◆福島・四季・彩々・Part114、春風の誘惑

2023/03/11 - 2023/03/17

☆ 極楽タイ・最後の楽園リペ島・２０２３シリーズの途中ですが
今年の春ネタが賞味期限切れになる前に
SDGｓ的な割り込み投稿です(^-^;。

福島の四季折々の花や自然風景を紹介している
“福島・四季・彩々”は回を重ね丁度Ｐａｒｔ,１１４になりました。
単独ネタにするには写真が少なかったり
あまり脈絡がないネタだったりですが、
それらを強引につなぎ合わせたのが“福島・四季・彩々”で
福島県の自然のネタと言う事以外にはあまり共通点はありません。

今回は福島空港日本庭園を主に紹介するので
生粋の自然ネタとは言い切れませんが
早春の野の花だけでドラマを展開するには、まだまだ駒不足は否めません。
福島の早春は正に『春は名のみの風の寒さや』そのものです。
そこで過去の写真とコラボしながら四季の移ろいを
展開していこうと思います。

エリア 東白川・石川(福島)

• 旅行の満足度: 5.0
• 観光: 5.0
• 交通: 5.0

• 同行者: 一人旅
• 一人あたり費用: 1万円未満
• 交通手段: 自家用車 徒歩

☆福島・四季・彩々・春風の誘惑 ～福島空港周辺Map

※Google Earthに加筆
https://www.google.co.jp/maps/@37.2572879,140.3694625,12257m/data=!3m1!1e3?hl=ja

☆福島空港エリアマップ

※福島空港公園HPより
https://airportpark-fukushima.jp/

福島空港は我が家から車で１５分くらい。
1993年3月開港なのでまだ比較的新しい空港です。
阿武隈山地を切り開いて造られた空港で標高は３７２ｍ。
長野の松本空港(６５７ｍ)に次いで日本で２番目に標高が高い空港です。
空港の周りは敷地にかなり余裕があるので、
総面積が３３０ｈにも及ぶ自然公園が取り囲んでいます。

空港ビル前の公園だけでも約20haで
東京ドーム敷地面積約4.7haの4.2倍の広さがあります。

☆福島空港エアフロントエリアマップ

※福島空港公園HPより
https://airportpark-fukushima.jp/

福島空港を利用するなら空港ビル前の駐車場が便利です。
福島空港公園へは道路向かいなので空港ビル前の駐車場からも行けますが
横断歩道の最寄の駐車場がふさがっていることもあるので
空港公園内にある駐車場が便利です。
この地図のエアフロントエリア入り口からアクセスします。
駐車場＆入園料は無料ですが、公園内駐車場は開門、閉門時間があります。
開園時間
6:00～21:00 (定休日無し)


・福島空港ビル前の駐車場は無料。
・中央駐車場の開門時間　6時30分～20時30分
・北駐車場の開門時間　5時30分～21時00分

・長期駐車（1週間以上）の場合は、届出が必要です。
ご出発の前に、福島空港事務所（ターミナルビル２階）にお立ち寄りください。

☆春風の誘惑 ～福島空港公園日本庭園

今年の春は全国的に暖かく福島県も例年より１０日間くらい早く
花々が咲き出しました。
とは言え私が好きな野の花はセリバオウレンなどが
ようやく咲き出したばかりなので、まずは梅の花から
春を謳歌しようと思い近場の福島空港公園を訪れてみました。

☆春風の誘惑 ～福島空港公園日本庭園

福島空港や福島空港公園は標高３７２ｍ、元々あった里山の地形を生かし
公園を取り囲む雑木林を借景として上手く取り込んで作庭されています。

☆春風の誘惑 ～福島空港公園日本庭園

季節は春を迎えていますが昨秋に施された雪吊りがまだ撤去されていません。
今年の春がいくら暖かいとは言え、当地では桜が５分咲きの時
１０ｃｍほど雪が積もったことがあるので桜が散る頃までは油断できません。

