2025/10/24 - 2025/10/24
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たのちゃんさん
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きっぷマニアの中では忌み嫌われ、避けて通られている機械発券の地図式券。
文字は消えるわ券面はきたない。(ーー;)
いよいよ今、世界で手に入るのはカバー写真左上の1種類のみとなりました。
左下と右は、昭和57年頃の国鉄の券です。
着駅名の文字解像度を比べてみて下さいな。
30余年の進化がわかるかと思います。
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券売機、印発機のきっぷは困った問題があります。
「時間が経つと印字が消える」こと。 **
下のほうで詳しく説明します。
印字方式 〇:消えない ×:消える △:ものによって
・インク式 〇
・キレート式 ×
・サーマル(感熱紙)式 ×または△
新しいものは少しマシになりました
・感熱転写方式 〇 転写リボンを使った印刷方式
**硬券でも酸性紙の場合、消えることもあります。
-
昭和43年ころから、それまでの硬券の出て来てくる券売機に変わり、機械内部での印刷式の券売機を設置開始しました。
写真は大阪駅中央口に設置された単発式の機械で、30円のきっぷ1種類だけ発売できます。
まだ使えるのは10円硬貨だけで、おつりは出ません。百円札のあった時代です。大阪駅 駅
-
単発式で大人券しか売れません、小児の金額は書かれていません。
-
イチオシ
こちらは天王寺駅。この頃の大阪地区の券は着駅が全部書いてあります。
天王寺駅 駅
-
こちらは東京地区の券です。右と左でずいぶん書き方がちがいますね。
左列は古い様式、右列は運賃を大きく表示した新しい様式です。
地図はオマケで発駅名と金額重視になってきています。金額式の発想ですね。
国電区間の改札職員は、近距離運賃はアタマに入っています。
「池袋20円」という文字を見たら「あ、40円足りない」と反射的にわかります。
この頃の券は、まだインク(油性の黒インク)を使っていたので消える心配はなかったのですが。 -
昭和45年になると、多能式券売機が登場し主要駅に設置されました。
大人と子供のボタンが10個づつ付いて、子供ボタンには蓋がされていて誤購入を防止していました。
50円、100円硬貨も使えるようになり、おつりが出ます。
私鉄では5円単位の運賃もありましたが、国鉄では5円は切捨て10円単位にまるめられています。横浜駅 駅
-
初期のインク式 多能式券売機なので小児の金額も印字されています。
【写真上】は昭和46年の描画ルール変更前のもので、着駅が区間表示、注意文言が
「太線区間内の1駅ゆき」になっています。
【写真下】はルール変更後のもので、着席が最遠端表示、注意文言は「上記区間の1駅ゆき」に変わっています。
30円から100円は東京地区では金額式で、120円以上が地図式でした。
鶴見線の無人駅にも多能式が入っていたとは驚きです。(ム)が印字されています、 -
関西地区ではまだ全部の金額が地図式か矢印式でした。
写真上が単発式、写真下が多能式です。
機械メーカが違うので同じ区間でも図柄が違いました。 -
仙台駅では、路線別になった地図式でした。
仙台駅 (JR) 駅
-
『この指 30円!!』
この頃の券売機は、印刷用の油性インクを使用しており、発券してもなかなか乾かない事態が発生します。
服が汚れたり、指に転写されたり…券売機の普及と拡大により社会問題化して新聞にも取り上げられました。 -
昭和50年代初頭までは顔料系スミインク式で消える心配はありませんでしたが、上記記事のように、衣服や手指が黒インクで汚れるというクレームが都市部でたくさんあり、対策として透明インクのキレート式に切り替わってゆきます。
