2013/01/06 - 2013/01/21
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motogenさん
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その9からの続きです。
大好きなバイクを借りてアウトドアフィールドに出発します。
そこは忘れがたい恐怖を味わった場所です。
どんな場所だったんだろう。
それを確かめたく、今回は女房と一緒に出かけました。
- 旅行の満足度
- 4.0
- 同行者
- カップル・夫婦(シニア)
- 一人あたり費用
- 5万円 - 10万円
- 交通手段
- 徒歩 バイク
-
バイクを借りた。
バイクの腕前は未熟で、免許もない。
学生時代に原付に乗った経験があるだけだ。
しかしバイクに乗るのは大好きで、タイやラオスにやって来るとバイクを借りて走らせる。 -
川を超えて西側のアウトドア地域に踏み入ることにする。
ここには鍾乳洞や滝があり、トレッキングコースもある。
そしてここは、生涯忘れないであろう私の恐怖の思い出が眠っている場所だ。
その場所を再確認してみたい。
あの時見えなかったものを見てみたい。
そんな気持ちで有料のつり橋を渡っていった。 -
この橋の下で、女性たちが洗濯をしたり水浴びしたりしていたことを思い出した。
人前で堂々と水浴びをしている女性たちに驚いたが、これがラオスなのだと感激した。
髪を洗いながらキャラキャラとはしゃいでいる若い娘達もいた。
橋の上から冷やかしの声をかける若者に応えて、笑いながら言い返していた声が可愛らしかった。
でもこの朝は、人の姿もなく静かだった。
そうかあれは夕方だったのだ。
(画像は5年前のもの) -
2008年の1月だった。
レンタル自転車屋に置いてあったのは全てマウンテンバイクだった。
どれもこれも頑丈そうで、ダンパーまで付いていて、短い棒ハンドル。
またがるとハンドルが低くて前のめりになってしまう。
気軽に乗れるママチャリを探したが、そんなものはなかった。
この橋を渡ったのは3時頃。
アウトドア地域を一周してくるつもりだった。 -
橋を超えるととんでもない道に変わった。
砂利を含んだ赤土に大きな石がごろごろと飛び出していて、まともに走れない。
石の少ない場所を選び選び、右に寄ったり左に寄ったり、トラックがやって来ると端に逃げ、猛然と巻き上がる土ぼこりを頭から浴びて、悪戦苦闘しながらペダルを漕いだ。
ずっと登り坂が続いた。
とがった石でパンクするのが心配だった。
こんな道はここだけだ。
先に進めばきっと走りやすい道になるに違いない。
楽観的に考えようとしていた。
(この画像は今回のもので、だいぶ路面状態が良くなっていました。) -
途中で見つけた洞窟への看板を見て、寄り道した。
田んぼの中に一本の道らしきものが、岩山に向かって伸びていた。
田んぼといっても、稲は枯れていて茶色の草地だった。 -
子供がサッカーをして遊んでいた。
草地の所々に白旗が立っていて、それを目印に進んで行くが、目印をそれると地雷でもあるのかとひやひやだった。 -
入場料を払うと若者が案内してくれた。
洞窟自体はたいしたことはなかった。
懐中電灯を貸してくれた。
時々岩に頭をぶつけた。 -
出てくると信じられないような高いガイド料を請求された。
高すぎるともめた。
海中電灯の貸し代も入っていると強引だった。
その時点で4時を過ぎていた。 -
西に西に向かって坂道を登っていった。
相変わらず悪路が続く。
ママチャリがなかった理由がわかった。
丈夫なフレームとタフなタイヤがなければ、すぐに壊れていたはずだ。
坂道がきつくなって歩くことにした。
少女二人が大きな竹籠を背負って歩いていた。
一人の幼児を連れている。
恥ずかしそうに、楽しそうに、気持ちの良い挨拶をしてくれた。
歳を聞くと、13歳と14歳で、連れている幼児は6歳だと言う。
バンビエンの町に野菜を売りに行った帰りらしい。
『伊豆の踊り子』を連想した。
坂道の頂上まで一緒に歩いた。
帰ってくる欧米人にもすれ違った。 -
峠を超えると、数軒の家屋が点在する場所に出た。
道の状態も少し良くなってきているが、安心して走れる状態ではない。
時計を見るともうすぐ5時になる。
町を出てから2時間が経過していた。
対向してきたトラクターの荷台で、欧米人のアベックが自転車を抱えながら手を振ってくれた。
どうしよう・・・戻ろうか・・
でも今来た悪路を、このまま戻る気持ちにはなれなかった。
夕暮れが近づいてはいるが、状態のやや良くなった道をこのまま進み、左側に見える山を一周して町に戻る方が楽だと思った。
意地もある。
地図を眺めて見た。
ちょっとばかり気になることがあった。
来た道を戻る方が、はるかに距離は短い。 -
ヤギを引き連れて、おじいさんが我が家に戻る途中だ。
私も早く帰らなくては・・・
でも、もう引き返せない。
ぞっとしてくる。 -
ええいっ! 根性だ!
