2023/12/23 - 2023/12/23
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kojikojiさん
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夜遅くにアグラに到着したホテルで晩ご飯を食べた翌朝は初めてホテルの全容を感じることができました。中庭を少し散歩して、開店と同時に朝食レストランに入ります。普段は朝ご飯を食べることもないのに、旅先では無性にお腹が減り朝ごはんが欲しくなります。以前は朝食を抜いて旅することが多かったですが、50代後半からは朝ご飯を食べないと昼まで体力を維持できなくなりました。朝食後は朝霧の中をアグラ郊外の「ファテープルシークリー(Fatehpur Sikri)」を目指します。アグラから約40キロ西に位置するムガル帝国第3代皇帝アクバルによって建設された都市です。アクバルは跡継ぎに恵まれなれなかったのですが、この地に住むイスラーム教の聖者サリーム・チシュティーを訪ね、世継ぎの問題について相談したところ息子を授かるだろうとの予言を授けられます。そのおかげでのちのジャハーンギールとなる王子サリームが誕生し、記念としてここに新たな都を造りアグラから遷都します。しかし慢性的な水不足と猛暑のためにわずか14年間しか使用されず、ラホールに遷都されて廃墟となります。「ファテープル・シークリー」とは勝利の都シークリーという意味で、勝利の都と名づけられたのはアクバルがグジャラート地方での戦いに勝利したためです。幾何学的な都市計画が実施されて、その中心部は宮廷地区とモスク地区とに分けられますが、見学するのは宮廷地区だけです。ほとんどの建築物が赤砂岩によって建設され、土着の建築文化とイスラーム建築の融合がなされた都市遺跡は美しく、早朝の観光客の少ない時間帯は幻想的でした。「ディーワーネ・アーム(Diwan-i-Am)」は皇帝と国民が接する開放的な建築物で、広い中庭の中に建っています。この建物には見覚えがありました。「落下の王国(The Fall)」というインド出身のターセム・シン監督の映画で、爆破されるシーンが印象的でした。この映画は橋から馬ごと飛び降りて重傷を負ったスタントマンの男性が少女に語るおとぎ話ですが、その映像美は記憶に強く刷り込まれました。ベートーヴェンの交響曲第7番の第二楽章が印象的に使われるのですが、24か国以上で撮影された華麗な映像の中にはインドで撮影されたところが数多くあり、その1つがこの場所でした。インドに行きたいと強く思うようになった映画の中に入れ込めた一瞬でした。思えば自分の過去に旅した場所の多くは好きな映画の一場面の中に身を置きたいという一念からだった気がします。
- 旅行の満足度
- 4.5
- 観光
- 4.5
- ホテル
- 4.5
- グルメ
- 4.5
- ショッピング
- 4.5
- 交通
- 4.5
- 同行者
- カップル・夫婦(シニア)
- 一人あたり費用
- 10万円 - 15万円
- 交通手段
- 観光バス 徒歩
- 航空会社
- ANA
- 旅行の手配内容
- ツアー(添乗員同行なし)
- 利用旅行会社
- 阪急交通社
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真っ暗になってから到着した翌朝のホテルの中庭は朝霧に覆われていました。
ジャイピー パレス ホテル&インターナショナル コンベンション センター ホテル
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部屋は1階だったのでかなりオープンな大きなベランダがついていました。建物は4本ほどのウイングに分かれているので、それぞれが渡り廊下で繋がっていて迷路のようです。
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メインビルディングの前には巨大なプール(遊泳用ではない)が造られています。これはこの後に見学に行く「ファテープルシークリー」のプールを連想させます。
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メインビルディングはレストランやロビーやフロント施設が入っています。
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非常に贅沢に空間を使ったシンメトリーなデザインに、ほぼ外観は大理石と地元で産出される赤い砂岩が使われています。「ジェイピー・パレス(JAYPEE PALACE)」の名前から分かるようにインドのインフラ系財閥であるジェイピーグループが経営しています。
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インドにはタタ(Tata Group)とビルラ(Birla Group)とリライアンス(Reliance Group)というインド経済で大きな役割を果たしている3大財閥がありあります。残念ながらジェイピーグループは不動産関係での投資が失敗しているようで、デリー近くにも開発途中で中断されたマンションの工事現場がありました。
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メインビルディングのグランドフロアに「The Grand」というレストランがあり、昨晩もこの店で晩御飯を食べました。
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開店と同時の午前7時に店に入ります。この時間に入っていたのは我々ツアーの人が占めていました。
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夕食はインド系の料理が半分ほどありましたが、朝食は洋食の料理が多いようです。ビュッフェの料理ですが、きれいに盛り付けられています。
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コーヒーマシーンはカプチーノやエスプレッソなどが簡単に作れるスチーマー付きの高級機でした。もちろん素焼きの陶器でスパイシーなチャイもいただけます。
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どの料理も美味しかったです。日系のANA直行便で高級ホテル4泊で観光付きのツアーが14万円ほどなのでコスパは良かったと思います。インドは中国の観光客にビザを発給していないのでホテルのレストランも静かです。
