2018/05/27 - 2018/06/01
602位(同エリア1811件中)
ポポポさん
エルミタージュ美術館の旧エルミタージュ、ダ・ヴィンチの間で置いてきぼりを喰って、迷子になりました。
レオナルド・ダ・ヴィンチ「ブノワの聖母」の写真を撮り終わって振り返ると誰もいませんでした。添乗員さんも待ってくれていません。先ほどまで絵の周りに皆いたんですよ。それが突然と消えてしまった。
さあ、これからどうするか。
<旅程>
5月27日 福岡空港ー仁川空港ーモスクワ(泊)
5月28日 モスクワーセルギエフ・ポサードーモスクワ(泊)
5月29日 モスクワーサンクトペテルブルク(泊)
5月30日 サンクトペテルブルクーペテルゴフープーシキンーサンクトペテル ブルク(泊)
5月31日 サンクトペテルブルクー(機中泊)
6月 1日 -仁川空港ー福岡空港
- 旅行の満足度
- 5.0
- 観光
- 5.0
- 同行者
- 一人旅
- 交通手段
- 徒歩
- 旅行の手配内容
- ツアー(添乗員同行あり)
- 利用旅行会社
- 阪急交通社
-
エルミタージュ美術館の旧エルミタージュにあるダ・ヴィンチの間。
この部屋は元ニコライ1世の書斎でした。だからこの部屋は大きなタペストリーが壁に掛けられ天井も豪華です。こんなに広い部屋なのに展示されている作品はたったの2枚。
レオナルド・ダ・ヴィンチ・が描いた「リッタの聖母」と「ブノワの聖母」です。エルミタージュ美術館 博物館・美術館・ギャラリー
-
エルミタージュ美術館の至宝と呼ばれているこの2枚の絵画。伴にガラスケースに入れられているため照明の明かりや外の光がガラスに映り込んでしまい、綺麗な写真が撮れません。
混雑している中を移動して場所を変えて写真を撮り終え振り返ると、先ほどまで絵の周りにいたツアーの皆がいない。いつも最後尾を歩いていた添乗員さんも姿を消した。
ほんの先程まで皆いたのにどこに行ったの?一瞬で皆神隠しにあったのか。それとも絵の周りにいる外国人や中国人観光客に姿を変えたのか?
部屋の中を見渡しても誰もいないよ。25人が一瞬で消えてしまった。と思ったが、多分私が写真を撮っている間に他の場所に移動したのだろう。
トラベルイヤホンからはガイドさんの声が聞こえない。ということは200メートル以上すでに離れているということか。でもそんなに早く移動できるかな?
頭の中は疑問だらけでしたが、置いてきぼりを喰ったのは間違いない。さっきまで一緒だったんだから探せばすぐに追いつけるはず。
自由行動するよりは皆の後をすぐ追いかけよう。という考えが駆け巡り部屋の出口から隣の部屋へと小走りで進んだものの皆には出会えません。 -
その部屋からさらに進んで次の部屋の中を探しても見つからない。
その部屋の通路から明るい光が漏れてきていたので、その光に誘われるまま進むと長い回廊がありました。
そこはラファエロの回廊と呼ばれている長い通路でした。でもここにもいない。おかしい、どこかで追い抜いたのかもしれない。一旦戻ってやり直すことにしました。
この時はまだ美術館の入り口でガイドさんからもらったフランス語版の美術館の見取り図で部屋を確認するという考えは浮かんできませんでした。 -
ダ・ヴィンチの間に戻るとすぐに部屋の左隅から男性が、さらに左奥から二人の女性が駆け寄ってきました。男性が「良かった。迷子になったかと。思いましたよ、皆さんはどこにいるんですか?」と。
後ろから駆け寄ってきた女性たちも「写真を撮っていて、気づいたら周りに誰もいないんですよ。どうしようかと思ってました。会えて良かった。」と。
彼女達はリッタの聖母の写真を撮っていて置いてきぼりを喰ったようです。
「実は私もブノワの聖母の写真を撮っていて迷子になりました。写真を撮り終わって振り向くと誰もいないんですよ。すぐに後を追っかけたんですけど、皆どこにもいません。どこかに見落としがあるんじゃないかと引き返してきました。ここで皆さんに会えたんで心強いです。これからどうしますか?」
