2019/03/29 - 2019/04/03
2202位(同エリア5393件中)
実結樹さん
5泊6日で巡った桜の京都旅行
4日目 2019/4/1(月)の第3弾です。
今夜の夕食は、平城京が最も栄えた天平時代の宮廷貴族の贅沢な食生活を再現した「天平の宴」。
「奈良パークホテル」が各方面の協力を得、25年以上の歳月をかけ改良を重ねて再現した古代の宮廷料理です。
一見質素なようですが、現代人の嗜好にも合う豪華でヘルシーなコース仕立てのお料理になっています。
食材の調達や下拵えに大変な手間が掛かるので一週間前には予約が締め切られる完全予約制です。
- 旅行の満足度
- 5.0
- ホテル
- 5.0
- グルメ
- 5.0
- 交通
- 4.5
- 同行者
- 一人旅
- 一人あたり費用
- 10万円 - 15万円
- 交通手段
- 高速・路線バス 新幹線 JRローカル 私鉄 徒歩
- 旅行の手配内容
- 個別手配
PR
-
「奈良パークホテル」の最寄駅は「大和西大寺駅」。
スマホに訊くと駅からは2.1km、徒歩27分だそうです。
私の足では多分40分は掛かりそう (^^;
予約してある「天平の宴」は18:00に開始です。
当日はお昼過ぎに京都を発ち「垂仁天皇陵」などを見学しながらゆっくり回り込んで、往きは送迎車に頼らず歩いてホテルに到着しました。 -
天然湧出「宝来温泉」もあるのですが、国道に面していて周りは奈良らしい風情には欠ける立地なのがちょっと残念。
この日帰り食事プランには温泉入浴料金も含まれています。
早めに行って貸切でゆっくり浸かりました。 -
ここでは「天平の宴」という宮廷料理が頂けます。
7年ほど前に若草山の山焼きに来た際の最終日のランチで一度伺った事があります。
でも、是非もう一度改めて食べてみたいと思いました。
このお料理は最低二人からの催行なので、一人参加の場合は他の方の予約がある日のお相伴でないと駄目なんですね。
だから、京都のお花見に来たのにわざわざ奈良までやって来ました。
京都5泊6日の内、他の方の予約が入ったのはこの回だけだったのです。
本当はランチで来たかったのですが夕飯での参加になってしまいました。 -
この料理は、出土した木簡や文献を参考に、考古学者や料理研究家などの専門家の支援の下、四半世紀以上の研究を重ねて提供されています。
特に「そごう」の建設現場からは37,000本もの木簡が出土したそうです。 -
「天平の宴」専用の食事処、
-
「大宮の間」です
-
靴を脱いで上がり、右の引き戸を開けると、
-
中は宮廷の設えを思わせる仕様です。
掘りごたつ式になっているので足は今風に楽です。 -
この日はカップルと一人旅の私の3人でした。
-
几帳もいい感じ
-
入った時は電気が点いていないで、胡麻油を使った「灯芯台」の灯りだけなので、
-
こんな感じで何が並んでいるのか分かりません
-
白木の折敷に乗った最初の一揃いです。
フラッシュを焚けばこうですが、
当時の人達の夜の雰囲気を味わってほしいとの演出で暗くしてありました。
でも、一方、日の出とともに起きて、日没とともに活動を終えていたのかも知れないので、貴重な油を使って夜会をすることはなかったとも言われています。
個別の写真を撮るのを忘れましたが、手前のグラスに入っている「天平の華」という黒米から作った淡いピンク色の食前酒で、先ずは乾杯! -
女性はこの古代服風ちゃんちゃんこを羽織ります
-
ホテルのスタッフの方が付きっ切りで語り部として解説してくれます。
男性はこんな羽織です。
また、写真を撮ってくれてお土産に貰うこともできますが私はご遠慮しました・・
前回来た時はランチでの利用でした。
その時は白衣の調理長さんが私たち二人だけのために一つひとつのお料理毎に説明をしてくれました。
当時は写真を撮る事もあまりしなかったので旅行記は書けないのですが、↓ 思い出して書いたクチコミです。
https://4travel.jp/dm_hotel_tips/11634143 -
配膳の方も古代の宮廷女官風の衣装
-
部屋の片隅の飾り布と電気の燭台。
直ぐに、灯りが点きましたがそれでもかなり薄暗い雰囲気。
古代の宮廷調雅楽?のBGMもずっと流れています。 -
塩梅料として、
「天然の藻塩・玄米酢・醤(ひしお)」。
醤は醤油や味噌のルーツです。
調理の際に味付ってあまりしなかったそうです。
その代わり、こうした調味料を付けて食べました。
伊豆国堅魚(かつお)の煎汁(いろり)、甘葛煎(あまずら) -
飲み物は古代のお酒「白酒(しろき)」か「どくだみ茶」のみ。
「白酒」は「平瓶(ひらが)」というお銚子にゆうに1合は入っていましたね。
