地中海の真ん中にあるマルタ島（３）カラフルな漁村マルサシュロック

2018/01/26 - 2018/02/01

「マルタ共和国」という小さな島国が地中海のど真ん中にあります。
イタリアのブーツが蹴飛ばしたシチリア島の南、約１００ｋｍに位置する国で、
淡路島の半分、東京23区の半分の面積しかありません。
　ツアー３日目の今日は一日自由行動です。
昨日ハーバークルーズで概要が掴めたので、
この一日は盛りだくさんの行程となりました。
スリーマにあるホテルからヴァレッタに行き、ちょこっと散策してから
路線バスでマルサシュロックへ。
漁村というイメージからは程遠いカラフルで明るい港町です。
海岸線にずらっと設営される日曜市を見て、ヴァレッタに戻りました。
午後はヴァレッタからスリーシティーズの1つヴィットリオーザに船で渡り、
自由気ままな散歩を存分に楽しみました。
ヴィットリオーザは、首都ヴァレッタと似たようなマルタストーンの街並みですが、
圧倒的な観光客で埋まるヴァレッタとは違い、一般住民が普通に暮らす街でした。
今回は、午前のヴァレッタ・マルサシュロックを掲載します。

エリア マルサシュロック(マルタ)

• 旅行の満足度: 5.0
• 観光: 5.0

• 交通手段: 高速・路線バス 徒歩
• 旅行の手配内容: ツアー（添乗員同行あり）

スリーマにあるホテルから路線バスに乗って、ヴァレッタに向かいます。
スリーマの海岸線はプロムナードが続いていて、散歩をする人、
マラソンランナー、所々にある遊具でストレッチをする人などが
早朝からいます。
地中海に臨むプロムナードはとても気持ちがよく、
意外と岩場が残っていてホッとします。
高級リゾート地のセント・ジュリアンが遠望出来ます。

スリーマ・プロムナードを通る路線バスはとても多くて、
１０路線が通ります。
Ｎが付いているのは深夜バス。
バスの路線は方面によって色が統一されていて、
かなりわかりやすいです。
黄緑色はスリーマ及びセント・ジュリアンとヴァレッタを結ぶコース。
それぞれの路線図はＨＰですべて見ることが出来ます。
私は一番使う１３と１４の路線図は印刷して持っていました。
これがあれば、途中下車も乗り越しも気軽に出来ます。

バスに乗ったら、運転手に１．５ユーロを支払います。
これは１回券の料金です。
他に１２回券が１５ユーロ、７日券が２１ユーロでありますが、
１回券は２時間まで乗り降り自由なので、
計画的に使えばかなりお得です。
チケットはこのようなレシートなので、保管する時用に
ビニール製のパスケースを持って行きました。
チケットのＱＲコードを読み取り機にかざして使います。
こんな小さな文字では読めないと思ったら、
下部に大きく日付と時刻が印字されていました。
この時間が２時間後なので、有効期限が明示されているのです。

バスがヴァレッタの半島の付け根にある
フロリアナ地区の入り口に差し掛かりました。
Porte des Bombesという物騒な名前の門があります。
火薬庫でもあったのかな？
この手前の橋の上にバス停があり、多くの乗客が降りて行きました。
橋の下には別方向の道路があり、そこにあるバス停で
また別のバスに乗り換えるようです。
この辺を走るバスは一旦必ずヴァレッタのシティゲートに
行ってしまうので、時間のロスをなくすため、
ここで乗り換えることが当たり前になっているようです。
確かにスリーシティーズ方面からセント・ジュリアンへ行きたい場合、
一旦ヴァレッタに行かざるを得ないので、
この技は旅行者にも有効です。１回券がそのまま使えます。

ヴァレッタが終点のバスの乗客は、全てSt. Publius' Squareで
降ろされます。
長い広場に沿った道のどこかで降りろと言われるので、
シティゲートに近いか遠いかは、その時のバスの混み具合と運です。
この道を真っすぐに歩いて行くと、トリトンの泉です。

トリトンの泉です。周囲は工事中なので回り込んで行きます。
右に行くとバスターミナル、奥に行くとシティゲートです。

お腹の大きなマルタ猫。

バスターミナルです。停留所の番号毎に、同じ方面のバスが来ます。
案内所の前に電光掲示板の出発案内があります。
何番の停留所からどこ行きの何番のバスが出るのかを
見るにはいいのですが、
何故か今現在出発すると表示されているバスが来たのを、
見ることは出来ませんでした。
まあ、取り敢えず行きたい方面のバスが来るのは間違いないので、
気楽に待ちましょう。
全線始発なので、気が楽です。

