北ドイツの小さな街めぐり（６）ベルリン前編

2019/07/12 - 2019/07/19

「通常のドイツツアーでは訪れることの少ない街へご案内」
この一言で、北ドイツのツアーに参加しました。
　６回目は、首都ベルリンです。ベルリンは訪れる人も多く、目新しい部分は
あまりないと思います。そこで、２つのテーマに分けて書いてみようと思います。
ベルリン前編は、ホテルから散歩で訪れたヴィルヘルム皇帝記念教会と
ベルリン大聖堂を中心にします。
ヴィルヘルム皇帝記念教会は、初代ドイツ皇帝ヴィルヘルム１世を偲んで
建てられた教会ですが、第二次世界大戦で破壊されてしまいました。
大都市ベルリンの中にあって、戦争の傷跡を後世に伝えるため、
西塔はそのままの姿で保存され、周囲の礼拝堂などは反対に
近代的なガラス張りの建物として再建されています。
その中は青色に沈むかのようで是非訪れたい教会でした。
　ツアーでの観光で訪れた大聖堂は、代々ホーエンツォレルン家の墓所だった教会で、
高さ１１４ｍのドームを備えた巨大な建物です。
ツアーの悲しさで、中には入れませんでしたが、外観だけでも見応えがあります。

エリア ベルリン(ドイツ)

• 旅行の満足度: 4.5
• 観光: 4.5

• 交通手段: 観光バス 徒歩
• 旅行の手配内容: ツアー（添乗員同行あり）
• 利用旅行会社: 阪急交通社

ベルリンで２連泊するホテルは、ベルリン動物園のそばにある
インターコンチネンタルでした。
さすがにデラックスクラスのホテルで、部屋は広くて豪華だし、
朝食会場の天井は、こんなに見事なステンドグラスでした。

InterContinental Berlin ホテル

今日は９時出発なので、朝の散歩に出掛けます。
インターコンチネンタルホテルは、背後にベルリン動物園があり、
動物園の塀に沿って歩いて行くと、
ツォー（Bahnhof Zoologischer Garten）駅に着きます。
ツォーとは英語のＺＯＯで動物園の意味です。
今回の目的地は、その途上にあるヴィルヘルム皇帝記念教会です。

ホテルを出てすぐに、紫陽花の花が咲いていました。

ショッピングアーケードが終わると、こんな建物が現れました。
壁には恐竜たちのレリーフが刻まれています。

トリケラトプス

ステゴサウルス

「ベルリン水族館」は「ベルリン動物園」に併設されていて、
ドイツでも最大級の規模と100年以上の歴史を誇る国立の水族館です。
800種以上の生物を飼育しています。
壁の恐竜たちとはどういう関係があるのかな？

アクアリウム ベルリン テーマパーク・動物園・水族館・植物園

ベルリン動物園です。
ドイツで初めての動物園として1844年に開園し、1,300種、
世界最大数となる約2万点の生き物を飼育しています。

ベルリン動物園 テーマパーク・動物園・水族館・植物園

エレファント・ゲートは何故か中国風でドイツらしさが全然ありません。
動物園の入口は、駅の正面にもあり、そちらはライオン・ゲートです。

こんなに中国っぽいのは、ドイツで唯一パンダがいる動物園だから
なのでしょう。

エレファント・ゲートの前からは、
ヴィルヘルム皇帝記念教会が見えます。
周りは都会のビル群なのに、そこだけ古くて壊れた教会が建っています。

この写真は、正面のＫＦＣを撮ったのではありません。
ベルリンで最初に見たアンペルマン信号です。４つも付いていると壮観。

ヨーロッパの街には、こうした彫刻がたくさんあります。
こうして日頃から芸術に触れるので、文化の香り高い街になるのですね。
欧米人の文化・芸術に対する意識の高さはすごいです。
パリの小学生は、ポンピドゥーセンターで抽象画や彫刻を見て
感性を養うのだそうです。

ベルリンの街では、こうした鋼鉄製のガードが多く見られる様に
なりました。
２０１６年１２月１９日午後８時１４分、このブライトシャイト広場で
行われていたクリスマスマーケットに大型トラックが突っ込みました。
何十人もの死傷者が出ました。
以来、こうしたテロに対する予防措置が講じられています。