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赤い砂岩で造られた部屋のバルコニーです。残念ながら小鳥のさえずりをゆっくり聞いている時間はありません。
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ホテルの中庭はジャイプールのアンベール城のムガル庭園のような設えになっています。チャールバーグ構造の四辺形庭園は伝統的に水路で区切られた4つの庭園からなるレイアウトで、コーランに記載されている4つの庭園と4つの楽園の4つの川を表しています。人間が自然のすべての要素と完全に調和して共存する地上のユートピアを表現しています。
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先細りの柱とキャノピーのデザインがスリランカの建築家ジェフリー・バワのデザインを思い出させます。バワの設計した全てのホテルを見学しに行った旅のことも思い出します。
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昨晩も通過したマハラジャのアグラセンの黄金の像の前を通過しました。アグラセンは商人の街アグロハの伝説的なインドの王でした。彼はヒンドゥー教の神シュリ・ラムチャンドラの長男クシャの子孫の1人といわれます。
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メトロの高架から離れてアグラの西南西の方角にバスは進んでいきます。ようやくスムーズに走り出しましたが、「ファテープルシークリー(Fatehpur Sikri)」までは1時間以上かかるようです。
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雑然としたインドの町ですが、道路に面する塀などには様々なアートを出すのが好きなようです。ストーリー性があるのか分かりませんがとてもきれいです。変なグラフティよりアートとして完成されています。
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町を出るとまだ朝霧が立ち込めています。夜は明けていますが、逆光になっているせいもあり「彼は誰時(かわたれどき)」なんて言葉が頭に浮かびます。
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デリーやジャイプールではあまり見掛けなかった荷物を大量に積み上げた馬車がここでは現役の運送手段のようです。自転車のリキシャもたくさん走っています。
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近隣の農家から野菜を積み込んで売りに行く途中と思われます。
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昭和30年代の日本を思い出すような光景です。そんな中を真っ白な制服を着たみつあみの女学生が歩いています。
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アグラの町では市営の公衆トイレを数多く見かけました。混沌とした中にも秩序が感じられます。
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郊外への街道沿いにはテントや家具など装飾品の店が並んでいます。
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その次に現れたのは巨大なホーンをたくさんつけた山車のような車です。
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そしてたくさんの荷物を積んだ馬車がアグラの町の方向に走っていきます。
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名もないような湿地にはゴミが大量に捨てられています。そこに真っ白なサギがたくさん餌を探しているようです。清濁が混ざり合ったインドらしい風景です。
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空身のロバはどこへ向かっているのでしょう。荷役の注文が入っているのでしょう。
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同じような山車がたくさんあるのでガイドさんに尋ねてみると「結婚式の時に使うスピーカーです。」ということでした。インドでは大音響で音楽を流すのが好まれるようです。
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料金所を通過しますが、ここまでが有料道路だったのか、この先が有料道路なのかは分かりません。
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出来上がったレンガを山積みしたトラクターが集まっています。その積み方は芸術的です。ある意味ミニチュアのピラミッドのようにも見えます。
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今度はコブ牛が荷車を牽いています。後ろを牽かれている馬の背も重い荷物を長年積んでいるのか曲がってしまっています。
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ようやく「ファテープルシークリー(Fatehpur Sikri)」のエリアに到着しました。まずは見学前にトイレに立ち寄ります。
ファテープル・シークリー 史跡・遺跡
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観光地のトイレはどこもきれいに整備されています。女性用も誰も文句を言っていなかったので奇麗だったのではないでしょうか。
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トイレの近くにはコブ牛がたくさんいました。色とりどりなのが面白いです。これだけ色が違うと血縁関係は無いのかもしれません。
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世界で飼育されている家畜牛は大きく2系統に分けられ、1つはヨーロッパおよびアジア北部をその源とするコブ無し家畜牛の系統で、もう1つの系統がこのコブウシの系統です。コブ牛は熱帯性の病気や害虫に対する抵抗力が強いといわれます。
