2021/04/11 - 2021/04/11
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ブリッヂ・トレック(橋梁旅行)さん
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この旅行記のスケジュール
2021/04/11
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石積土留擁壁
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高巻き その1
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山陰本線 第一保津川橋梁
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高巻き その2
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嵯峨野観光鉄道 保津川橋梁
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この旅行記スケジュールを元に
今回は京都にマンボウが出る前に、保津川沿いの舟曳道に行ってきました。山陰本線の旧線は嵯峨野観光鉄道に引き継がれ、営業を続けていますが、保津川橋梁や清瀧隧道等、山陰本線の前身の一つ、京都鉄道開業時の貴重な遺産が残っており、以前からひと目観てやろうと装備を整える等準備を進めていました。
亀岡から嵐山へ舟に乗り風光明媚な保津峡を下る『保津川下り』は有名ですが、その舟を亀岡へ戻すのに使われていた旧道が舟曳道です。1949年(昭和24年)からはトラック輸送に切り替わり、別の道路を通りますが、それまでは川沿いの舟曳道を船頭さんが舟を引っ張って運搬していたそうです。
廃道となった今は、少し難易度の高いトレッキングルートとして多くの人を惹きつけています。初心者の私にはゴールのトロッコ保津峡駅まで辿り着けるか不安で、中々ここへ踏み入る決断ができませんでしたが、「難しそうなら無理せず引き返そう」くらいの気持ちで今回行ってきました。
※この場所は滑落等により死亡する可能性もある非常に危険な箇所が連続しています。安易に真似せず、水量や天候を確認し自分の体力・筋力・装備・経験等に見合ったトレッキングを楽しみましょう。
- 旅行の満足度
- 4.5
- 観光
- 4.5
- 同行者
- 一人旅
- 一人あたり費用
- 1万円 - 3万円
- 交通手段
- 私鉄 徒歩
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京福電気鉄道嵐山本線 嵐山駅
1910年(明治43年) 嵐山電車軌道開業。
駅構内に足湯もあります。嵐山駅 (京福電気鉄道) 駅
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【渡月橋】
橋を渡って右岸へ。スタートからゴールのトロッコ保津峡駅まで全て右岸です。
写真で川が左なら上流→下流を見た写真、川が右なら下流→上流を見た写真です。(トロッコ車窓からの写真は逆)渡月橋 名所・史跡
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【一ノ井堰(洛西用水)】
五世紀末頃から建設されている農業水利施設。今も地域の田畑に水を供給し、京野菜等の栽培に使われています。
対岸には保津川下りの船着場が見えます。 -
この辺りは石材で舗装されています。
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旅館星のや京都の船着場 9:20
ここから沢登りスタート。途中で橋や列車・山道の写真を撮ったりして超のんびりしていたので、あまり参考になりませんが、それぞれ撮影した時刻も載せておきます。星のや京都 宿・ホテル
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間抜けなことにここから上流側の写真を撮っていませんでした。
旅館の脇に岩場があります。ここから行くの???うそだろ!と思い、山道を登って大悲閣千光寺の方へも行ってみましたが、開門時間前で入れません。迷ったときはネットで調べようという事で調べた結果、やはりここから川沿いに進むのがメインルートのようです。
出典:google -
こちらがヤマレコの画像です。
ヤマレコは登山やトレッキング愛好家の情報が集まるサイトで、どこが通れるのか通れないのかある程度目星が付けられ、とても参考になります。
何の情報もなく手探りで行くのと、ここは高巻きになるなと分かって行くのとでは随分差が出るので、チェックしながら進む事をお勧めします。 -
旅館の脇の岩場を慎重に進んでいると(いきなりの岩場で写真を撮ってる余裕はありませんでした。というか、この道じゃないよねと願っていたというのが本音です)、H鋼を二本渡しただけの橋がありました。 9:40
やはりこのルートで間違いなさそうです。その先に少し平らな部分がありますが、全体を通してみると、この辺りが一番道らしい道でした。 -
こちらもH鋼二本。分かりにくいですが、奥にもう一つ同じような橋が写っています。 9:45