ブライトシャイト広場の横に、ヴィルヘルム皇帝記念教会はあります。

ヴィルヘルム皇帝記念教会 寺院・教会

ヴィルヘルム皇帝記念教会からは、ツォー（Bahnhof Zoologischer Garten）駅が見えます。

ベルリン動物園駅 (ツォー駅) 駅

1895年、初代ドイツ皇帝ヴィルヘルム1世を記念して建てられました。
しかし1943年、第二次世界大戦空爆の空爆で、
甚大な被害を受けました。
ドイツでは、大都市はどこも空爆の被害を受け、
歴史ある建物が破壊されました。
しかし不屈の精神で修復し、立派に元通りになっているものが多いです。
その中で、この教会は戦争の傷跡を後世に残すことを決め、
西塔だけはそのままの状態で保存されています。
その代わり、両隣の建物は思いっ切り現代建築です。

ヴィルヘルム皇帝記念教会 寺院・教会

左側のアーチの下に、わずかにモザイク壁画が残っています。
木に巻き付く白い蛇の絵柄です。
リンゴらしい木に蛇と来ればアダムとイブですが、
木の下には２匹の犬が吠えかかっています。

今回の表紙です。
金時計は動いているようです。
４面すべてに時計が付いています。

神殿風のテラス。あそこに立ってみたいなあ。

右側には大きな穴が開いています。バラ窓があったのでしょう。

教会の開館時間です。９時からなんですね。観光地だなあ。
ミサやコンサートの時には観光客は入れません。

マンホールの蓋にもヴィルヘルム皇帝記念教会のシルエットが。

記念館の無料ツアーガイドがあります（寄付してね）。

開館前なので、このように門が閉まっています。

ファサードの見事な彫刻。
１９世紀末の建物なので、デザインが完成されていますね。

鉄格子の中の扉が１枚開いています。覗いてみると、おお！すごいぞ！！

なんか中がキラキラしいなと思ったら、壁画がすごい！

教会の壁には、ホーエンツォレルン家の人々が描かれた
モザイク画があります。
見事に修復されて、燦然と輝いています。

中に入れれば、こんなせせこましい写真にはならなかったのになあ。

絵柄も美しいけれど、モザイクタイルの色がなんて鮮やかで
洗練された色使いなんでしょう。

軍服を着ているので、これがヴィルヘルム１世かな？

ガラスに写り込んで甚だ見にくいのですが、
多くの人々が描かれています。

モザイク画の下にはレリーフもあります。
背後に飛んでいる鳥がガラスに写り込んで、
ちょっと不思議な風景になりました。

この写真は、鉄格子の間から手を突っ込んでしゃがみ込んで、
開いている扉の間からなんとか撮っています。
やれやれ、警備員に追い出されそう。
ツアーでは、開館時間は観光中なので、
どうしても見に来ることが出来ません。
次回、ベルリンに来る時は、一日ツアーから離脱してもいいかな。
ベルリンはとにかく巨大な都市なので、
美術館・博物館・庭園・宮殿なんでもあります。
交通網も整備されているし、ベルリン・ウエルカムカードまたは
シティーツアーカードという観光客向けのカードがあるので、
活用すればいいでしょう。

ああ、あの天使様に案内して欲しいなあ。

ステンドグラスが砕け散った丸窓から塔の内部が見えます。
塔の先端は崩れてしまっているので、中心部は青天井で明るいです。

塔の裏側です。単体で建っていた塔ではないので、
こちら側は接合部分だったのでしょう。

ここにも、煌びやかなモザイク画が少し残っています。

塔の内部は、吹き抜けになっているようです。

もう一度、中をのぞくと二人の天使が「ヴィルヘルム１世」と
書かれた額を掲げていました。
これほどまでに慕われるヴィルヘルム１世とは、
１８６１年に第７代プロイセン王となった人物です。
宰相ビスマルクを登用し、普墺戦争・普仏戦争に勝利して、
１８７１年ドイツ帝国の初代皇帝になりました。
フランスに勝ったことにより占領したヴェルサイユ宮殿の「鏡の間」で、
戴冠式を挙行しました。
ヴィルヘルム１世は、１８８８年に９１歳で亡くなりました。
後を継いだ息子のフリードリッヒ３世は喉頭がんのため、
在位わずか９９日で亡くなり、
その息子のヴィルヘルム２世が即位しています。
１８８４～８８年には森鴎外がベルリンに滞在していて、
ベルリンには森鴎外記念館があります。