券売機は変えずに印刷ブロックを改造し、インクと券紙だけ交換対応したのです。
機械の外からでは、インクかキレートかわかりません。
これにより、切符の収集家にとって冬の時代へと突入してゆきます。 -
写真では【写真上】がインク式、下の2枚が2キレート式です。
キレート式は「金属酸化物反応」を利用し、予め顕色剤を塗布された紙に、透明の発色剤をスタンプに付けて押印する方式です。
券売機で発券直後は発色しておらず、3分くらいすると徐々に文字が現れてきて写真のように濃い灰色が最大で漆黒にはなりません。
しかしこの直後から退色がはじまって1週間くらいで黄ばんだ色になり、3か月もするとかなり薄くなります。半年から1年で完全に判読不能となります。皮脂で発色するので、指紋のついた切符を多く見かけます。
【写真中】の西八王子の券が真ん中付近が薄汚れているのは汗んついた指でベタベタ触ったからでしょう。
【写真下】は印版のゴムがかなり劣化し、かすれていますね。下記の新型サーマル式に機械が取り替えられる直前だったと推定されます。
日付と券番号を見てください。雰囲気が違いますね。
上と下はインクリボンによる印字、中は金属番号器に印版と同じキレートインキをつけての印字です。
インクリボンは退色しないので、券面が消えて日付と券番だけ残った切符をよく目にしますが、中の切符は全部消えて白紙になってしまいます。
上は立石電機、中は高見澤電機、下は神鋼電機の券売機で、メーカによって機構が異なるわけです。 -
全国のキレート式。すでに消えてしまって現物は今では全く印字が見えません、
PPCコピーをお目にかけます。
現物の保存がきかないので、こうするしか後世には画像を残せないのです。
化学反応による発色なので、密封し空気を遮断して保存しても時間かせぎするだけでいつかは消失します。 -
武蔵野線は開業のs48年から出改札合理化のモデルとして自動改札と100キロ自動券売機を設置、中間駅に窓口は設置せず切符には無札扱いを示す(ム)が印字されています。
s58年には全国にサーマル式の100キロ券売機が導入され、51キロ以上は全て地図式になりました。右下の東船橋は新型のサーマル式ですがその他の中間駅ではキレート式をs61年頃まで使用していました。
キレート式はゴム印なので、自由に描画できますが、当初のサーマルでは立て、横、斜め45度の線しか使えず、描画に苦労しているのが伺えます。字画数の多い漢字も不鮮明です。
写真は東船橋のみサーマル式で、他はキレート式です。
*(ム):マルム 無人駅ではなく無札乗車扱いで、学割、障害者割引なども着駅精算になります。 -
昭和53年以降、全国に拡大されていった「53V」という国鉄標準型自動券売機の券です。
当初は硬貨と1000円紙幣だけ対応でしたが、のちにオレンジカードや高額紙幣も使えるようになりました。昭和57年以降は地方ローカル駅にまで導入されています。
印刷方式はサーマル(感熱記録紙方式)で100キロまでの乗車券、グリーン券、急行券、自由席特急券、回数券も発売、連絡会社線や通過連絡の券も一部発売されました。 -
こちらが全国に拡大された国鉄標準の53V型自動券売機。
JRになっても平成4年頃まで使用されました。
左は紙幣ブロック搭載 1万円札まで使えます。
右はカードブロック搭載、オレンジカードが使えます。まだクレカは使えません。
複数枚購入ボタンもつきました。 -
大切にしまってあったコレクションを、ある日出して眺めようとしたら・・・ガガーン(◎_◎;)汗;;
悲劇ですね。
私の人生、何だったんだ・・堕落への道のりは続く(うそです)
上:昭和58年 国鉄(荒川沖1260円)地図式 42年前
中:平成13年 遠州鉄道(第一通り100円) 25年前
下:平成17年 東京都交通局(上野動物園西園) 21年前
下の2枚は食券の紙じゃない??