☆春風の誘惑 ～福島空港公園日本庭園

池にヨシズのような物がありますが、
これは魚がアオサギなどの野鳥から身を隠すためのものです。

☆春風の誘惑 ～福島空港公園日本庭園

雪見灯篭のある斜面は玉砂利になっていて
浜辺（洲浜）を表しているようです。

☆春風の誘惑 ～福島空港公園日本庭園

園地の向こう側の山並みは元々ある山で
庭園をより広く見せるための借景として取り込んでいます。

☆春風の誘惑 ～福島空港公園日本庭園

写真真ん中の赤いものは南天の実です。

☆春風の誘惑 ～福島空港公園日本庭園

福島空港日本庭園は須玉亭を中心とした典型的な池泉回遊式庭園と呼ばれる
様式で大きな日本庭園でよく取り入れられている形です。

☆春風の誘惑 ～福島空港公園日本庭園：須玉亭

回遊式庭園は、室町時代に禅宗寺院や江戸時代においては大名により多く造営された形式で、日本庭園の集大成とも位置づけられます。
最も一般的な形式は池泉回遊式庭園（ちせんかいゆうしきていえん）と
呼ばれるもので、大きな池を中心に配し、その周囲に園路を巡らして、
築山、池中に設けた小島、橋、名石などで各地の景勝などを再現しています。
園路の所々には、散策中の休憩所として、また、庭園を眺望する展望所として
茶亭、東屋なども設けられています。

☆春風の誘惑 ～福島空港公園日本庭園：須玉亭

福島空港公園日本庭園の東屋『須玉亭』は茶室風の数寄屋造りで
無料の休憩所になっています。
テーブルセット、飲み物の自販機、トイレがあります。

☆春風の誘惑 ～福島空港公園日本庭園：須玉亭

『須玉亭』は空港や公園が須賀川市と玉川村にまたっているので
両市村名の頭をとり『須玉亭』と名付けられました。

国土地理院の地図で確認すると『須玉亭』と池の間に
境界線があり、まさに『須玉亭』です。
まさか偶然ってことはあり得ないと思うので
ちゃんと計算し、どちらにも配慮した心憎い気配りだと思います。

☆春風の誘惑 ～福島空港公園日本庭園：梅園

『須玉亭』園地から少し高い丘の上に小ぶりな梅園があります。
まだ満開ではありませんでしたが、見頃の木もけっこうあり
春の訪れを喜ぶかのようにウグイスが囀りが園内にこだましていました。

☆春風の誘惑 ～福島空港公園日本庭園：梅園

福島空港は1993年3月、福島空港開港と同じくして新規造成オープンした
比較的新しい公園ですが、梅園の梅の木は当初から古木だったので
梅園に風格を出すため始めから古木が植えられたのでしょう。

☆春風の誘惑 ～福島空港公園日本庭園：梅園

☆春風の誘惑 ～福島空港公園日本庭園：梅園

昔からことわざに『桜切る馬鹿に梅切らぬ馬鹿』と言うのがあります。

これは「桜切る馬鹿、梅切らぬ馬鹿」というものがあります。
これは同じバラ科の木ですが、サクラの枝を切る人や
ウメの枝を切らない人は愚か事だという比喩表現です。

☆春風の誘惑 ～福島空港公園日本庭園：梅園

このことわざは本当でしょうか？

特にサクラの品種であるソメイヨシノは
幹に腐朽菌が入るとたちまち侵され、
中が空洞になってしまいます。

これがサクラの剪定が難しいとされ、
「桜切る馬鹿、梅切らぬ馬鹿」ということわざが
この世にできた理由です。

☆春風の誘惑 ～福島空港公園日本庭園：梅園

それじゃ、梅の木は剪定し放題？
いいえ、梅も桜もバラ科なので大きな違いはありません。
特に太い幹を切る梅も桜も中心部に腐敗菌が入り枯れやすくなります。
ただ梅の木の方が若干腐敗菌に強いので剪定に強いと思われています。