私は皆に出会えないなら自由行動してもいいかなという気になっていましたが、男性はご夫婦でツアーに参加されており、奥さんと逸れてしまったので皆を追いかけたいとのことでした。女性二人も同様です。
こうして4人でツアーの皆さんを探すことにしました。
後から気づいたのですが、我々はここで大きな見落としをしていました。
パヴィリオンの間からダ・ヴィンチの間までいくつかの部屋を真っ直ぐ歩いてきたために、ダ・ヴィンチの間の横に別の部屋の列があることを知らなかったんです。
そうとは知らずに我々は先を急いで大イタリア・天窓の間までやってきました。
トラベルイヤホンからは相変わらず音声が聞こえてきません。でもガイドさんは絵の説明をしながら進むので、どう考えてもこの先まで進んでいるとは思えない。
そのため自分の考えを伝えて、引き返えそうと話しました。
3人も同じ思いだったのか承諾してくれたので、今度は来た道を引き返すことにしました。
この時になってやっと案内図で部屋番号を確認しようと思いつきました。案内図はフランス語でしたが国の表示だけは何とか理解できました。
現在の部屋は238号室、まだイタリア美術です。 -
再び注意深く観光客の間を縫って進みながらある部屋に入ると、向こう側の入り口から添乗員さんが入ってきました。
「良かった。合流できた。」、女性二人が添乗員さんの所に駆け寄って行きました。
「ダ・ヴィンチの写真を撮り終わって振り返ると誰もいないのでびっくりしました。トラベルイヤホンの音声が聞こえないんで皆かなり遠くまで行ったんだと思い4人で追いかけたんですよ。でも追いかけても会えないんで引き返したらラッキーなことに会えました。」と、私が言うと添乗員さんが。
「4人が居なくなったことは気づいていたの。あの時ね、ガイドさんがまっ直ぐ行くんじゃなくて横の部屋に入っちゃったの。それで皆が消えたように思えたんだと思う。それからガイドさんのトラベルイヤホンね。電池が切れてしまって聞こえなくなったの。」
なるほど、これで謎が解けたよ。忽然とツアーの皆が消えた訳が、そしていくら探しても出会えなかった訳が。
反対側の部屋に入っていたとは思ってもみなかった。美術館の見取り図で見ると確かにダ・ヴィンチの間の裏側に221室がある。調べたらここはティツィアーノの間、ここに皆さん雲隠れしていたんだ。
この迷子あるいは置き去り事件はいくつもの様子が加わって発生したものである。(事件というと大袈裟だが)
1 美術館の案内図に日本語版も英語版も無かったためフランス語版を渡されたこと。・・・フランス語は分からないので、はなから案内図を見て場所の確認をしよいうとしなかった。
2 ガイドさんのトラベルイヤホンが電池切れで音声が聞こえなかったため、ツアーの皆さんは遠くに行ったと思い込んでしまったこと。
3 添乗員さんが注意散漫だったこと。・・・添乗員さんは常にツアーの最後にいて脱落者が出ないよう把握する必要がある。ベテランの添乗員さんは常に最後尾を歩き、遅れる人に注意を促していた。
さらにトラベルイヤホンの予備の電池を常に持ち歩いているのだが、この時は予備の電池を持っていなかった。
4人のなかで一番喜んでいたのは奥さんと逸れてしまった中年のご主人でした。
でもまあ早めに合流できて良かったです。自由行動であちこち行くこともできましたが、だれの絵が何処にあるのか事前に把握していないため自由行動だったらかなりの絵を見過ごしていたのではないかと思います。
で、添乗員さんにここはどこの部屋なのかと聞くとラファエロの部屋というではありませんか。
ここにはラファエロの聖母の絵があるはず。ラファエロの絵はどこにありましたかと皆に聞いたら、「あそこよ」とあるご婦人が教えてくれたので急いで見にいきました。
なお、この部屋にはラファエロの絵のほかにイタリアのマヨルカ焼きのコレクションがガラスケースに入れられて展示されているのいで、マヨルカの間とも呼ばれています。 -
そして確認したのが「コネスタビレの聖母」。