蒐集箱にはこんな券がゴマンとあります。 -
発券してすぐにコピーしておけば、まあこんなものです。無いよりはマシ。
この当時、国鉄の券売機には51キロ以上は必ず地図式が入っていました。
まだ裏の白いきっぷで、保存性が悪くすぐに退色が始まります。
サーマルヘッドが汚れていると、カスレ、スジが入ったりしていて買った切符が不鮮明だと駅で別の機械のに交換してもらいました。
昭和61年10月以降、地図式は無くなり国鉄の自社線内券売機券はすべて金額式に変わりました。 -
券紙が裏が黒いきっぷになって、退色の度合いはずいぶん少なくなりました。
20年たってもこの程度には見えます。
JRになって地図式が残ったのは通過連絡券のみでした。
現在は連絡運輸範囲の縮小によりなくなりました。
千代田線通過(綾瀬-西日暮里)のみ残っていますが矢印式です。
平成10年はまだ改札峡を使用していました。 -
この2つは私にっとって貴重な画像です。
【写真上】の券は、東北線の土呂駅開業初日の券です。
当時国鉄は赤字で、新規開業でも最低のコストしかかけませんでした。
当初、券売機が2台だけで窓口は無し。右下に無札扱いを示す(ム)がしれっと印字されています。
地図式の最低額を購入し、もう消えることはわかっているのでその日のうちにコンビニでコピーを取りました。
【写真下】は偶然券売機設置工事に遭遇し、記念に買いたいと告げたら試刷りでよかったらあげる、と頂きました。2年くらいしてから思い起こし、撮影したので印字が薄くなりかけていますが、辛うじて読み取れます。 -
ここで、収集家にとって困った問題が。
硬券ならば窓口の外から見て、ある程度どんなきっぷがあるか見当がつき、係員に言って見せてもらってから買うという手もあります。
しかし券売機と言うのは魔物で、決済して発券してみないと何が出てくるか予想がつかない場面が多々あります。駅員に聞いてもどの金額がどんな様式か熟知しているわけでありませんし、見本もありません。
写真のように赤文字で書いてあれば助かるんですがね~現実は・・・
あと買ってみたら印字品質が悪くカスレている場合も。
もし買って見て、欲しい物と違ったら「誤購入」で払い戻せますが、まあなんとも。。
写真:東京メトロ北千住駅ミルディス口券売機の東武ボタン画面 -
50キロ(のちに100キロ)までの乗車券は券売機に任されるようになりましたが、駅の出札業務で大きな手間がかかっていたのは定期券と長距離きっぷです。
この問題を解決するために窓口にまず導入されたのは「定期券・乗車券印刷発行機」(略称:定乗印発機)でした。
昭和54年に浜松駅に試作機が設置され、改良された量産型が全国の主要駅に広がりました。 -
昭和55年頃から国鉄ではコストのかかる硬券の駆逐に乗り出しました。
発売枚数の多い主要駅から、写真のような「定期券、乗車券印刷発行機」を設置し、窓口から券箱を追い出して、代わりに設置しました。
乗車券だけでなく作成に手間のかかる定期券もボタン一発で発券できるのです。
この機械が導入された駅は、裏口のある駅以外には硬券がなくなったことになります。
正面には即売ボタンが512個あり、予め口座登録しておいた乗車券を一発で発券できます。券箱から硬券を出して売るイメージですね。
机上にはページキー(いわゆるパタパタ)があって1440駅収納、定期券や口座登録されていない経路の乗車券などを駅名を選択して発券します。その右にはテンキーがあり、任意の金額式乗車券も発券できました。これを使えば「国鉄線9999円区間」などあり得ない金額でも発券できてしまうわけです。運賃データベースを参照しないスタンドアロン機の致命的欠陥でした。
写真:東芝のカタログより -
この機械では、ボタン一発、どんな券でも発行できました。
片道券、往復券、連続乗車券、区間変更券、料金券、定期券など。今のMARSとは異なり、乗車券は縦型の85mm券でした。