桜も梅も細い枝を剪定する分には大きな問題はありませんが
太い枝になるほど腐りやすいので注意が必要です。

☆春風の誘惑 ～福島空港公園日本庭園：梅園

☆春風の誘惑 ～福島空港公園日本庭園：梅園

桜＆梅どちらも、どうしても太い枝を
切らなくてはいけない場合は、
腐敗防止剤をつける必要があります。

もしない場合は木工用ボンドでも代用できるそうです。
1/3ほどに希釈で塗れば腐敗菌の進入を予防し
樹木の寿命を延ばすことができます。

☆春風の誘惑 ～福島空港公園日本庭園：梅園

白梅＆紅梅＆青空のコラボレーションが最高でした(^^♪。
梅に限らずですが、海であれ紅葉であれ桜であれ
やはり青空の下だと美しさがより際立ちますね。

☆春風の誘惑 ～福島空港公園日本庭園：梅園

☆春風の誘惑 ～福島空港公園日本庭園：梅園

こんな立派な梅の木ならば、さぞ梅の実も見事であろうと思います。
でもその梅の実はどうしているのでしょう？
ちなみに水戸の偕楽園では梅の実は収穫し
殆どは業者に卸し残りは1人1袋（1キロ）を200円で
一般販売するそうです。

☆春風の誘惑 ～福島空港公園日本庭園：梅園

尾形光琳の紅白梅図屏風に描かれているような風格ある古木です。
庭園の梅の木は当然人間の剪定によって作られた樹形ですが
外国人がこれらの梅の木を見たら
尾形光琳の紅白梅図はけして架空の木で無いことを実感するでしょう。

☆春風の誘惑 ～福島空港公園日本庭園：梅園

☆春風の誘惑 ～福島空港公園日本庭園：梅園

梅の開花宣言は無いので正式なデータは分かりませんが
今年、福島県で一番早く桜（ソメイヨシノ）が開花したのが
いわき市小名浜の3月23日で平年より14日、昨年より15日早い開花でした。

福島空港公園の梅は相当満開の早かった2021年でも３/１８でしたから
今年の満開はそれより１週間も早いことになります。

☆錦秋の福島空港公園～日本庭園　（※2022/11/11 撮影）

ここから唐突に紅葉の写真になります。
いつも撮影日と旅行記の投稿日がかなりズレていますが
昨年も紅葉シリーズを全部投稿完了する前に新年（2023年）を迎え
それでもメゲズニ紅葉シリーズを投稿してきました。
でも結局、投稿完了する前にリペ島旅行に行ったこともあり
紅葉シリーズの後半はお蔵入りになってしまいました。

しかしお蔵入りのつもりだった福島空港公園の紅葉写真は
今回の旅行記に便乗して蔵出しすることになりました。

☆錦秋の福島空港公園～日本庭園　（※2022/11/11 撮影）

秋の梅園です。
葉は既に落葉し冬支度しています。

☆錦秋の福島空港公園～日本庭園　（※2022/11/11 撮影）

☆錦秋の福島空港公園～日本庭園　（※2022/11/11 撮影）

銀色のススキが秋の風情を演出しています。
でもこのススキは栽培したのではなく
自然に生えてきたものを生かしているのだと思います。
何故かと言うと小笹の植え込みの中から生えているので
わざわざここに植栽したとは思えません。

☆錦秋の福島空港公園～日本庭園　（※2022/11/11 撮影）

梅園側は園地より少し高い丘になっていて
池や須玉亭を見下ろすことができます。
須玉亭裏の森も、元々ここにあった里山の雑木林を生かしたものです。

☆錦秋の福島空港公園～日本庭園　（※2022/11/11 撮影）

☆錦秋の福島空港公園～日本庭園　（※2022/11/11 撮影）

石の多宝塔も設置後３０年経つので大分風情が出てきました。

☆錦秋の福島空港公園～日本庭園　（※2022/11/11 撮影）

日本庭園には３か所ほど入口門があり、
この東側の門の向こうではメタセコイアが赤く色づいていました。

☆錦秋の福島空港公園～日本庭園　（※2022/11/11 撮影）

日本庭園は『須玉亭』と下の池を中心に回遊式になっているので
様々な地点から中心部が見渡せます。

☆錦秋の福島空港公園～日本庭園　（※2022/11/11 撮影）

☆錦秋の福島空港公園～日本庭園　（※2022/11/11 撮影）

日本庭園で良く見る施設に『四阿』がありますが、
皆さんはこれを読めますか？
馬鹿にするなと思う人もいれば
『しあ』？『よんあ』？
降参される方も多いと思います。

☆錦秋の福島空港公園～日本庭園　（※2022/11/11 撮影）

☆錦秋の福島空港公園～日本庭園　（※2022/11/11 撮影）

『東屋』『四阿』は日本庭園に於いて四方に軒を下ろした
寄棟造りや宝形造りの小さな建物を指します。
なので福島空港日本庭園の『須玉亭』は『東屋』ではなく
休憩所と表示されています。

