりだった。銀山温泉 和楽足湯 温泉
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もうひとつ銀山温泉で食べようと思っていたのがカレーパン。
白銀橋近くのお土産屋で売っていたはずだが、すでに閉店していた。 -
銀山温泉の中でも最も多くの鏝絵が見られるのが「古山閣」。
10枠の中に1月から12月までの古来の行事が描かれている。 -
イチオシ
右から、1月の正月行事、2月の節分。
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3月のひな祭り、4月の桜とタンポポ、5月のこいのぼり。
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6月の田植え・あじさい・あやめ、7月の七夕、8月の夏祭りと9月の月見。
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10月の稲刈りと紅葉、11月の七五三と12月の湯治。
三階には宝船。
いずれも色鮮やかな鏝絵である。
ただ、どうしても10枠しかとれなかったのか、8月・9月と11月・12月を無理やり1枠に入れたって感じ。 -
本日の日没時間は18:20頃。
それまであとわずか。 -
銀山温泉のお食事処のひとつ「伊豆の華」。
それなりに観光地価格だが、二階の窓側席は場所代込と考えれば安いのかもしれない。 -
橋の中央部に立つガス灯がノスタルジックな夕暮れ時を演出する。
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玄関でタヌキが迎えている「昭和館」、「古勢起屋別館」などが並ぶ。
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お土産屋のショーウィンドウ。
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足元を照らす照明は、竹に細工を施したもの。
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イチオシ
ゆっくりと夜へと向かう温泉街。
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「本館古勢起屋」は、現在改装中で今年7月にオープンするもよう。
約100年前の大正・昭和初期に建築・建て増しが行なわれたと推定されているアールデコ様式の建造物を改修した宿。
できる限り古材を再利用したほか、日本伝統の木組みの技を用いて当時のたたずまいを残す。
新材を一部使用した部分は、時間が育てる味わいを尊重し、着彩せず色の違いをあえて残しているという。 -
「能登屋旅館」の正面。
「銀山温泉」を検索した時、「おしん」と並んでよく出てくるのが「千と千尋」というワード。
「千と千尋の神隠し」の「油屋」という湯屋のモデルではないかということだろう。
油屋のデザインは「色々な温泉が入っていて特定のモデルはない」とされるが、江戸東京たてもの園の子宝湯、道後温泉本館は参考になった場所であると公式に明言されているという。
そのほか、銀山温泉、宮城の鎌先温泉、群馬の四万温泉、長野の渋温泉、鳥取の羽合温泉、そして台湾の九分はよくモデルの説として挙がっているようだ。 -
夕暮れ時の「旅館永澤平八」。
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銀山温泉は「日本夜景遺産」に選定されている。
日本夜景遺産は、日本夜景遺産事務局という民間組織が選定している約260箇所の夜景だという。芸術的価値を有すること、土地柄が表れていること、所在地に大きな文化的影響を与えていること等の8つの基準に基づいて選定される。
似たようなものに「日本の夜景100選」というのがあるが、こちらの方は「一段高い場所から眺める夜景であること」という基準があるため、銀山温泉は該当していない。 -
イチオシ
大正・昭和のノスタルジーが止まらない。
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ブルーモーメントの時間。
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イチオシ
銀山温泉がベストの時間帯を迎えた18:30を過ぎ。
自分の宿に向かうために去るべき時がきた。 -
片道約17kmの日没後のサイクリングを経て、大石田19:47発の普通列車で20:10頃新庄に到着した。
本日の走行距離は約51km。新庄駅 駅
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本日の宿は駅から徒歩3~4分のポストホテル。
料金の割に朝食が良い by キートンさんポストホテル 宿・ホテル
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シングル1泊朝食付きで4800円。
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ビジネスホテルとしては標準的な広さ。
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バスルームもごく普通。
2日目の明日はさらに北を目指し、花の名所も訪れる。
ただ、夜中に降る雨が午前中も残るかどうかが問題だ・・・
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この旅行記へのコメント (2)
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- akikoさん 2022/05/21 20:18:16
- 雪がなくても素敵な銀山温泉
- キートンさん、こんばんは~
銀山温泉、いいですね!
雪景色の銀山温泉は何度も見ましたが、自転車で冬以外に訪問された旅行記は初めて拝見。自転車だと、標高差200mの道を薄んで行くのは楽ではなかったと思います。銀山温泉の町並みが見えてきた時は達成感を感じられたのでは。。。
銀山川をはさんで両側にお宿などが建ち並ぶ様子は、何度か見た風景。立派な建物が多い中でも能登屋旅館は、長い歴史が感じられる重厚な建物で、佇まいが他と違いますね。
鏝絵も以前見たことがありますが、素晴らしい芸術作品のよう。古山閣の鏝絵は季節の行事が表現されていて、どれもが見て楽しめる作品ですね。
そして夕暮れ時、レトロな街灯に明かりが灯る時間帯の風景はとっても素敵です!橋に施された竹の行灯も大好きです。お昼間の風景とは別の、感傷的にキュンとなる顔を見せてくれますね。「日本夜景遺産」に選定されているというのも頷けます。思い込みで、銀山温泉は冬に限ると思っていましたが、雪がなくてもとても綺麗だと感じました。
素敵な風景を紹介していただいてありがとうございました。
akiko
- キートンさん からの返信 2022/05/22 09:32:42
- RE: 雪がなくても素敵な銀山温泉
- こんにちは、akikoさん。
書き込みありがとうございます。
確かに銀山温泉は雪が積もった冬の旅行記が多いですね。
私はここを訪れるにあたって季節より夕暮れ時の時間帯にこだわりました。
期待した通り、銀山川の両岸に大正から昭和初期にかけての木造多層建築の旅館が建ち並ぶ景観は、ノスタルジックで独特の雰囲気がありました。
銀山川に架かる橋、旅館の壁の鏝絵、ガス灯、竹細工の行灯など、切り取りたくなる被写体がたくさんありました。
予想外だったのは4月下旬でもかなり残雪があったこと。
銀山温泉に限らず、津軽や裏磐梯でも残雪があったので、改めて東北の雪深さを痛感しました。
銀山温泉では延沢銀坑洞という銀坑を見学することも楽しみにしていたのですが、残雪のため銀坑までの遊歩道が閉鎖されていたのは残念でした。
白銀公園の遊歩道を散策するのも良さそうですが、雪のない暖かい時期に限りそうです。
温泉街を散策するだけでも楽しめましたが、できれば宿泊して古い旅館で過ごすのがベストだろうなと思います。
交通の便は良いとはいえませんが、足を運ぶ価値はある温泉地でした。
では、また。
キートン
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