ギリシャ北部・北マケドニア世界遺産めぐり　⑭イスタンブール　ボスフォラス海峡クルーズと城壁歩き

2025/09/12 - 2025/09/28

29年前に出会ったとある本がきっかけで、ビザンティン美術に興味を抱きました。そこで外せない場所が女人禁制の聖地アトス。アトス訪問は調べれば調べるほど時間の余裕が必要と考えたため、なかなか実行できませんでした。今回2週間という日程が可能となったため、ビザンティン美術の素晴らしい聖堂巡りと、周辺の世界遺産をまとめて廻る、集大成プランを立てました。
前半は家族旅行、聖山アトスからは一人旅の記録です。

9/12　羽田出発
9/13　デルフィ、オシオスルカス修道院、メテオラ
9/14　メテオラ
9/15　ケルキラ（コルフ）
9/16　ザゴリ
9/17　北マケドニアへ　オフリド
9/18　オフリド、ビトラ　ギリシャへ再入国
9/19　マケドニア王国の遺跡巡り
9/20　聖山アトス　最古の修道院へ
9/21　聖山アトス　巡礼の道
9/22　聖山アトス　絶景の修道院
9/23　聖山アトス　海からの巡礼
9/24　テッサロニキ　トルコへ
9/25　イスタンブール　旧市街西側のビザンティン聖堂巡り
★9/26　イスタンブール　ガラタ、ボスフォラス海峡クルーズ
9/27　イスタンブール　ハギア・ソフィア大聖堂詣
9/28　帰国

エリア イスタンブール(トルコ)

• 旅行の満足度: 4.5
• 観光: 5.0
• ホテル: 4.0
• グルメ: 4.5
• ショッピング: 4.0
• 交通: 4.5

• 同行者: 一人旅
• 一人あたり費用: 25万円 - 30万円
• 旅行の手配内容: 個別手配

コンスタンティノープル（石たんぶーる）の2日目。この旅で初めての雨になりました。一時的ではありますが、傘を使わなくてはならないほど。
持ってきた傘がようやく役に立ちました。
ホテルのあるアクサライから、エミノニュに出て、新市街を眺めます。
まずはガラタ橋を渡って、ガラタ塔に向かいます。

雨上がりの急坂は滑るので危ない！
ゆっくり歩いていきます。

ガラタ塔のたもとに着きました。これまでのイスタンブール訪問では、見ることはあっても登ることなありませんでした。
今回は入場料が高騰していることを受けて、今後さらに上がってしまう前に登ろうと決意しました。
ビザンティン時代の末期にガラタ地区がジェノヴァ人の居留地になった時代に建てられた塔なので、ビザンティン遺跡のひとつです。

ガラタ塔 建造物

朝一番なので、行列はなし。事前にチケットを買ってあるので、入場はスムーズでした。夕方が人気のようですが、今回はしっかりと旧市街の建物を眺めたいので、朝にしました。

ガラタ塔 建造物

塔の上は結構な強風でした。
金角湾とボスフォラス海峡です。右側が旧市街、手前が新市街ガラタ地区、奥はアジアサイドです。

金角湾にかかるのはガラタ橋。
左奥にはアヤソフィアとブルーモスクが見えます。

右のアヤソフィアと左のアヤイリニの2つの聖堂は、6世紀に建てられたビザンティンを代表する聖堂です。
ドームがあるのでモスクに似ているように見えますが、遠望すると、その形はオスマン朝のモスクとは異なるフォルムであることがわかります。

ボスフォラス海峡の北側を望むと、第一大橋が見えます。
この後海峡クルーズに向かうので、上からの予習です。

塔の中にはいろいろな展示があります。
最後にはお土産屋も。

ガラタ橋を渡って旧市街へ。
釣り人が多いのは旧ガラタ橋の頃からの風景。

何の魚だろう。

丘の上のスレイマニエ・ジャーミィ、下はリュスティム・パシャ・ジャーミィ。

人が多いエリアがよく釣れるのでしょうか。

クルーズのチケット売り場。
1000円ほどの金額で2時間近いクルーズに乗れるのは、とてもリーズナブルなアトラクションだと思います。
特に観光地が軒並み高騰しているので、よりそう感じます。

こちらの船で海を散策します。

左側に席をとると、海峡を左側通行で走っていくので、より陸側に近い。
とはいえ、激混みでなければ動けるので、どちらでもいいのかも。

同時間帯に何隻もの船が出発します。

巨大なクルーズ船も停泊しています。

進行方向左手にドルマバフチェ宮殿が見えてきました。

ドルマバフチェ宮殿はオスマン朝最後のスルタンが暮らした宮殿です。

第一ボスポラス海峡大橋のたもとに立つオルタキョイ・ジャーミィ。

第二大橋が見えてくると、ルメリ・ヒサーリの塔が見えてきます。
周囲は豪華な別荘建築が並びます。

第二大橋の下にあるゼキ・パシャ・マンションは、20世紀初頭に建てられたヴィラです。

征服王メフメット2世が、コンスタンティノープル攻略のために、最もボスフォラス海峡が狭いところに突貫工事で作らせた、ルメリ・ヒサール。
ビザンティンの建築ではないものの、ビザンティン帝国滅亡の一翼を担った、重要な遺産です。

ルメリ・ヒサールの向かい側のアジアサイドに作られていた、アナドル・ヒサール。２つの砦があることによって、海峡を制することができ、コンスタンティノープルの陥落につながっていったという意味で、重要な砦です。

