2014/05/03 - 2014/05/05
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ウェンディさん
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5月初旬の信州。
そこは冬と春がカオスとなり、混じり合っている場所。
平地では梅・桜・桃の花が満開を迎え、冬色に染まっていた山肌に彩りを添えている。
しかし、山はまだ白銀の世界。
山には未だ2m以上の雪が積もり、朝の気温は氷点下まで下がる。
旅人を優しく迎え入れてくれる山、旅人に対し鋭い牙を剥く山。
山の気分は日々刻々と変わる。
今年のゴールデンウェークの旅は、そんな5月の山を味わい尽くす旅だった。
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5/3 【姫川源流自然探勝園】【栂池自然園】 栂池ヒュッテ宿泊
・旅行記1: 雪山ガールデビュー日!なのにホワイト・アウト遭難寸前
http://4travel.jp/travelogue/10883851
5/4 【天狗原】【白馬乗鞍岳】【栂池自然園】 栂池ヒュッテ宿泊
・旅行記2: 初めての雪山☆登って・転んで・滑る〜
http://4travel.jp/travelogue/10886211
・旅行記3: 5月に降る雪☆桜・雪・水芭蕉の饗宴
http://4travel.jp/travelogue/10888440
5/5 【落倉自然園】
・旅行記3: 5月に降る雪☆桜・雪・水芭蕉の饗宴
http://4travel.jp/travelogue/10888440
- 旅行の満足度
- 5.0
-
初めての雪山登山…。
今春が雪山デビューの私にとって、白馬乗鞍岳に挑戦したこの日はドキドキ☆な1日となる筈だった。
しかし、予想は大外れ。
初めての雪山登山はチョッピリ大変で、でも愉しくってワクワク☆な経験だった。
そして、雪山登山の最後には“そり遊び”が待っていた。
雪面に腰をおろし、登りは苦労して登った斜面を、体重を使って滑り降りる。
まるで、子供の頃に戻ったみたい。
私も、娘も、相棒も、5月のソリ遊びを楽しんだ。乗鞍岳(白馬大池) 自然・景勝地
-
雪山登山を終え、ヒュッテで濡れた衣服を着替えた私達は、6時間の登山でかなり疲れているにも関わらず、スノーシューを履いて散歩に出かけることにした。
行先は【栂池自然園】。
初日にガスによるホワイト・アウトで勇気ある撤退をしたルートだ。
この日の午後の天気も予想では下り坂。
時間的な余裕はあまりない。栂池自然園 自然・景勝地
-
森の中へ入る。
この辺りもまだ雪は深く、木々は雪に埋もれている。
山の麓では春の花が咲き、冬眠から覚醒した生き物たちが春の息吹を楽しんでいるが、ここ栂池は、まだまだ冬。
木々の間を走り回るリスの姿を見られるのはもう少し先になりそうだ。 -
立ち枯れた1本の樹を見つけた。
青々としていた筈の葉は全てなくなり、樹木の基幹部分のみが残されている。
その姿は年老いた白髭の老人の様。
生命は息絶えても、幹はまっすぐに天を衝くように伸びている樹。
いつかは朽ち、大地へ戻り、若木の苗床となるのだろう。
最後の瞬まで、まっすぐであること。
なんだか潔くって美しい。 -
森を抜けると小蓮華岳が目の前に現れた。
なだらかな斜面にはまだ雪がたっぷりと残り、崖のような部分には山肌の褐色部分が表れている。
この白と黒のコントラストは春の山にみられる独特な景色。
真冬の銀白の雪山の優雅な雰囲気と比較して、地形がはっきりと濃淡で現れる春の雪山は猛々しい。小蓮華山 自然・景勝地
-
栂池自然園を更に奥へと進む。
目の前には白馬岳の姿が見えてきた。 -
白馬岳が少しでも近くに見える所へ行こうと自然園の奥へ奥へと進む。
自然園は広く、目の前の景色のスケールはなかなか変わらない。
スノーシューが雪を踏む音だけが聞こえてくる静寂の世界を楽しむ。
しかし、時刻は刻々と過ぎ、あっという間に午後4時。
そろそろ宿へと引き返さなければならない。
目の前に見えているのは、雪が作った巨大な壁である雪庇。
あそこの下まで行き、雪庇の高さを実感したかった。