この絵は小さな絵です。若きラファエロが生まれ故郷のペルージアにまだいる間に描かれた初期の作品。師であったペルジーノの画風の影響がまだ色濃く残っているそうです。でも聖母の姿はいかにもラファエロらしく静謐に描かれています。
ダ・ヴィンチの絵と同じくガラスケースに入っていたので、照明などの光線が反射したり影が映り込んだりしていましたが、この時ばかりは写真を1枚写してすぐに皆の所に合流。
またまた置き去りにされては困りますからね。
でもこの部屋にはもう1枚ラファエロの絵があったんです。それは「聖家族」、見逃してしまいました。 -
見逃したラファエロの聖家族です。(写真はWikipediaから借用)
聖家族はエジプト逃避の時の休憩を題材にしたのですが、この絵は髭の無いヨセフとして有名な絵だそうです。 -
ラファエロの間にあるロレンツェッティの「イルカと少年」。
イルカに乗っかって寝ている少年の像ですね。少年と言うよりかは幼児といった方がよさそうです。 -
この絵は221号室にある見損ねたティツィアーノの「ダナエ」。
ギリシア神話に登場する女性でありアルゴス王アクリシオスの娘です。娘が産んだ子に殺されるという予言を聞いた父親に幽閉されますが、黄金の雨に化けたゼウスに妊娠させられペルセウスを産みます。
後のペルセウスは競技に出場しますが、その時投げ損なった円盤が当たってアクリシウスは亡くなりました。なお、ペルセウスは後にメドゥーサを退治する英雄です。ちなみに絵の中央の金色の部分はゼウスの顔です。(写真はWikipediaから借用) -
同じく見損ねたティツィアーノの「改悛のマグラダのマリア」。
この絵は名人と言うに相応しい技術が光る一品。ティツィアーノの筆致はマリアの髪が微妙に色を変えながら金色に光る様子を、白い柔肌を、そして祈りの気持ちが極まって重ねられた両手の刻みに震える細い指を見事に描写している。
絵具を数回大きく置いただけに見えて、それだけで闇の中に高価な香油の入ったクリスタルの器が出現する、驚くべき業であると解説している。(美術館で購入した美術本の解説より引用)(写真はWikipediaから借用) -
同じく見損ねたジョルジョーネの「ユディット」です。
晩期ルネッサンスの到来を告げるヴェネチアの巨匠ジョルジョーネは夭折でした。ペスト流行の犠牲となり病死した時、彼は僅か32歳でした。今日彼の作品と確認されている作品の総数は10点前後に過ぎません。その1点がこの美術館に所蔵されていることは大きな誇りとなっているそうです。
(解説文・写真ともに購入した美術本から使用しました。) -
ラファエロの間から227号のラファエロの回廊に出てきました。
この回路はヴァチカン宮殿にあるラファエロの回廊を気に入ったエカテリーナ2世が、ウンテンベルグに率いられた数人の画家たちによりヴァチカン宮殿で極めて正確に模写された後にペテルスブルグに持ち帰り、エルミタージュの回廊に設置されて1794年に完成しました。
天井には旧約・新約聖書を題材とした絵が描かれています。 -
天井画の一部。
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ラファエロの回廊は見事なので何枚も写真を撮りました。そのうちの一部をここに載せておきます。
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この天井画も見事です。
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ラファエロの回廊。
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ラファエロの回廊
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ラファエロの回廊
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230室にある大理石の彫像はミケランジェロの「うずくまる少年」。