☆錦秋の福島空港公園～日本庭園　（※2022/11/11 撮影）

☆錦秋の福島空港公園～日本庭園　（※2022/11/11 撮影）

『四阿』は『あづまや』と読みます。
完璧な当て字ですね。
元々は中国庭園では『東屋』のことを『四阿頂』と言うそうで
それで日本庭園の『東屋』にも『四阿頂』の漢字を当てたそうですが
現在はあまり使われていないような気がします。
漢字検索で『あづまや』を検索しても4，5番目に出てくるので
知らない人が多いと思われます。

☆錦秋の福島空港公園～日本庭園　（※2022/11/11 撮影）

南国のリゾートでは『東屋』の進化系として
『ガゼボ』や『サラ』などがあります。
ただ軒は無い場合が多く天蓋などで代用されています。

☆錦秋の福島空港公園～日本庭園　（※2022/11/11 撮影）

☆錦秋の福島空港公園～日本庭園　（※2022/11/11 撮影）

こんなに素敵な錦秋の日本庭園ですが訪れる人はわずか。
静かに鑑賞できるのはありがたいですが
入園料だって無料なのにもったいない限りです。

☆錦秋の福島空港公園～日本庭園:須玉亭　（※2022/11/11 撮影）

今度は須玉亭内から庭園を眺めて見ましょう。

☆錦秋の福島空港公園～日本庭園:須玉亭　（※2022/11/11 撮影）

長めの軒先や手すりも景色の一部になっています。

☆錦秋の福島空港公園～日本庭園　（※2022/11/11 撮影）

園内ではサザンカも咲き出していました。
ところで、サザンカとツバキは良く似ていますが
簡単な見分け方は分かりますか？
ツバキは花まるごと落花しますが、
サザンカはハナビラがパラパラと散るのが大きな違いです。
ただし、ツバキの園芸品種の中には、
花弁が分かれて散っていくものもあるので100%の見分け方ではありません。
さらに花の形でいえばツバキは完全に開花してもカップ型ですが
サザンカは次第に平たくなってきます。

☆錦秋の福島空港公園～日本庭園　（※2022/11/11 撮影）

常緑の竹ですが晩秋には夏場より少し黄色みを帯びてきます。
竹林に西日が当たるとより黄色みが際立ちます。

☆錦秋の福島空港公園～日本庭園　（※2022/11/11 撮影）

モクレンも地味ながら黄葉します。
すでに来春の花芽が出来ていますね。

☆錦秋の福島空港公園～日本庭園　（※2022/11/11 撮影）

こちらはメタセコイヤの紅葉です。
メタセコイアは、ヒノキ科（またはスギ科）メタセコイア属の落葉樹。1属1種。和名はアケボノスギ（曙杉）で英名 dawn redwood を訳したものでだそうです。
樹高は３０ｍにもなり樹形が美しく紅葉することから
公園や並木などに植えられる。

☆錦秋の福島空港公園～日本庭園　（※2022/11/11 撮影）

イチョウとともに化石植物といわれる遺存種で、
当初は日本を含む北半球で化石として発見されるのみで、
絶滅した植物と考えられていたが、
20世紀半ばに中国南西部で自生していることが確認され、
そこから世界中に移入されるようになりました。