ルメリ・ヒサールの全景。
砦としても美しく見えます。
2000年に訪問したのですが、その時よりもきれいになっていたイメージです。

アジアサイドにあたっているキュッチュックス離宮。

修復工事中のベルベレイ宮殿。

2つの海峡をまたぐ大橋が見えています。

トプカプ宮殿とアヤソフィアが近づいてくると、もうすぐクルーズも終わりです。

海峡に浮かぶ乙女の塔。
初めて近くで見ることができました。きれいな建物です。

船を降りて、スルタンアフメット方面にトラムで向かいます。
途中でアレイ・キオスクを通ります。
トプカプ宮殿の中から、スルタンたちが行列などを見学するための場所として作られたものだそうです。

トプカプ宮殿のエリアまで入り、アヤ・イリニ聖堂を目指しました。
この聖堂は、モスクになることはなく残された非常に貴重な建物でもあり、コンスタンティノープルの聖堂の中で、最も古い建物でもあります。

532年に建てられた建物で、アヤソフィアとほぼ同時期のユスティニアヌス帝の時代のものです。重厚な内部に歴史を感じます。

祭壇には、聖像破壊運動の時期に作られた十字架のモザイクがあります。

これまでのイスタンブール訪問時には、クローズしていて見ることができませんでしたが、とうとう中に入ることができました。

アヤソフィアとともに帝国でも重要な建物だったようで、アヤソフィアに直通の通路が造られていたそうです。

アヤイリニは、現在はトプカプ宮殿の敷地内にあるので、セキュリティチェックなどを受けて中に入ります。
トプカプ宮殿自体は大人気なので、入るのが大変ですが、第1の庭に立つアヤイリニは、スムーズに入ることができます。個別のチケットもあります。
今回はトプカプ宮殿はパスしました。

トプカプ宮殿の海側にあるCankurtaran駅から電車に乗ります。
25年前は鉄道でしたが、今はトラムのような車両が運行されています。

イェディクレ駅まで移動しました。

イェディクレ駅から出ると、街並みが独特でした。

イムラホール・ジャーミィはただいま修復中です。
もともとはストゥディオス修道院のアギオス・ヨアンニス聖堂として建てられたもので、前期ビザンティン建築ですが、かなり荒廃しているようです。

オスマン時代に作られたイェディクレ・ヒサール（要塞）に来ました。
イェディクレは7つの塔という意味です。
ここはテオドシウスの城壁と一体化している要塞です。

イエディクレ 史跡・遺跡

目的は真ん中にある門を見ること。
コンスタンティノープルの正門として、皇帝の凱旋などに使われた黄金門が要塞の中に取り込まれています。

イエディクレ 史跡・遺跡

城壁の外側から見た黄金門。
堂々たる門構えですが、どこまでがビザンティン時代のものなのかはわかりません。

イエディクレ 史跡・遺跡

黄金門の上からイェディクレ要塞を眺めます。後ろのマルマラ海が見えています。

イエディクレ 史跡・遺跡

黄金門から北を見ると、都を防護するテオドシウスの城壁が続いています。

イエディクレ 史跡・遺跡

南側を見ると、テオドシウスの城壁の最南端がマルマラ海に面して残っています。

イエディクレ 史跡・遺跡

要塞を出て、城壁の沿って歩きます。25年前に来た時と同じように、兵どもが夢の跡という雰囲気で、難攻不落の三重の城壁が残されています。

テオドシウスの城壁 史跡・遺跡

城壁の修復も進んでいるようで、北に向かうにつれて、きれいな城壁となります。
三重の城壁の内側は堀だったと思いますが、それは埋められたままのようです。

テオドシウスの城壁 史跡・遺跡

城門から主城壁と副城壁の間に入ることができるようになっていました。

テオドシウスの城壁 史跡・遺跡

修復が進んでいない先の方が、歴史を感じさせます。

テオドシウスの城壁 史跡・遺跡

ベルグラード門のところは、特に三重の城壁が美しく復元されています。

テオドシウスの城壁 史跡・遺跡

城壁からバスとトラムを乗り継いで、スルタンアフメットに戻ってきました。
ここからビンビルディレクという地下貯水池に向かいました。
地下宮殿と同じようにローマ時代に作られた貯水池ですが、あまり知られていないので、入場料もお手頃に見学することができます。

地下宮殿によく似た構造ですが、古代遺跡からの柱の転用はないようです。
見た感じですが。

周囲にショップのブースが並んでいるので、もともとショッピングモールになっていたという話があったので、それの名残かなと思います。今はやっていませんんでした。

スルタンアフメットの広場に出て。あらためて帝国最大の大聖堂、アヤソフィアを眺めました。最終日に入る予定です。
圧倒的な存在感です。
ビザンティンを意識して、イスラム時代に付けられたミナレットを画角から外しました。

ブルーモスク（スルタン・アフメット・ジャーミィ）は、アヤソフィアに比べると優しい印象です。ミナレットは工事中のようですね。

アヤソフィアの西側に来ました。
ここは正面の入口の方向なので、ビザンティン大聖堂としては、この位置から見るのが正当かなとおもい、撮影してみました。
いつも見る南側からの見え方に比べると、丸みのある印象になります。

ホテルに戻りながら、もう一つビザンティン聖堂へ。
ボドルム・ジャーミィと呼ばれるモスクですが、かつてのミュレレオン修道院中央聖堂で、920年ごろに作られたものだそう。

起伏のある地形の丘の上に建てられているようで、聖堂の下にショッピングセンターがあります。

この旅最後の晩餐は、地元の人も多く利用するキョフテの名店へ。
Tarihi Sultanahmet Köftecisi Selim Ustaというお店です。

キョフテに豆のスープ。
アルコールはありません。

デザートにライスブディングをいただきました。
どれも美味しかった。

夜のスルタンアフメットは大賑わいです。
ホテルに戻って、明日夕方に帰るための準備です。