ミケランジェロの作品はイタリア以外に出ることはほとんど無く、海外で見ることができるのはルーブル美術館とベルギーのブルージュにある聖母教会だと思っていました。エルミタージュ美術館にあるとは思ってもいなくてびっくり。勉強不足で恥ずかしいしだいです。 -
さてここの彫像、今まで見てきた作品とは異なり表面が傷だらけなんですよ。どこかの遺跡で発掘されたような感じで、ミケランジェロの作品らしからぬ印象を受けました。
それもそのはず、この作品は未完成なんだそうです。石像の表面を研磨しないため粗い肌目は散漫たる光沢を発し、顔と手、そして足先はほとんど仕上げ処理がされていないため、完成一歩手前という謎めいた緊張感が象全体にみなぎるそうです。
この手法は「ミケランジェロ晩年の特徴で、このため小さな像が大きく見え、その内に強大なエネルギーを凝縮しているように感じられるそうです。(美術本の解説を引用)
私には傷だらけのただの彫像にしか感じられません。うつむいているので表情がわからず、ミケランジェロらしからぬ作品だと思いました。作品からは全く訴えるものを感じませんでした。本当にこれがミケランジェロの作品なのかと疑問さえ感じました。 -
ミケランジェロの彫像がある230室はラファエロ派のフレスコの間と呼ばれています。
この部屋にはミケランジェロの彫像が1体あるのみです。壁に飾られている9枚のヴィーナスのフレスコ画はラファエロの弟子たちによって制作されたものでラファエロが所有していたヴィラにありました。19世紀に売却されその際にカンバスに移されエルミタージュ美術館の所蔵品になりました。(美術本の解説から引用)
(部屋の様子の写真は購入した美術本から借用) -
237室。少さなイタリア絵画の天窓の間(小イタリアの天窓の間)。
新エルミタージュで絵画展示用に造られた部屋です。中央の3室は天井をガラス張りにし、上から光を取り込むようにしたため天窓の間と呼ばれるようになりました。
237室と238室では17~18世紀のイタリア絵画が、239室はスペイン絵画が展示されています。 -
ティントレットの「洗礼者ヨハネの生誕」。
洗礼者ヨハネの父神官ザガリアは、自分の妻アンナのような老夫婦によもや子供が授かるとは信じられず、そのために口がきけなくなるという神罰を受けます。この場面をティントレットが生きた時代の服装をしたヴェネチアのある家の出来事に仕上げています。(美術本の解説を引用) -
「洗礼者ヨハネの生誕」の隣にあった絵画。
この絵もティントレットの絵と記憶していますが、ガイドさんの説明をすっかり忘れてしまいました。絵の題名さえ不明です。
美術本にも載っていない絵なので、本当にティントレットの絵なのか自信が無くなりました。 -
カナレットの「ヴェネチアにおけるフランス大使のレセプション」
ヴェネチアのドゥカーレ宮殿の前の景色です。広場に集う人々や宮殿の窓辺に集う人も精緻に描かれていて、写真のようでした。 -
この部屋にはラピスラズリの大花瓶やラピスラズリの1枚岩を加工したテーブル(写真)が置かれていました。
研磨されたラピスラズリのテーブルは鏡のように室内の景色を写し込んでいました。 -
この部屋に展示されていたのがカラヴァッジオの「リュートを弾く若者」。美術誌でよく見かける有名な絵です。この絵に気づいたのは帰国してガイドブッツクを見た時でした。カラヴァッジオはこれが唯一の作品です。
ガイドさんから絵の説明があったなら間違いなく写真を撮っているはずですが写真はありません。絵を見た記憶もありません。ガイドさんにスルーされたようです。 -
238室、大きなイタリア絵画の天窓の間(大イタリア天窓の間)です。
この部屋では赤い壁と緑の孔雀石の大花瓶、1枚岩を研磨した孔雀石のテーブルや燭台が配置されていました。
壁に掛けられた絵画は天窓から差し込む光で明る照らされていました。ただし光が直接当たる場所は反射して光るので、場所を変えるか見る角度を変えないといけませんでした。
この部屋は取り立てて有名な絵がないため、絵画数の割には観光客は少なかったです。エルミタージュ美術館 博物館・美術館・ギャラリー
