ボーデン湖・黒い森・アルザス・ベルン州の旅8-1　スイスの谷でチーズ分配祭り！

2014/09/19 - 2014/09/19

2014.9.19（金）ユスティスタールのチーズ分配祭り

トゥーン近郊のユスティスタールで開催される、チーズ分配祭りに行きました。

小屋から大きなチーズが次々と運び出され、積まれていく様子を見ることができました！

（旅行期間：2014.9.12〜2014.9.21）

エリア その他の都市(スイス)

• 交通手段: 鉄道 高速・路線バス 徒歩
• 旅行の手配内容: 個別手配

6時半、目が覚める。

昨日と同じように朝焼けが始まり、ギュルベの谷向こうの山の上が赤くなってくる。

アイガー、ユングフラウにかかる雲はなく、山の稜線がくっきり見えている。

7時、まだ薄暗い中を、学校へ向かう子どもたちの姿を見る。

冬になったら、もっと日の出は遅くなる。子どもたちが、明るい中を学校に行ける日はどのくらいあるだろうか。

7時を過ぎると、朝焼けはどんどんきれいになっていった。キルヒェントゥルネンの教会も朝焼けに染まる。

谷向こうの山の上、たなびく雲の様子がなんともいえず美しい！

アイガーのほうは空全体が黄金色。

どうぞ今日一日、よい天気になりますように！

7：40、朝食。

この日は、アルプスの秋の行事である、チーズ祭りと牧下りの観光する予定。8：50、Fさんにトゥルネン駅まで送ってもらう。

バスと電車の乗り継ぎ時間が短かく、切符を買うのに慣れていないから、ちと心配。それで、送ってもらえるようお願いした。

最終目的地はシグリスヴィル村。トゥーンでバスに乗り換えるのだが、バスの分まで券売機で買うことができた。

スイスの交通システムは実に合理的。同時に、ポストバスの存在の大きさを改めて感じる。

（ガントリッシュ山系）

ほどなく、9：03のトゥーン行きが到着。

走り出した電車の窓から見る、朝の光に照らされた景色がきれいなこと！

9：21、トゥーン駅に降り立つ。実に18年ぶり。
当時は木造だった素朴な駅舎の面影は残っていないが、船着場の様子は変わっておらず、とても懐かしかった。

1996年9月、初めてのスイス旅行でグリンデルヴァルトに滞在するのに、ここから蒸気船に乗った。

船に乗る前の短い時間で、トゥーンの街を観光。まさに駆け足で、船着場に戻ってきた。

インターラーケン・ヴェストに向かう船からの景色は素晴らしく、大感激したことを思い出す。

それはそうと、シグリスヴィル行きのバスはどこ？

駅前のバスターミナルが大きすぎて、駅構内に戻り、観光局で教えてもらう。

停留所は道を渡った所。すでに、25番のバスに乗る人の列ができていた。どんどん人が乗り込んで、9：31、出発。

バスはしばらくトゥーン湖沿いを走る。

天気に恵まれ、ウキウキと湖畔の景色を撮っていると、メモリがいっぱいの表示が出た。

ガ〜〜〜ン！！！こんな時に、なんてこったぁ…。よりによって、この日は替えのSDを持っていなかった。

この旅の大きな目的であるチーズ分配祭りと、牧下りの写真が撮れないって、どうしよぉぉぉ。またもや、信じられないドジ…。

シグリスヴィルでSDカード買えるかな…？イマドキだもの買える…よね？

船着場のあるグンテンからは上り坂。9：56、終点のシグリスヴィル・ドルフに到着。

1つ手前のバス停のすぐ近くに、SDカードを置いてそうな店があった。セカセカと向かう。
店だと思ったのは郵便局。当然、SDカードはなく、コープにあるかもしれないと教えてくれる。