☆錦秋の福島空港公園（※2022/11/11 撮影）

日本庭園とは違う場所のモミジが盛んに落葉し始めていました。
その落葉に西日が射し込み燃えるように赤く染まっていました。
最後の輝きですね。

☆錦秋の福島空港公園　（※2022/11/11 撮影）

◆蒼天樹雪の福島空港公園・日本庭園絶景雪景色　（※2022/2/11）

福島空港公園・日本庭園は春夏秋冬それぞれ趣がありますが
厳寒の頃は北国ならではの美しさを見せてくれます。

◆蒼天樹雪の福島空港公園・日本庭園絶景雪景色　（※2022/2/11）

雪吊りには様々な施工方法があり
芯柱を建てて、その先端から縄を出して枝を吊る「りんご吊り」や、
芯柱を建てずに、庭木の幹から直接縄を出して枝を吊る「幹吊り」
支柱を立て下部に輪を作り傘のように縄を張る「傘吊り」などがありますが、
福島空港公園/日本庭園は下部に輪があるので「傘吊り」のようですね。

◆蒼天樹雪の福島空港公園・日本庭園絶景雪景色　（※2022/2/11）

この日は程良い積雪に青空、
さらに木々は樹雪状態でとても神々しく美しかったです。
池も氷結していなかったので雪景色とのコントラストが映えています。

◆蒼天樹雪の福島空港公園・日本庭園絶景雪景色　（※2022/2/11）

もし池が凍結していると、そこに雪が積もり真っ白になってしまいます。
それはそれでキレイだと思いますが
写真的にはコントラストがつきにくい平面的な写真になり易いと思います。

◆蒼天樹雪の福島空港公園・日本庭園絶景雪景色　（※2022/2/11）

玉石の洲浜と雪見灯篭も雪があってこその風情ですね。

◆蒼天樹雪の福島空港公園・日本庭園梅園絶景雪景色　（※2022/2/11）

梅園の雪化粧も梅の木の枝ぶりがいいので青空に良く栄えています。

◆蒼天樹雪の福島空港公園・日本庭園梅園絶景雪景色　（※2022/2/11）

やはり雪景色も青空だと一段と映ます。
積雪時の自動車運転は気を遣うので疲れますが
福島空港公園まの道中は除雪もされるし
車で１５分の近さも魅力です。

◆大雪の福島空港公園　（※2014/12/18 撮影）

福島空港は標高３７２ｍと松本空港に次いで日本で２番目に
標高が高い空港なので、さぞ雪も多いだろうと思うかもしれませんが
積雪回数はそれなりですは積雪量はそう多くはありません。
例年なら１回当たりせいぜい１０ｃｍほどでしょうか。
2014/12/18は滅多にないドカ雪で35cmほど積もりました。

☆福島空港公園/日本庭園の雪吊りライトアップ　　(※2014/11/24 撮影)

福島空港公園の日本庭園では１０年前くらい
期間限定で雪吊りのライトアップをしていました。
とても美しくお気に入りだったのですが
来訪者が少なかったせいか３年ほどで止めてしまいました(－－〆)。

☆福島空港公園/日本庭園の雪吊りライトアップ　　(※2014/11/24 撮影)

昨今、ライトアップと言うとキャバレーのネオンのように
赤や緑など色鮮やかにライトアップする所が多くなりましたが
私的にはこの福島空港公園/日本庭園の雪吊りライトアップ　のように
単色で十分美しいと思います。

☆福島空港公園/日本庭園の雪吊りライトアップ　　(※2014/11/24 撮影)

建物のライトアップなら色彩豊かなライトアップもありだと思いますが
鍾乳洞や氷瀑、夜桜、紅葉に到るまで極採色のライトアップを良く
見かけるようになりました。
自然はその物自体が美しいので派手なライトアップが
本当に必要なのか疑問です。
私からすれば美しいと言うより下品に見えてしまいます。
福島空港公園/日本庭園の雪吊りライトアップは上品なライトアップの
お手本だと思うので中止はとても残念です。

☆春風の誘惑～玉川村のセリバオウレン（芹葉黄連/キンポウゲ科オウレン属）

福島空港公園日本庭園の梅園を愛でた後は
同じ玉川の里山でセリバオウレンを見てきました。
当地の里山で一番早く咲き出す山野草は
セリバオウレン（芹葉黄連/キンポウゲ科オウレン属）です。
オウレンは奈良時代に中国原産の黄連が伝来しましたが
在来種の“カクマグサ(加久末久佐)”が同様の効果があることを知り
“カクマグサ”を漢名の“黄連”の音読みでオウレンと呼ぶようになったそうです。