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天井のガラス板から採光する仕掛けになっていました。
天井の装飾が美しかったです。 -
大イタリアの間。
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ベルニーニの弟子ジュセッペ・マッツォーラの作品で「アドニスの死」です。
アドニスはギリシア神話に出てくる美少年。アフロディーテとペルセポネが美少年アドニスに恋して取り合いました。アドニスはアフロディーテを選んだため、ペルセポネは怒ってアフロディーテの恋人アレスに告げ口をしました。
その結果アレスは猪に化けてアドニスを殺してしまいました。この像はアレスに殺される瞬間を描いています。 -
大イタリア天窓の間。
ガイドさんがここではいくつかの絵を説明してくれましたが、聞いたことも見たことも無い作者や作品だったので写真には撮りませんでした。
こんなことならカラヴァッジオの「リュートを弾く若者」を紹介してくれればよかったのに。 -
大イタリア天窓の間。
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孔雀石のテーブルは大変美しいです。
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229室。スペイン絵画の間です。
ゴヤの「「アントニア・サラテの肖像」。アントニアは36歳で亡くなった無名の女優でしたが、この肖像画で有名になりました。 -
ベラスケスの「昼食」。ベラスケス18歳の時の作品です。
美術本によるとベラスケスの絵はこの他に肖像画があるのですが、エルミタージュ美術館では「昼食」の絵が有名なようです。
ただしこの絵もガイドさんは説明せずパスになりました。
(写真はWikipediaから借用しました。) -
次はムリーリョの作品。「少年と犬」です。ムリーリョも説明がありませんでしたが私が大好きな画家の一人です。
ムリーリョはスペインを代表する画家の一人で代表作は「無原罪の御宿り」ですが、一方セビージャの貧しい少年たちの絵も多く描いています。
この絵はムリーリョのまだ初期の作品でスティレ・フリオ(寒色スタイル)の作例です。色彩に寒色が多く使われたためそのように呼ばれるそうです。(美術本の解説より)(写真は美術本より借用しました。) -
ムリーリョの「無原罪の御宿り」です。
無原罪の御宿りはムリーリョが後年テーマとしたもので、後期スティレ・ヴァポロソ(薄もや様式)で描いた絵画です。同テーマで描かれた絵はいくつもありますが秀作はプラド美術館が所蔵する「無原罪の御宿り」です。
プラド美術館で「無原罪の御宿り」を見た時は感動で心が震え、しばらく絵の前に立ち続けていました。
一連のテーマで描かれたエルミタージュ美術館が所蔵する「無原罪の御宿り」も素晴らしいですが、残念ながら実物は「少年と犬」同様見損ねてしまいました。
エルミタージュ美術館は所蔵されている美術品が300万点と言われており、多数の絵が展示されています。
その中主要な絵をガイドさんがピックアップして説明してくれるのですが、選ぶ絵はガイドさんの好みによるようです。
我々観光客はガイドさんが差ししめす絵だけ注視しているわけですから、ほかの絵が目に入らず見逃してしまうのです。
この美術館は特に事前勉強して、自分が見たい絵が何処にあるかを事前把握しておく必要があると痛感しました。
そういう訳でこの絵も美術本から写真を借用しました。 -
エル・グレコの「使徒ペテロとパウロ」。左側がペテロで右側がパウロです。
20世紀にドゥルノヴァ将軍から美術館に寄贈された絵画です。
描かれている場面は新約聖書の中でただ一度だけ2人の使途が衝突する場面。アンティオキアでパウロがペテロの矛盾を非難した場面だと推測されています。(本の解説より)
アンティオキアは現在のシリアで初期キリスト経時代にパウロが異邦人への布教の拠点とした場所です。