先に進むと小川があった。
誰かが自転車ごと水浴びをしていた。
人がいたことで心強かった。
でもこの人はすぐにどこかに行ってしまった。 -
陽が沈むと瞬く間に真っ暗になってしまった。
夜空とはこんなに黒かったのかと驚くほどの、澄みきった黒そのものだ。
熱帯地域の空は湿気のためか、昼も夜もぼんやりしているが、この空は違う。
星のきらめきも並大抵ではない。
いつも見ている日本の夜空の、何倍もの数の星が瞬いている。
真上にオリオン座が煌々としていた。
三ツ星の下のオリオン大星雲までが、肉眼で見えるほどの輝きだ。
その美しさに感動はしない。
そんな余裕などあろうはずがない。
周りの様子は全くわからなかった。
切れ目のない樹海の中を走っていることだけはわかる。
ほのかに白く見えるのが道で、暗黒が周囲のジャングルだ。
道路からはずれないように、悪路に滑らないように、それだけを気をつけて自転車を走らせる。
恐怖心のためか、興奮しているためか、疲れは感じない。
一刻も早くバンビエンの町の明かりが欲しいの一心だ。 -
(画像は今回のもの。多分このあたりだったのでは?)
山の谷間にポツンと民家が建っていた。
夕食の臭いが風に乗り、子供たちのはしゃぐ声が聞こえる。
焚き火をしている男の姿も見られた。
丘の上に雑貨屋があって、少女がぽつんと立っていた。
弱々しい裸電球が一つだけの、駄菓子屋みたいなあばら屋だった。
コーラを買って一口飲むと、むせた。
ここでしばらく休憩してと思ったが、まだまだ先は長い。
やっと2/3近くまで廻ったという地点だろう。
走るしかない。 -
(この画像も今回のもの。)
また暗黒の世界になってしまった。
月が出れば助かるが、明かりは星の光だけだ。
横の暗闇からガサッと音がすると、背筋が凍りつく。
樹木で休む野鳥なのか、草の中に潜む獣なのか。
まさかこんな所に山賊が・・
いらぬ心配までしてしまう。
小さな橋を渡った気もするが、よく見えていない。
板を踏んでいる感覚で、そう思うだけだ。
長い橋もあったような。
道からそれず転倒もせず、走れていることが奇跡といえた。 -
(この画像も今回のもの。)
舗装された道路に出た時は8時を過ぎていた。
出発してから5時間近くたっている。
この道路は、バスで走っている道路のはずだ。
ラオスで一番の幹線道路だというのに、すれ違う車や追い抜いて行く車はない。
街燈もない。
民家から漏れる明かりも申し訳程度で、真っ暗な家が多い。
暗くなれば眠りについてしまう国・・・
太陽と共に生活している国・・・ -
それから20分、待ちに待ったバンビエンの町の明かりが目に飛び込んできた。
自転車を借りた店はまだ開いていた。
熱いシャワーが気持ち良かった。
靴を見ると泥だらけで、身体と一緒に洗った。
シャワーを浴びているのに、自転車から伝わる振動が、相変わらず身体の中に続いていた。
生きていて良かった。
(この画像も今回のものです。バンビエン南の入り口) -
5年前の足跡を追いかけてみる。
例の鍾乳洞を訪れる。
入場料の徴収小屋は全く変わっていなかった。
最初人がいなかったので、こっそり進んでみたが、洞窟がよく分からずに引き返すと、案内人がいた。
仕方なしに案内を請う。
(画像は入場料を徴収する小屋) -
洞窟のある山に牛の群れがいた。
近づくと鼻息をあげて向かってくるので、すぐに離れた。
牛は人を見るという。
私は牛にばかにされたのか? -
洞窟も前と同じだった。
気をつけていたのに、やはり高額なガイド料を請求されてしまった。
800円だという。
仕方なく払うと、これは一人分でもう一人分よこせと言う。
高すぎると怒って、それには応じず逃げ帰った。 -
そうだ、この道だった。
少女達と一緒に歩いて登った坂道をバイクで走る。
自転車と違ってバイクは力強い。
あんなに荒れていた路面も、だいぶ良くなったようだ。 -
集落があった。
トラクターに乗った若者が手を振ってくれた場所だ。
