今は昔　西アフリカ　ニジェールでの水探し

1992/09/01 - 1996/01/09

今は昔のことですが、仕事で訪れた国での旅行の思い出を綴ってみました。今ではずいぶんと変わっている、あるいはそのままかも知れません。それはそれでお国柄を表していることでしょう。

印象に残った西アフリカのニジェールでの足掛け4年の砂漠化防止の基礎調査での水資源調査での仕事。その自然、村、仕事、生活等々の体験の備忘録で、今回は水探しの仕事の一端を思い出しました。

エリア ニアメ(ニジェール)

• 旅行の満足度: 4.5

• 同行者: その他
• 航空会社: エールフランス ANA
• 旅行の手配内容: 個別手配

雨季では川が炊事、洗濯、シャワーなどのすべてです。

遠くから水を汲みに集まります。

プールともなります。

河川敷が乾いてくると地下水が水源となります。

浅井戸を掘っているところです。掘削している人の帽子が穴の中に見えます。

堀屑がこのとおり。

乾季では井戸が水源の唯一。

ゴム袋でくみ上げ瓢箪の器で運ぶようです。

これは台地上に作られた筒井戸で、１０ｍ以上の深度。私が調べた中では50m以上のものもありました。

くみ上げた地下水はこんな具合に濁っていますが、赤ん坊の時から飲んでいます。育つ人は育ちます。

井戸の周りは社交場でもあります。

手動ポンプ井戸。機能している間は便利で清潔ですが、故障すると手に負えません。

井戸は人ばかりでなく家畜も集まってきます。

ヤギもくみ上げられた水に集まってきます。

この大地で水探しをします。
まずは地質調査。この台地は20億年前ほどのプレカンブリア時代の花崗岩、変成岩でできています。

メサと呼ばれる台地上の突起が処々に残っています。

地表に顔出す片麻岩。

花崗岩も出ています。

西のブリキナファソ国に向かうと花崗岩の岩盤も現われます。

花崗岩盤には節理も見られます。この岩盤の地下水は尾のような空隙に賦存するのでしょう。

流理をもつ花崗岩

花崗岩の風化部か、第三紀層か。

メサ地形。
下部がプレカンブリア基盤岩、上部が第三紀層の砂岩。この両者に地下水が賦存。

マグー富士と呼んだメサ。

マグー富士の周辺には石英礫が残置してます。この起源は第三紀層から侵食されたものでしょう。

首都ニアメから東に行くと台地が広がります。

台地の平坦な頂部は硬質なラテライトに覆われてます。

台地の頂部はラテライト礫。

ここは基盤岩の上で砂で覆われています。

乾季の干上がった河川に一条の水の流れがあることがあります。

この流れの源は岩盤からの湧水でした。

調査の足はトヨタのランドクルーザー。これが無いとお手上げです。

電気探査でメンバーとニジェール・ブリキナファソ国境まできました。奥がブリキナ。

既存井戸の調査です。井戸構造、水位、水質などを定期的に調べます。

水面までの深さ、水を採取など。

携帯水位計で地下水位の測定。選んだ観測井戸では毎日測定。

地下構造を調べる電気探査。

私が測定器を操作し、地下に電流を流します。電気を流す電極は順次測定幅を広げ、地下50mほどまでの電気構造を調べ、地下の岩石を推定します。

ワジでの測定。1箇所1時間程度の時間がかかります。

岩盤地帯での測定。

花崗岩の風化帯（マサ化しカオリンになっている）での電気抵抗値の測定。

オーガーボーリング。数ｍの地下の試料採取。これが一苦労、現地の彼らでないと仕事になりません。

掘削は最大10mほど可能ですが、当地では固い岩盤に当たってしまうのでこんな深さまではとても無理です。

そこで深いところの岩石採取は機械ボーリングが必要になります。鉱山省のボーリングクルーの力を借りることにしました。

トラックマウントの機材での調査です。事前の地質踏査、電気探査、オーガーボーリングなどでの情報から、必要な調査ポイントを選定しボーリング開始です。

岩石コアーを採取し、地下の状況を考察します。

コア採取したボーリング孔には塩ビパイプを挿入志、地下水観測孔として仕上げました。

これまでの調査から地下水開発の有望地点を絞り込み、いよいよ井戸の掘削です。井戸はOFEDESなる地下水開発公社に発注。

井戸掘削中。

完成した筒井戸。地下水面が見えます。

この井戸からどの程度の揚水量が見込めるのか、揚水試験で確認します。まずは試験のためのポンプの設置。

地下水をくみ上げ、揚水量と水位を経時的に測定します。

揚水量は三角ノッチ箱で測定。この井戸では、日当たり1000m3の揚水が可能であると解析しました。

仕上がった井戸と調査クルー。ここでは成功しました。しかし、出ない井戸もありました。

ポンプを付けることなく、メンテナンスの容易な「つるべ井戸」としての利用が一番ではないかと思ってます。

皆さんの笑顔が熱い熱いアフリカを癒してくれました。