そして、此処からの帰り道が考えていた以上に長く、つらく感じられた。
6時間の雪山登山で疲れている体で、更に3時間の雪の平原散歩はさすがに堪えた。白馬岳 自然・景勝地
-
栂池ヒュッテに帰り、温かいお風呂で体を癒した後は、お楽しみの夕食。
この日もメインディッシュは魚と肉の2種類。
特にトマトソースで合えた鳥もも肉のパスタ添えは美味しく、お替り!が欲しかったほど。栂池ヒュッテ 宿・ホテル
-
夕食後、部屋のベランダから外を眺めると、暗くなりつつある雪景色の中に灯りが見える。
宿のおじさんの遊び心。
昨日は無かった雪燈籠が雪壁の中に造られていた。 -
月の輝きが明るさを増す頃に、外に出て雪灯籠を眺める。
白い雪の中に暖かな蝋燭の灯。
山小屋って、こんなにオシャレな場所だったのだろうか。 -
そして、翌朝。
この日は窓越しには朝日は射しこまなかった。
そして、心なしか昨日よりも寒い気がする。
障子を開けて、外を眺める。
ベランダの木板が白い粉雪を冠り、粉砂糖をかけたチョコレート・ケーキみたいになっていた。 -
昨晩は月が見えていた空も灰色の雲で覆われ、その雲からは白い雪が舞い降りている。
5月に降る雪。
ここは、まだ冬と春が追いかけっこをしている地だ。 -
天気が良ければ朝の散歩を考えていたが、雪が激しく降っているので、潔く撤退を決意。
美味しい朝食をいただいた後は山を下りる準備をする。 -
チェックアウトまでの時間を外の景色が良く見える2階のサロンで過ごす。
外は雪景色だが、館内は暖房が利いていて暖かい。
この春最後の雪景色をゆっくりと眺め、別れを惜しむ。 -
ロープ―ウェイの始発は8:30。
朝1便はそんなに混んではいないかと思っていたが、然に非ず。
大勢の方が待合室に居た。
想像だが、私達が昨日訪れた白馬大池でテントを張り、縦走していた方たちではないだろうか。
天候が悪化しているので、早めに山を下りる決断をされたのではないかな。栂池パノラマウェイ 乗り物
-
ロープ―ウェイからゴンドラへ乗り換え、麓へと向かう。
ロープウェイを降りる頃には、雪は雨へと変わり、気温も若干暖かく感じられる。
まだ山には雪が積もっているが、斜面に生える木々の根元の雪には樹を中心とする黒々とした穴。
体温を持っていないように思われる樹木だが、実は彼等にも体温がある。
春の芽吹きに向けて、彼らは自身の体温で周りの雪を溶かし始めている。 -
ゴンドラの中間駅が近くなる頃になると、山の斜面の雪も徐々に少なくなり、褐色の野原が姿を現す。
そろそろ、雪景色ともお別れとなりそうだ。 -
イチオシ
駐車場で冬山の装備を解いた後に向かったのは、水芭蕉が花開く小さな湿原。
落倉自然園 美術館・博物館
-
ここは、落倉自然園。
信州の春は水芭蕉も有名だ。
落倉自然園は比較的訪れる人も少ない場所だと思っていたのだが、この日は大型観光バスまで来ていて大盛況。
奥裾花自然園(水芭蕉で有名な森林自然園)が土砂崩れで休園していた影響かもしれない。
落倉自然園の自動車用の駐車場は車5台分ほどの広さしかなく、駐車できるかどうか不安だったが、まだ時間が早いこともあり車を停めることができた。
一面に水芭蕉が広がる湿原の木道をゆっくりと歩く。 -
木道の脇の湿原には一面の水芭蕉が広がり、水芭蕉のサイズは姫川源流の花よりも小さく可愛らしい。
時折、エビ色の苞を持つザゼンソウの姿も見られる。
ザゼンソウは雪山に春を告げる植物だが、実はかなり戦略的な植物。
開花する時に発熱し自身の熱で雪を溶かし、まだ他の植物が休眠している時期に雪の上に顔を覗かせ、昆虫の注意をいち早くひきつけ、受粉の確率を上げると云う。 -
この日は小雨が降っていたので、苞が雨を遮るかの様にうつむき加減で、その名前の由来ともなる肉穂花序(メシベとオシベがかたまっている丸い部分)はよく見ることができない。
-
湿原の片隅には猩々袴(ショウジョウバカマ)の花。
猩々とは伝説の生き物(一説ではオラウータンを指す)で、その体毛の色を表す言葉に猩猩緋という和の色名がある。
可憐な花なのに、猩々とは…ちょっとかわいそう…な気もする。 -
落倉湿原の周りには春の紅色のグラデーションが広がる。
-
木道散歩を楽しみ、水芭蕉の花に別れを告げる。
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イチオシ