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駐車場から宮殿エリアまではバスに乗っての移動になります。スワラジマツダ(Swaraj Mazda)はインド資本のパンジャーブ・トラクターズ社がマツダの技術援助を受け小型トラックなど商用車を手がけました。マツダの技術援助は2004年に終了しているのでかなり古い車両なので内部はボロボロでした。
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あっという間に満員になったのでバスはすぐに出発します。
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先ほどバスで通過してきた「アグラ・ゲート(Agra Gate)」の手前のY字路をUターンします。長さ8キロにも及ぶ城壁沿いの門にはデリー門、ラル門、アグラ門、ビルバル門、チャンダンパル門、グワリオール門、テヘラ門、チョー門、アジュメリ門が設けられています。
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城壁は延々と続いているようで、現在は廃墟になったこの辺りは軍事施設で、兵士の居留地だったそうです。
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「ナウバト・カーナ(Naubat Khana)」という門を通過します。バスでかなりの距離を走るのですが、この全部が「ファテープル・シークリー」の廃墟となった都市の跡のようです。この建物は音楽音楽隊が置かれ、皇帝と他の高官が宮廷で謁見することを告げました。また楽団は1日5回の決められた時間に演奏されました。多くのインドの王宮の入り口にこのような建物が設けられています。
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ようやく一番の高台にある宮殿エリアに到着しました。ここでバスを降りて壁に開けられた門から中に入ります。
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城壁は赤い砂岩が積み上げられ、リスがたくさん遊んでいます。
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「ファテープル・シークリー」の入場料もインド人40ルピーに対し、外国人は600ルピーと15倍の料金設定です。
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アグラでの観光地の持ち込み禁止品は多岐にわたり、かなり細かく設定されています。ガイドさんから事前に説明があり、特に午後に行くタージ・マハルは空港並みのセキュリティ検査があると注意されます。
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城壁の中は「ディーワーネ・アーム(Diwan-E-Khas)」と呼ばれる回廊で囲まれた一般の謁見の間が設けられ、芝生の庭を抜けると広い石貼りの広場が現れます。突然変わる空間に思わずため息が出ます。「シークリー砂岩」と呼ばれるこの地域の赤い砂岩で覆われた広大な宮殿に圧倒されます。
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「ファテープル・シークリー」はムガル帝国第3代皇帝アクバルによって建設された都市です。アクバルは跡継ぎに恵まれませんでしたが、この地に住むイスラム教の聖者サリーム・チシュティーを訪ね、世継ぎの問題について相談したところ息子を授かるだろうとの予言を授けられます。そのおかげでのちのジャハーンギールとなる王子サリームが誕生し、記念としてここに新たな都を造りアグラから遷都します。
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「ファテープル・シークリー」の王朝建築はティムール朝の様式をモデルにして、都市の建築は当時インドで人気のあったヒンドゥー教とイスラム教の両方の形式を反映しています。まずはガイドさんの説明を聞きます。
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広場の少し奥にある「チャトリ(chatri)」が4つ設けられた「ディワーネ・カース」の建物には記憶がありました。それはターセム・シン監督の「落下の王国(The Fall)」という映画の一場面で出てきたからです。
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橋から馬ごと落下するスタントに失敗して下半身不随になってしまったスタントマンが自死するために骨折して入院していた女の子に調剤室から薬を持って来るように自作の物語を語ります。その物語の場面は24か国で撮影されますが、監督の出身ということもありインドがロケ地に多く使われています。
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ベートーヴェンの交響曲第7番の第二楽章が印象的に使われるこの映画は漠然と思っていたインド旅行を実施する気持ちを後押ししてくれたと思います。映画の中ではこの「ディワーネ・カース」は爆破されてしまうのですが、その無事を確認しに来たようです。(タージ・マハルとアンベール城もロケで使われています。)
https://www.youtube.com/watch?v=NLCAvsvqBEc -
「ディワーネ・カース」の内部は吹き抜けになっており、2階部分には壁に沿った回廊しかありません。四隅から延びた空中の通路の交差点には特徴的な柱が置かれてあります。
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プライベート謁見の建物は幾何学模様と花柄の帯が刻まれた正方形の土台と八角形のシャフトを持つ中央の柱には36の曲がりくねったブラケットが円形のプラットフォームを支えています。
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アクバルはここでさまざまな宗教の代表者に信仰を議論させ、私的な謁見を行いました。八角形の柱には幾何学模様で覆われていて寸分の余白もありません。
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アラビア語で「偉大」を意味するアクバルの名にふさわしく、中央アジアからの流入者であった祖父バーブルの立てたムガル朝を帝国と呼ばれるにふさわしい国家に発展させました。インドの最も偉大な王であり融和の象徴として現在のインドでも人気が高い皇帝だそうです。