それに何と、料金込みで飲み放題だぞ ^_^v -
アルコール分高めの17.5度のどぶろくです。
私は一人なのに「平瓶」をお代わりしてしまいました。
上手くこぼれないように注ぐにはこうして横向きにするんだそうです。
ちなみに、この宴席では雰囲気が壊れるので?ビールや日本酒の提供はありません。
(どうしても、という場合はお出ししたこともあるそうですが) -
爪楊枝にも拘っていて、「肉桂」の根を削ったものが用意されていました
-
「熟蘇(じゅくそ)」は現代のチーズのルーツで、この一かけを作るのに牛乳100ccが必要だそうです。
大変滋味あふれ「醍醐味」に通じるものがあります。
他のお料理とは一線を画すべく高坏に盛られています。 -
帰りにお土産で貰った「天平の蘇」。
1,080円でホテルの売店でも買えますが要冷蔵です。
食通の人にお土産にしたら好評でした。 -
「味物料理(うまじもの)」は現代で言うお酒のおつまみの珍味っていうところです。
干した鳥獣肉は「脯(ほじし)」といいます。
その1 鹿の干し肉 -
その2 火干し年魚(ちぼしあゆ)
-
その3 ホヤのイカ塩辛和え
-
その4 干し多古(ほしたこ)
-
その5 鯖魚酢(さばなれずし)
-
「羹(あつもの)」は蛤とこごみの吸い物。
当時の宴席料理では ”温かい” だけでも御馳走でした。
ハマグリの漢字には貝なのに虫偏が付いているのは何故か?
当時の人の感覚では魚と人と獣以外はみんな「虫」に分類したからなんだそうです。 -
「膾(なます)」は一塩した魚や貝や肉です。
「醤酢(ひしおず)」を付けて頂きます。
中に志摩の国のご飯が入っていて押し寿司のような感じです。
当時も山葵は有ったのでしょうか?
「羹に懲りて膾を吹く」という言葉を思い出しました。 -
長屋王の邸宅跡から出土した木簡などから当時のお料理を再現できたそうです。
これはレプリカ。 -
阿波の国の「黒米」の強飯。上には松の実。
この時代はお米は蒸すものだったそうです。
炊くようになったのは平安時代から。 -
「黒米」は中国の古代皇帝専用の薬膳米です。
長屋王は黒米が好物だったとか。
最初、徳島県の農家に依頼して特別に栽培して貰ったそうです。 -
「楚割り(すわやり)」は三河のサメや鮭などの割干し。
スダチの実が添えられています。
スダチの語源は「酸っぱいタチバナ」。 -
朴葉の包み焼きを開けると
-
阿波の国の猪肉と百合根・ナスビ・舞茸などが入っていました。
奈良では舞茸のことを「ワライダケ」と言うそうな? -
「茹(ゆでもの)」
ワカメ・大豆・アワビ・鹿肉・甘葛煎・筝
鮑は不老長寿の薬として崇められたそうです。
大豆は縄文時代に中国から渡って来ました。 -
「心太(こるもは)」は海藻の煮凝りと蟹・大根・胡瓜・魚介類の酢漬け。
クコの実は徳川家康の大好物だったとか。 -
赤米の姫飯(ひめいい)です。
お粥に添えられた、 -
「須々保利漬け」はたくあんの類で、食事の時には有って当然なので、品数の内には数えられなかったそうです。
-
「木菓子」はフルーツ。
干し柿はともかく、こんな美味しそうな苺やオレンジは昔は多分なかったでしょうね。 -
「唐菓子(からがし)」は中国から伝わったお菓子で和菓子のルーツ。
揚げ菓子ですね。
でも、この段階でもうお腹一杯なのでこれはお持ち帰りにしました。 -
約2時間半の食事を終え、
一人だったのに「大和西大寺駅」まで送ってくれました -
20:42の電車で京都に戻ります。
-
京都タワーも桜色に染まっていました。
本日4回目の利用で元が取れた「市バス一日乗車券」で今夜のお宿、東山安井バス停近くの町屋の宿「富久家」さんに着いたのは22:00少し前でした。 -
天然温泉入浴・送迎・お土産付きでの日帰りコース。
税込一人12,420円で、正直赤字だそうです。
調理には大変手間暇が掛かり、材料の調達もなるべく当時の産地からの取り寄せや、依頼しての特別栽培など、随所にも拘っていると伺いました。
古代酒も飲み放題なので、宴席でのドル箱の酒代では稼げないだろうし、本当に申し訳ないくらいに思いました。
「柿の葉寿司と奈良漬け」だけで ”奈良に美味いものなし” の汚名を返上すべく、ホテルの皆さんは頑張っているそうです。
もっと、多くの人にこのお料理を体験して貰いたいと私も思います。
奈良に行ったら是非「天平の宴」で古代人気分を味わってみて下さい。
滅多に経験出来ない稀有な時間が過ごせます。
もちろん宿泊してこのお料理を食べるプランもあるそうです。奈良パークホテル 宿・ホテル
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