灼熱！河内之旅（4）ハノイでレーニン像に出会い、誰もいない早朝のホーチミン廟辺りを散歩して、文廟に参拝してインドシナでベトナム料理を楽しむ。

2012/05/09 - 2012/05/17

今回の滞在はハノイA駅前のメルキュール・ハノイ・ラ・ガールだったので文廟やホーチミン廟は徒歩圏内でした。距離的には近かったのですが何しろ暑かったので汗びっしょりになりました。早朝6時に出掛けて1時間歩いただけでしたが、そんな中でも地元の人はサッカーをしたり、バトミントンしたり元気です。残念なのはタンロン遺跡が休みの日にしかこの辺りを歩けなかったことです。文廟は世界中にたくさんありますが、中国の山東省曲阜市の孔廟と同じような造りでした。規模がミニチュアな所がベトナムっぽくて良いです。フエの宮殿の門も北京の故宮の数分の一の大きさだったことを思い出します。近くにはベトナムの山岳少数民族の雑貨を扱う店があったり楽しい場所でした。お昼は評判の良いインドシナというレストランでお洒落なベトナム料理をいただきました。

エリア ハノイ(ベトナム)

• 旅行の満足度: 4.5
• 観光: 4.5
• ホテル: 4.5
• グルメ: 4.5
• ショッピング: 4.5
• 交通: 4.5

• 同行者: カップル・夫婦（シニア）
• 一人あたり費用: 15万円 - 20万円
• 交通手段: 鉄道 高速・路線バス 観光バス 船 タクシー 徒歩 バイク 飛行機
• 航空会社: ベトナム航空
• 旅行の手配内容: 個別手配

早朝に目が覚めてしまったので1人で散歩に出かけました。ホテルの裏通りにインドシナと言う老舗のレストランがあります。早朝だとこんな感じですが、お昼に行くと店の前は自転車だらけでした。ある意味貴重な写真かもしれません。ここへは後で来ることにします。

道を歩いていて気になりました。これって通りにある分電盤から電気を盗んでいるのでは？お湯を沸かしているようで、良く見ると果物の皮も干しているような。

ハノイの街中には沢山の廟があります。ここもその一つで比較的大きな所でした。時間が早いので門は閉ざされています。

線路を渡ってディエンビエンフー通りを進むとフラッグタワーを見つけました。ここは軍事博物館の敷地内です。通りの反対側の公園では早朝だというのに若者がサッカーを楽しんでいます。

公園にはレーニン像が鎮座しています。ソヴィエト解体と共に連邦の国家から解体されたレーニン像がここでは健在です。共産主義の崩壊の象徴のように壊されるシーンをニュースで目にしましたが以外に残っているようです。

レーニン像を見て感慨深かったのは「グッバイ！レーニン」という映画を思い出したからです。東ドイツに住む社会主義に傾倒した母親が心臓発作で昏睡状態になり、２回目の発作を起こしたら命の保証は無いと言われます。その昏睡状態中にベルリンの壁が崩壊してしまうのですが、母親がそれを知ったら発作を起こすので嘘のニュースを作ったり知られないように四苦八苦する息子の話です。その中で印象的なのが解体されて上半身をヘリコプターに吊られてに運ばれるレーニン像の姿です。アパートのベランダの母親に手を差し伸べているように見えます。「アメリ」のヤン・ティルセンの音楽もいい味出しています。

ここのレーニン像はベトナムの人々を見守っているように見えました。レーニンは偶像崇拝を嫌い「ハトが喜ぶだけ」と言って生前から自分の銅像が造られることに否定的だったそうですが、まだまだたくさんありますね。次に会えたのはサンクトペテルブルグで手を挙げてタクシーを停めているような像でした。

公園前の広い歩道は格好のバトミントンのコートに早変わりです。日中に広い歩道を歩いていて白い線を見掛けたらそこは早朝のバトミントンコートです。

ディエンビエンフー通りと言えばヴォー・グエン・ザップ（武元甲）将軍は今年100歳で健在だそうです。翌週ハノイからラオスのルアンパバーンに飛んだ際、多分ディエンビエンフーはこの辺りだろうかと歴史に思いを馳せました。この旅の翌年の2013年に亡くなられました。