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四方から謁見の間に入ることができますが、それ以外の壁には明り取りのジャリス(jaalis)と呼ばれるスクリーンが嵌め込まれています。
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ここは記念写真のポイントのようで、ガイドさんがシャッターを押してくれました。
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朝一番の見学なので地元の観光客の姿もほとんどありませんでした。アグラは観光しやすいと思ったのはここだけで、次に行った「アグラ城」や「タージ・マハル」ではものすごい観光客の数に圧倒されることになります。
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「ディワーネ・カース」の建つフロアレベルより1段上がったところからさらに広い広場が広がります。その傍らにカザナと呼ばれる宝物殿があり、入り口には小さな東屋(Treasury Kiosk)が建っています。
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この東屋は「占星術師の席」と呼ばれ、デザインは西インドの中世のジャイナ教寺院に由来しています。特徴的なトラーナ・アーチ(Torana Arches)が美しいです。
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トラーナは東南アジアや東アジアの一部でも広く見られ、中国の山門門や日本の鳥居、韓国のイルジュムンとホンサルムンの門、ベトナムのタムクアン門、タイのサオチンチャなどもインドのトラーナがルーツとされます。
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ここも撮影ポイントのようで、ガイドさんに促されて記念写真を撮ります。
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好きな映画に出てくる場所に来ることができて大満足です。映画の舞台になった場所へ行ってみたいと思ったのはもう30年以上前のことで、その最初はリュック・ベッソン監督の「グラン・ブルー」とジュゼッペ・トルナトーレ監督の「ニューシネマ・パラダイス」と「みんな元気」という映画でした。シチリアを1週間ほどかけて旅したことを思い出します。
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5階建ての宮殿を意味する「パンチ・マハール(Panch Mahal)」はゼナナの宿舎(ハーレム)の近くにあり、娯楽やリラクゼーションに使われていたといわれています。また前に広がる庭は巨大なチェス盤になっていて、皇帝が駒に見立てた女性の動きを眺めたということです。チェスはパンシーと呼ばれます。
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この建物は「ファテープルシークリー」で最も重要な建物の1つで、仏教寺院のデザイン要素を採用した構造になっています。非対称に配置されたサイズが小さくなった5階建てで、84本の柱で構成されています。これらの柱はもともとその間にジャリス(スクリーン)がありました。
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1階は84本、2階は56本、3階は20本、4階は12本の柱で支えられ、一番上の階にはチャトリを支える4つの柱があります。全部で176本の柱があり、それぞれがユニークなデザインのエレガントな彫刻が施されています。
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「パンチ・マハール」の最上階のテラスから眺めることの出来るプールは「アヌープ・タラブ(Anoop talab)」と呼ばれ、4本の橋の先には音楽コンサートやその他の娯楽の舞台に利用されたヤーリスで装飾された欄干のあるステージがあります。アクバルの宮廷の書記たちはこのプールが金、銅、銀のコインで満たされていたと記録しています。このプールは娯楽目的以外にも中庭を冷やすという効果もあったようです。
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「アヌープ・タラブ」の脇にある建物は「トルコ王女の家(Hujra-l-Anup Talao)」と呼ばれます。サリマ・スルタン・ベグムとルカヤ・ベグムと呼ばれるアクバルの2人のトルコ女王の家であったとされます。
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実際には住宅としては小さすぎ、プールの脇に設けられた園遊のためのパビリオンの役目のある建物のようです。パビリオンのベランダと柱廊玄関には格子のある石造りのジャニス(スクリーン)があります。
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まるで木造の建築のように緻密な石組と彫刻が施されたこの建物は究極の石造建築と思えます。隙間なく幾何学模様や草花の彫刻が施された以外にもパネルには森や庭園の風景が描かれ、動物モチーフや卍模様もあります。
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驚異的なのは軒裏にも施された彫刻です。
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中国の漆芸の堆黒という技法の「屈輪(ぐり)」を想像させるようなデザインです。
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天井に至っては満天の星空のように思えてきます。インドの幾何学模様の粋を集めたような建物に溜息が出ます。
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経年による劣化は見られますが、出来上がったばかりの頃はどれほどの美しさだったのでしょうか。「シークリー砂岩」の赤い色だけで統一された色彩に施された彫刻の超絶技巧に言葉もありません。
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プールの対岸には「クワブガ(Khwabgah)」と呼ばれる建物があります。この建物はアクバルの個人的な図書館と公式文書が保管され、小さなバスルームとアクバルの寝室がありました。
