２０１２：雨降りスロベニア０３　シュタニエル

2012/11/02 - 2012/11/09

＜あこがれのＳ(v)ｔａｎｊｅｌシュタニエル＞
　（(v)は直前の子音の上につける）

　旅行先を決めるとき、最初の情報はほとんどテレビです。

　スロベニアに関するテレビ番組を色々見てそれぞれ参考にしましたが、「ヨーロッパ空撮紀行」に出て来たS(v)tanjelという村が特に印象的でした。
　しかも、行き方を調べたら鉄道の駅から歩いていけるとのこと。これは行くしかありません。NovaGoricaを主な宿泊地にしたのもここへ行くためでした。

　明日からは大雨という天気予報。小雨混じりながらかろうじて曇天の本日１１月３日土曜日、S(v)tanjelへ向かうこととなりました。

＜旅程＞
　11月2日金曜　中部国際→ヘルシンキ→ミラノ　　ミラノ泊
☆11月3日土曜　ミラノ→列車→ゴリツィア→バス→ノヴァゴリツァ　観光　　ノヴァゴリツァ泊
　11月4日日曜　スロベニア観光　ノヴァゴリツァ泊
　11月5日月曜　スロベニア観光　ノヴァゴリツァ泊
　11月6日火曜　ノヴァゴリツァ→列車→コペル　　コペル泊
　11月7日水曜　コペル→バス→トリエステ→列車→ミラノ　　ミラノ泊
　11月8日木曜　ミラノ→ヘルシンキ
　11月9日金曜　中部国際

エリア その他の都市(スロベニア)

• 旅行の満足度: 5.0

• 同行者: 一人旅
• 一人あたり費用: 15万円 - 20万円
• 交通手段: 鉄道 徒歩
• 旅行の手配内容: 個別手配

＜S(v)tanjel駅＞

　１１月の土日は列車の本数が少なく、この日NovaGoricaからS(v)tanjelへの便は往路３便、復路２便のみ。まずは一番早い往路の14:10発に乗り向かいます。切符は車内で買いました。（窓口が開いていなかったので）

　　スロベニア国鉄の情報は
　　http://www.slo-zeleznice.si/en/passengers/slovenia

　列車は長閑な山間をのんびりと進んでいきます。
　最初の１駅は住宅街にありますが、その後の駅はなんとも風情のある石造りの小さな駅舎。駅舎も小さいしホームも車両の長さ分ないので、後ろの方に乗っていると何もないところで急に停車してしまったように感じます。
　「○○駅〜」といった放送は一切ないので、自分で駅の数を数えていないと降り損なってしまいます。

　S(v)tanjelのひとつ前はBranikという駅ですが、その近くにもRihemberkという古城があり、Branik駅を出てから右の車窓の上の方を見ているとちらっと見えます。現在は修復中で内部見学はできないそうです。
　　http://www.novagorica-turizem.com/destinations_and_events/culture/2012032010493790/

　さて、乗車すること８駅４０分。S(v)tanjel駅に到着しました。

＜駅のホームから見えるS(v)tanjel城＞

　駅に降り立ち振り返るともう目指すS(v)tanjel城が見えていました。

　駅に荷物を預けたりする場所はありません。トイレはありますが、売店や自販機もありませんでした。

＜案内看板＞

　この地域の観光案内でしょうか？駅にありました。
　

＜駅外観＞

　駅の外側には駅名（S(v)tanjel）の文字はありません。

　全ての駅がz(v)eleznis(v)ka postaja（鉄道駅）という表示です。

＜入口？＞

　外側の出入り口は閉められていました。駅舎の脇からホームに出入りします。
　駅員さんはいましたが、切符の販売などは行っていません。車掌さんから購入します。

＜蒸気機関車＞

　駅から古城を目指して歩いていたら蒸気機関車が放置？されていました。ホント、スロベニア鉄道は蒸気機関車がお好きです。

　古城への道はもうこれしかないという一本道。駅を出てすぐ右方向（城の見える方）へ歩きます。普通の道を１０分程行くと城がある丘のふもとに出ます。

＜道から見える古城＞

　東西文明の交流路にして交易の要衝、そこに丘があればもちろん要塞が作られちゃうんでしょう。ローマ時代以前からここには城塞があったんだそうです。
　特徴的なテラス式の街並みが作られ始めたのが中世、シンボルとも言える教会は１５世紀中ごろに建造されました。その後封建領主の居城として、また交易の拠点として栄えましたが、その後衰退した時期もあったようです。
　第一次世界大戦時はオーストリア軍によって将校用の病院として利用されたりと、やはり戦争とは切っても切り離せない城だったようです。第二次世界大戦末期に焼け落ち、しばらく廃墟と化していたようです。

