2014/09/01 - 2014/09/01
13位(同エリア352件中)
エンリケさん
晩夏のフランス、アルザス・ロレーヌ地方を巡る旅3日目終盤。
“アルザスの美しい村”エギスアイムでの昼下がりのひとときを楽しんだ後は、コルマールに戻って旧市街を散策。
おとぎの国のようなかわいらしい木骨組の家々が立ち並ぶ通りを抜けていくと、現れたのは橋や川岸が色とりどりの花々で彩られた美しい水辺空間。
プティット・ヴニース(小ヴェニス)と呼ばれるその空間は、舟遊びを楽しむ国内外からの観光客で賑わう、ウンターリンデン美術館と並ぶコルマールの人気スポット。
平和な雰囲気の中で夕暮れから夜にかけての景色の変化も楽しめ、今回の旅の中でも特に印象に残った街歩きとなりました。
<旅程表>
2014年
8月30日(土) 成田→ソウル→フランクフルト・アム・マイン→マインツ
8月31日(日) マインツ→ストラスブール
○9月 1日(月) ストラスブール→コルマール→エギスアイム→コルマール
9月 2日(火) コルマール→リクヴィル→リボーヴィレ→コルマール→ストラスブール
9月 3日(水) ストラスブール
9月 4日(木) ストラスブール→ナンシー
9月 5日(金) ナンシー→メッス→ランス
9月 6日(土) ランス→パリ
9月 7日(日) パリ→
9月 8日(月) →ソウル→成田
- 旅行の満足度
- 4.5
- 観光
- 4.5
- ホテル
- 4.5
- グルメ
- 3.5
- 交通
- 5.0
- 同行者
- 一人旅
- 一人あたり費用
- 20万円 - 25万円
- 交通手段
- 高速・路線バス 徒歩
- 航空会社
- 大韓航空
- 旅行の手配内容
- 個別手配
-
9月1日(月)
“アルザスの美しい村”エギスアイムの散策を終え、17時10分発の路線バスでコルマールへ戻ります。
・・・帰り道もこんな風情のある緑の葡萄畑に挟まれたアルザスの田舎道を走っていきます。 -
17時40分、コルマールの街に入り、ウンターリンデン美術館裏の劇場脇のバス停に到着。
サマータイムのフランスはまだまだ明るく、体力も十分なので、休みもせず貪欲にコルマールの街歩きに出発です! -
午前中“イーゼンハイムの祭壇画”を観賞したドミニカン教会の脇の道を通って行くと、現れたのはコルマール一巨大な建造物の“サン・マルタン教会”。
1234年に建築が始められ1365年に完成したゴシック様式の教会で、ストラスブールのノートルダム大聖堂と同じく、アルザス・ロレーヌ両地方にまたがるヴォージュ山脈から採掘された赤砂岩を原材料としているため、その姿は特徴的な茶褐色をしています。 -
サン・マルタン教会は巨大な上に周りが狭い路地のため、こうして横から眺めても全体がカメラに収まりきりません(笑)。
-
教会のアプスの上方の屋根には何やら帽子のようなものが。
目を凝らしてみると、なんとコウノトリの巣。
エギスアイムでもそうでしたが、どうやらコウノトリはその街でいちばん高い建物に巣を作る習性があるようです。 -
サン・マルタン教会から伸びる狭い路地を南下していくと、街角にこんな奇妙な建物が。
1537年に建てられたというルネサンス様式の貴族の館、“プフィスタの家”(Maison Pfister)です。
出窓造りやそこに描かれたフレスコ画が印象的で、周囲には足を止めて写真を撮っている観光客が何人も。
・・・ちなみにこの建物、帰国してから調べてみると、2004年に公開された宮崎駿監督のアニメ映画“ハウルの動く城”のモデルのひとつなんだとか。
気になったのでこの映画を見てみると・・・確かに主人公のソフィーの住んでいる街の景色はアルザス地方の街並みを思わせるようで、物語の冒頭にはこのプフィスタの家にそっくりな建物も出てきます。
さらに調べてみると、スタジオジブリはこのアルザス地方でロケーションハンティングをしていたとのこと。