パウロはイエスの直弟子ではなく、イエスが亡くなった後にキリスト教徒になったので最後の晩餐に連なった十二使徒ではありません。 -
次は254室、レンブラントの間です。
この部屋には私がダ・ヴィンチやラファエロ以上に見たかった絵があるんです。
それはレンブラントの「フローラ」(写真)です。レンブラントの若き妻サスキアがフローラ(花と美の女神)に扮しているところを描いたレンブラントの最高傑作と言われる絵です。
私にとってはわざわざこの絵を見るためだけにロシアに来たと言っていいほど実物が見たかった絵です。
ですがこの絵がない。周囲を見渡してもないのです。頭をハンマーで打ちのめされたかのような衝撃を受けました。本当にガッカリです。
ついてないとはこのこと。貸し出しされていて今は無いんだそうです。もう気力も萎え力が抜けてしまいました。
美術本ではこの絵を次のように説明していました。
「サスキアは決して美女でも顔が端正だった訳でもないが、レンブラントの若い愛妻に対する賛美の思い、ロマンチックな掛値のない愛情は、彼女を永遠の女性美と若さ、そして初々しさが見事に溶け合った女性像に昇華している。
光沢のある高価な布地を使った高級感のある礼装と可憐な顔を飾る驚くべき美しさの生花の冠は、作品に特別な情感と晴れやかさをそえている。」
最大限の賛辞で締めくくられていますが、私もその通りだと思います。この絵に憧れ惹かれてここまで来たんですから。
残念ですがこの絵は写真のみです。(写真はWikipediaから借用)
さらに残念なことにこの後サスキアは29歳の若さで亡くなるんですよね。レンブラントは落胆したでしょうね。どんなに辛かったことか。(泣)。 -
さてレンブラントの絵は20点以上収蔵されていて当美術館では最も充実したコーナーでした。
しかし、時間に限りがあるのでガイドさんが重要な作品のみ選んで説明してくださいました。
ただし有名な絵はどこの部屋でも激混みで鑑賞は順番待ちでした。その待ち時間が惜しいので絵の各コーナーの隅でツアーのガイドさんが説明するのですが、その説明にいつもクレームをつけてくるのが中国人ツアー客のガイドです。
中国人と韓国人ツアーのガイドは必ずと言っていいほど中国人や韓国人です。ガイドにはライセンスを取得しているその国のガイドを使用しないといけません。韓国人のガイドはライセンスを持たないでガイドをしている者がいるので今問題になっているとローマのガイドさんは言っていました。
韓国人のガイドにクレームをつけられたことはありませんが、中国人ガイドは激しい口調でまくし立ててきました。中国人が先に鑑賞し、中国人ガイドが説明しているときは必ずと言っていいほどクレームを付けてきます。
他国のツアー客の場合はガイドの説明がダブっても(ただし邪魔にならないようガイドさんは音量を絞りますし、絵の端で説明するなどルールは守ります。)お互い様なのでクレームなどありません。
中国人の傲慢さがありありと見て取れて気分が悪くなりました。この美術館は異常に中国人ツアー客が多いのでこのようなやり取りは我々以外の外国のツアー客の間でも起きてました。
我々のガイドのオルガさんは気が強いので最初はやり合っていましたが、相手が逆上したように喧嘩腰でやってくるものですから、逃げるが勝ちとばかりに別の絵の所に我々を連れていきました。その絵が写真の「ダナエ」。
1985年6月15日、この絵に硫酸がかけられナイフで2か所傷つけられました。この修復作業は実に12年もかかりました。特に絵の左下の「傷が酷かったそうです。
ティツィアーノと同じ画題ですがレンブラントはゼウスの顔も金の雨もはっきり描いていません。蚊帳の中を覗いているのは黄金の雨を目撃するお婆さんです。
驚いているダナエの視線の先、絵の左にゼウスがいるのだろうと見る者に想像させるような描き方でした。 -
次の絵は「十字架降下」。画題としてよく取り上げられる宗教画のテーマですがレンブラントの手にかかるとリアルな絵に変貌します。
