2015/04/18 - 2015/04/18
4位(同エリア101件中)
ハンクさん
4月のサンクトペテルブルク滞在中の週末、オーストリア、グラーツに在住のフランス人の知人を訪ねたついでに、グラーツから約60km、列車で約1時間の距離にあるスロヴェニアのマリボルを訪れた。スロヴェニアへの入国は初めて、53ヶ国目の訪問国になる。マリボルはスロヴェニアの第2の都市で人口約11万人、1919年に「マルブルクの血塗られた日曜日」事件が発生した街である。スロヴェニアの首都リュブリヤナよりもグラーツの方が近く、文化、経済的な関係も深い。
スロヴェニアとスロヴァキアは紛らわしいが、更にソ連崩壊後に旧ユーゴスラヴィアから独立した国名を全て言える人は少ないと思う。正解はセルヴィア、ボスニア・ヘルツェゴヴィナ、クロアチア、マケドニア共和国、スロヴェニア、モンテネグロ、およびコソヴォの7ヶ国である。
ユーゴスラヴィアと言えば「バルカンの火薬庫」、近代ヨーロッパの不安定の中心であり、第一次世界大戦のきっかけとなったサラエヴォ事件、コソヴォ紛争、各国のユーゴからの分離独立戦争など、きな臭い歴史ばかりが思い出される。しかし西側先進国のオーストリアやイタリアに隣接し、比較的経済力もあり、カトリックを主とするスロヴェニアは比較的安定した国であって、1991年独立を達成、首都は前述のリュブリヤナであり、旧市街はユネスコ世界遺産に登録されている。
一方の第2の都市、今回訪れたマリボルは、世界遺産にこそ登録されていないが、様々な文化が行きかった歴史を感じさせる美しい旧市街を有し、決して他の世界遺産の街並みに劣らない。街の歴史は古く、1164年マルヒブルヒで知られる城が記録に登場する。その後、マリボルは1918年までハプスブルク家の支配下にあった。
第一次世界大戦以降の歴史は極めて複雑である。オーストリア・ハンガリー帝国の崩壊後の1918年、マリボルはドイツ・オーストリアに併合された。その翌年の1919年、スロヴェニア軍がマリボルの市民広場で、非武装のドイツ人とアメリカの和平代表団を攻撃、「マルブルクの血塗られた日曜日」事件が発生。その結果、マリボルはスロヴェニア軍の支配下となり、ユーゴスラヴィア王国に属することになる。
1941年、ついにナチス・ドイツがこの地を支配、ヒットラーは『この国を再びドイツの手に』と支持者を鼓舞、マリボルで地元ドイツ人らによって熱狂的に歓迎される。占領後すぐに、ナチス・ドイツはスロヴェニア人大量追放に着手、隣国のクロアチア、セルヴィア、後には強制収容所に送り込んだ。そして第二次大戦後に突入、軍需産業の中心地であったマリボルは、大戦末期に連合国の徹底的な空襲を受ける。戦後、多くの地元ドイツ人たちはマリボルを追放された。
ソ連の崩壊後、1991年にスロヴェニアは独立を宣言、それに対しユーゴスラヴィア軍は軍事的攻撃を行ったが、わずか10日の戦闘後、スロヴェニアは独立を達成した。その後の困難な時期を乗り越え、2004年にEUに加入し、2007年には通貨ユーロを導入した。
前置きが長くなったが、マリボルの旧市街は国鉄中央駅から徒歩圏内、まずツーリストインフォメーションで見所を聞いた。英語、ドイツ語が堪能な彼女に聞くと、若い人々はやはり英語、歴史的背景のためか、ドイツ語を学ぶ人は少ないそうだ。すぐ隣にあるフランシスコ会教会を見た後、15世紀に建設されたマリボル城の博物館とモニュメントも近い。しばらく行くと、聖ヨハネ(マリボル)大聖堂(12世紀、ゴシック様式)が印象的だ。その周りには、マリボル大学、郵便局、劇場など特徴ある建物が並ぶ。その後、ドラヴァ川沿いに出て、市庁舎(ルネサンス様式)、400年以上前からあるという、世界最古のワイン用ブドウスタラ・トルタを通り過ぎてシナゴーグ、市庁舎前広場の花を撮影して駅前に戻り列車に飛び乗った。グラーツ駅前に15時に約束した、旧友との再会の時間に遅れてはいけない。
- 旅行の満足度
- 4.5
- 観光
- 4.5
- グルメ
- 4.0
- 交通
- 4.5
- 同行者
- 一人旅
- 一人あたり費用
- 3万円 - 5万円
- 交通手段
- 鉄道 徒歩 飛行機
- 旅行の手配内容
- 個別手配
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スロヴェニアとオーストリアの国境で機関車を入れ替える
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数少なくなったコンパートメントの客車
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マリボル中央駅
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パルチザン通りからフランシスコ会教会の眺め
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フランシスコ会教会のファサード
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市内観光用列車
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フランシスコ会教会の内部
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フランシスコ会教会の祭壇
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裏手からフランシスコ会教会を見る
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スヴォボディ広場のマリボル城博物館と民族解放記念碑
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グラスキー広場のマリボル城博物館とマリア柱
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グラスキー広場近くの街並み
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マリボル大学前のアントン・マルティンのモニュメント
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マリボル大学の堂々たるファサード
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洗礼者ヨハネ大聖堂のファサード
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洗礼者ヨハネ大聖堂の祭壇
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洗礼者ヨハネ大聖堂のステンドグラス
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洗礼者ヨハネ大聖堂のステンドグラス近景
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洗礼者ヨハネ大聖堂の内部
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洗礼者ヨハネ大聖堂のキリスト像
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洗礼者ヨハネ大聖堂のマリアとキリスト像
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堂々たる郵便局の建屋のファサード
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マーケットの人々
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元気な子供達
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ドラヴァ川沿いにあるJudgement Tower
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ドラヴァ川にかかるグラヴニ橋と白鳥
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ドラヴァ川の白鳥
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ドラヴァ川沿いの建物
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ドラヴァ川にかかるグラヴニ橋のたもとの建築
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ドラヴァ川にかかるグラヴニ橋のたもと
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ドラヴァ川の給水塔
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旧市街の特徴ある建物
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ソヴィエト時代の建物は味気ない
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市庁舎前広場
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市庁舎
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シナゴーグ(ユダヤ教会)のファサード
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シナゴーグの入り口
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市庁舎前広場のモニュメント
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旧市街の街並
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グラスキー広場のマリボル城博物館とマリア柱
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