“プフィスタの家が”というより、“コルマールの街全体が”ハウルの動く城に出てくる舞台のモデルになった、と言う方が良いようですね。 -
プフィスタの家のこちら側の角では、何やらおじいさんが柱の一部と化していますね(笑)。
-
プフィスタの家からさらに南下し、こんなパステル調の建物が並ぶ味のある路地を通り抜けていくと・・・。
-
いかにもアルザスらしい木骨組のカラフルな家々が立ち並ぶ運河沿いの通り、ポワッソヌリ通り(Quai de la Poissonnerie=魚屋通り)へ。
日本のように電柱もなく、本当に中世のおとぎの国へ迷い込んでしまったかのようですね。
こんな趣のある景色の中で、唯一、自撮り棒(セルカ棒)を持ってどこかまわずポーズを取って自分たちだけできゃっきゃと盛り上がっているアジア系の若い女性2人組(日本人か韓国人)だけが興ざめでしたが・・・。 -
この運河沿いの地区はパステル調のカラフルな家々が立ち並ぶ姿も美しいですが、川岸や橋が明るい色の花々で彩られていることも観光客の目をひきます。
-
運河ではこんなふうにボートで水上散策を楽しむ観光客も。
・・・美しい水辺空間に加え、こんな舟遊びが楽しめることから、この地区は北イタリアの水の都ヴェネツィアになぞらえ、“プティット・ヴニーズ”(Petite Venise=小ヴェニス)と呼ばれています。 -
こんなだまし絵の家があるところはドイツっぽいですね。
(どこがだまし絵か分からない方は拡大して見てください。) -
10分ほど運河沿いを散策し、18時20分、プティット・ヴニーズで最も有名な、ポワッソヌリ通りとテュレンヌ通りが交わる橋の上の地点にやってきました。
水辺空間と明るい色の花々、そしてカラフルな外壁の木骨組の家々の組み合わせが、何とも言えない趣を醸し出していますね。 -
橋の反対側もこんな趣のある景色。
この写真の中央奥に見える桟橋から運河クルーズが楽しめる水上ボートに乗れるようです。
ちなみにわたしも試しに乗ってみようかと行ってみたのですが、これから乗ろうとしている方々が高齢者ばかりだったので、ちょっと気恥ずかしい感じがして、結局乗るのを断念してしまいました。
・・・バカンスシーズンが終わった直後のアルザス・ロレーヌ地方は、観光客といえばフランスやドイツ、オランダなど近隣諸国の高齢者ばかりで、日本人で比較的若めのわたしは、今回の旅行期間中ずっと肩身が狭い思いでしたね。 -
なので、こんな写真も橋の上からパチリと撮るにとどめておきます。
-
さて、19時近くなり、そろそろ夕食の時間。
レストランを探しますが、この先はお店はなさそうだったので、とりあえず元来た道を引き返します。 -
戻る途中もところどころ素晴らしい景色を見つけてはパチリ。
コルマールの運河沿いの地区は花と緑がいっぱいの心癒される水辺空間ですね。 -
白を基調とした木骨組のおとぎの世界に出てきそうな家と、緑に覆われた味のある壁の組み合わせがまたフォトジェニック。
木骨組の家の方は、よくみると窓の扉のところにクローバーのかたちをした穴が開けられています。 -
こちらの木骨組の家々は窓の扉の穴(のぞき穴?)がハート型になっていますね。
スペードとダイヤのかたちをした扉もどこかにあるのでしょうかね(笑)。 -
こちらの運河の周りの風景も花いっぱいで、近代のオランダ絵画のようですね。
-
ゼラニウムの赤い花と緑で装飾された由緒ありそうなこの建物は、1480年に建てられたという“コイフュス”(Le Koifhus)と呼ばれる旧税関。
市内に現存する最古の公的機関で、コルマールに持ち込まれた貨物の倉庫としても使われ、コルマール経済の中心的役割を果たしていたそうです。 -
ちなみにこちらが反対側(正面?)から眺めた旧税関。