光は降ろされるキリストに当てられています。場面は今まさにキリストの手を打ち付けていた最後の釘が抜かれる瞬間です。右には失神した聖母マリアが描かれ実にリアルな絵に仕上がっています。 -
「聖家族」。これも宗教画の画題としてよく取り上げられるテーマですが、この絵では愛情や家庭、母となることの喜びが描かれています。
サスキアを亡くしたレンブラントにこれらを与えてくれたのが聖母として描かれているヘンドリッキエ・ストッフェルス(ヘンドリッキエ・フトッフェルドホテル・ヤーヘル)でした。そしてイエスはレンブラントの唯一の息子ティトウスです。
ヘンドリッキエは二番目の召使としてレンブラントに使えましたが後に愛人(実際は妻)となりレンブラントを支え続けたそうです。そしてティトウスにとっては良き母であったということです。 -
そしてレンブラント晩年の作が「放蕩息子の帰還」です。
オルガさんに言わせると、エルミタージュの至宝はダヴィンチでもラファエロでも無く、レンブラントのこの作品だと話していらっしゃいました。
この作品の周りには特に観光客が多く、今説明しているのが中国人ガイドでもあることから、説明が終わるまでそばで待ちました。
次は我々と欧米人のグループです。ガイドさんはどちらも「ロシア人なので問題ありません。絵の左右に分かれてそれぞれ説明が始まりました。たまたま我々は絵の右側にいたことが幸いしました。
絵の説明は後にしてまず絵を見てください。これはWikipediaから借用してきたものですが、画中の人は何人に見えますか?そうですね。5人です。この絵は正面から見た写真ですが、正面から見ると5人に見えます。では下の絵を見てください。何人に見えますか? -
今まで見えなかった左上の隅に女性の姿が見えますよね。そうなんです。この絵には6人の姿が描かれているんですが、絵を見る方向によって左上隅の人物が見えたり見えなかったりするんです。
右側から光が当たると見えるように描かれた絵画なんです、一種のだまし絵手法なんでしょうね。たまたま右から光が当たっていたから分かったのですがラッキーでした。 -
さて、この絵はレンブラント最晩年の作です。レンブラントはサスキアと結婚していた時が絶頂期で、サスキアが死亡してからは坂道を転げるように没落していきました。仕事が少なくなり生来の浪費癖が祟って借金が雪だるまのように膨れたのでした。全ての財産を処分して移り住んだのは貧民街でした。しかし画家としての名声は依然として高く、いくつか仕事がありましたが、2番目の妻ヘンドリッキエは39歳で亡くなりました。そして彼の最愛の息子ティトウスも亡くなりました。彼の愛する人はすべて亡くなり彼の前から去って行きました。
この絵はレンブラントの遺書として受け止めることができる作品だそうです。
ここからは美術本の解説を引用します。
「病んで誰からも省みられることも無く、愛するもの全てに先立たれた画家はこの作品によって、何もかも認めて赦すという高尚な真実のキリスト教的人間愛の観念を表現した。再会の場面は極めて簡略に描かれている。老人とぼろぼろになった服を着た貧しい旅人が、ただ言葉もなく抱き合っているばかりだ。
老人は面持ちこそ落ち着いて見えるが、息子の肩に愛情を込めて優しく置かれた両手からは、老人の内にあるあらゆる感情が伝わってくる。
眼前に繰り広げられるドラマの衝撃と感動に周囲の者は傍らで立ち尽くすことしかできない。」
サスキア亡き後転落を続けて没落したレンブラント自身の人生を放蕩息子と重ね合わせているとも、最後の息子を亡くした自分を絵の父親の姿に重ね合わせているのだともいわれています。見ようによってはいろいろと解釈できますが、感動作には違いありませんでした。
オルガさんが言う美術館の至宝はこの絵かもしれません。 -
Bsaertja Martensの肖像。
-
レンブラントの肖像画ですがタイトルは不明です。
まだレンブラントの作品はいくつもあったのですが、ガイドさんの説明が終わると部屋を後にしました。
オランダ絵画の間を通り抜け、議会階段2階ホールに向かって歩きました。 -