昇龍城（タンロン）遺跡に沿って散歩を進めると社会主義国家らしいモニュメントが見えてきました。戦没兵士慰霊塔だそうです。ホーチミン廟と一直線に重なっています。

タンロン遺跡の北側まで歩こうと思ったのですが、遺跡には入れないし、北門教会（フランスコロニアル風の建物）だけ見ても仕方ないし、暑いのでホーチミン廟の前に向かいました。

ちょうど朝の草刈り中で作業員と廟の対比が面白かったので。

前回来た時は旧市街でブン・チャーを食べて骨董屋を探し回っていただけなのでどこも観光していませんでした。ホアンキエム湖の玉山祠さえ今回初めて行きました。ホーチミン廟は表から眺めるだけに留めました。

わざわざ中に入らなくても私にはこれで充分でした。

ホーチミン廟の周辺は大使館やら黄色いコロニアル風の建物でいっぱいでした。往時は華やかな場所だったのだと感じました。多分廟のある一角も同じようなお屋敷が建っていたのではないかと安易に想像出来ました。警備の立っている建物は撮影しませんでした。

線路に戻ってきました。後ろがハノイ駅なのでこの先にはロンビエン橋があり、そして沙巴（サパ）へ続く老街（ラオカイ）までの列車が通ると思うと感慨深いものがありました。

翌日は妻を伴い文廟の見学に行きました。同じ線路をハノイ駅側を望みます。駅の構内との間には緑色の大きな鉄扉が閉ざされています。と言うことは列車が出入りしないという事です。

そうすると線路は道路になります。

暑い中に線路を歩かされ、後ろからバイクにクラクションを鳴らされ、ご機嫌も線路と同じくらいカーブしてきました。

線路は果物屋にも早変わりします。

道端で野菜や果物や花を売る人も減ったような気がします。時期が少し早いのかもしれませんが蓮の花売りは全く見掛けませんでした。

文廟に到着しました。ガイドブックだと広い敷地なのに入口が明記されていません。でも孔廟なのですから入口は南側と決まっています。そこまで考えて省略しているのでしょうか。

「易経」にあるように「聖人南面して天下を聴けば、明にむかひて治る。」（明治時代の明治はここからきています）「天子南面」と言われ、中国では皇帝が南面して政治を執る事が当然とされていました。故宮然り京都御所も同じです。聖人に並ぶ孔子も同じことだったのでしょう。

曲阜の孔廟には「官員人等至此下馬」と石碑が建っていましたが、河内ではただ「下馬」と石に彫ってあるだけでした。

南から真直ぐ北に向かって歩こうと思ったのですが渋滞しています。

渋滞の理由は幼稚園児の遠足でした。みんな前の子の洋服の裾を掴んで並んでいます。国は変わっても同じような光景を目にします。ベトナムの中でも裕福な子供たちなのでしょうが。

ついついつられて子供たちについて行ってしまいます。

沢山のアンスリウムの花を使って模様が描かれていました。

ホアンキエム湖の畔にも同じような物がありました。

この奎文閣の形はハノイの水上人形劇の舞台の背景と一緒です。つまりこのアングルが座席からの眺めと言うことです。そしてもう一つハノイ市のマークにもなっていますから重要な形だと言えます。更にもう一つはこの後で。

越南（ベトナム）らしい漆塗りの扉です。中国とは微妙に違う美しさを感じます。

中国の建物の縦横比と違った感性を感じます。間口に対して棟の高さは低いのは何か意味があるのでしょうか？気候的な要因でしょうか？

この後鳩が飛んできてこの人形をバタバタ倒して行きました。

総漆塗りの立派なお堂です。

この板に願い事を書くと叶うと言う事で受験の時は賑わうそうです。「私も家族の健康を祈念する。」と書き始めましたが指をたどると「や・せ・た・い？」

祭壇の上には「萬世師表」と書かれていますが、これは「永遠に模範となる師」という意味で孔子を表します。

越南の孔子像はどうも水上人形劇の人形の様で動きそうです。

繋がった子供たちがまるで龍のように堂内に吸い込まれていきます。

美しい花が鉢植えされていました。

一番奥の左右に右側に巨大な太鼓が納められています。

大聖殿の裏にあるのがベトナム最古の大学である国子監です。抗仏戦争で完全に破壊されてしまったので、現在の建物は再建されたものです。左右にある細長い建物で授業が行われていたそうです。

