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昨日淳一郎先生がリハビリ室にすごい本を持ち込んだ。<br /><br />明治39年出版された夏目漱石の短編集の初版本。<br /><br />地震で本棚から舞い落ち、埋もれたため、表紙の刺繍文字の糸もやや乱れ、背表紙に至っては一部が完全に剥ぎ取られている。<br /><br />本を開くとページの紙が抜け落ちそうな恐れさえ有る。<br /><br />しかしページをめくると、明治39年出版とは思えない色の残る水彩画と版画が施されている。<br /><br />私は恐るおそる淳一郎先生に申し出、初めて見る漱石の初版本をカメラに収めることにした。<br /><br />とは云っても病室でのデジカメの撮影で思うに任せないが、漱石の書籍は目にしていても初版本をご覧になられた方はそう多くないと思い、撮影した写真を淳一郎先生の了解の元にUPする事にしました。<br /><br />表紙に収録された短編小説7編のタイトルが、白舟篆書でデザインされている。<br /><br />表紙を開くと、見開きのページの右側は版画が、左にこの本のタイトル「漾虚集」がやはり白舟篆書でデザインされている。<br /><br />収録されている7編の短編すべてを通して、各編の表紙に表紙絵、最初のページにタイトルと版画絵、そして各短編に1枚だけ挿絵を挿入。<br /><br />最後の一つ前のページで「漾虚集」の終わりを告げ、見開きで版画が添えられている。<br /><br />そして最後のページに出版日、著者名や発行所などが記載され、上部に「複製許不」と書かれた右肩に、漱石の実印が押されている。<br /><br />淳一郎先生のもう一つの顔は、3万冊に及ぶという膨大な蔵書家であるだけでなく、このような多くの初版本や、現在絶版となっている名著の蒐集家でもある。<br /><br />ちなみに岩男淳一郎著の「絶版文庫発掘ノート―失われた名作を求めて」(青弓社)は、知る人ぞ知る名著との評価が高い。<br /><br />「漾虚集」の写真撮影を終えて、小説は読むことなく、早々に無事お返し出来て安堵した。<br /><br />追記:漱石が序で體裁を担当してくれた二人に謝辞を記している。<br /><br />”不折”とは”中村不折”のことで、明治、大正、昭和期に活躍した日本の洋画家、書家。「吾輩は猫である」の挿絵も担当。<br /><br />また”五葉”とは”橋口五葉”のことで、明治末から大正期にかけて文学書の装幀作家、新版画作家。アール・ヌーヴォー調の装幀本を手掛けた。<br />

WT信の湯布院療養日誌:7月7日 (木)漱石初版本

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2016/07/07 - 2016/07/07

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旅行記グループ 湯布院日誌

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WT信

WT信さん

昨日淳一郎先生がリハビリ室にすごい本を持ち込んだ。

明治39年出版された夏目漱石の短編集の初版本。

地震で本棚から舞い落ち、埋もれたため、表紙の刺繍文字の糸もやや乱れ、背表紙に至っては一部が完全に剥ぎ取られている。

本を開くとページの紙が抜け落ちそうな恐れさえ有る。

しかしページをめくると、明治39年出版とは思えない色の残る水彩画と版画が施されている。

私は恐るおそる淳一郎先生に申し出、初めて見る漱石の初版本をカメラに収めることにした。

とは云っても病室でのデジカメの撮影で思うに任せないが、漱石の書籍は目にしていても初版本をご覧になられた方はそう多くないと思い、撮影した写真を淳一郎先生の了解の元にUPする事にしました。

表紙に収録された短編小説7編のタイトルが、白舟篆書でデザインされている。

表紙を開くと、見開きのページの右側は版画が、左にこの本のタイトル「漾虚集」がやはり白舟篆書でデザインされている。

収録されている7編の短編すべてを通して、各編の表紙に表紙絵、最初のページにタイトルと版画絵、そして各短編に1枚だけ挿絵を挿入。

最後の一つ前のページで「漾虚集」の終わりを告げ、見開きで版画が添えられている。

そして最後のページに出版日、著者名や発行所などが記載され、上部に「複製許不」と書かれた右肩に、漱石の実印が押されている。

淳一郎先生のもう一つの顔は、3万冊に及ぶという膨大な蔵書家であるだけでなく、このような多くの初版本や、現在絶版となっている名著の蒐集家でもある。

ちなみに岩男淳一郎著の「絶版文庫発掘ノート―失われた名作を求めて」(青弓社)は、知る人ぞ知る名著との評価が高い。

「漾虚集」の写真撮影を終えて、小説は読むことなく、早々に無事お返し出来て安堵した。

追記:漱石が序で體裁を担当してくれた二人に謝辞を記している。

”不折”とは”中村不折”のことで、明治、大正、昭和期に活躍した日本の洋画家、書家。「吾輩は猫である」の挿絵も担当。

また”五葉”とは”橋口五葉”のことで、明治末から大正期にかけて文学書の装幀作家、新版画作家。アール・ヌーヴォー調の装幀本を手掛けた。

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