千本桜の散歩道

2022/04/02 - 2022/04/02

“今年もね、桜の季節に巡り会うことができて本当に良かったって思うんだ”
この言葉は、何年か前に年の離れた友人がお酒の席で口にした言葉です。

その言葉を聞いた同席の友人たちは、“桜の時期は毎年巡ってくる。それにそれだけ酒が飲めるのだったら、君はあと何年でも美しい桜を愛でることができるさ”と軽く流していましたが、どうやら昨今の情勢を鑑みると、桜を巡る彼の憂慮は彼だけの問題ではなくなってきているようです。

3年目に突入した疫病の流行や、ロシアによるウクライナへの侵略戦争、核兵器使用の可能性など、来年の桜の時期が私たちに無事に訪れるのか、誰も明言できない世の中になってきています。

正常性バイアスのおかげで（“お陰”の表現が正しいのかどうかは微妙ですが）、欧州で無差別殺戮に近い虐殺が行われていることを知りつつも、疫病流行の次の波が始まっているかもと薄々感じながらも、日本に居る私たちは規則正しい毎日を送り、会社での与えられたルーティーン・ワークをこなし、日々変らない（と思い込んでいる）月日を過ごしていますが、ソレは今にも割れてしまいそうな薄氷の上で繰り広げられている世界。

核のボタンを握る誰かさんの指が少しでも動いたら、疫病の病原性が上がったら、その薄氷は簡単に割れ、そして二度と桜の姿を見ることのできないかもしれないのです。

かもしれない仮定の話で、庶民にはコントロールのできない世界の話なので、私たちにできるのは毎日を精一杯生き、社会生活を続けることだけ･･なのですが、それでも最悪の事態を心の片隅で想定しながら生きていかなければならないのが今の世の中。

“今年も美しく咲く桜を見ることができて良かった。
この桜にまた来年も出会い、この景色が消えてしまうような世界を私たちは望まない“

1年後に迎える桜の季節には、憂い無く、ソメイヨシノの美しさを愛でたいものです。

エリア 幸手・久喜・栗橋(埼玉)

• 旅行の満足度: 5.0

新型コロナが世界に蔓延し始めて3年目となる桜の時期。
最初の1年目は何事にもおっかなびっくりの生活だったが、withコロナ生活も当たり前となり、桜の時期ともなれば、感染対策を施しつつ春空に咲く桜を愉しむ余裕も出てきている。

第91回幸手桜まつり 祭り・イベント

昨年、一昨年は桜を見に行くときは私一人だったが、今年は家族みんなで。
土曜日の朝から早起きし、幸手市の権現堂桜堤へとやって来た。

権現堂に到着した時刻は朝7時。
朝7時って、桜を見るには早すぎる時間なのでは？と思われるかもしれないが、幸手権現堂に関する限りは正解の時間帯。

市営の駐車場（桜の時期のみ有料500円）は公式情報では朝7時からの開門だが、実際は朝6時過ぎには駐車可能で、そのことを知っている方達はかなり早めにやって来ているようだ。

2022年の権現堂桜堤での桜の見頃は3/30からで、この日はちょうど満開の頃。　　　

枝先まで花開いたソメイヨシノが、青空にふわふわのピンクの雲を描いていた。

幸手権現堂と云えば有名なのが1kmに渡る土手に並ぶ千本桜の回廊で、その桜と河川敷を埋め尽くす菜の花の絶景。

この景色の色合いやコントラストが一番キレイに見える時間帯が、朝。
私も今までに何度も桜の時期に此処；権現堂へと来ているが、晴れた日の午前10時位までのやわらかな日差しが、千本桜と菜の花の景色を一番美しく魅せてくれると思う。