コープのある村の中心に行く道すがら、写真屋さんらしき家を見つけたが、あいにく休み。

途中、何軒かでSDカードがないか聞いてみたものの、どこも置いておらず、頼みの綱のコープにもなかった…。

観光局にもSDカードはなし。お願いだから、SDカードくらい置いてくれ〜！心の中で叫ぶ。

こっちは焦りまくっているのに、観光局の人はおっとりした口調で、「ユスティスタールからのシャトルバスの最終は14：15だから注意して」と、チーズ分配祭りのパンフレットをくれた。

ハイハイわかってます、ご親切にどうも。

最後の望みは、バスの終点近くのホテル。

でも、フロントでは何も売っていないよう。誰もいないことを幸いにトイレを拝借。

やることやって諦めついた。10時半、チーズ分配祭りが行われるユスティスタールへのシャトルバスの列に並ぶ。かなり長い列ができていた。

バスを待つ間、写真を削除。このカードはベルンからの写真が入っていた。たいして削除しないうちに、仕掛け時計の動画に辿り着く。印象に残らない仕掛けだったから、迷わずサヨナラ〜。

これで、だいぶメモリに余裕が出た。次の手段。撮影する写真のサイズを小さくする。やった、200枚くらい撮れそう！ホッ。

気持ちにも余裕ができて、観光局でもらった紙を眺める。

すると、一番下の行に“16時半にシグリスヴィルで牧下りがある”と書いてあるではないか！

牧下りは、ユスティスタールではなくて、やっぱりシグリスヴィルだったんだ。
チーズ分配祭りを見たら、シグリスヴィルに戻って観光して、牧下りを見よう！観光局に行ってよかった！

列はなかなか進まなかったが、ピストン輸送のバスがまとまって戻ってきた。

11時、バスに乗り込む。

シグリスヴィルを出発したバスは、トゥーン湖を見下ろしながら走る。

道幅は結構狭い。

やがて山間に入り、15分ほど走った所で降ろされる。

会場は、そこから少し離れた場所にあるらしい。みんなについて行く。
谷を意味する“タール”のとおり、切り立った崖の間に道は続いていた。

チーズ分配祭りのことは、アッペンツェルの情報を調べている時に辿り着いた牧下り（Alpabzug）のサイトで知った。
そのサイトには、スイス中の日程が記載されていた。