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ここでもリスが遊んでいます。コブ牛ばかり見ていた目には新鮮です。
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先ほど外観を眺めた「パンチ・マハール(Panch Mahal)」を右手に眺めながら宮殿の奥へ進んでいきます。
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まだ朝霧の残る幻想的な雰囲気が残っています。何より見学者が少ないのがありがたいです。「ジョーダ・バイ・マハル(Jodha Bai Mahal)」が見えていますが、先に手前の建物を見学します。
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「マリアム・ウズ・ザマニ(Mariam's House or Sunehra Makan)」という独立した館を外観から見学します。
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マリアム・ウズ・ザマニは第3代ムガル帝国皇帝アクバルを41年間に渡って支えたムガル帝国の最も長く仕えたヒンドゥー教の皇后でした。
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アクバルとの結婚はアクバルの宗教的、社会的政策に変化をもたらしました。彼女は現代インドの歴史学において、アクバルの宗教の違いに対する寛容さと拡大する多民族と多宗教帝国における包括的な政策の両方に影響を与えたとみなされています。また彼女は並外れた美しさを持っていると言われました。
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彼女はアクバルの生き残った長男で最終的な後継者であるジャハーンギールの母であり、シャー・ジャハーンの祖母にあたります。
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この館は同じ赤い砂岩を利用して建てられていますが、表面に施された彫刻や模様はほとんどありません。現在は剥離してしまっていますが、その全面には白漆喰とその上に描かれた極彩色のフレスコ画の跡が見られます。
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薄っすらと長い鼻を巻いた象の姿も確認できます。この当時も象は人や物を運搬する便利な乗り物だったのだと分かります。前日のアンベール城で象に乗れなかったのが残念です。
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この館でも天井は幾何学模様をカラフルに塗り分けています。
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最後の宮殿エリアである「ジョーダ・バイ・マハル(Jodha Bai Mahal)」に入ります。ここはアクバルの他の王妃たちが住んでいたエリアです。
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宮殿の名前はアクバルの息子の第4代皇帝ジャハーンギールの妃の名前が付けられていますが、アクバルとその妃たちの実際の住居として建てられました。
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この宮殿のカワブガ(寝室)は美しく広々とした2階建てになっています。宮殿はヒンドゥー教の寺院と、ヒンドゥー教徒の妻が崇拝することを前提に構成されています。この宮殿はアクバルの宮殿ともつながっていました。
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木造の建築のような姿をしていますが、実際に木で出来ているのは扉くらいです。さすがにムガル帝国の皇帝でも扉を砂岩で造ることは出来なかったようです。
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建物の内部の装飾まで石が用いられています。
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4面囲まれた中庭を中心に4つの住居スペースが設けられています。ここでもガイドさんが写真を撮ってくれました。
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アクバルにはルカイヤ・スルターン・ベーグムというイスラム教スンニ派の妃と宰相バイラム・ハーンの元妻でもあったサリーマ・スルターン・ベーグムというイスラム教スンニ派の妃、そしてマリヤム・ウッザマーニー・ベーグムというヒンドゥー教徒の妃がいました。
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ここに並ぶ住居は彼女たちの住んだ場所という説明でしたが、どこが誰だったか聴き洩らしてしまいました。
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アクバルの治世は1556年から1605年なので英国のエリザベス1世の治世とほぼ重なっていいます。神聖ローマ帝国ではフェリペ2世、フランスではアンリ4世という時期でした。
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日本では1560年の桶狭間の戦いで勝った織田信長が登場し、豊臣秀吉へと続く織豊政権を経て江戸幕府が成立する時期に当たります。インドの歴史についてはほとんど学んだ記憶もなく、改めて学ぶことが必要だと思いました。
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デリーで見学してきたフマユーン廟もアクバルが建立したもので、フマユーンはムガル帝国2代皇帝なのでアクバルの父に当たります。
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北インドのゴールデントライアングルを旅する場合はムガル帝国の簡単な歴史を知っておいた方が良いと思いました。
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最後に「パンチ・マハール(Panch Mahal)」の見学に移ります。見学できるのは1層のみで上階に上がることは出来ません。