朝早くからやってくる人達の多くも、きっと朝が一番だって、知っているのだろう。

ここ最近は曇りや雨の日が多かったのだが、この日は久しぶりの朝からの快晴。

雲が無く晴れたせいで気温は1桁台まで下がり、かなり寒い朝ではあったが、桜の回廊の中を歩いているだけでテンションは急上昇♪

澄んだ青空に淡い桜色が美しい春のコントラストを描いていた。

遊歩道には、わんちゃんとお散歩している方や、

ランドセルを背中に担いだ新一年生の姿など、春のこの一瞬の世界を楽しみにやってきている方達がたくさん。

そして、写真撮影の一番の人気ポイントが中川の河川敷。
この河川敷から、千本桜の桜並木と菜の花畑とが一望できる。

ただ、2022年は菜の花の生育が少しのんびり目で、黄色いつぼみが開花しているのは全体の半分ほど。

昨年のような一面の黄色い菜の花畑ではない。

菜の花畑は黄色で覆いつくされてはいないが、例年の風景よりもなんだか奥行きのある感じ。

権現堂桜堤 名所・史跡

景色が立体的に見える理由･･･。
何だろう･･･と考え、思いついたが菜の花の茎の緑色。
手前に見える緑色の草原が去年との違いかな。

目の前の手前側に草原っぽい濃い緑色が加わると、景色の遠近感が強調されるようだ。

土手上の千本桜はソメイヨシノだが、土手下には日本全国から寄贈された各地の桜が植樹されていている。

その中でも、濃いピンク色のしだれ桜が、紅一点といった感じ。

ソメイヨシノの淡いピンクも可愛らしいが、しだれ桜の少し濃いめのピンクはオトナ色。

更に垂れ桜の花をよく見ると、花びらも先にまるで紅をさしたかの様な花弁のデザイン。

単一の色でないからこそ、垂れた枝が風で揺れるときに、揺らぎのあるような色合いになるのだね。

ソメイヨシノは安定の淡いピンク色で、青空との相性もバッチリ。

この日の朝は抜ける様な青空。

コロナ禍でなければピクニックシートを河川敷に敷いて、青空広がる桜の下で珈琲の野点をして、暖かな日差しを浴びながらのんびりと読書三昧も気持ち良さそう♪

来年はそんなことができる日が、やって来ることを祈りつつ、千本桜の遊歩道を歩く。

土手の斜面の一部にタンポポの群生があり、芝の若草色と桜の花色の組み合わせが素敵で一枚パチリ。

小さなモンシロチョウがひらひらと舞う光景は、

春を視覚化したかのよう。

堤の途中には小さな水門と橋があり、桜が覆い被る水門の風景もなかなか風情があるが、白い看板がちょっと風情の邪魔だね･･･。

今年の権現堂桜堤は菜の花の生育が遅れている分、いつもの年とは少し異なる千本桜の光景。

菜の花と桜が織りなすThe桜並木的な風景も春の風景として素敵だが、

そこに緑色がジョイントした色合いも、新鮮。

ソメイヨシノの花は満開を迎えてからは、あっという間。

日当たりの良い枝は花芯が紅色に染まり、花びらを散らし始め、新しい春の息吹が芽生え始めていた。

行幸湖 自然・景勝地

日本の春をイメージするかのような桜の色。

少しくすんだ淡いピンク色が和の色彩で美しい。

この美しい光景を、来年こそは、
マスクをせずに、
世界情勢に憂いを持つことなく、
眺めることができるのだろうか。

県営権現堂公園 公園・植物園

この旅行記へのコメント （2）

• 琉球熱さん 2022/04/08 23:37:07

  同感

  ウェンディさん、こんにちは
  
  冒頭のご意見、全く同感です
  今の「日常」は極めて危うい
  来年が今年と同じという保証は全くない
  このことを切実に感じるようになったこの頃
  なので、今できることは先延ばししない
  ･･･そうありたいと思っています
  
  現実はそう簡単じゃありませんけどね
  
  それにしても権現堂は見事
  来年もその先も同じ風景を見られることを願わずにいられません
  
  ---------琉球熱--------
  

  ウェンディさん からの返信 2022/04/09 22:54:01

  RE: 同感

  琉球熱さん　こんばんは。
  
  冬が終わりを告げ、桜が空を染める春となりましたが、聞こえてくるニュースは明るい要素が少なく、特にウクライナに関しては、どうして、そこまでひどいことを･･･と目を覆いたくなるような状況が連日報道され、この先の世界情勢はどうなっていくのか。果たしてまた気軽に海外へと旅立てる日が来るのか、この先に待ち受ける日々に不安ばかりが募ります。
  
  
  来年の自分が、現在と同じ状況で生活しているのかどうかすら不確かとなっている今、何を優先すべきかって真剣に考えてしまいます。
  
  そんな気持ちを抱きながら歩いた権現堂の千本桜の堤道。
  青空と桜のコントラスト、タンポポと桜の優しい色合いに、疲れていた心が癒やされました。
  
  来年の桜の時期には、こんな会話をしなくて良い状態だと嬉しいですね。
  
  ウェンディ