トリトンの泉からシティゲートへ行くには、
城壁の前にある堀を渡って行かなければなりません。
その脇から堀を見下ろすと、発掘調査中でした。

前方の石垣がシティゲートです。
両側に石垣があるだけで、門扉などはないため、
ただの通路となっています。

シティゲートを通って、すぐ左を見ています。（ゲートは画面左端）
左右どちらにも緩やかな階段があり、城壁の上に行くことが出来ます。

シティゲートを入ってすぐ右手には、
マルタ共和国の国会議事堂があります。
言われなければ美術館かなと思ってしまいます。
ああ、ここは首都だったんだなと実感します。
１９６４年にイギリスから独立した時に制定された
マルタ共和国の国旗がなびいています。
旗の左上に付いている十字は、
第二次世界大戦でマルタ島民が勇猛果敢に戦ったことに対して、
イギリスから送られたジョージ十字勲章です。

国会議事堂の前でシティゲートを振り返って見ます。
左が国会議事堂、奥がシティゲート、右がアパート兼土産物店です。

国会議事堂の隣には、王立歌劇場（Royal Opera House）があります。
遺跡だと思っていたので、え？これが？？とびっくりしました。

王立歌劇場 史跡・遺跡

ここから見ると、ちょっとはそれらしく見えるかな？
この上がスタンドになっていて、
奥のステージに向かって下がって行きます。
夏の夜などには野外劇などが行われるのでしょう。
ポスターの右端は１/２７、その隣にはマルタ国際音楽祭
４/１５～５/１とあります。

王立歌劇場 史跡・遺跡

オペラハウスのお向かいは、緑色のベランダが印象的な建物です。
１９世紀後半に建てられたフェレリア宮殿（Palazzo Ferreria）は、
第二次世界大戦まで所有者が居住し、
１９７９年にマルタ政府に売却しました。
２０１７年に修復工事が完成しています。

さて、ヴァレッタの街は細長い半島になっているので、
中央の尾根部分に１本のメインロードが通っています。
そこから格子状に道が形成されています。
初めて訪れた人にも、大変分かりやすい街です。
そのメインロード・リパブリック通りに、
何やら大きな垂れ幕が掛かっています。

おもしろい形だなあ。お祭りでもあるのかしら？

歌劇場の周りを歩いてみました。
首都ヴァレッタは、第二次世界大戦では、
イギリス軍の最前線基地となりました。
１９４０年からはイタリア・ドイツの攻撃を受け、
ヴァレッタの街はかなりの被害を受けました。
フェレリア宮殿の修復も、大戦によるものだったのでしょう。

ヴァレッタの建物は高いので、ベランダも上の方まであります。

リパブリック通りは、シティゲートが一番高い位置にあり、
先端の聖エルモ砦に向かって、徐々に下って行きます。

クリスマスマーケットで、いろいろなデコレーションを見て来たけれど、
こんな大きな垂れ幕が並んでいるのは初めて見ました。
すごく豪華で、ちょっと緊張します。何があるんだろう？？？

日中のリパブリック通りは、観光客でごった返しているけれど、
まだ早朝なので店も開いておらず、楽に歩けます。
しかし、私はこれからバスに乗ってマルサシュロックに
行かなくてはなりません。
日曜市は昼までやっているけれど、たぶん混むので、
なるべく早く行きたい。
この魅力的な朝のヴァレッタを散策したい気持ちはすっごくあるけれど、
マルサシュロックはこの朝にしか行かれない。
ああ、後ろ髪を引かれながらも引き返します。

ヴァレッタのバスセンターの乗り場案内です。
乗り場が３カ所に分かれているので、気を付けましょう。
マルサシュロックには８１番のバスで行くつもりでしたが、
電光掲示板の通りには来ていません。（乗り場はA６）
そこへ、マルサシュロックまで直通つまりノンストップで行くという
バスが来ました。
料金は倍の３ユーロです。既にバス停にはかなりの人が並んでいて、
ゆっくり行くと日曜市が混んで来そうなので、
直通バスに乗り込みました。

始発で座ったら、後はどの停留所にも止まらないので、快適です。
ヴァレッタを出ると、やがてまた石を積んで区切った畑が現れました。
ところどころにサボテンやアーモンドの花が見られます。
このツアーでは、一日自由行動に合わせて、ＯＰがありました。
「マルサシュロックとスリーシティーズ」というもので、
昼食付で１２，０００円です。
スリーマのホテルからマルサシュロックの往復の交通費は、
わずか３ユーロです。
（バスは乗り継ぎですが、片道２時間以内なので
１回券１．５ユーロで済みます）
ＯＰを選ぶという選択肢はなかったです。