　１９６０年代から修復がはじめられ、今に至っているそうです。

＜S(v)tanjel城＞

　丘のふもとにたどりつくとまずはこのお城が出迎えてくれます。
　坂を登っていくと城門があります。この城門をくぐるのには料金はいりません。

　マイカーでやってきた他の観光客もちらほらいました。

＜城門の内側＞

　門をくぐって振り向くとこんなかんじ。
　城の中に入れないのかと廻りをうろうろしてみましたが入口らしきものはありませんでした。

　門の上がレストランになっていますが、この時は営業していませんでした。

＜まずは駅の方を＞

　少しですが丘を上ったのでちょっと景色を…

　蒸気機関車の置いてあったあたりが見えます。

＜ツーリストインフォメーション＞

　城門の外にもツーリストインフォメーションがあり、地図にはそちらだけが載っていますが、城の中にもありました。

　S(v)tanjelは事前に地図などの情報が得にくい観光地。事前にはslovenia.infoというサイトや、http://kraji.eu/thematic_page/slovenija_najlepsi_kraji/slovenija/engで検索していましたが、詳細な地図はありませんでした。
　
　

＜営業時間＞

　ツーリストインフォメーションの営業時間です。
　
　ここで地図つきのパンフレットをもらいました。英語も併記されています。
　パンフレットにレンタサイクルの情報が載っていました。
　　www.rentabike-kras.eu
　この地域にはコンパクトながら興味深い小村がたくさんあるので、自転車で廻るのもたのしそうです。

＜Maks Fabiani資料館＞

　城内の見所のひとつThe Ferrari Gardenを設計した人物で、この町の市長を務めたこともある有名な建築家です。

　無料で入れました。入口もあいていたし、中にはだれもいないし…。平和な村って感じです。

＜広場＞

　城門を入って左の方へ行ったところに広場のような場所がありました。
　美術館、レストラン、カフェがありましたが営業していたのは美術館だけでした。

＜黄葉＞

　この辺りのことをカルスト地方といいます。カルスト地方はまさに紅葉黄葉のシーズン（ちょっと終わりかけかな）。
　広場には黄金色の落ち葉が。

　ここが一番お城っぽ感じの場所でした。

＜意外と気温が高め＞

　１１月の中央ヨーロッパなんてすっかり冬なのかと思っていたら、意外と気温が高く、いたるところで花が咲いているのを見ました。
　今年は暖かい秋だったのでしょうか。

＜井戸＞

　広場にあった井戸です。城（というか村）のいたるところに井戸や貯水池がありました。

＜Lojzeta Spacala美術館＞

　広場にあった美術館です。
　２０世紀のアーティストで、絵画やグラフィックの作品を残しています。トリエステ出身で世界中で活躍したようですが、１９８８年に１２０もの作品をここS(v)tanjelに寄付したんだそうです。
　
　入館料は２ユーロ。
　作品が印刷されたかわいいチケットとポストカードをくれました。

＜窓からの見える景色＞

　美術館の二階にはきれいなホールがあり、その窓から外の景色が見えました。
　窓枠に切り取られると、景色がもっとおとぎ話の世界のように見えませんか。写真の撮り方上手くなくて伝わってないですけど…

＜看板＞

　おそらく民宿だったと思います。

　S(v)tanjelにはホテルはありませんが、宿はいくつかあるようです。

＜丘の上からの眺め＞

　天気がよかったらな〜、という愚痴がついつい出てしまいます。

＜向かいの丘にも＞

　隣町BranikのRihenberk城が見えないかなと目を凝らしてみましたが見つかりませんでした。

　しかし、お向かいの丘の上にこんなかわいい教会を発見。

　水害や侵入者から逃れるためには丘の上が一番だったんでしょうね。この地域は丘の上にぽつんとある教会や城を良くみかけます。

＜Ferrarijev ver＞

　フェラーリガーデンというお庭です。
　２０世紀になってから作られたフェラーリ荘という屋敷の庭です。前述したMaks Fabianiが親戚であったフェラーリ氏のために設計、建築したんだそうです。
　第二次世界大戦末期に一度破壊されてしまい、そこから修復されていないのか、オフシーズンだからなのか、庭は殺風景でまるで遺跡のようでした。

