PARIWISATA JOGJA（17）ボロブドゥール遺跡の基壇周辺のレリーフを確かめながら最後の見学をする。

2013/06/04 - 2013/06/04

第1回廊：上段は釈迦の生涯120面、下段は本生譚（前世の物語）
第2回廊：善財童子の巡礼物語128面と第三回廊：善財童子の巡礼物語88面と続くレリーフの全てを2日間で見て理解することは出来ません。ストーリー読み取れたのは第1回廊の仏伝図くらいです。ストーリーを読み解くことから離れ、美術品としてレリーフの美しさや完成度を眺めるとまた違ったボロブドゥールが見えてくるように思えました。

エリア ボロブドゥール遺跡周辺(インドネシア)

• 旅行の満足度: 5.0
• 観光: 5.0
• ホテル: 5.0
• グルメ: 4.0
• ショッピング: 4.0
• 交通: 4.0

• 同行者: カップル・夫婦（シニア）
• 一人あたり費用: 20万円 - 25万円
• 交通手段: レンタカー タクシー 徒歩
• 航空会社: ガルーダインドネシア航空
• 旅行の手配内容: 個別手配

本生譚･譬喩物語には物語が判明しないものも多く、第1回廊の仏伝図の下段の一部しか内容が分かりませんでした。

回廊には遺跡本体側の主壁と通路を挟んだ反対側、欄楯と呼ばれる側もレリーフで覆われています。これを全部読み解こうとすると左右上下2段あるので同じフロアを４回廻らなければならない計算になります。1周が400メートルですから１フロア1200メートル、全体で何キロ歩くことになるのでしょう。

第1回廊の欄循上段にある4枚のレリーフに雌虎の物語が描かれています。法隆寺の玉虫厨子にも描かれた有名なストーリーです。

残念ながらぐるぐる回っているうちにこちらの体は虎からバターになってしまいそうで写真を撮り忘れていました。

釈迦が前世で弟子と歩いていると洞穴で子供を生んだばかりの雌の虎に出会います。その虎は食べるものがなく、子虎を食べているのを見た菩薩は直ちに弟子に食べ物を探してくるように命じます。

弟子が虎のために食べ物を探しに出かけるとすぐに、菩薩は虎が子虎を食べる罪を犯させないために虎の穴に身を投じます。弟子が虎のために食べ物を持って戻って来ると、菩薩はちょうど雌虎に食べられているところで、何がおこったかを理解した弟子は他の信奉者たちに菩薩の尊い行いを語り伝えます。

ボロブドゥール遺跡には仏教に関する物語の場面を描いたレリーフが1,460枚、その間を飾る装飾用のレリーフが1,212枚、合計2,672枚のレリーフがあるそうです。

これらのレリーフは方形6層の回廊の内側 ( 建物側 ) にある主壁と、外側にある欄楯 ( らんじゅん ) にはめ込まれており、釈迦の生涯をはじめとする様々な物語を描いています。4つの仏教経典を題材としており、それぞれ分別善悪応報経、方広大荘厳経、本生譚･譬喩経、華厳経入法界品です。

レリーフを見ながら歩いているだけでお経を唱えているような、巡礼しているような気持ちになっていきます。

そして立体的な金剛界曼荼羅の中にいる様な、そして須弥山の山頂を目指しているような思いが強くなります

母から預かってきた写経を胸に抱えながらそんな事を考えながら歩きます。不思議なことに回廊を歩いていてもほとんど人に出会う事はありませんでした。東側の階段を通過するときと北側の階段部は混み合っていても誰もいないのです。

不思議な時間を1人で過ごしました。一緒に旅していた妻も本日は半休を取ってホテルで休んでいます。

数か月前に父が亡くなったばかりだったので1人でボロブドゥールの遺跡を歩くという事は私にとって意味のあることでした。

晴天では無くて雨が降っていたのも良かったかもしれません。傘を差しながら資料を手に持って写真を撮るのは大変でしたが。

華厳経入法界品
第2回廊主壁と第3回廊すべてと第4回廊の欄楯までの388枚のレリーフには華厳経入法界品をもとに、善財童子が善知識と呼ばれる54人の賢者を訪ねる物語が描かれています。