この青いステンドグラスの写真は、西塔の隣にある礼拝堂です。
このものすごい青の世界を見たくて、来てみましたが
中に入れず残念無念。
このポスターには「鐘楼のファサードを錆から守るために寄付を」という内容でした。

ベルリンオーケストラが、ヴィルヘルム１世記念教会で、
２０１９年７月の毎週火曜と土曜の夜２０時から
７０分のコンサートを開催します。
曲目は、ヴィヴァルディ「四季」、ベートーヴェン「交響曲第５」、
モーツァルト「レクイエム」、バッハ「トッカータとフーガ」他です。
誰でも知っている曲目でいいですね。

ホテルに戻り、９時にツアーが出発しました。
ホテルの傍には大使館通りがあります。
ここはサウジアラビア大使館です。

そして、日本大使館です。日の丸はありませんが、菊の御紋があります。

在ドイツ日本国大使館 建造物

ベルリンフィルハーモニーのコンサートホールです。

ベルリン フィルハーモニー 劇場・ホール・ショー

ポツダム広場（Potsdamer Platz ）です。Ｕバーンの入口があります。
「ポツダム宣言」で有名なポツダムはベルリンの西、
電車で３０分程の所にあります。
「サンスーシー宮殿」があり、ベルリンの観光後に訪れます。

ポツダム広場 広場・公園

ポツダマー・プラッツ駅のすぐそばに、
こんなカミソリのようなビルが建っています。
ポツダム広場にはかつて「ベルリンの壁」が横切っていました。
広場周辺は、壁崩壊後に大規模に再開発が行われました。
その時、ソニーが一等地を買い上げてソニーセンターを建てたことは
有名です。先見の明がありましたね。

コルホフ タワーの展望台 建造物

ポツダム広場から伸びるシュトレーゼマン通り（Stresemannstrase）
には、ベルリンでよく目にする青いガス管が頭の上を走っています。
博物館島で見たことがありますが、景観が悪くなると思わないのかな？
アルメニアではロシアからの天然ガスの供給を受けていて、
どこもかしこも頭上をガス管（青ではない）が走っていました。
メンテナンスがしやすいのだそうです。

ポツダム広場のすぐ隣のライプツィンガー広場（Leipziger Platz）です。
広場自体が巨大なロータリーになっています。
２つの広場の間を走るエーベルト通り（Ebertstrase）を北に行くと
ブランデンブルク門です。

シュプレー川に架かるミューレンダム（Muhlendamm）橋を
渡っています。大聖堂が見えて来ました。
その手前に再建中のベルリン王宮があります。
１４４３年、ブランデンブルク選帝侯フリードリヒ2世が築いた城で、
改築を繰り返し、プロイセン王国・ドイツ帝国の城となりましたが、
１９１８年のドイツ革命後、博物館となりました。
１９４５年の空襲で焼失し、旧東ドイツ政府によって取り壊されました。
２０１３年から再建工事が行われ、２０２０年１２月１６日に
開館しました。
中には、ベルリン博物館の一部・フンボルト大学の研究所などの他に、
レストランやイベントホール・映画館まであるそうです。

ミューレンダム（Muhlendamm）橋の反対側には、閘門（こうもん
Muhlendammschleuse）があります。
閘門とは、水位の高低差の大きい運河や河川などで、
船舶を通過させるために水を調節する施設です。
日本最古の閘門は、１７３１年に造られた埼玉県の「見沼通船堀」で、
他にも宮城県石巻市の「石井閘門」や、実際にクルーズ船で体験が出来る富山市の「中島閘門」などがあります。

ベルリンテレビ塔が見えて来ました。手前は「赤の市庁舎」です。
1861～69年にルネサンス様式で建てられた市庁舎で、空襲により破壊、
1951～56年に再建されました。
再建当時は旧東ドイツの行政機関として利用され、東西統一後
１９９１年に、西ベルリンの施設も移転して、一つになりました。