☆春風の誘惑～玉川村のセリバオウレン（芹葉黄連/キンポウゲ科オウレン属）

☆春風の誘惑～玉川村のセリバオウレン（芹葉黄連/キンポウゲ科オウレン属）

黄連は根茎がやや肥厚して節状に珠が連なっており、
その断面が鮮やかな黄色をしていることに由来しますが
私が見た限り日本のセリバオウレンの根はヒゲ根状で黄色くありません。

☆春風の誘惑～玉川村のセリバオウレン（芹葉黄連/キンポウゲ科オウレン属）

☆春風の誘惑～玉川村のセリバオウレン（芹葉黄連/キンポウゲ科オウレン属）

オウレンの花は雄花と両性花があり
雄花の方が両性花より少し先に開花します(雄性先熟)。
資料によっては雌花だけの株もあると書かれていますが
私はまだ見たことはありません。

☆春風の誘惑～玉川村のセリバオウレン（芹葉黄連/キンポウゲ科オウレン属）

こちらが典型的な両性花です。
中心にある緑色のこん棒のようなものメシベで
その周囲に貧弱ながらオシベも少しあります。

☆春風の誘惑～玉川村のセリバオウレン（芹葉黄連/キンポウゲ科オウレン属）

こちは一つの茎に雄花と両性花が咲いています。
上の花は両性花ですがメシベはやや貧弱で
下の２つが雄花でメシベは退化しています。

☆春風の誘惑～玉川村のセリバオウレン（芹葉黄連/キンポウゲ科オウレン属）

これが雄花でシベの全てがオシベでメシベは退化して
ほとんど見えません。

☆春風の誘惑～玉川村のセリバオウレン（芹葉黄連/キンポウゲ科オウレン属）

こちらは４つが両性花で一つが雄花です。

なぜ雄性先熟や雌性先熟があるのかと言うと
同時に開花すると同じ花同士で自家受粉しやすくなるので
開花時期を少しずらすことによって自家受粉を避け
他家受粉しやすくすのです。
自家受粉だと親と全く同じ遺伝子の種ができてしまい
下手すると悪い性質まで受け継いでしまいます。
なので植物も動物もなるべく遺伝子の違う個体同士で交配し
様々なリスクに広く対応できるように
多様な性質をもつ子孫を残すのだそうです。

☆春風の誘惑～玉川村のセリバオウレン（芹葉黄連/キンポウゲ科オウレン属）

こちらは雄花ですが、雄花なのでメシベはありませんが
オシベも貧弱でこれでは子孫を残せませんね。

☆春風の誘惑～玉川村のセリバオウレン（芹葉黄連/キンポウゲ科オウレン属）

セリバオウレンの極近い仲間には
キクバオウレンやコセリバオウレンなどがあります。
葉っぱが少し違いうだけで花は殆ど同じです。

☆春風の誘惑～我が家のバイカオウレン（梅花黄連/キンポウゲ科オウレン属）

こちらは我が家のバイカオウレン（梅花黄蓮/キンポウゲ科オウレン属)
バイカオウレンは福島県以南の本州と四国の主に山地や亜高山帯の針葉樹林の
林床や林縁に自生しますが、当地の山の自生種はまだ開花していません。

☆春風の誘惑～我が家のバイカオウレン（梅花黄連/キンポウゲ科オウレン属）

☆春風の誘惑～我が家のバイカオウレン（梅花黄連/キンポウゲ科オウレン属）

バイカオウレンはその名のとおり、ウメに似た形の白い花を咲かせる常緑の多年草です。
花の直径は1.5cmほどで、白い花弁に見える部分は萼片です。
花茎は3～10cmの花茎の先端に1輪咲きます。
白いハナビラ(花弁)に見えるのが萼片で
花弁(ハナビラ(は蜜腺に退化しており、黄色く目立ちます。