帰り道は旧道であるR406を走る。
時折小雨がぱらつく曇り空だが、畑の中の桜の色が鮮やかだ。 -
道沿いの桜の木々は、それぞれが豊かな個性を持つが、風景とも調和している。
-
帰り道にメインルートではないR406を選んだ理由。
それは鬼無里の村の風景を見たかったから。
鬼がいない里と書いて“きなさ”と読む。
鬼無里は、前々からとても気になっていた地名。
その不思議な名を持つ村がどんなところなのか、興味があった。
鬼無里には伝説がいくつかあり、その名前の元となる鬼伝説もある。
信州には戸隠の天岩戸伝説もあり、調べだすとかなり面白い。 -
鬼無里を通るルートを選んだ理由はもう一つある。
それは、蕎麦。
長野は蕎麦がうまい。
私的には日本の中で一番蕎麦が美味しいのは信州、それも戸隠の蕎麦ではないかと思っている。
その蕎麦を食べに来た。
立ち寄ったのは鬼無里の農産物直売所の【ちょっくら】。
ここでは地元のお野菜の販売所と、そのお隣に【そば処鬼無里】とおやきの食べられる小さなお土産屋さんがある。
娘は大もり蕎麦、私と相棒はたっぷりとろろ蕎麦を注文。
大もり蕎麦は、一般的な大盛りよりもさらに多く食べごたえがあり、たっぷりとろろ蕎麦は、とろろの量が嬉しい悲鳴を上げたくなるほどタップリ。
そして、味の方も間違いなく美味しい。
有名なお店だと、お蕎麦もとろろもチョッピリでお値段だけは特大サイズという事もアリがちだが、ここのお蕎麦屋さんは良心的。そば処 鬼無里 グルメ・レストラン
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美味しいお蕎麦を味わった後は、大好きなおやきを買い、更にお隣の農産物直売所へ。
農産物直売所には地元で採れた野菜がたくさん並んでいる。
私達が訪れたのはお昼前だったが、お目当ての乾燥野沢菜や蕗味噌は私が最後の1個を購入と云うくらいの盛況ぶり。鬼無里農林産物直売所 ちょっくら お土産屋・直売所・特産品
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イチオシ
この後、長野から高速に乗り道路が混む前に自宅に辿りつける筈だったのだが、小諸−佐久の災害復旧工事でまさかの渋滞120分。
コレが響いて関越道では更に渋滞にはまり、長野I.C.〜埼玉の自宅までが6時間という今までの最長記録を達成。
ゴールデンウィーク期間の高速道路は、甘くはなかった。
(写真:日没後、夜の帳が下りてくる栂池自然園)
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この旅行記へのコメント (6)
-
- みかりさん 2014/05/23 15:22:26
- 雪山満喫の旅〜
- ウェンディさん、こんにちは〜。
最初から最後まで、雪山大満喫な旅になりましたね。
登山で疲れていても、家族で楽しむそり遊びは楽しそう〜。
スノーシューを履いて楽しむ雪景色は、どこもホントに絶景ですね。
夜も美しい雪灯籠を眺めたり、栂池ヒュッテのお食事も美味しそうで・・・。
旅の最後は水芭蕉や桜を眺めて、お蕎麦で〆る。
最後の最後まで、春の雪山と信州の自然を満喫した旅だったんだな〜と
ちょっぴり羨ましく思いました。
ただでさえアクティブなウェンディさん。これからは雪山と言う
お楽しみも、追加されましたネ♪
みかり
- ウェンディさん からの返信 2014/05/23 23:21:40
- RE: 雪山満喫の旅〜
- みかりさん こんにちは。
雪山を堪能したゴールデンウィークからあっというまに3週間。
春だ!と思っていたら、今週末は30℃超えの夏日の予報が…。
季節が移ろうのは、早いですね。
春の信州は最近のお気に入りで、3年連続で通っています。
今回の春旅のプランナーは相棒。
初心者の私でも楽しめるように…と白羽の矢が立ったのが栂池自然園と白馬乗鞍岳。
彼の狙いは大当たり!で、雪遊びはスキーよりも楽しいかも…。
春の花がちょうど満開の時期だったのもポイント高し♪でした。
来年の春もまた、雪山に行きたいな〜♪と今から楽しみにしています。
-
- 讃岐おばさんさん 2014/05/18 16:14:34
- 桜と雪と水芭蕉!