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サリーを着た女性が歩いていると16世紀のアクバルの時代に彷徨い込んだ気がしてきます。
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王宮中心部の風の塔とも呼ばれる「パンチ・マハール」は176本の柱によって支えられていますが同じデザインの柱は1本としてないといわれます。建物には壁がなく、上の階へ登るにつれて床の面積は狭まっていきます。このような建物はアクバル独自の発想でムガル建築史上例がありません。
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カンボジアのプノンペンでこの花はシヴァを表すと教わったことがありますが、インドではどうなのかは尋ねませんでした。サンタンカとかイクソラと呼ばれますが、イクソラはシヴァを意味するサンスクリット語をポルトガル語に訳したものと言われています。
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建築構造上は壁のない石造建築の下に入るのはちょっと怖い気がします。横揺れの地震が来たら崩れそうな気がしますが、400年以上ここに建っているのですから不思議に思えます。
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シンメトリーの建築がほとんどのムガル帝国の建築の中でも異様な建物だと感じます。柱の1本づつは詳しくは見てきませんでした。
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チェスの起源は紀元前300年ごろのインドで遊ばれていた「チャトランガ」に遡ります。 古代インド語で4つの軍隊を意味し、元々はサイコロを用いたゲームでしたが、サイコロを廃止して各2つの軍を合わせて1つとし、2人で戦うようにしたものがチェスの原型であると言われています。
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残念あガラ見学は宮殿地区だけでモスク地区には足を延ばすことはありませんでした。アグラを含んだツアーでは移動時間を考えるとここで切り上げないとアグラ城やタージ・マハルの見学ができないのだと思います。
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再びボロボロのスワラジマツダのバスに乗って駐車場に戻ります。今度は最後尾の座席に座ってリアウインドウから写真を撮りました。
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廃墟となったエリアを通過します。
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きれいなコブ牛が出迎えてくれました。
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再び1時間ほどかけてアグラの町に戻ります。
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再び興味は車窓の風景に変わります。早朝から時間が経っているので町中も賑やかになっています。
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カラフルなオート三輪が走っています。昭和40年代はトラックの三輪は当たり前のように走っていました。子供の頃に何かのタイミングで乗ったことがありますが、タイヤの隙間から地面が見えて怖かった記憶があります。
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東南アジアの国ではエンジンにタイヤを付けただけのトラクターものd気が走っていますが、それに比べるとインドは自動車産業が進んでいると思います。
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屋台の荷車は何か基準のようなものがあって、同じ規格で造られているようです。このスタイルはデリーでもジャイプールでもアグラでも同じでした。
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不思議な縞模様の美しい馬車が通過していきます。
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屋台の車輪はよく見るとスポーク付きのものも混ざっています。多分車輪の規格は自転車に合わせてあるのだと思います。
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鉄の車輪には自転車用のタイヤも装着できるようです。
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上に乗せる野菜や果物の並べ方は主の扇子が感じられます。無造作に積み上げる人もいますが、大抵はきれいに積み上げられています。
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リキシャ―は国によって呼び名も違いますが、前漕ぎタイプト後ろ漕ぎに別れると思います。ベトナムのシクローは後ろ漕ぎで、以前漕がせてもらったことがありますが大変な商売だと感じました。
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ラクシュミーバーイー(Lakshmibai)は、インド中部にあったマラーター同盟の小王国ジャーンシー藩王国の王妃です。インド大反乱の指導者の1人で、イギリス軍相手に戦ったことから「インドのジャンヌ・ダルク」とも称されます。「ジャーンシーのラニ(Rani of Jhansi)」の名でも知られます。
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この像が見えてくるとアグラの町に入ったと分かります。当初の予定ではこの後ホテルに戻って昼食ということでしたが、町中が渋滞しているので、通過するアグラ城を先に見学してホテルに戻ることになりました。
ジャイピー パレス ホテル&インターナショナル コンベンション センター ホテル
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