以前は床版があったのか、千鳥に歩くには微妙に幅が広いです。落ちると怪我は免れないので、山側の鋼材1本の上をへっぴり腰で慎重に進みます。 -
これは帰りにトロッコ列車の車窓から撮りました。
中央少し下、旅館の下にこの辺の橋の一つが写っています。
上の方に写っている建物は大悲閣千光寺です。
大悲閣は保津川の開削工事で亡くなられた人々の菩提を弔うため、角倉了以翁が1614年(慶長19年)、清涼寺の近くにあった千光寺を川を見渡せる現在地に移動させました。
現在は境内には本堂と客殿が残るのみ、客殿には法衣姿の木造の了以像が石割斧を持ち、片膝を立てて眼下の保津川を見守っています。 -
ここもH鋼二本ですが、床版が残っています! 9:50
でも腐っていて体重をかけると踏み抜きそうな感じ・・・。結局H鋼の上を踏まねばならず、特に右側の床版を固定している板はかえって邪魔でした。 -
トロッコからの車窓です。
対岸の岩場の段差が連続している所がたぶん前後の写真の中間辺り。 -
この辺で杖の必要性を痛感したので、落ちている枝で代用。 10:00
自分も行ってみようと思っている方には「やめた方がいいよ」というのが本音ですが、何が何でも行きたいという方にはトレッキングシューズだけでなく、是非トレッキングポールを1本用意していく事をお勧めします。1本あると極細の斜面の道も安定して歩みを進められます。 -
私のトレッキングシューズ、モンベルのティトンブーツです。
ミドルカットなので、ほとんどは舗装路だけどちょっと沢に降りて橋を河原から観たいという私のニーズにピッタリの靴です。今回の沢登りでもガッチリと体重を受け止め十分対応できる靴ですが、もっと本格的な山登りには剛性不足で不向きかもしれません。
モンベルはアマゾンで叩き売りしたりせず丁寧に説明してくれて、アフターもしっかりしている割に靴の値段は高くないのでお薦めです。
ちなみに普段履きの靴よりワンサイズ大きいサイズで、厚手の靴下を履いています。 -
トロッコからの車窓。
斜面に何やら構造物があります。往きには全く気づきませんでした。足元ばかり見ず、たまには足を止めて周囲を見渡してみることも重要です。
構造物の正体は、乙訓浄水場の取水口関連施設のようです。 -
岩場を進んでいくと結構長い石積の土留擁壁がありました。 10:10
人工物があると人が入っている事が実感できるので少し安心します。屈曲した河岸の法面を洪水から守り、川下りの航路を維持する目的で造られたものでしょうか。 -
こちらは土留の上からの景色。 10:15
丁度トロッコ列車が通過しました。
余談ですがここで蛇が出ました。不安定な岩で転んで怪我をする可能性もあるので、救急キットも用意した方が良さそうです。 -
トロッコからの車窓。
擁壁の基礎が洗われています。崩壊するのも時間の問題かもしれません。 -
土留の上流側端部です。 10:30
河原へ降りるための脚立がハシゴ代わりに設置してありました。 -
上流側を見ると遠くに橋が見えてきました。 10:35
-
と喜ぶのも束の間、早速高巻きです。 10:50
※高巻き…それまでのルートをまっすぐ通る事が難しい場合に、斜面を登って一時的に高い所を通って迂回する事。(斜面を下って迂回する場合も低巻きではなく高巻きと言うようです) -
木が傾いていて道を塞いでいます・・・
何人も通っているルートなので、皆がどこを通っていったのか、痕跡を探して進んでいきます。 -
何とか無事河原に降りられました。 11:00
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トロッコからの車窓。
航路が狭くて舵さばきが難しそう・・・ -
【山陰本線 第一保津川橋梁】 11:05
1988年(昭和63年)竣工、中路ローゼ橋。
絵に書いたような素敵な景色です♪
山陰本線の電化・複線化に際し、嵯峨~馬堀間で新線が建設され切り替えられました。 -
トロッコ列車が推進運転でやってきました。 11:20
嵯峨野観光鉄道は機関車の付け替えをせずに運行しています。 -
イチオシ
まだ遅咲きの桜が咲いていました。 11:20
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橋をくぐってもしばらくは河原歩きが続きます。 11:35
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イチオシ
上流に別の橋が見えてきた所で保津川下りの舟が通って行きます。 11:40
保津川の水運の歴史は古く、784年(延暦3年)から始められた長岡京遷都の造営時に、京北黒田から山国庄・保津を経由して嵐山まで筏に組まれた材木が流されたとの記録も残っています。 -
角倉了以とその子素庵により保津川が開削され、舟が通行できるようになったのが1606年(慶長11年)。以降は舟を利用して丹波地方より、木材・米・雑穀・炭・薪・塩・鉄・石材等の物資が運搬されました。
出典:瑞泉寺縁起絵巻 -
その後京都鉄道(山陰本線)の開通やトラック輸送が主流となった事により水運は姿を消していきますが、1895年(明治28年)頃から観光客を乗せた川下りが始まりました。
この先進めそうにないので、スマホでヤマレコを確認し、下流へ戻ります。 -
登り口がありました。ここからまた高巻きです。 12:15
今度はロープ!!