ここは議会階段2階ホールです。パヴィリオンの部屋を出た時にここを通りました。ここには1階に降りる階段があるので、これで2階の絵画の見学は終わるようです。
2階の絵画の部屋は半分しか見ていません。見学時間が合計4時間なので仕方無いでしょうが、まだ見ていないところがたくさんありました。
絵画ではルーベンスの間、クラナッハの間。フランスやドイツ絵画の間、騎士の間や古代絵画史の画廊などです。物足りない感じがしました。 -
1階にあったのがコルィヴァニの壺。ロシア石彫芸術の最高峰と言われるのがこのコルィヴァニの壺です。新エルミタージュ2階の展示室の飾りとして制作されました。しかし19トンという重量のため予定の場所に置くことができず、1階の古代美術展示室に飾られています。1843年に造られたもので、1枚岩の碧玉から掘り出された5つの部分からなり、分解できるようになっています。なお研磨工場では製作に12年の月日を要しました。(美術本の解説から引用)
-
1階のどこかわかりませんが遺跡の展示室の前を通り、エジプト展示室の前を通って大使の階段前に到着しました。
これで美術館の観光は終わりですが、見ていない中に有名な作品や秀作があるので次に少し紹介しておきましょう。イタリア絵画の主要な作品も見損ねていますので、いつかは再訪したいと思っています。 -
見損ねた247室にあるルーベンスの「大地と水の結合」。
大地の女神キュベレと海神ネプチューンが手を取り合い、女神ヴィクトリアが祝福する絵ですが、この絵には愛する祖国が直面していた危急存亡の問題を解決したいとのルーベンスの思いが込められているのです。
当時フランドルの貿易はオランダにシェルド川を封鎖されたため危機的状況に陥っていました。封鎖を解いてほしいとの希望をこの絵に託したのだそうです。
(美術本尾解説より)写真は美術本より借用 -
同じく見損ねた「ペルセウスとアンドロメダ」。
ゼウスとダナエとの間に生まれたギリシアの英雄ペルセウスは、海獣を倒して岩に括りつけられた女性を救った。この女性はエチオピアの王女アンドロメダで海獣の人身御供として差し出されたのだった。ペルセウスはアンドロメダと結ばれる。
(写真は美術本より借用) -
見損ねたクラナハの「女の肖像」
神秘的な表情と瞳はクラナハならではのもの。魅力的な絵です。
クラナハは見たかった。事前の勉強不足でクラナハの絵があるとは露知らず、見損ねたのが残念でなりません。
(写真は美術本から借用) -
同じくクラナハの絵「リンゴの木の下の聖母子」。
パンとリンゴを持つ幼子キリストがとても可愛らしいです。パンはキリストの聖体です。リンゴと伴にキリストの救済の象徴として描かtれています。
(写真は美術本より借用) -
大使の階段です。ツアー全員揃っていますが、ここが最終の集合場所だったのでここでトイレ休憩、その後30分自由行動になりました。ツアーの皆さんは1階に並んでいるショップで買い物か長椅子に腰かけて休まれました。
私はここのショップで販売しているイースターエッグの価格調査のためショップを見て回り、その後長椅子で足を休めました。ここの価格もエカテリーナ宮殿のショップなどど大して変わりません。ホテルで購入して大正解でした。
今日は朝から観光で、美術館では2時間半立ちっぱなしだったのでかなり足が疲れていました。そのためすぐに長椅子に座って足を休めたのですが、まだ見ていない作品がいくつかあったので体に鞭打ってでも見ておくべきだったと今は大変後悔しています。 -
エルミタージュ美術館本館を出て新館に向かいました。新刊では印象派の絵画を鑑賞します。
ツアーの仲間4人と迷子になりましたが、無事合流すことができました。新刊の絵画に会えるまで今しばらくお待ちください。エルミタージュ美術館 博物館・美術館・ギャラリー
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旅行記グループ 嬉しい誤算続きのロシア旅行6日間
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