山岳地方サパに挑戦　その２１　ハノイ・路線バスで空港へ

2016/10/30 - 2016/10/30

　帰国の朝をむかえた。
　帰国便は深夜発だ。
　夕方まで暇な時間が続く。
　空はどんよりと雲っていて、いつ雨が落ちてきても不思議でない。
　涼しい。
　いや、寒い。
　昨日までは３３℃もあった気温が、今朝は２５℃と急変している。

エリア ハノイ(ベトナム)

　早朝の散歩に外に出ると、人だかりがして、警察官が数人交通整理をしていた。
　交通事故でもあったのか・・・
　近寄ってみると、そうではないらしい。

　路地にレールが引かれている。
　これは・・・もしや・・・

　水をまいて路地一面に拡げ、雨上がりの情景を作っている人もいて・・・

　草をいぶして煙を発生させ、それを送風機で送り出している人たちもいて・・・

　そう、映画の撮影が行われている真っ最中なのだ。

　この自転車のおじさんが俳優らしい。　

　雨の上りの冬の朝、米売りのおじさんが自転車を走らすシーンを撮影しているようだ。
　これは面白いものに出会った。
　興奮しながら少しずつ前にいざり出て、邪魔になるかと思うほどの位置まで接近してしまった。
　でも何も言われない。

　監督は欧米人のようだ。
　撮影された映像を観て、スタッフと話し合っている。
　そして、何度も何度も、嫌になるほど同じシーンを撮り続けるのだ。

　繰り返される撮影を１時間以上も見ていると、いささか飽きてくる。
　見学者も減ってきた。
　ホアンキエム湖周辺に散歩に行くことにした。

　相変わらずの健康志向のホエンキエム湖だ。

　仲の良い若い恋人達・・・・

　『Shall we ダンス』　の中年・熟年の人たちもいて、いつ来ても楽しめる。

　おおっ、スゴイ！！
　派手な演技に心の中で拍手を送る。

　ホテル前に戻ってくると、まだ撮影は続けられていた。
　米売りおじさんが、自転車のおばさんとすれ違う場面に変わっている。

　このシーンはドローンからの空中撮影だ。

　軒下の低い位置から、また１０ｍ以上の屋根より高い位置からと、なぜこんなにもこだわるのかと、あきれるほどの作業が続く。
　ドローンを操縦する人にも疲れが見えてきた。

　荷物をまとめるとそれを預け、チェックアウトした。
　外は霧のような雨粒が静かに舞い散っている。
　自分の部屋がなくなると、風来坊になってしまったようで、急に寂しくなってきた。

　撮影は飽きることなく続いている。
　同じ路地で撮りながら、それが違う場所に見えるように、カメラの位置やセットを駆使していることが分かる。

　子連れのお母さんが米を買いに現れるシーンが始った。
　お母さんにも子どもにも、おじさんにもも、長いせりふもある。
　衣装は厚いコートにマフラー、毛糸の帽子と完全に冬支度だ。

　照明位置や角度を微妙にずらし、これも何度となく繰り返される。
　米をよそう手つきや方法に注文が入る。
　その間に、化粧係が丹念にメイクのチェック。
　うらびれた路地で米を買うお母さんが、こんな綺麗な服を着て、こんな綺麗な化粧をしているはずはないのに、映画だとこうなる。

　芋売りのおばさんが、次の出番に備えて待機している。
　それを見て、再びホエンキエム湖周辺に向かった。
　映画作りのプロ根性を見せてもらい、淡白な私はプロにはなれないと思った。

　歩行者天国となっているホアンキエム湖周辺は、相変わらず活気に満ちている。
　ライブ演奏をしているグループあり・・

　恵まれない子に援助を！
　のキャンペーン活動をしている団体あり・・

　綱引き大会あり・・・

　剣玉遊びあり・・・で、みんな浮かれて歩いている。

　『みんなで縄跳び・・』もあった。
　日本の遊びがたくさん見られるのに、耳をすましても、どこからも日本語は聞こえてこない。
　目をこらして観察するが、日本人らしき姿は一向に現れない。
　たくさんの日本人観光帰客が来ているはずなのに、どこに行ってしまったのだろう。
　ツアー客は、こんな場所ではなく、ハロン湾などの観光地を回っているのだろうか。

