日本の神を覗く旅路・第1部記紀の神々続・晩秋の大和路06日本最古の大神神社その2境内周遊

2014/11/27 - 2014/11/27

石段を登り注連縄が張らた鳥居を潜ると、正面に一見本殿かと見紛う大向拝の屋根の立派な拝殿。

拝殿前に近づくと鎮魂詞（いのりことば）の表札があり、「幸魂（さきみたま）奇魂（くしみたま）」と書かれている。

幸魂と奇魂とは「人間に対して幸福を与える神秘的な力を持つ霊」（島田裕己氏）との事。

幸魂と奇魂を併せて”御魂（みたま）”と称し、由緒によればその御魂がおわす三輪山こそが大神神社の御神体にして、大国主命の御魂であり、大神神社の御祭神・大物主大神（おおものぬしのおおかみ）。

う〜ん頭がこんがらがって来そうだ。

カソリック教では教会で「父と子と聖霊の為に・・」と祈るが、聖霊とは神となったイエスが昇天した後に地上に残ったイエスの魂。

御魂は大国主命は出雲の高い神殿にお隠れになったがその魂だけが三輪山に居れる。

よく似た話で、いわゆる新約聖書の神髄「三位一体説」に対し、大神神社の神は「二位一体説」とでも云うことになるのだろうか。

しかしこの神様は御魂と云う抽象的な名前と裏腹に、実に人間臭さをお持ちなのだ。

美女の姫を見れば恋をされるし、それも複数の恋人が居られ、その姫に合うためなら蛇や弓矢に変身し、苧環（おだまき）の糸程に小さくもなり、扉の鍵穴から姫の部屋に忍び入る。

その結果お子も複数おられる。

こちらの方はギリシャ神話の万能の神ゼウスを彷彿させるが、日本の神も負けてはいない。

大物主大神が見初めた姫一の人が勢夜陀多良比売（せやだたらひめ）（日本書記では玉櫛媛（たまくしひめ））で、その子比売多多良伊須気余理比売（ひめたたらいすよりひめ）（日本書紀では媛蹈鞴五十鈴媛命（ひめたたらいすじひめ））は神武天皇に妃となる。

天照大神の御神体は鏡（伊勢神宮）や勾玉（皇居）や劔（熱田神宮）と云われるが、大国主命（大物主大神）の御神体は敢えて言えば三輪山の磐座（いわくら）なのだろうか。

御祈祷受付でお願いすると拝殿の裏手にある、禁足地との区切りの三輪鳥居（三ツ鳥居）から御神体の三輪山を拝める。
（禁写真・下記境内マップを参照ください）

毎年の初詣を大神神社としていると云う義妹夫婦も、三輪鳥居からの参拝は初めてだったらしい。

その景観は、春日大社の御蓋山浮雲遥拝所の鳥居を”三輪鳥居”の変えれば殆ど変らない様に思われる。

太古では聖域は有っても常設の拝殿もなく、祭事の都度仮説の拝殿を建て、祈りの儀式が行われたらしい。

その仮説の拝殿の前に仮設の鳥居の類もあったろう。

ここまで書きながら頭に浮かんだのが諏訪の各宮の4本の御柱だ。

古代祭事を行う際、その聖域を示すために建てられたのが、聖域の四方を囲む御柱では無かったろうか。

しかし今や日本最古の神社には本殿と見紛う立派な拝殿を中心に、350haの三輪山一面に境内の建物が覆うように建てられている。

半日そこらで全部回遊できるものでは無く、西面の凡そ全境内の半分を周遊することにした。

拝殿の左側に建つ見事な祈祷殿とその両脇の儀式殿と参集殿を皮切りに、盤座社、市杵嶋姫神社、狭井神社、そこから元の道を辿り、久延神社へと辿った。
（ルートは下記大神神社・境内マップの右下ある「境内詳細マップ」をクリックしてください。）


参考：
三輪明神・大神神社
http://oomiwa.or.jp/about/kamigatari/#linktop

大神神社・境内マップ（境内詳細マップ）
http://oomiwa.or.jp/keidaimap/

第２部ヴァチカンを飾る、４人の天才を巡るローマ美術散歩　（目次）
http://4travel.jp/travelogue/10787447

人間臭い神々とエーゲ海に浮かぶ島々in ギリシャ：目次（全56章)
http://4travel.jp/travelogue/10158037

日本の神を覗く旅路・第1部記紀の神々続・晩秋の大和路03祭神は国譲り交渉の主役たち
・春日大社その2境内周遊と特別拝観・萬灯篭
http://4travel.jp/travelogue/10960868

エリア 桜井・三輪・山の辺の道(奈良)

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