2017/10/05 - 2017/10/11
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binchanさん
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10月7日土曜日、旅行3日目。
ようやくこの旅のメイン滞在地に到着。
ユフヴィからの鉱山博物館や工業都市観光も楽しみではありましたが、そもそもの旅の目的はナルヴァ見物。
なぜナルヴァなのかというと。ロシア国境が眺め放題だから。
ロシアとヨーロッパの国境は、最北のノルウェーから南はウクライナまで延々と続いています。その中で、ナルヴァほど簡単にアクセスでき、しかも双眼鏡でロシアをガン見しても不審に思われないところはないと思います。川を挟んでいるとはいえ、本当に目の前にロシアの町が見えるのです。
つい数年前まで、エストニアとロシアの間には国境問題がありました。ここナルヴァ対岸のイヴァンゴロドと、これより少し南のペツェリ地方の帰属をめぐって係争していたのです。その後、現在の国境線で合意する条約が2005年に署名されていたのですが、議会での承認で紆余曲折があり締結は2014年にようやくなされました。私が6年前にエストニアを旅した時は、まだ国境問題が紛糾していた時期だったのです。そのせいか当時は列車の本数も少なく、行きにくい場所でした。
実は1920年のエストニア最初の独立時には、イヴァンゴロドもペツェリ地方もエストニア領でした。しかし今の国境線ではその2地方ともをロシア領です。EU、NATOともにエストニアにロシアとの国境問題を早期解決することを望みましたし、国境問題によってロシアから課せられる経済制裁や嫌がらせを取り除くには、国境で妥協せざるを得なかったとニュース記事で読んだことがあります。
人口59,463人(2017年)のナルヴァはタリン、タルトゥに次いでエストニア第三の都市です。人口の93.85%がロシア語話者で82%がロシア民族、 エストニア民族はわずか3.86%。ソ連の一部となる前の人口統計では、ロシア民族は29.7%なので現在の人口構成はソ連時代の政策によるものです。ソ連からの独立後のエストニアにおけるロシア系住民は、エストニア国籍かロシア国籍のいずれかを取得することになったのですが、中には無国籍になってしまった人もいます。ナルヴァは46.7%がエストニア国籍、36.3%がロシア国籍、そして15.3%が無国籍者。(英語版ウィキペディアから私訳して抜粋)
なかなか複雑な町なのですが、国境問題解決後は観光開発が進み、観光客には魅力的になってきていると思います。
- 旅行の満足度
- 5.0
- 同行者
- 一人旅
- 一人あたり費用
- 10万円 - 15万円
- 交通手段
- 徒歩
- 旅行の手配内容
- 個別手配
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17:20、ホテルで一休み後は、ナルヴァ市内を散策します。
これはPolikliinik(総合病院)。ホテルのすぐ近くにありました。 -
カトリック教会。カトリック教会はエストニアではめずらしいです。
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見どころには石に刻まれた説明書きがあります。
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ここはFama稜堡(bastion)跡。
ナルヴァはかつて城塞都市でした。17世紀当時のナルヴァ城塞には8つ(数え方によっては7つ)の稜堡があり、このFama稜堡は現在跡形もなくなっているのですが、ほかの7つは保存されています。 -
ここで稜堡(bastion)について説明。
この図はナルヴァ城塞の全体。ステゴザウルスの突起みたいなのが「稜堡」。稜堡があると死角が少なくて強い要塞になるそうです。うまく説明できないので、「稜堡」で検索してください。
ちなみに、Fama稜堡はこの図の3番です。 -
17:34、ナルヴァアートギャラリー。
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新しいタイプの見どころ案内板。
アートギャラリーの建物は18世紀後半に弾薬倉庫として建設され、19世紀には兵舎に改装、第二次世界大戦時に大きく損傷しましたが、修復され1991年にギャラリーとして公開されました。 -
ぎりぎり開館時間中ですが、アート作品に興味があるわけではないので入館はパス。
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エストニア語でアートギャラリー。
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途中で兵舎に改装されたので、弾薬倉庫の面影はなさそう。敢えて見つけるなら窓が小さいことかな?
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外にあった岩。これもアート作品?