菱形模様の屋根がブダペストのマーチャーシュ教会やウィーンのシュテファン大聖堂を思い起こさせます。
【ブダペスト〜ウィーン紀行(2) ウィーンのシュテファン大聖堂】
http://4travel.jp/photo?trvlgphoto=19174804 -
運河沿いから見るサン・マルタン教会もなかなか麗しい姿ですね。
-
・・・と、レストランを探していたら、なかなかよさげなところが見つからず、午前中見た、ウンターリンデン美術館近くの“メゾン・デ・テット”(Maison des Tetes、頭の家)まで戻ってきてしまいました。
改めてここで写真を撮っていたら、道行く観光客たちが皆、足を止めて写真を撮り始めました(笑)。
これが歴史のある建物だとは、あまりにも周りの建物に溶けこみすぎていて、皆気付かないのでしょうね。 -
“頭の家”という名前のとおり、正面ファサードにはグロテスクとも言える様々な顔の彫刻が。
解説を見ると、こんな奇妙な顔の彫刻が111もあるそうです。 -
こんなふうに柱と化している人物の彫刻もあったりして・・・。
後にコルマール市長となる大商人、Anton Burgerによって1609年に建てられたこの建物は、かつてはワイン取引所、現在はホテル兼高級レストランとして、コルマールの賑わいの中心となり続けています。
・・・先ほど見た旧税関といい、このメゾン・デ・テットといい、意匠を凝らした古い建物群は、かつての“神聖ローマ帝国自由都市”コルマールの繁栄を今に伝えるものとなっていますね。 -
朝から散々歩き回って足が棒のようになってきたので、なかなか魅力的なお店が見つからないところですが、そろそろ妥協して近くのレストランへ。
-
19時30分、いいお店を求めて30分ほど歩きまわった後、結局、旧税関裏手の運河沿いにある、いかにも観光客向けのレストラン(Koifhus Winstub)に入ることにしました。
【Restaurant Colmar au Koifhus〜トリップアドバイザーより】
http://www.tripadvisor.it/Restaurant_Review-g187073-d1958997-Reviews-Restaurant_Colmar_au_Koifhus-Colmar_Haut_Rhin_Alsace.html -
まず最初は、コルマールの地ビールを注文(3ユーロ=約420円)。
アルザス地方はワインやシャンパンだけでなく、ビールも美味しいですね。
さすがはドイツ文化圏。
ちなみに、ここでも人形のようなかわいらしい顔の愛想のいい女性店員にサーブしてもらい、固定観念として持っていた“サービスが悪い”というフランスのお店の認識を改めさせられました。
まあ、すべてのフランスのお店がこんなふうに観光客に対して愛想がいいわけではないんですが、パリよりも田舎に行けば行くほどこの傾向が強くなるような気がしますね。
やはり“パリ”と“フランス”は別物。 -
続いては、アルザス地方の伝統料理“タルトフランベ”(7ユーロ=約980円)。
ピザのような生地にチーズやベーコン、タマネギなどを載せた食べ物で、薪釜の炎を利用して焼くことから、“炎のタルト”という意味のこの名前が付けられたそうです。
肝心の味の方は、生地が薄くてパサパサしていたものの、そんなに悪くない味。
ただ、最後の方は冷たくなって飽きてきて、無理やりビールと一緒に流し込んでいました・・・。
なんとか完食しましたが、ナポリで食べたピッツァ・マルゲリータのように生地がふわふわで温かかったら、もっと美味しく感じられたでしょうね・・・。 -
空がだんだんと暗くなってきた20時30分、かわいらしい女性店員に笑顔であいさつをしてお店を後にし、夜の景色を見るべく、再びプティット・ブニーズをぶらぶら。
先ほど訪れた、ポワッソヌリ通りとテュレンヌ通りが交わる橋の上にやってくると、薄暗さの中、かすかにライトアップされた運河沿いの建物の趣ある景色が。 -