＜柿の木＞

　庭に紅一点の彩りを添えていたのが柿の木。この地域でよく栽培されているらしく、いたるところで見かけました。

＜フェラーリ荘＞

　庭を見下ろすように建っているお屋敷です。おそらく普通に主がお住まいなのだと思います。見学はできないようでした。

＜素朴な街並み＞

　意図的に街並み保存をしているのかはわかりませんが、城壁内の家はこういった素朴な住宅ばかりでした。
　煙突の先が煤で真っ黒。軒下には薪が積んでありました。

＜蔦も紅葉＞

　あ〜晴れてたらなあ〜。とまた詮無いことをつぶやいてしまいました。
　青空バックに、紅い葉っぱがさぞかし映えたことでしょう。

＜シンボリックな鐘楼＞

　丘の一番上あたりにのぼってきました。見上げていた教会の鐘楼が見下ろせるくらいです。

　遠くからでもよく目立つあの塔のある教会へ行ってみました。

＜Cerkev sv.Danjijel＞

　聖ダニエル教会。この教会の名前がなまって「シュタニエル」になったんだそうです。

　ここのほかにこの地域には聖グレゴール教会というのもあり、写真で見る限り素敵な教会です。しかし、丘の上から見たらかなり遠くにポツリと建っていたので行くのは断念しました。
　

＜パイプオルガンの音に誘われて＞

　教会の中に入って見ました。
　誰もいないのでパイプオルガンはＣＤかと思いましたが、見上げるとちゃんとオルガンがあり、人が弾いている様子でした。

　静かに鳴り響くオルガンの音を聞きながら天井の絵などを見ていたら、鐘楼の鐘が鳴りました。大聖堂のような大音響ではなく、軽やかな音色でした。

＜銅像大好きスロベニア＞

　とにかくいたるところに銅像があります。そのほとんどが郷土の偉人。
　この方もこの地域の宗教者であり文学者であったJosip Abramという人です。

＜カルストハウス＞

　Kras(v)ka his(v)a（カルストハウス）はこの地域の伝統的な住宅の様子を見学できる民俗博物館です。

＜開館時間＞

　カルストハウスは開館時間中のはずなのですが、入口は閉まっていました。
　オフシーズンなので、人を呼んで開けてもらわないといけないのかもしれません。

＜Kobdiljski stolp　コブディリタワー＞

　丘の南東にそびえる塔です。砦、って感じの塔ですね。

　丘の下から見るとそれなりに高い塔ですが、城壁内に入って探すと他の建物や樹木に遮られてこの程度しか見えません。

　

＜地味なエキシビション＞

　何かのいたずらかと思ってしまいました。

　でも他にも作品があったのでどうやら現代芸術の展示らしいです。空き屋を利用して行われていました。

＜ファビアーニの散歩道＞

　ツーリストインフォメーションでもらった地図にはいくつかの散策路が提案されていました。
　そのうち一番長く魅力的なのがこの道。S(v)tanjelの丘をぐるっと回り、グレゴール教会を通り、ファビアーニのお墓があるKobdiljという隣町まで続いています。
　電車の時間が迫っているし、暗くなりかけてるし、雨も降ってきたので私は歩きませんでしたが、スロベニア人らしい老夫婦は入って行ってました。奥さんの方はなんか文句を言っていたように聞こえましたが…

＜シュタニエル大好き＞

　天気予報を信じて日程を変えたため予定していた滞在時間よりかなり短い観光となってしまい、しかも途中からは雨も降ってきて（傘をスーツケースの中に忘れてしまった！）、思う存分見て回ることができませんでした。

　もらったパンフレットを今改めて見ながら、また行きたい気持ちがつのってきました。でも遠いんだよな〜、スロベニア。しかも鈍行列車乗り継ぎでしか行けないシュタニエル！

　帰りも駅まで歩き、１７時0のNovaGorica行きに乗って戻りました。