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裏に回ってみました。
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稜堡の一部かな。
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17:40、Gloria稜堡(bastion)(図4番)。
スウェーデンの軍指揮官Eric Dahlberg(エリック・ダールベルグ)の計画で造られたものです。アートギャラリーはこの稜堡の弾薬庫だった建物です。 -
稜堡の地下(casemate:砲室)への入口が残されていました。
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柵などはなく、降りていけそうなのですが怖いのでやめておきます。
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稜堡の城壁の保存状態はあまりよくありませんが、石垣は残っています。保存状態より私のカメラの技術が問題。
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さっきの入口から、このような城壁の穴に通路がつながっているはず。ボケボケで本当に残念。
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17:47、Parun von Velio maja(ヴェリオ男爵の家)
18世紀後期に建てられた邸宅で、その後倉庫、軍の駐屯宿舎などに転用されたりしました。ヴェリオ男爵邸となったのは19世紀。ロシア皇帝ニコライ1世が逗留されたこともあることで有名になったそうです。1916年に改修が行われ現在の姿になっています。
第二次世界大戦末期の空襲のためにナルヴァには古い建物が少なく、これは貴重な戦前の邸宅なのです。現在は学校として利用され、エストニアの文化財になっています。 -
Narva Vanalinna Riigikool(Narva old town state school)
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反対側。
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17:54、Victoria稜堡(bastion)(図6番)。
ここは明日内部を見学する予定です。 -
隣のHonor稜堡(図5)が見えます。
この2つの稜堡の間には第5三角堡(ravelin)がありました。 -
三角堡は稜堡間の防御を高めるためのもので、城壁の外側に三角形の島のような形で設置されていました。ほかの稜堡の間にもかつてはあったのですが、現在その痕跡が残っているのはこのViies raveliin(第5三角堡)だけだそうです。
わずかに残る土塁には現在ソ連兵の慰霊碑が立っています。 -
Victoria稜堡付近は現在工事中。
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Pimeaed(ダークガーデン)という公園。Dark gateという城門があったことから名付けられたそうです。現在工事中で中には入れませんでした。
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重機から木々を守るためだと思うのですが、白い板が括り付けられています。近くで見るとこれ全部トイレのドアなんです。トイレマークとドアノブがついた板がいくつも樹木に括り付けられている光景は、あたかも前衛芸術のようでした。
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植物学者Albert Üksipi (1886-1966)の記念碑。
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ナルヴァで育った芸術家であり植物学者。
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ナルヴァ川。
向こう岸に見えるのがロシアイヴァンゴロド市。これが飛行機以外から見る初めてのロシア! -
川は市街地よりかなり低いところを流れています。
下に見えるのはダールベルグステージという名前のイベント広場。城塞の設計者ダールベルグさんは広場に名前を冠せられるくらいナルヴァでは有名。 -
Liivavalli asukoht(Sand wall跡地)(図の15)。
城塞は17世紀以前にも存在していました。当時の城塞は17世紀のものより狭かったためこの場所が城塞の北東角の稜堡でした。 -
Pimevärava asukoht (Dark gate跡地)(図の10)。
説明板の写真続きで申し訳ないのですが、跡地が多いんですよ。その跡地をなぜコツコツ訪ねているかと言うと、今は無くなっている城塞の跡をたどることによって、かつて城塞の形が感じられるかと思ったんですよね。 -
Pax稜堡(bastion)(図の7)の上にある噴水。
何か謂れのあるものかと思いましたが、説明書きは何もありませんでした。 -
ナルヴァ川はエストニアで最大の流量がある河川です。
長さではトップ10にも入りませんが、その流量はほかの全ての川を合わせた以上だそう(ウィキペディア)。平坦そうな地形なのにところどころ波が逆立ち、渦を巻ています。 -
国境の橋が見えてきました。
このあたりに最初に橋が架けられたのは16世紀後半。ロシア(モスクワツァーリ国)がリヴォニア騎士団統治下のナルヴァに侵攻するためでした。その後何度も橋は架けられ、ロシア初のコンクリート製の橋が造られたのもここ。そのコンクリートの橋は1941年のソ連軍侵攻の際に爆破されてしまいましたが…。
現在の橋は1960年に架けられたもの。名前はFrendship bridge(フレンドシップ橋)。 -
川沿いに広場?翌日現地で見たら、日時計でした。
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橋は国境部分にあるので、ヴィザがないと渡ることはできません。
ロシアに入国する車の列が見えます。ロシアの税関が混んでいるのでしょう。 -
18:16、タルトゥ大学ナルヴァ校。
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校舎の正面はこんな感じ。
上の灰色の部分は前に傾斜しています。どの角度から撮影しても、遠近感がおかしいポリゴンの建物みたいになっちゃいます。 -
隣にあるナルヴァ市庁舎とのコントラストが、新たな名物ランドスケープ。
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ナルヴァ旧市庁舎。
第二次世界大戦末期の爆撃でほとんどの古い建物が破壊されました。戦後ソ連は古い歴史的町並みを復元するよりは、新しい街を建設することに尽力したわけですが、ナルヴァ城や旧市庁舎などいくつかは復元したのです。 -
1668~71年に建築されたこの建物は、様々な様式が混ざり合っているそうです。時代ごとに手が加えられているのですね。第二次世界大戦のダメージを修復し現在の形になったのは1960年代です。
残念ながら内部見学はできないようです(公開予定はあるらしい)。 -
裏に回ってみました。崩れかけの塀がリアル。爆撃の跡ですよね。
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裏から見た旧市庁舎。
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昔の裏口?
途中から雨がぱらついていたのですが、このころから本格的な降りになってきました。急いでホテルへと帰ります。 -
ホテルに戻った18:30頃には雨は相当激しくなっていて、食事をしに出掛ける気分にはとてもなれませんでした。
なので、ホテルのレストラン「Salvadore」にやってきました。
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エストニアのビールはsakuとA Le Coqの2ブランドが有名です。これはA Le Coqプレミアム。
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料理はメインの魚料理だけを注文しました。ビールと合計で15.5ユーロ(約2,100円)。ナルヴァ、物価安い!
こういうお店って私にはちょっと敷居が高いです。まず入店して席に案内されるまでどこでどうやって待っていればいいのかもわからない。この店は広くて、入り口を入ってもぜんぜん店員さんがいなくて、店の中をウロウロ探してしまった…。
でも、とっても素敵なお店でおいしい料理が食べられて、幸せな晩ごはんでした。
今日も早めに寝るぞ~。
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