★ちょっと昔のシンガポール　シンガポールにもあった道教寺院の巡礼風景

2003/09/28 - 2003/10/06

台湾に住んでいた時には、日常の風景の一つだった道教寺院での参拝風景。
一般の参拝者のほかに、お寺の特別な行事の日には巡礼団がやって来て、タンキーと呼ばれるシャーマンたちが自らの体を傷つけ、流血も交えた凄まじい参拝方法を見せてくれた。

シンガポールにもチャイナタウンがあって大小の中国寺院も多いけど、シンガポールで同じような巡礼を見たのはこの時が初めて。

一時期は住んでいたシンガポール。
もうすっかり現代的になった都市国家では、もう道教寺院でもこういう風習は無くなったんだろうと思っていた私の思い違い。

もう今は住んでいないシンガポール。
たまたま用事で立ち寄ったシンガポールのチャイナタウン。そのはずれにあるお寺で出会った光景をご紹介します。

表紙の画像は、この日の巡礼団の一員のシャーマン。口の左右を矢のような金属棒が貫いている。

エリア シンガポール(シンガポール)

用事の終わったチャイナタウンからの散歩道。

この寺院にはよく立ち寄る。


ビル群を背景にした境内はいつもは静か。
この日も和やかな参拝風景。


と思ったら…、

ドンガラドンガラと太鼓や鐘を打ち鳴らした一団を乗せた小型トラックが数台到着。


あれ、台湾と同じだ！


トラックから降ろされた、日本のお神輿に似た神様の乗り物が登場。
まずは香炉の煙でお清め。


これも見慣れた懐かしい光景。

お次に現れるのは、台湾ではタンキーと呼ばれるシャーマン。女の人の時もある。

これは若い男の人。
矢のような金属棒が口元を貫いているのが分かる。

後ろに黄色い旗を持った巡礼団が続く。


台湾だと、この後が凄まじいけど…、

シンガポールでは介添えの人も穏やかな表情のおとなしい巡礼だった。


台湾ではこの時に刃物や鋸状の道具、釘を打ち付けた玉などで自分の体を傷つけ、群集の熱気も交えて恐ろしく殺気立った光景になる。

中にはトランス状態が行き過ぎて失神するシャーマンや巡礼者も出るほど。

お次は別の巡礼団のシャーマン登場。

このシャーマンの口元には、細身で波打った形の短剣状のものが突き通されている。


介添えの人が先導。


その後ろでは巡礼団の人たちが遠巻きで見守る。

香炉前でちょっと着崩れを直す。

あれ、なんか台湾と違うと思ったら、シンガポールでは爆竹はダメなのね。


連続して鳴り響く爆裂音もきな臭い白煙も無し。

香炉前に向う。

ここでご祈祷。
台湾ではシャーマンの口を借りての神のお告げもなされる。

寺院の敷地を回って、一人一人の神様にご挨拶。

一般の参拝者も恐々ついて来る。

ご挨拶はこのように膝まずいて…。

寺院を去る前の奉納？の舞。


この後、巡礼団はまたトラックに分乗して賑やかに次の寺院へと向って行った。

彼らが立ち去った後、静けさを取り戻した寺院を改めて見て回る。


ウ〜ン、こんな舌がべろ〜〜〜んと長い神様もいるんだな。


信仰とは不思議なもの…。

ホテルに戻るべく、歩くチャイナタウン。

こんな町並みを見ていると、さっき見たものが嘘のよう。

さっきのあれは幻だったのさ、と言っているようなたたずまい。

どこの国でも今も続けられている不思議な風習はあるんだよ、と言い返す。

この日の〆に寄ったラッフルズ・ホテル。

ここまで来ると、もうさっきの光景が遠くなったシンガポールの一日…。