運河に映った木骨組の建物や、スポットライトを浴びたように浮き上がるレストランのテラスで会食する人々・・・まるで絵画のような景色ですね。
-
この微妙なライトアップの具合が、アルザスの田舎のこの街の雰囲気にマッチして、なかなかいい感じです。
-
プフィスタの家もささやかにライトアップ。
ちなみに近くには寿司屋があり、中を覗くといい値段の割にけっこうなお客が入っていて、フランスにおける寿司人気を再認識。
それほど美味しくない観光客向けのアルザス料理を食べるより、こういった地元の人々に人気の寿司屋に入って、日本の寿司と味比べをしてもよかったかなあ・・・。 -
すっかり暗くなった21時、“イーゼンハイムの祭壇画”が安置されているドミニカン教会の脇を通ると、何やら教会の中から光が。
教会の外がライトアップされるのはよく見かけますが、中から光が出ているのはあまり見かけませんよね。
その珍しい姿を思わずパチリ。 -
こんなふうに教会の中からの光がステンドグラスに描かれた絵をぼわーっと浮き上がらせています。
なんだか神秘的。 -
この後もしばらく夜のコルマールをぶらぶら歩いて21時30分、コルマール駅までやってきました。
電車が停まると人が出てきて少し賑やかになりますが、周囲にはお店もなくそれ以外の時間は静かな感じ。
アルザスの小都市コルマール、夜遅くでも女性一人で街を歩いているのを見かけるほど静かで治安のいい街なのですが、逆に遅い時間までいろいろと楽しみたい人にとっては物足りない感じがする街かも・・・。
さて、この日はこれで終わり、翌日はコルマールを起点にアルザスの美しい村巡り。
まずは“アルザスの真珠”と称えられる葡萄畑に囲まれた人口1,200人ほどの小さな村、リクヴィルを訪れます!
(晩夏のアルザス・ロレーヌ4日目〜リクヴィル観光〜に続く。)
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この旅行記へのコメント (2)
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- 川岸 町子さん 2014/12/14 23:00:09
- 穏やかな美しさ
- エンリケさん、おばんでした☆
コルマールの美しく趣のある光景に癒されました!
一枚一枚全てから、町の良さが感じられます。
建物の雰囲気が、柔らかくて、優しさがありますね。
運河沿いのお花は、数種類、数色が寄せ植えされているのかな。
でも、それが一つにまとまるようなお花の選び方をしていることが伝わってきました。
様々な細かい部分まで、町を美しくしようという思いがあふれています。
近隣諸国からのシニアの方が多く訪れるってことも、それだけ穏やかな歩きやすい町なのでしょうね。
あわただしい師走、寒い毎日ですので、風邪ひかれませんよう。
町子
- エンリケさん からの返信 2014/12/16 00:40:52
- アルザス地方はフランスの中の別世界ですね。
- 川岸 町子さん
こんばんは。いつもご訪問ありがとうございます。
コルマール、日本の田舎のように空気が穏やかで、本当に平和な気分にさせてくれる街でした。
フランスって、最近は移民が多くて人種間の軋轢から治安が悪いのかなと思っていたら、コルマールを含むアルザス地方は、人も景色も昔ながらの雰囲気を残していて、やはりパリなどとは別物なんだなという印象を受けました。
それゆえ、高齢者を中心に、昔ながらの雰囲気を楽しもうと近隣から多くの観光客が集まるのでしょうね。
まあ、刺激を求める若者にとってはちょっと退屈に感じられなくもない街ですが・・・。
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