2016/10/23 - 2016/10/23
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motogenさん
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サパの町に帰ってきた。
昼だ。
ギクシャクだったバイクの運転にも慣れて、バイクは快調に走る。
方向を変えて、南のラオチャイ村に出かけることにした。
バイクなら2時間もあれば、ゆっくり見学できるだろう。
- 同行者
- 一人旅
- 交通手段
- バイク
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-
ロータスホテル前の道を南に向かう。
ファミリーGHの前を通り、カットカット村を下に見ながら下っていく。 -
国道と違って道は細く、しかし交通量は多い。
舗装のほとんどがはがれていて、砂利や石が浮きあがり、大きなくぼみまである。
エンジンブレーキを効かせながら慎重に走る。
すると車やバイクに追い越され、土煙を浴びせられる。 -
欧米人女性に声をかけられた。
スクーター型バイクのエンジンがかからなくて、立ち往生している。
スターターボタンを押しても反応なし。
通電サインのランプさえ点灯しない。
バイクを押してもだめで、どこを触っても無駄だった。
女性は町に戻るバイクに同乗させてもらうことになった。
バイクもこうなったらおしまいだ。
自分でなくて良かったと、ほっと一息ついた。 -
谷間に下りて行く頼りない道があった。
MAPで確かめると、ここを下りてもラオチャイ村に行けそうだ。
真っ直ぐ進んでもラオチャイ村に行ける。
さて、どうしよう。 -
谷間を見ると、道は曲がりくねっていて心もとない。
しかし、面白そうだ。 -
迷っていると、土産物売りの子どもが現れた。
住人も立ち止まるバイクもいない道路なのに、こんな子どもが次々と現れる。
考えている暇はない。
真っ直ぐに進むことにした。 -
谷間は渓谷に変わり、水が流れている。
流れのずっと先は開けていて、集落らしきものが見え、その彼方には、雲にまとわれた雄大な山が霞んでいる。
道路脇に座りこんで三色おにぎりのランチタイムにした。 -
谷底をはさんだ真正面の、山の樹木を見ながらおにぎりをほおばっていると、急に背中や横っ腹がぞくぞくしてきた。
自分のいる断崖と、目の前の山との間にある空間が、ぞっとさせるのだ。
遠くの景色を見ている分には良いのだが、手の届きそうな数メートル先に何もなく、地面が消えて、そこにぽっかりと深い深い穴が空いているのが気持ち悪い。
フラフラと意識が遠ざかり、貧血状態になっている。
慌てて、草にしがみついた。 -
地面を踏みしめ、気持ちを落ち着かせ、再びバイクにまたがった。
渓谷に沿った砂利道を下っていく。
転倒しないよう細心の注意をしながら、エンジンブレーキ状態だけで下っていく。 -
展望台があった。
観光客へのサービスか。
可愛らしい子どもたちが遊んでいる。 -
いやいや、子どもたちはただ遊んでいるわけではない。
-
観光客がやって来ると、いなごのように集まってきて、手に手にもっている民芸品を差し出すのだ。
たじろぐ観光客。
しかしなぜか私には迫ってこない。
子どもの目には、貧乏人と見えたのか、ベトナム人と見えたのか・・・ -
展望台の下には集落が見える。
子どもたらはこの集落からやってきているようだ。 -
ここがラオチャイ村なのか?
子供たちの目を避けて、そっとバイクを走らせる。 -
集落に下りていく分かれ道があった。
土産売りのおばちゃんたちが座り込んで、何かを待っている。
これから町に向かおうとしているのか・・?
直進すればダバン村だ。
欧米人たちはダバンを目指しているようだ。
先ほど立ち往生していた欧米人女性も、ダバン村に行く途中と言ってたな・・・ -
よし、ダバン村まで行こう!
エンジンスターターのスイッチを押す。
グ、グ、グ、グ、グ・・・・
あれっ?