- こんにちは〜
我が香川県にも高松市に鬼無という地名があります。
鬼無(きなし)と読みます。
鬼無には桃太郎神社があり、高松港の近くには鬼が島(女木島・めぎじま)があり、鬼が住んでいたという洞窟があります。
実は瀬戸内海の海賊らしいのですが(笑)
落倉自然園の水芭蕉の群生も見事ですね。
来年の連休は5連休、信州へも行きたくなってきました。
渋滞、大変でしたね。高松から信州・松本まで約600キロ、休憩時間も合わせて8時間の予定で出かけています。
讃岐おばさん
- ウェンディさん からの返信 2014/05/18 21:35:04
- RE: 桜と雪と水芭蕉!
- 讃岐おばさん こんばんは。
実は私は高松市の鬼無(きなし)のことを少しだけ知っています。
知人が高松の出身で、高校時代に毎日フェリーに乗り、海の家にバイトに行っていた…と話してくれました。
その彼女から鬼が島や桃太郎神社の話を聞いて、ちょっと興味を持っているのです。
桃太郎と云うとキビダンゴ…岡山県をイメージしますが、鬼退治伝説は彼方此方に残っていますね。
今年のGWは彼方此方動き回らず、白馬地域を一点集中で堪能する旅となりました。
四国から信州は、我が家からのアクセスよりも更に時間がかかりそうですが、是非来年の候補に入れてみてください♪
冬から春への季節を味わうにはGWは良い時期ですよ〜。
-
- きなこさん 2014/05/18 14:59:15
- 水芭蕉
- こんにちは
水芭蕉が辺りの自然を物語ってくれていますね
先日、人工的環境の中の水芭蕉を見て来ましたが やはり自然の中で見るのは格別ですね
宿のおじさんのオシャレ心の「雪灯篭」ロマンティック〜〜
どんな方なんでしょう「ハイジのおんじ」みたいな方ですか?勝手に想像を膨らませています
きなこ
- ウェンディさん からの返信 2014/05/18 21:18:08
- RE: 水芭蕉
- きなこさん こんばんは。
自然の中に入っていくと、なんだか世俗の煩わしい事を忘れることが出来て、心も体もリフレッシュできます。
今回のGWの旅は、山に籠って心を休める旅となりました。
職人さんが考えて作られた日本庭園や西洋風のガーデンも美しいのですが、自然の作り出す景色にはそれらとは異なる美しさがありますね。
片方のみしか見ていないと分からないのですが、人工的なモノと自然なモノ、両方をみるとそれぞれの良さが見えてきます。
栂池ヒュッテで雪燈籠に蝋燭を灯されていたおじさんは、ハイジのお爺さん風でもなければ、仙人風でもない普通の方でした。
でも、とっても口調が柔らかで、優しそうな方でしたよ〜。
その方だけではなく、栂池ヒュッテのスタッフの方たちはみなさんが感じが良くって、この仕事を好きでなさっているのだな〜という方たちばかり。
気持ちよく宿の利用ができました♪
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