教育の発展に貢献した３人の皇帝、リー・ニャン・トンとリー・タイ・トーとレー・タイン・トンの木像が祀られています。

無料の演奏が不定期でありますが、50,000ドンで数曲演奏してくれます。全員で４人になります。椅子に座っていたらそう耳元で囁かれましたが、思わず席を立ってしまいました。後で考えたら200円ほどの寄付と思えば安いものだったと後悔しました。

奎文閣のもう一つのお話は100,000ドン札の裏側にあります。

ちょうどこのアングルです。こんなことをするために中国の桂林と陽朔の間の村まで行って20元札のアングルを写真に収めたり、泰山に登って写真を撮ったり…。カンボジアではアンコールワットとバイヨンで忘れてしまって残念！

官僚登用試験である科挙の合格者の名前と出身地が刻まれた碑が石造りの亀の上に乗っています。中国であれば贔屓の上に乗っているのですが、やさしい亀と言うのが越南らしくて好感が持てます。

贔屓とは龍生九子、龍が生んだ九匹の子供の中の一つです。贔屓は重いものを好むので石碑を背負っています。「贔屓の引き倒し」の諺の語源でもあり、碑の土台である贔屓を引っぱると柱が倒れることから来ています。
中国では巨大な贔屓がありますが、移動する方法は冬場に道路に水をまいて凍らせた上を滑らせて運んだそうです。ハノイの場合はあまり大きくありませんが、どうやって運んだのでしょうか？

今回のハノイの旅で絶対に訪れたいと思っていたのがここ文廟でした。数年前に中国の曲阜へ行ったことが大きな要因ですが、中国と越南の文化の融合について考えさせられる場所でもありました。

文廟に面した通りにクラフト・リンクと言うお店があります。絶対に来たかったお店なのですが、この店独自の商品があってとっても良かったです。基本的に少数民族系の雑貨や洋服がメインなので、中国で少数民族の村巡りをしている我が家にとっては垂涎の店です。

この店の商品は何族の人たちが作ったか明確になっていて、尚且つ英文ではありますがパンフレットが種族別に置いてあるのが良いです。店の女の子に聞いても明確に教えてくれます。値段も手ごろでお勧めの店です。1階に２部屋、２階にも２部屋ありますので忘れずに。２階の奥の部屋は一度ベランダに出てから入り直すのでご注意ください。

ブラザース・カフェまで戻ってきましたが、まだ10時前です。開店まで１時間近くあるので写真だけ撮って先を急ぎます。

一度ホテルに戻ってシャワーを浴びて着替えてから昼食に出掛けます。ホテルの裏側の道を進むとインドシナというレストランがあります。日本で地図やガイドブックを見ているだけだとこんな通りとは思わないでしょう。

本日一番のお客の特権と言う事にしておきましょう。ノン・ラーの形をしたこれがメニューです。

注文を終えて満足げです。左からバーバーバーバーバー。意味分かります？

カニスープからスタートです。スープはスモールポーションです。

暑さのせいか食欲がちょっと落ちています。パパイヤサラダは間違いのない味付けで美味しかったです。。

ココナッツで炊いたごはんのほのかな甘さがたまりません。

クリスピーな揚げたてのイカフライは甘辛いソースが掛かっています。

妻がどうしても食べたかったバインチャオ（生春巻）です。

食後の余韻を楽しみます。と言うか暑いから表に出たくありません。室内はエアコンが効いているうえに天井ファンがあるので快適です。

このお店の人たちはとても気さくで「写真撮りましょうか？」と声を掛けてくれます。

若い男の子と記念写真。とても楽しい時間が過ごせました。このレストランを含めハノイ市内の東側は旧市街とは違った雰囲気です。今回初めて行ったエリアですが楽しいところでした。