☆春風の誘惑～我が家のバイカオウレン（梅花黄連/キンポウゲ科オウレン属）

黄色い部分はハナビラ(花弁)が蜜腺に変化したもの
雌しべの花柱は中心部の茶色い部分で
白く細長いオシベがたくさんあります。

☆春風の誘惑～我が家のバイカオウレン（梅花黄連/キンポウゲ科オウレン属）

福島県にはバイカオウレンの仲間にはセリバオウレン、コセリバオウレン、
ミツバオウレンが自生しますが個人的にはバイカオウレンが
一番キレイだと思います。

☆春風の誘惑～我が家のバイカオウレン（梅花黄連/キンポウゲ科オウレン属）

バイオウレンはミツバオウレン(写真下)の花と良く似ていますが
バイカオウレンの小葉は5枚、ミツバオウレンは名前のように
小葉は3枚なので間違うことはないでしょう。

☆磐梯吾妻鎌沼のミツバオウレン　（※2014/7/5 撮影）

磐梯吾妻スカイラインの浄土平の北にある
鎌沼周辺で多く見られるミツバオウレン(三葉黄連/キンポウゲ科オウレン属)

ミツバオウレン(三葉黄連/キンポウゲ科オウレン属)は北海道と
本州（中部地方以北）の高山や深山のやや湿り気のある草原や湿原に自生します。
海外ではアジア北東部や北米にも分布。
花茎は5～10ｃｍくらい、花径は１ｃｍほど。

☆磐梯吾妻鎌沼のミツバオウレン　　（※2014/7/5 撮影）

白いハナビラに見えるにはキンポウゲ科の特徴でもあるガク片で、
黄色いオシベ状のものが花弁で蜜を出し虫を呼び寄せます。
オシベは白く多数あり、メシベは薄茶色で鉤形のこん棒状です。
葉は根性葉で１枚の葉が縁鋸歯がある3枚の小葉なのでミツバの名が付きました。

☆春風の誘惑～ホトケノザ(仏の座/シソ科オドリコソウ属)

玉川村からの帰り道に道路脇の畑が一面ピンクの絨毯になっていました。
福島県の田園地帯では雑草扱いされていますが
一面ピンクの絨毯はとてもキレイだと思います。

☆春風の誘惑～ホトケノザ(仏の座/シソ科オドリコソウ属)

ひと昔、良く見られた一面のレンゲソウ（紫雲英）が作付けされないようになり
ホトケノザはその代役を十分に果たすと思うのですが
レンゲソウのような文学的評価が無いせいか
取り扱いがぞんざいでもったいないと思います。

☆春風の誘惑～ホトケノザ(仏の座/シソ科オドリコソウ属)

ホトケノザ(仏の座/シソ科オドリコソウ属)は春の七草の
ホトケノザと同じ名前なのでややこしいですが
春の七草のホトケノザ(写真下)は
タビラコ(田平子/キク科ヤブタビラコ属）)というニガナのような花で、
まったく似ていないのにどうして同名になったんでしょうね(ーー)；。

☆春風の福島路・野の花便り～もう一つのホトケノザ

春の七草のホトケノザの正式名は
コオニタビラコ（小鬼田平子/キク科ヤブタビラコ属）です。
湿地を好み、田や周囲のあぜ道などに多く自生します。
早春の田んぼではロゼット葉を広げて地面にはいつくばった姿に見えるので
この姿を仏の座に例えたようですが、
こんな姿の草は何もコオニタビラコに限った訳ではなく
今やホトケノザの正式名はシソ科オドリコソウ属のホトケノザに
奪われてしまいました。

☆春風の誘惑～ホトケノザ(仏の座/シソ科オドリコソウ属)

☆春風の誘惑～ホトケノザ(仏の座/シソ科オドリコソウ属)＆キタテハ

北国には珍しく早春から蝶が吸密していました。
北国でも早春から活動し始めるキタテハです。
キタテハはインドシナ半島から中国、台湾、朝鮮半島、日本まで分布し、
日本でも北海道西部から種子島まで幅広く見られる。
黄色と言うよりはオレンジ色に近い感じです。

☆春風の誘惑～ホトケノザ(仏の座/シソ科オドリコソウ属)＆キタテハ

成虫は早春から晩秋まで見られ、その間に2回-5回ほど発生します。
冬は成虫で越冬し、物かげでじっとしている越冬蝶として知られています。
つまり早春の個体は早春に卵から幼虫→成虫になったものではなく
成虫のまま冬越ししたので北国でも早春から活動できるわけです。