（右側の崖）

ウルネッシュの日程が合わず、一度は諦めた牧下りだったが、キルヒェントゥルネン近郊で探してみる。

なんと、滞在中にトゥーン郊外のシグリスヴィルで行われるではないか！胸躍った。

（振り返るとニーセン）

ところが、書かれているのはユスティスタールのチーズ分配祭りのこと。

シグリスヴィルの観光サイトはドイツ語のみで、宿泊のことをメールでやり取りしている時に、Fさんにお願いして解読してもらった。


（途中の山小屋）

その日は、ユスティスタールへの道が車の乗り入れ禁止となり、シグリスヴィルからシャトルバスが出ること。

バスの始発は朝の7時半で最終は14：15、往復で15スイスフランということは明らかになった。

（左側も崖）

チーズ分配祭りの開催時刻や、そもそも牧下りが行われるのかどうかが、イマイチはっきりしないものの、行けばわかるだろう。

牧下りのサイトによると、11時にお祭りが始まるらしいから、それに間に合うようにと、バスを調べてやって来た。

それなのに、とんだSDカード騒ぎで11時を過ぎてしまった。終わってなければいいのだけれど…。

しばらく歩くうち、会場とおぼしき場所が見えてくる。

（仮設トイレ）

大きな丸いチーズを運んでいる人ともすれ違う。

案の定、会場に渡された板の上に置かれているチーズは残り少なかった…。（泣）

そのチーズを前にして、値段交渉していると思われる人がいる。

いやいや、ただの世間話かもしれない。でも、手に持っているのは、小さい電卓のような…。

あっ、お財布出した。やっぱり交渉してたんだ！

別の場所でも、電卓を手にする人。こうやって、チーズを売り買いしているのだろうか。

お祭りは見損なってしまったけれど、板の上に大きな丸いチーズが積まれ、チーズを車に運んでいる人たちや、こんな光景も目にすることができたんだからヨシとしよう。

思った時、なにやら人だかりができているのに気づく。なんだろう？

覗いてみると、チーズの山がズラリと並んでいた！次の分配が始まっていたのだ。

よく見える場所を探して移動。

チーズが積まれた周りには、民族衣装を着た男の人たちもいる。あの人たちが、チーズを作ったのかな？

グレーの洋服を着た男女がチーズの前に立ち、

男性のほうが何かを読み上げ、女性のほうがチーズの上に紙を置いていく。

すべての山に紙を置き終わると、みんなで拍手。

民族衣装を着た人たちが、チーズの山に進んで行くと、運び出しが始まった。

この祭りは、スイス・ドイツ語で“Chästeilet”と呼ばれている。

村の人が放牧地で搾った牛の乳を持ち寄って山小屋でチーズを作り、そのチーズを自分の牛の乳量に応じて分配するそうだ。

チーズは、色も大きさも同じではなかった。デキがイマイチのもあるだろう。

分配に当たり、多少の不公平があっても、納得のいく解決方法が“クジ”。チーズの上に置いて行った紙は、クジと思われる。

このお祭りは、チーズの競りではないかと勝手に想像していたが、もっと生活に根づいた行事だった。

農家の人たちはトラクターを花で飾ったり、

カウベルをいくつもぶら下げたりしている。

収穫を祝う気持ちが伝わってくる。

ユスティスタールのチーズ分配祭りは有名だそうで、素朴なお祭りを見ようと、谷にはたくさんの人が訪れていた。

あれ？あっちの小屋の前にも人だかりができている。行ってみよう！

どうやら、谷にいくつかある小屋ごとに、分配していくようだ。

今度は、小屋からバケツリレーの方式で、チーズを運び出している所を見ることができた！

置き場所が足りなくなったのか、追加の板も運び込まれる。

さっきと同じように、チーズの山に紙が置かれ、それが終わると、運び出しが始まる。

チーズをよく見ると、側面に作った日付が入っているようだった。

分配が終わった小屋の前では、チーズの屋台が店開き。味見もできて、ちょっと硬めのチーズに決める。

カットするのに、結構、力がいるようで、オネエサンは一苦労。その後、男性にバトンタッチしていた。（^^）

お祭りはひと段落した模様。

谷をブラブラしていると、さっきの小屋を覗いている人がいるのに気づく。見た〜い！

薄暗い小屋の棚には、チーズが少し残っていた。お祭りの前には、びっしり並んでいたに違いない。

グリンデルヴァルトのグローゼシャイデックの小屋にも、テレビでしか見たことのない、丸い大きなチーズが並んでいた。

強い匂いとともに、こういう所でチーズを保管していることに驚いたことを思い出す。

分配の後、トラクターはピクニックランチのテーブルに早変わり。

チーズやパン、ワインなどを販売している車もあった。

会場の奥のほうには、テーブルが設けられていたが、入るスキはなさそう。

草地はぬかるんでいる上、牛の落とし物もある。仮設トイレには行列。

それなら、シグリスヴィルのホテルでゆっくりランチにしたい。シャトルバスで戻ることにする。

切り立った崖を見上げたり、道端の草を眺めながら、バスの乗り場に向かう。

途中、分配祭りのポスターがあった。写真を撮っていると、通りがかった人が「それは来年のよ」教えてくれる。

本当だ、“2015”って書いてある。もう9月18日に決まっているんだ。

しばらく行くと、正面にニーセンが見えてくる。

ニーセンは、きれいな二等辺三角形をしている。トゥーン湖の遊覧船からも見た、懐かしい山の形。

バス停近くの山小屋の前では、木の板を渡していた。ここでも、チーズの分配が行われるのだろうか。

バスに乗る前に、斜面で草を喰んでいる牛を見に行く。

カウベルを付けた牛もいて、カランコロンと聞こえてくる。

あの牛、お乳がパンパン。たっぷりミルクが搾れそうだ。

では、シグリスヴィルに行こう！シャトルバスに向かった。