ベルリン市庁舎 (赤の市庁舎) 史跡・遺跡

赤の市庁舎の裏手には、ルター公園があり、聖マリア教会
（St. Marienkirche マリーエンキルヒェ）があります。
こじんまりとしたゴシック様式の教会ですが、ガイドブックには森鴎外の「舞姫」で、主人公がエリスと会った場所だと書いてあります。

博物館島に来ました。旧博物館（Altes Museum）の前の
ルストガルテン（Lustgarten）でバスを降ります。
旧博物館は、前面の円柱が示すように、
古代ローマや古代ギリシアの展示をしています。
背後には新博物館があり、こちらには古代エジプトの展示物があります。
その奥にペルガモン博物館があって、古代ローマ・古代ギリシアの他、
バビロニア・ペルシャの展示物でも有名で、一番人気です。

旧博物館 博物館・美術館・ギャラリー

博物館群の地図がありました。一番下が旧博物館です。

ベルリン大聖堂です。
１９世紀創建のネオルネサンス様式で、
４つの塔と１１４ｍの高さのドームがあります。

ベルリン大聖堂 寺院・教会

プロイセン王国のホーエンツォレルン家の墓所になっています。
そのため、外装も内装もたいへん豪華です。

入場料は７ユーロで、ドームまで上ることが出来ます。
十字架の先端のところにドームを取り巻く黒い帯のような物が見えます。
そこがドームの展望台になっています。（２７０段の階段あり）
残念ながら、ツアーでは入場しません。正面から見るだけです。

第二次世界大戦のベルリン空襲で被害を受け、修復作業が続いています。
１９９３年には内部の作業が完了し、
外装は２０１９年現在も続いています。

中には入れなくても、外装だけはじっくり見たい。
わずかな時間しかありませんが、側面に回ってみました。
すると、大きな金属製の扉が目に付きました。
大聖堂なら、聖母子や弟子、聖人などの図柄が普通なのですが、
これは頭を垂れて跪いている人がいますが、周囲は普通の人達です。
大戦後に救いを求めて造られた扉ではないかと思います。

正面の回廊を見て歩きます。
アーチ型の天井が繊細な彫刻で彩られています。
再建されたものなので新しいのですが、オリジナルを踏襲している筈
ですから、やはりすごい建物です。

正面扉。大聖堂の入口はここではなく、左角になります。

さすがに正面側の扉は、キリストが刻まれています。

キリストの場面を描いた絵柄で統一されているようです。

ファサードの絵は新しいですが、
オリジナルとは違う絵になってしまったのかな？
完全に再現するのは難しいですね。
僅かな時間でしたが、ちょっとだけ大聖堂に近づけました。

回廊の奥に旧国立美術館（Alte Nationalgalerie ）が見えます。

旧ナショナルギャラリー 博物館・美術館・ギャラリー

回廊の先がベルリン先史博物館で、その奥が新博物館です。

フンボルト大学。
１８０９年にプロイセン王ウィルヘルム３世が言語学者の
ヴィルヘルム・フォン・フンボルトに大学を設立させました。
正門の右側の像は弟で地理学者である
アレクサンダー・フォン・フンボルトです。
フンボルトペンギンの名前の由来の人です。
南極からチリ・ペルー沖を北上する寒流をフンボルト海流と言います。
ペルー海流とも言いますが、これも弟が発見して命名されています。

フンボルト大学 建造物

こちらが大学創始者のヴィルヘルム・フォン・フンボルトです。
ローマ駐在大使を務め、ウィーン会議にもプロイセン代表として
出席しました。

ウンターデンリンデン（Unter den Linden）通りを
ブランデンブルク門に向かって走っています。
ニベアハウス ベルリン（NIVEA Haus Berlin ）が見えました。
以前から行きたいと思っていた店です。
かつてニベアがドイツ製品だとは知らず、驚いたものです。
次回は、東ドイツ時代の遺産を巡り、最後にこのニベアハウスと
アンペルマンショップに立ち寄ります。

ニベアハウス (ウンターデンリンデン店) 専門店