終点に着いたのですが、想像していたような漁村の雰囲気はありません。
あれ？ここどこ？周りは完全に閑静な住宅街なんです。
しかも道案内の看板一つない。
しかし、バスを降りた乗客の大半が向かう方向があります。
こういう時は、大勢が行く方について行くこと。

明るくて綺麗な街並みだから怖いということはないけれど、
もし間違っていたら悲惨だな～と思いつつ、人々の後について行きます。

道端で野菜を売っています。
後ろの車はカローラじゃない。さっきのバス停にはVitsもいたし。
なんか和むなあ。本当に日本の中古車が多いのね。

だんだんと人が増えて来て、なんか安心。
自分で考え、周囲の様子を見て判断し、行動すること。
これが「自由行動」の基本です。
そうすると、同じ道を歩いても、ドキドキ感やワクワク感が段違いです。

うわ、出た！
家と家との間の路地をすり抜けて来ると、いきなり港に出ました。

ここから出て来たんです。こりゃあ、わからないよねえ。

岸壁にはずらっと露店が並んでいます。
いったい、何を売っているのかな？

鍋にカーペット？その向こうは調理器具に掃除用品？
思いっ切り日用品だね。

こっちには、果物が満載。
買って帰ってホテルで食べてもいいけど、荷物になるから困るなあ。

洗剤まで露店で売ってる。

ほうれん草の束の隣には水仙？それは食べないよね？

ハチミツの巣が、そのまま並んでいます。
どうすれば食べられるんだろう？？

これ、可愛い！ちょっと欲しいな。ベトナムや中国辺りで作っていそう。

露店の端っこに陣取ったお菓子屋さん。お菓子の量は半端じゃない。

焼き菓子だけでなく、アップルパイやコロネなども売っていて、
ちょうどいいので、非常食用に買っておきます。
観光に忙しいと、昼食を食べ損なうので。

手芸品も売っていました。
クリスマスマーケットでもそうですが、
昨今ではこうしたものは中国製が多いので、ちょっと食指が動きません。

なんとなく、市場で売っているものがわかって来たので、
一旦、港側に出ます。
買い物客の車で、港もいっぱいです。

ああ、綺麗な海だ。日本の漁村とは全然違う。海の色が違うんだな。

絵に描いたような「地中海の漁村」。
あんまり綺麗なので、魚なんか本当に捕っているのかしらと
思ってしまう。

一瞬、違和感が無いので見過ごしましたが「高圧ガス」？
これも日本からの中古車なんですね。西東京・いすゞだって。ご苦労様。

この店は、ショーウィンドウまで持ち込んで売っています。
全体的に甘めかな？でも一辺にいくつも食べる訳ではないから、大丈夫。

洋服に靴やスリッパ。露店のスーパーマーケットなのね。地元向けの。

冬だからか割と空いていて良かったなあ。
ちょっと買うものがなくて寂しいけど。

マルサシュロックに観光客が来るのは、マーケットよりも、
この港の風景に帰するところが大きいんじゃないかな？

あちら側にもマーケットは延々、続いています。
少しは違う物を売っているかな？

マルサシュロックで有名なのが、
これらのカラフルな小さな漁船「ルッツ」。

二千年以上前からフェニキア人がお守りとして船の舳先に付けていた
「オシリスの目」の伝統が受け継がれています。
ただ、今では観光客向けの船に、こぞって描かれているけれど、
一般の漁船に「オシリスの目」を見つけるのは難しくなっています。

だとしても、これらのカラフルな漁船の風景は、
わざわざここまで見に来る価値があります。

ナッツ類を売る店。ピスタチオを３ユーロでお買い上げ。

おお、すごい！これを調理できる人がいるんだなあ。

地中海沿岸らしい陶器の小物。
目では欲しいんだけど、使い道が無くて・・・

ありました。サボテンのジャム。
プリクリペア（Prickly Pear）と言います。
珍しいので買ってしまいましたが、お薦めはしません。
サボテン特有の青臭さが強くて、イチゴジャムのように安心して
甘さを楽しめるという味ではなかったです。
ただ、これも加工方法によって味に違いがあると思うので、
他の製品なら美味しい可能性もあります。
何事もＬｅｔ’ｓ　Ｔｒｙ！です。３ユーロでした。