しかし夕方に見たものと、朝のものとは、空気感が違う。
-
誰かが自転車を洗っていて小川があった。
私もここで足を洗ったのだ。
小川の水量や流れ方が少し違っているが、ここに違いない。 -
コーラを飲んだ店はどこだったのだろう。
それらしき店はあったが、ここがそうだと確信できなかった。
昼間見る景色は、暗闇の中とは全く違って見える。 -
死ぬかと覚悟して走った道も、こんなものだったのかとあぜんとしてしまう。
穏やかなものだ。
整備されたとはいえ、昼間見れば普通のサイクリングロードだ。
あの夜の恐怖感は何だったのだろう。 -
うっそうとした密林の中を走っていたと思っていたのに、実際にはかなり開けた道を走っていたのだ。
密林に囲まれた場所はあるにはあるが、部分的だ。
家なども、どこにもなかったはずなのに、あるではないか。
「行方不明者として日本で報道されてしまうんだろうか・・」
などと考えていた自分がばかに思えてくる。 -
橋にやってきた。
狭くて危なっかしい橋だった。
一寸先も見えない状態で、よくぞ落ちずに通過できたものだと、ここではほっと胸をなでおろした。 -
小川の下では子供が泥にまみれて遊んでいた。
一人は真っ裸だ。
こんて姿で風邪をひかないのか・・
気温はそんなに高くない。 -
こんなお店、いつできたんだろう。
あの時もあったんだろうか。
この辺りにはふさわしくない大きな建物だ。 -
立ち寄ってみると、機織をしているお店だった。
昔ながらの織り機がガタンバタンと動いていた。
織れた布はスカーフになったり、服になったりして売られている。
観光客用のものに見える。
この山奥にまで観光化がどんどん進んでいる。 -
自転車の修理屋さんまであった。
欧米人の女性が自転車をパンクさせたようだ。
女性は英語でペラペラとお喋りするが、男はにこにこ微笑んでいるだけだった。 -
大きな橋を渡る。
下の川はバンビエンの町を流れるソン川に違いない。
すると幹線道路はもう近くだ。
この橋を渡った記憶はあるが、こんな立派な橋だとは思っていなかった。 -
橋の下には洗濯をしている女性たちがいた。
近くには船も浮かんでいて、網で魚をとっている男の姿もあった。 -
バスの走る道路に出た。
この道を北に走ればバンビエンの町。
当時の体験を女房に話しながら、休み休み一回りしても、かかった時間は鍾乳洞を入れても2時間たらずだった。
あっけなかった。
私の体験したあの恐怖を、女房は理解してくれただろうか。
私がいくら力説しても、ただただ空回りしているようだった。
自分自身がぐらついているのだから。
その11に続きます。
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この旅行記へのコメント (2)
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- trat baldさん 2015/12/08 18:35:30
- 夜はマズイっすよ。
- 都市部でさえ旅人が土地勘無しに歩くのは怖いを通り越して危険です(^o^)
- motogenさん からの返信 2015/12/08 20:20:36
- RE: 夜はマズイっすよ。
- 私は田舎に住んでいますが、近くの町の明かりやら、街灯やら、スポーツ広場の夜間照明やらで、空はいつも薄っすらと明るく、それが普通と思っていました。
ところがラオスの田舎は違うんですね。
民家も電灯をつけないし、近くに町はなし。
街灯だって500mに一つくらいで、山の中にはなし。
あんな真っ黒な夜空は初めてでした。
星明かりだけでも、道はほんのわずかに白っぽく見え、人間の能力もあなどれないものですね。
でも事故なしで帰れたのは奇跡に近かったかな?
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