グ、グ、グ、グ、グ・・・・
何度やってもエンジンがかからない。
そのうちに、「パン!」の破裂音。
真っ黒な煙がマフラーから吹き出た。 -
先ほどの欧米人女性の立ち往生が、他人事ではなくなった。
近くにいた民族衣装のおばちゃんが、心配して見に来てくれた。
「ありゃ、これは、だめだよ。」
「・・・・」
「その店で、バイク屋に電話してもらいな・・・」
そう言ってくれていると推測され、泣きそうな顔でおばちゃんに従う。 -
親切なおばちゃんは、お店に人に見ていた事情を説明してくれる。
「電話してあげてよ。」と頼んでもくれる。
(これも推測)
バイク屋の電話番号は、バイクに張られている。
自分で電話しても良いのだが、ベトナム語は全くだめ、英語もそんな詳しい事情は説明できない。 -
店の中にいたお兄ちゃんが、どれどれ・・と現れた。
自分の携帯でバイク屋に電話してくれる。
電話ばかりではない。
ガソリンはエンジンにまで届いているか・・・
プラグに電気は来ているか・・・
キャブまでのワイヤーは動いているか・・・
キャブの汚れはないか・・・
店から工具を借り、手を真っ黒にして点検してくれるのだった。 -
修理をしているその脇を、嫁さんを乗せたバイクが通り過ぎていく。
昼飯を食べに、町から戻ってくるのだろうか。
そんなバイクがたくさん通るのに、救援のレンタルバイク屋はなかなかやって来ない。
はや1時間にもなる。 -
親切なお兄ちゃんの奮闘にも関わらず、エンジンは一向にかかってくれない。
兄ちゃんは、何度も電話をしてくれる。 -
ああ、何たることだ。
欧米人の女性と同じになってしまったよ。
ここのバイク、不良品ばかりだ。
嘆きながらも、気持ちを切り替える。
こんな親切な人たちに出会え、貴重な体験をさせてもらっていることを、喜ぶべきなのかも知れない。 -
韓国製の車に乗って、バイク屋がやっと救援に来てくれたのは、それから30分もたってからだった。
時刻は3時。
ちょこんとバイクを点検し、新しいプラグに交換すると、なんと簡単、エンジンは快調に回りだした。
言い尽くせないほどにお世話になったお兄ちゃんやおばちゃんに、何度も何度もお礼を言って、ダバンに向けて発進した。 -
ダバンの村が見えてきた。
これまでの村と違って、平地に田畑が広がり棚田ではない。
灌漑施設もほどほどになされていて、豊かな村に見える。
大きな建物もある。 -
集落に入っていくと、市場があった。
バイタクが客待ちをしている。
観光客の姿もある。
-
ホームステイの看板の出ている施設まであった。
-
その施設の隣を川が流れていて、村の規模には不釣合いと思えるほどの立派な橋が架かっている。
-
その橋に立つと、少し離れた場所に冒険心をくすぐるつり橋が架かっていた。
ホームステイ施設に出入りするための専用の橋だ。
なかなか凝っている村だ。 -
民族衣装のおばさんやお婆さんが、こぞって土産物を売っている。
-
観光客がぞくぞくと歩いてくる。
-
「どこから?」
「USA・・」「フランス・・」「オーストリア・・・」
「サパから歩いて来たの?」
「ノーノー、ラオチャイまでバス・・・1泊ツアーだよ。」 -
観光客の歩いてくるその道を、ラオチャイに向けて逆走していく。
ホームステイの様子を調べるはずだったのに、すっかり忘れてしまった。 -
橋を渡ると集落があった。
ダバンと比べると、村とは言えないような小さな集落だ。
ラオチャイ村だ。 -
裸同然の子どもが泥まみれになって遊んでいる。
-
こんな姿、撮影すると、児童ポルノに抵触してしまうかな・・
そんな心配もあるが、報道カメラマン気取りの私は、遠慮がない。 -
この子たちの家まで後をつけてしまおうとする。
(途中でやめましたが・・) -
子どもと仲良しになるのはあきらめて、路上のおばさんと話しこんだ。
おばさんが方は多少の英語ができるけど、私にはほとんどそれが理解できない。
-
でもその気になれば何とかなるもので、この素晴らしい民芸品に感動し、素直に褒めあげる。
見れば見るほど素敵な刺繍のポシェットだ。
500円だと言うが、安すぎる。
安すぎるけど、買う気はないのだから複雑だ。
私が家に持ち帰れば、これだけの見事な芸術品がゴミになってしまう。
それはおばちゃん方に失礼だ。
女房と一緒に来た時にたくさん買うよ、と謝っておく。 -
ただただ、褒め上げる。
「ナイス、ベリーナイス!」
「ビューティフル!」
おばちゃんは無理に買えとは言わなくなった。
見せるだけで、嬉しそうにしてくれる。
いいおばちゃんたちだ。 -
5時近くになり、バイクを返す時間となってしまった。
暮れゆくラオチャイを後にする。
今日もドラマがあったなぁ・・・
バイクから眺める景色は、郷愁を誘う風景画のようだった。 -
ラオチャイ村、ダバン村の位置関係です。
私はバイクで往復しましたが、アリヤンさんもDangdutさんもHalonさんも、みんな歩いて往復。
頭が下がります。
村に入ったり村の道を通過するには料金がかかると聞いていましたが、どこに行っても通行料を請求されたことはありませんでした。
このしくみはなくなったのでしょうか。
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この旅行記へのコメント (1)
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- trat baldさん 2016/11/26 15:17:39
- 多分、峠で悪霊に取り付かれたな、、、、
- 未開の地に多い霊だけど文明社会でも時折出現するよね。
三色おにぎりが最強のグッズである事は疑いようも無い!バイクは当てにならないね。
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