☆春風の誘惑～ホトケノザ(仏の座/シソ科オドリコソウ属)

☆春風の誘惑～ホトケノザ(仏の座/シソ科オドリコソウ属)

種を蒔かなくても勝手にたくさん生えてくるので
雑草扱いされていますが、花は超可愛いと思います。
花を逆さまから見るとウサギのようでもあるし
耳の部分だけ見るとキツネにも見えてきます(^^ゞ。

☆春風の誘惑～ホトケノザ(仏の座/シソ科オドリコソウ属)

☆春風の誘惑～ホトケノザ(仏の座/シソ科オドリコソウ属)

花の一つ一つはとても小さいですが
花の絨毯としてはレンゲ畑と遜色ない美しさです。
レンゲ畑は観光の目玉として栽培している自治体もありますが
ホトケノザを栽培しているのは聞いたことがありません。

☆春風の誘惑～ホトケノザ(仏の座/シソ科オドリコソウ属)

今月からNHKの朝ドラ『らんまん』は日本植物学の父と言われる
植物学者の牧野富太郎博士（1862～1957年）がモデルなので
様々な山野草が登場するのではないかと期待しています。

☆春風の誘惑～ホトケノザ(仏の座/シソ科オドリコソウ属)

それにしてもどうしてオドリコソウばかりが一面に群生するのでしょう？
オドリコソウはアリ散布植物の一つで種にエライオソームという
アリが好む誘引物質が付いています。
そのエライオソームに誘われアリは種を巣に持ち帰り
好物のエライオソームだけ食べ、種は捨てられます。
その捨てられた種が発芽するわけです。
別にアリに運んでもらわなくても発芽はしますが
アリがより遠くに運んでくれるので広範囲に子孫が残せるわけです。

☆春風の誘惑～ホトケノザ(仏の座/シソ科オドリコソウ属)

エライオソーム (Elaiosome) は、アリ散布植物の種子に付着している、
やわらかい付着物で、種子をアリに運んでもらうために進化したもの。
脂肪酸、アミノ酸、糖からなる化学物質を含んでいます。
どんな味かは分かりませんがアリが好きならきっと甘そうですね。

☆春風の誘惑～ホトケノザ(仏の座/シソ科オドリコソウ属)


日本にはエライオソームを含むアリ散布植物は約２００種もあるとされ
スミレ属、イチリンソウ属、フクジュソウ属、ミスミソウ属、キケマン属、
クサノオウ属、エンレイソウ属、カタクリ属などがあります。
アリ散布植物だからと言って必ずたくさん増えるわけではなく
アリはあくまで運ぶだけで、それから先は種が捨てられた環境が
その植物にいかに適合しているからかに因ります。

☆春風の誘惑～ホトケノザ(仏の座/シソ科オドリコソウ属)

☆春風の誘惑～ホトケノザ(仏の座/シソ科オドリコソウ属)

このシソ科オドリコソウ属の「仏の座」という名前の由来は、
花を囲むように対生する柄のない葉の形の様子を
仏様の台座（蓮華座）に見立てたものです。
別名の「三階草」とも言われます。
春の七草のコタビラコは私的には仏様の台座の見えないのに
何故ホトケノザ？？なのか疑問です。

☆春風の誘惑～ホトケノザ(仏の座/シソ科オドリコソウ属)

☆春風の誘惑～ホトケノザ(仏の座/シソ科オドリコソウ属)


これで◆福島・四季・彩々・Part114、春風の誘惑はお仕舞です。
いつも最後までご覧下さりありがとうございます。
そして、いいねもありがとうございます。


例年になく暖かい春なので野の花も軒並み１～２週間も早く開花し、
見頃の予想がとても難しくなっています。
2021年もかなり暖かったのある程度は参考になっていますが
桜の開花が早いからと言って山野草も全て早く開花するわけではなく
日照時間なども深く影響します。
花が早く咲くのは構いませんが、山野草の種類は限られているので
春後半は花が少なく寂しくなってくるかも知れません。


ではまた。　j-ryu