”出羽街道中山峠越”は仙台藩の呼び名で、新庄藩では”最上小国街道”と呼ばれていたらしい。<br /><br />”山刀伐峠”をすると聞いた、2泊3日世話になった”封人の家”の主人の勧めで、芭蕉達は刀と樫の杖を持った屈強な若者を供に雇う。<br /><br />当時の”山刀伐峠”は修験僧しか通らないような険しい山道に加え、山賊や追剥の心配も有ったらしい。<br /><br />”最上小国街道”を西に進み、現在の”奥の細道けむりライン”赤倉温泉駅辺りを南（左）に向かい、一剥を過ぎた所に”山刀伐峠”の入り口がある。<br /><br />現在の”山刀伐峠”は整備が進んではいるものの、大型車は通れないとかで、我々はバスを降り、旅行主催会社の用意したタクシー数台に分乗し、体を上下左右に揺さ振られながら、鬱蒼とした広葉樹に覆われた「山刀伐二十七曲り」を辿り、”山刀伐峠”の頂上に向かった。<br /><br />頂上の手前でタクシーを降り、徒歩で”山刀伐峠”登頂を行い、少しだけ芭蕉達の苦労を追体験する。<br /><br />”山刀伐峠”の頂上には大きな杉の木の一見枯れてしまったような空洞が立っていた。<br /><br />その空洞に小さな杉が芽を吹いており、”子持ち杉”と呼ばれ、推定寿命は350年と云う。<br /><br />”子持ち杉”の奥には”小さな祠があり、”子持ち地蔵尊”と掲示されていた。<br /><br />更にその奥の広場に奥の細道の”山刀伐峠”のくだりを刻んだ顕彰碑が置かれている。<br /><br />”山刀伐峠”の帰り道は、芭蕉達が辿ったであろう道はかくも有りなん思われるつづら織りの山道を、来た道とは反対側のタクシーの待つ県道に下りた。<br /><br />芭蕉達が漸うよう”山刀伐峠”を降りた際、供をしてくれた若者が、一息ついている芭蕉達に、「此道必不用の事有り。恙なう送りまいらせて仕合せしたり」と云って安堵している言葉を、芭蕉は「跡に聞てさえ胸とゞろくのみ也」と奥の細道に記す。

奥の細道を訪ねて第10回26太平洋側から日本海側へ超える最大の難所・”山刀伐峠”

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2012/07/05 - 2012/07/05

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#自然・動植物

旅行記グループ奥の細道を訪ねて第10回藤原栄華の平泉より出羽路の旅　（目次）

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”出羽街道中山峠越”は仙台藩の呼び名で、新庄藩では”最上小国街道”と呼ばれていたらしい。

”山刀伐峠”をすると聞いた、2泊3日世話になった”封人の家”の主人の勧めで、芭蕉達は刀と樫の杖を持った屈強な若者を供に雇う。

当時の”山刀伐峠”は修験僧しか通らないような険しい山道に加え、山賊や追剥の心配も有ったらしい。

”最上小国街道”を西に進み、現在の”奥の細道けむりライン”赤倉温泉駅辺りを南（左）に向かい、一剥を過ぎた所に”山刀伐峠”の入り口がある。

現在の”山刀伐峠”は整備が進んではいるものの、大型車は通れないとかで、我々はバスを降り、旅行主催会社の用意したタクシー数台に分乗し、体を上下左右に揺さ振られながら、鬱蒼とした広葉樹に覆われた「山刀伐二十七曲り」を辿り、”山刀伐峠”の頂上に向かった。

頂上の手前でタクシーを降り、徒歩で”山刀伐峠”登頂を行い、少しだけ芭蕉達の苦労を追体験する。

”山刀伐峠”の頂上には大きな杉の木の一見枯れてしまったような空洞が立っていた。

その空洞に小さな杉が芽を吹いており、”子持ち杉”と呼ばれ、推定寿命は350年と云う。

”子持ち杉”の奥には”小さな祠があり、”子持ち地蔵尊”と掲示されていた。

更にその奥の広場に奥の細道の”山刀伐峠”のくだりを刻んだ顕彰碑が置かれている。

”山刀伐峠”の帰り道は、芭蕉達が辿ったであろう道はかくも有りなん思われるつづら織りの山道を、来た道とは反対側のタクシーの待つ県道に下りた。

芭蕉達が漸うよう”山刀伐峠”を降りた際、供をしてくれた若者が、一息ついている芭蕉達に、「此道必不用の事有り。恙なう送りまいらせて仕合せしたり」と云って安堵している言葉を、芭蕉は「跡に聞てさえ胸とゞろくのみ也」と奥の細道に記す。