レリーフには善財童子が会った人々が描かれているだけで、何が起こったかはあらわされていません。54人の賢者を巡礼してまわり、最後に普賢菩薩に会い悟りをひらきます。

第四回廊主壁の72枚のレリーフには普賢行願讃をもとに普賢菩薩の慈悲深い心を賛美する様子が描かれています。

レリーフの彫の深さがアンコールの遺跡とは違って見えます。レリーフを細かく見すぎたようで目が疲れました。

色界まで上がってきました。欲界の2つの欲望は超越したが、物質的条件（色）にとらわれた有情が住む世界です。

遺跡をここまで登ることが出来ても、自分の人生ではたどり着けない世界でしょう。

ここまで来ると回廊の暑苦しさも無く風が通って気持ち良いです。

ムラピ山は成層火山で、夏の富士山ととてもよく似ています。標高は少し低い2,968メートルで、ムラピは「火」を意味しており、火の山という意味になります。

遺跡のバックとして絵になります。

円形基壇のストゥーパは蓮華座に乗っています。

その中には転法輪印を結ぶ釈迦如来が座しています。

菱形の石積は俗界の人々の不安定な心を表わしているそうです。

混んでいる印象のボロブドゥール遺跡ですが、観光客の姿がほとんどありません。

幾つかの座像はストゥーパがありません。

4角い形は悟りを開いた者の安定した心を表わしているそうです。

遺跡も素晴らしいですが周囲の緑も素晴らしいです。

分別善悪応報経は最下段の南東の角にその一部分が残されています。

このレリーフは飲酒の為に病気になった男が9人の家族によって看病されています。

善因善果と悪因悪果の思想で、天国と地獄が表わされています。世界中の宗教で同じような戒めはあるようです。

子供の頃長野の善光寺へ参拝した祖母がそんな戒めの絵本を買ってきてくれましたが、怖くて読めなかったことを思いだしました。

噂話をする女性たちでしょうか？

酒を飲んで踊り騒いでいる男たち。

影で人の悪口を言う女性たち。

人間がこの世でなす様々な悪い行いを現したうえで、その結果として死後に訪れることになる地獄の様子を知らしめています。この基壇には160枚のレリーフが存在しますが、実物を目にすることが出来るのは東南の角一部のみでです。

建設途中に建造物自体の重みが原因で崩れ起し始めたため急遽設計が変更され、レリーフの施された本来の基壇に現在の基壇が付け加えられたからです。

レリーフの上にVIRUPA（邪悪な顔）という文字が遺されています。

太平洋戦争中の1942年に日本がインドネシアに侵略した時、この隠された基壇のレリーフを見んがため現在の基壇の東南の角部分を無計画にぶち壊した日本人がおり、元通り復元することも無かったのでこのように残されたそうです。

隠された基壇に施された160枚のレリーフは公園内の資料館に展示されている写真で見ることができます 。

人間の醜い行いは160枚のレリーフで描きつくすことが出来たのでしょうか？現在の行いを考えると地下を造り始めたほうが良いかもしれません。

ここから先は石に埋まっています。

東南の角から南面はこんな感じで埋まっています。

同じように東面はこのような姿です。

ボロブドゥール遺跡もそろそろ見納めです。

この旅行記へのコメント （2）

• サバーイさん 2018/12/31 00:53:38

  ポロブドゥール遺跡

  　ポロブドゥールのブログを整理している際に、kojikojiさんのページに辿り着きました。まずは詳細なデータと写真の素晴らしさに圧倒されました。これだけの時間をかけてポロブドゥールのレリーフを詳細に観察されたブログを他に知りません。大変質が高く、大いに参考になりました。第一回廊から第二回廊にかけて、ゆっくりとページを拝見しながら、追体験をさせていただいています。
  
  　是非これからも楽しみに見学させて頂きます。

  kojikojiさん からの返信 2018/12/31 02:22:57

  Re: ポロブドゥール遺跡

  サバーイさん
  旅行記にお立ち寄りありがとうございます。現地で時間をかけてレリーフを読み解きながら写真を撮って回ったのですが、妻もあきれるほどで途中でホテルに戻ってしまったほどです。旅行記としてアップしてもほとんど「いいね」も無く、ちょっとがっかりしていたボロブドゥールの旅行記ですが、こうやってお便りいただくと頑張ってよかったと思えます。ありがとうございました。今年最後にちょっといいことがあった感じで嬉しかったです。またお時間がありましたらお立ち寄りください。
  KojiKoji