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1990年1月1日、11日目。<br />午前1時、有志8名がホテルのロビーに集合。添乗員さんがホテルの警備に来ている二人の警察官に深夜のバスの便を訪ねるが、彼らもそこまでは知らない。が、それが幸いして何と警察の車両でレニングラード市街まで送ってもらうこととなった。<br />こうして小型のジープと乗用車型のパトカー1台ずつに各4人が乗り込みネフスキー大通りへ。<br />赤信号は青い回転灯で突っ切り、路上の歩行者はマイクで怒鳴り散らして追い払う。<br />あっという間にネフスキー大通りへ到着、おまけに1時間後にこの場所に迎えに来てくれるという。<br /><br />深夜にも関わらず通りは新年を祝う人々で大変な賑わいだ。歌やダンスのアトラクションが華やかにライトアップされている。専門店で食べたアイスクリームにはびっくり、美味しいことはもちろんのことだが、その量が半端ない。<br /><br />時間通りに約束の場所に戻ったが、どうしたことかパトカーが見当たらない。<br />寒風にさらされながら待つこと20分、諦めて近くのバス停に並びかけたところにジープ型のパトカーが現れた。<br />だがこの1台だけだ、まさか!。悪い予感は当たるものだ、そのまさかだった。<br />何と「この車しか都合がつかなかなかったから全員これに乗れ。」とせいて言う。仕方なく前の座席に一人(警官を含め3人)、後ろの座席に5人(添乗員さんは某氏の膝の上)、更に後部の両開きの物入れに2人が乗り込んでいざ出発。<br />小さなジープは大人10人の体重に軋みながら、或いは雪道で横滑りしながら、どうにか無事にホテルに帰還した。<br />レニングラードには大小の川があるので、この横滑りはまさに恐怖だった。氷結していても10人が乗ったジープが転落しては氷も割れるだろう。そうすれば我々は脱出もできず溺死+凍死に間違い無いではないか。一瞬妻子の顔が脳裏をよぎった。<br /><br />私は生還を喜んで警官に記念撮影を申し込んだがそれは立場上断られた。でもジープだけはこっそり隠し撮りしてきた。<br />後部の両開きの物入れに乗り込んだ2人が言うには、ライフル銃が2丁、鎖で固定されていたそうだ。<br /><br />添乗員さん曰く、「ソ連の警官は確かに外国人に親切だが、その見返りを期待しているのも事実。」とのこと。そして私は見てしまった、添乗員さんが警官たちに米ドル札をそっと渡し、警官がそれを素早くポケットにしまうところを。<br /><br />9時、寝ぼけ眼でレニングラード名所めぐりへ。<br />ネフスキー寺院に立ち寄ったところ、偶然にも新年のミサが行われていた。ロシア正教のミサは絢爛豪華だ。司祭の服や法具のまばゆいばかりの美しさにしばし目を奪われる。カトリックのミサが質素に思えるほどだ。残念なことに撮影は禁止だった。<br />混声合唱の分厚いハーモニーが聞こえてくるので見回すと、老若男女で構成された合唱団が中二階で聖歌を歌っている。皆私服なのでこの教会の信者さん達と思われるが実にうまい。ペレストロイカによってミサが復活して間もないのに、そのレベルの高さに驚かされる。さすがに合唱の国だ。<br /><br />午後のフリータイムは某省のT嬢と市街散策へ。ソ連でも1月1日は休日のため開いている店は少ない。やっと探し当てたスタンド式のカフェでコーヒーを飲みケーキを注文する。<br />この街には18世紀・19世紀の貴族的建築物しか存在しないので、カフェも市民のアパートもそんな中に納まっている。法律によって新しい建築物は建てられないそうだ。<br />また店の看板も景観を損ねないように制限されているので、ドアを開けてみないと何の店か解らない場合がほとんどだ。<br />建物の高さが一定しているところも壮観だ。これは当時の皇帝がそうさせたそうだ。

シベリア鉄道の車窓から=35年前の真冬の冒険 ⑫ パトカーに乗った話

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1990/01/01 - 1990/01/05

1420位(同エリア1808件中)