様々な種類の果物を使ったリキュールです。
５ユーロですが、３本で１４ユーロですって。
こういう場合は、交渉あるのみ。

６ユーロの黒鞄が並んでいます。何に使うんだろう？
こういう所に来ると、人々の日常生活が見えて来るなあ。

どこから見ても、のどかな漁村だけど、
歴史上一度だけ脚光を浴びたことがあります。
「マルタ会談」です。
当時をご存知方も多いと思いますが、東西冷戦の終結を計って
ソ連のゴルバチョフ書記長とアメリカのブッシュ大統領が、
１９８９年１２月３日マルタで米ソ首脳会談を開催しました。
その場所が、この沖合の船の上だったのです。
記念碑が海岸に建てられています。

どんな船だったんだろう。
こんなのだったら、さぞかし仲良くなれたことでしょう？

なかなか迫力のある商品も売られています。
ここで買うなんて、勇気があるなあ。

ちょっとマーケットには飽きたので、もう一つの観光名所に行きます。

港に面した建物の１階は、大抵はレストランになっています。
ヨーロッパはどこでも冬でもオープンテラスが好きですね。
このレストランの看板には、
サラダ７ユーロ～、パスタ９ユーロ～とあります。

さて、マルサシュロックに来ると、海以外で目立つのはこの教会です。
ポンペイの聖母教会（Sanctuary of Our Lady of Pompeii）です。

マルサシュロック教区教会 寺院・教会

正面のファサードです。
マルタの教会にはこの電飾が欠かせないようですね。

あまり大きな教会ではないので、こぢんまりしていますが、
内装はなかなか煌びやかです。

まあなんて可愛い装飾なんでしょう。まるで結婚式場みたい。
あれ？そもそも教会は結婚式を行う場所か。

う～ん、可愛いシスター。
あんまりシスターの肖像画って、見たことないなあ。

金色の後光を背景にした聖母子像。
後光の後ろが水色というのが、海に面した教会らしいかな？

漁師たちの信仰の場として、１８９０年に創建。

以後、増築が繰り返されて、１９２０年代に現在の形になりました。

割と新しい教会なので、古めかしさが感じられないのですね。

ドームの絵は明るい色使いで、ハッキリしていてとても綺麗です。

ちょっと、ドッキリです。ナイフが刺さった女性。何故？

教会を出た所です。
小さな広場になっていて、レストランや土産物店が集まっています。

ベランダに人がいるのを初めて見ました。
どういう風に使っているのか、見て見たいなあ。
赤い電話ボックスはイギリス式？

おや？なんだか随分人が増えて来たみたい。

市場の中を歩くと時間が掛かるので、岸壁を歩く人がいます。

小さなルッツ（Luzzu）発見。
赤・青・黄のものが多いけれど、どれも少しずつ違うのがすごいなあ。

海やルッツに向けて盛んにシャッターを切る観光客が急増しました。
どうやら観光バスなどで来る団体客が到着したようです。
教会に入る前までは空いていましたが、
１０時半を回ると一気に混んで来ます。
空いている時間に見て回れたから、
ノンストップのバスに乗って来て良かったです。

マルサシュロックは、漁村と思っていたけれど、工場などもあるのかな？
たぶん、この海岸線だけが観光地で、
この風景を維持しているんだろうな。

市場はすごい人出になっていました。いや～、歩くのもたいへん。
本当に朝の時間は貴重でした。

小振りの洋梨。日本では洋梨と言うけれど、西洋ではただの梨？
新潟県特産の洋梨ルレクチェは、たいへん甘くて美味しいですね。
これはどうかな？観光バスで来ていれば買って行かれるけど、
路線バスの旅では、荷物になるから我慢しなくちゃ。

良く熟した、真ん丸の柿。トマトみたい。
意外とヨーロッパ各国で柿は見掛けます。

「Super Sweet」と書いてあるけれど、日本人から見ると、
硬くて酸っぱそう。
ジャムにするんだろうな。

このすごい人出を高みの見物ですね。
冬でもこれだけ観光客が来るのだから、
夏の観光シーズンはたいへんでしょうね。

では、そろそろバスに乗ってヴァレッタに帰ります。

帰りのバスは、普通の路線バスなので、
ノンストップバスとは走るルートも違いました。
観光バスでは通らない街をいくつも通り抜け、
魅力的な街並みを見つけては、記憶に刻みました。
７，０００年も歴史のある島なので、観光地ではない街も、
やはり風格があったりして、散策したくなります。
途中に見えた畑には、アーモンドの花が咲いていました。
今回はここで終了です。次回は、ヴァレッタの街歩きです。