　雨の気配が濃厚になり、旧ロンビエン橋のターミナルから１７番バスに乗った。
　空港で読書でもしながら、ゆっくり過ごすのもいい。

　バス代は９０００ドン（４５円）だった。
　ところがバスは空港とは逆方向の南へ進み、ロンビエン橋を渡りだす。

　おいおい、どこに行くんだ！
　私の戸惑いをよそに、ザーラムの町の中をどこまでも直進していく。
　初めて見る町だ。

　２つ目の鉄橋を渡る。
　この橋も立派な橋だ。

　橋を渡ったところで、やっと左に折れ、田園地帯の中を走り始めた。
　そうか、少し遠回りして、客を拾いながら行くんだな、とマップを見て理解した。
　バス停では、たくさんの人が乗り降りを繰り返した。

　走ること１時間半、複雑な道をたどりながら、空港前の大通りに出た。

　バスは国内線ターミナルの駐車場に入った。
　ここが終点らしい。
　回り道となったけど、有意義なハノイ観光ができと思った。

　１７番バスの経路は思いもよらぬ道筋だった。
　（赤線で示しました。）

　目の前にバス乗り場がある。
　発車時刻になると、今乗ってきた１７番バスも、ここで客を乗せるようだ。

　国内線ターミナルを見学して、シャトルバスで国際線ターミナルに移動する。

　無料シャトルバスは黒色のバスだ。

　時間はあり余るほどあるので、バス研究をして次のハノイに備えることにした。
　国際線ターミナルの玄関前で、通りかかるバスを観察する。

　７番バスは１５～２０分おきにやってくる。
　今回の最初に乗った懐かしのバスだ。
　でもこのバスは、中心街から遠く離れた場所が終着点だから、二度と利用しないだろう。
　１７番バスはいつまで待ってもやって来ない。
　このバスに乗るには、ターミナル１（国内線）まで、シャトルバスで移動しなくてはならない。

　時々オレンジ色の８６番バスがやってくる。
　「どこに行くバス？」
　空港職員に尋ねると、ハノイ駅まで行くという。
　途中、ロンビエン橋ターミナルでも止まるらしい。
　最近できたばかりの観光客用の高速バスで、バス代は３倍の３００００ドン（１５０円）だが、タクシーよりはずっと安い。
　いい！
　次はこれにしようと思った。

　本格的な雨が降ってきた。
　早めに空港にやって来たことは、成功だったようだ。

　前回最上階のレストランで夕食をとったが、高いだけでそれほど美味くはなかった。
　今回はその反省にたって、別のレストランを探す。
　

　その気になって探せば、空港内といえど、安くて美味そうなレストランもある。

　弁等屋で、ビーフカレーライスを選んだ。
　レンジで暖めてくれ、隣のテーブルまで運んできてくれる。
　６５０００ドン（３２５円）と、空港内ではコストパフォーマンスの高い料理だった。
　味もまずまず・・・・
　最後のベトナムの食事としても、後悔しないものだった。

　登場ロビーには日本人がたくさんいた。
　今回は日本人には出会わなかった。
　みんなどこに行っていたんだろう・・・
　夜が更ける。
　ベトナム北部の陸路一周、たいしたものを見たわけではないけど、ベトナムに行ったという実感がじわっと感じられる、充実の１４日間だったなと思っていた。

この旅行記へのコメント （2）

• trat baldさん 2016/12/14 09:48:46

  充実？最高の日々でしたよ！

  今度は奥さんも一緒に、生きて行くと云う事を見せてくれた旅行記でした。
  新ノイバイのルールが少し変わった様ですね、さすがは日進月歩！僕が行った時期の玄関は86番のバスが無料シャトル並みに最先端部の外側通路に停車で他のバスは駐車場内の停留所でしたが7＆17番は国内ターミナルまででした。
  17番のバスは検索どおりに3号幹線道路を走りましたね、86番はほぼ一直線に市内に向かいホアンキエム湖の東側からハノイ駅に着きましたが市内出発地が不明でした。
  Ps.情報盛り沢山の次なる旅を是非見せてください！
  

  motogenさん からの返信 2016/12/16 09:02:47

  RE: 充実？最高の日々でしたよ！

  毎回のコメント、ありがとうございました。
  以前は縁遠いベトナムでしたが、すっかりベトナムが気に入りました。
  次にベトナムを訪ねる時は、鉄道でハノイからベトナム中部に行こうか思っています。
  季節が大切。
  ベトナム中部の快適な時期はいつなんだろう・・・