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13

かちかち山たぬ吉

かちかち山たぬ吉さん

1990年1月1日、11日目。
午前1時、有志8名がホテルのロビーに集合。添乗員さんがホテルの警備に来ている二人の警察官に深夜のバスの便を訪ねるが、彼らもそこまでは知らない。が、それが幸いして何と警察の車両でレニングラード市街まで送ってもらうこととなった。
こうして小型のジープと乗用車型のパトカー1台ずつに各4人が乗り込みネフスキー大通りへ。
赤信号は青い回転灯で突っ切り、路上の歩行者はマイクで怒鳴り散らして追い払う。
あっという間にネフスキー大通りへ到着、おまけに1時間後にこの場所に迎えに来てくれるという。

深夜にも関わらず通りは新年を祝う人々で大変な賑わいだ。歌やダンスのアトラクションが華やかにライトアップされている。専門店で食べたアイスクリームにはびっくり、美味しいことはもちろんのことだが、その量が半端ない。

時間通りに約束の場所に戻ったが、どうしたことかパトカーが見当たらない。
寒風にさらされながら待つこと20分、諦めて近くのバス停に並びかけたところにジープ型のパトカーが現れた。
だがこの1台だけだ、まさか!。悪い予感は当たるものだ、そのまさかだった。
何と「この車しか都合がつかなかなかったから全員これに乗れ。」とせいて言う。仕方なく前の座席に一人(警官を含め3人)、後ろの座席に5人(添乗員さんは某氏の膝の上)、更に後部の両開きの物入れに2人が乗り込んでいざ出発。
小さなジープは大人10人の体重に軋みながら、或いは雪道で横滑りしながら、どうにか無事にホテルに帰還した。
レニングラードには大小の川があるので、この横滑りはまさに恐怖だった。氷結していても10人が乗ったジープが転落しては氷も割れるだろう。そうすれば我々は脱出もできず溺死+凍死に間違い無いではないか。一瞬妻子の顔が脳裏をよぎった。

私は生還を喜んで警官に記念撮影を申し込んだがそれは立場上断られた。でもジープだけはこっそり隠し撮りしてきた。
後部の両開きの物入れに乗り込んだ2人が言うには、ライフル銃が2丁、鎖で固定されていたそうだ。

添乗員さん曰く、「ソ連の警官は確かに外国人に親切だが、その見返りを期待しているのも事実。」とのこと。そして私は見てしまった、添乗員さんが警官たちに米ドル札をそっと渡し、警官がそれを素早くポケットにしまうところを。

9時、寝ぼけ眼でレニングラード名所めぐりへ。
ネフスキー寺院に立ち寄ったところ、偶然にも新年のミサが行われていた。ロシア正教のミサは絢爛豪華だ。司祭の服や法具のまばゆいばかりの美しさにしばし目を奪われる。カトリックのミサが質素に思えるほどだ。残念なことに撮影は禁止だった。
混声合唱の分厚いハーモニーが聞こえてくるので見回すと、老若男女で構成された合唱団が中二階で聖歌を歌っている。皆私服なのでこの教会の信者さん達と思われるが実にうまい。ペレストロイカによってミサが復活して間もないのに、そのレベルの高さに驚かされる。さすがに合唱の国だ。

午後のフリータイムは某省のT嬢と市街散策へ。ソ連でも1月1日は休日のため開いている店は少ない。やっと探し当てたスタンド式のカフェでコーヒーを飲みケーキを注文する。
この街には18世紀・19世紀の貴族的建築物しか存在しないので、カフェも市民のアパートもそんな中に納まっている。法律によって新しい建築物は建てられないそうだ。
また店の看板も景観を損ねないように制限されているので、ドアを開けてみないと何の店か解らない場合がほとんどだ。
建物の高さが一定しているところも壮観だ。これは当時の皇帝がそうさせたそうだ。

旅行の満足度
5.0
観光
4.0
ホテル
4.0
グルメ
4.0
交通
4.0
同行者
一人旅
一人あたり費用
30万円 - 50万円
交通手段
鉄道 観光バス 徒歩 飛行機
航空会社
アエロフロート・ロシア航空
旅行の手配内容
ツアー(添乗員同行あり)
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