確かにロープでもないと滑落しそうな急傾斜です。ロープには数十センチ毎に結び目が作ってありますが、普通のトラロープなので滑りまくります。 -
イチオシ
【嵯峨野観光鉄道 保津川橋梁】 12:20
1899年(明治32年)京都鉄道開通、1928年(昭和3年)架替、下路ワーレントラス橋。
高巻きの途中に少し平場があったので、列車が来るまで行動食を食べたりしてしばし休憩。
【土木学会選奨土木遺産】(嵯峨野観光鉄道の構造物群) -
架替前の旧橋は米国のA&P Roberts社製ピン結合下路プラットトラス橋でしたが、1922年(大正11年)に列車脱線事故により橋桁が破損、それが原因か否かは不明ですが6年後に架け替えられました。
もう少し川っぺりの方で撮っていれば同じアングルで撮れたのかも・・・
出典:土木学会戦前土木絵葉書ライブラリ -
こちらは事故の惨状を伝える絵葉書。
前日来の降雨による落石に乗り上げ脱線。たまたま乗り合わせた京都鉄道設立者の田中源太郎氏も、この事故で亡くなられたそうです。合掌。
出典:まちかどの西洋館別館・古写真・古絵葉書展示室/べーさん@京都
http://besankosyashin.blog56.fc2.com/?no=1018#comment -
架け替えられた旧橋桁は名古屋車両区を渡る向野橋へ移設され、事故後の補修跡も含め今も残っています。
-
12:25
また高巻き。山側に体を預け、グローブを装着した左手で斜面の根っこ等を手掛かりにし、足を一歩づつ進めていきます。落葉溜りは滑るので要注意。
こういう高巻きのルートには所々木にテープが巻いてあり、迷わないよう「こっちだよ」と教えてくれているようですが、色や本数等統一したルールは無いようです。 -
トロッコからの車窓。
保津川が増水した後は、保津川下りの航路を岩や倒木・土砂が堆積してしまうので、時には営業を休止して、航路確認の調査や航路回復の為の作業が行われているそうです。 -
高巻きを終え、また河原に。 12:30
じっくりと橋を観察できます。 -
イチオシ
すばらっ! 12:35
橋桁は架替えられましたが、橋台は19世紀の開通時のままです。 -
12:40
橋桁の架替に伴い沓座廻りが改修されていますが、それ以外はほぼ原状を保っているようです。
基部は煉瓦積みではなく切石積みにし、増水時の濁流から橋台を守っています。 -
12:40
長くなったので、その2に続きます。
その2はこちら→https://4travel.jp/travelogue/11687793
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この旅行記へのコメント (2)
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- 横浜臨海公園さん 2021/04/14 13:22:26
- 橋梁調査は命がけ
- ブリッヂ・トレック(橋梁旅行)さま、こんにちは。
ご無沙汰をしておりますが、ご活躍の事と存じます。
さて、今回は保津峡旧線路跡探索ですが、道なき道を綱渡り、正しく命がけと言っても過言ではありません。
小生も静岡県用宗では、道なき道の獣道を踏破して前進したものの、一面斜面は草深い状態になり、転落を怖れ途中で撤退した記憶がございます。
兎に角、一歩間違えれば生霊を超えることともなり何時も注意を怠っておりませんが、兎に角、旧線路探索とは命がけです。
横浜臨海公園
- ブリッヂ・トレック(橋梁旅行)さん からの返信 2021/04/14 17:37:36
- Re: 橋梁調査は命がけ
- 横浜臨海公園さま、ご無沙汰しています。
いつも大変お世話になっています。
用宗と言うと石部隧道とかでしょうか。その少し南には大崩海岸もあり、地名からして生命の危険を感じます。
近年は廃線のみならず、近代化産業遺産や廃道・廃坑・廃墟までも観光地化しており、少なからず命を落としている方もおられるようです。私ももう少し装備を充実させ、季節や天候を選んで安全に気を配りたいと思います。時には撤退する決断も重要ですね。
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