ただし、オンラインになっておらず、裏面は白(非磁気)
当然指定券は発行できませんし、ボタンの口座に登録されてない駅へは手書きの補充券が残りました。(写真右下)売上の金額のみ自動集計される仕組みです。 -
「乗車券印刷発行機」による地図式券です。
近郊区間内の駅では、51キロから100キロの5口座が即売(ワンタッチ)ボタンに収納されていました。
このタイプは感熱転写なので印字は消えません。
昭和60年代のワープロ持っていた人、カセットに入ったインクリボン交換しましたね。あれと同じです。 -
同じ区間を硬券と印発機とで図柄を比べてみましょう。
メーカのエンジニアが硬券の図柄を見ながら、キャラクタージェネレータに手入力しておりました。大きな方眼紙に図を書き、どのセルを黒にするか入力するわけです。今のパソコンDTPと違い大変な作業ですね。
ゴム印でも作った方がよほど早かったでしょうに。
成田駅ではs58-2-1から印発機が導入されました。 -
カタログがあったので載せておきます。(東芝)
昭和51年当時、国鉄では機器のテリトリーをメーカごとに決めていました。
一例です。
定乗印発機は、東芝、三菱、日本信号
自動券売機は、立石、神鋼、高見沢
指定券システム(MARS)は、日立
直流電気機関車は、富士電機、東洋電機、川崎重工
交直流電気機関車は、日立、東芝、三菱など
*機関車は型式ごと、時期ごとにこれ以外の場合もあります。
以上2枚の写真は、東京芝浦電気(株)のカタログよりお借りしました。 -
初期の西武鉄道の地図式券です。
発駅が四角、該当着駅が楕円で囲まれていて、見慣れない様式ですね。
この頃はまだスミインク式です。 -
神戸高速鉄道の券です。
他にはみない独特のデザインです。高速長田駅 駅
-
東武鉄道は広大な路線網を持ち、枝線もたくさんあるので地図式には最適です。
昭和30年代からいち早く地図式を導入していました。
私鉄でキレート式を導入していたところは珍しいです。 -
平成に入るとサーマル式になりました。
写真は同一区間がキレート式からサーマル式に変わった例です。
同一区間でも図柄が大きく変わっていますね。
写真上:キレート式
写真下:サーマル式 -
東武と国鉄の共同使用駅(国鉄管理)では、定乗印発により東武の券を地図式で発行していました。
平成12年、東武の駅が独立し今では東武の発券端末に変わっています。栃木駅 駅
-
券売機券の消え具合の比較です。
上:キレート式 昭和62年大津
下:サーマル式 平成1年新宿
感熱紙の退色は、水、油脂、アルコール、可塑剤、有機ガス、紫外線などによっておこるとされており、防止する方法は無いそうです。
汗や皮脂でベタベタの手でさわると数時間で指紋の形で消えます。
60℃以上だと反応して真っ黒になります。
買ってすぐガラス瓶で密閉し冷暗所に置いてもダメでした。瓶に窒素かヘリウムでも入れればまだマシだったのかもしれませんが、簡単には出来ませんからね。
結局、感熱紙は蒐集にはムリポ。┐( -"-)┌に
キレートは消えても若干痕跡は残りますが、サーマルは完全に消失し判読不能になります。整理券、乗車駅照明、レシートも同じです、...
ーーーーーーーーーーー
サーマル(感熱記録紙)の保存について
少しでも退色を後のばしにするための心得です。
・紫外線、湿度、高温は厳禁。乾燥した冷暗所に保管。
・汚れた手でさわらない。
・油脂、アルコール、酸、有機物の液体に濡らさない。
できれば買ったらすぐ、カラースキャナーで撮っておく。
スタンプを押すと、インクの下や周囲は消えるので乗車記念印を押すときは印字にかからないよう押してもらうこと。 -
券紙(乗車券原紙)の種類で、退色度合いが違う例です。
【写真上】は、平成2年の裏が白い非磁気の券で「感熱1種」という紙です。
これは保存性の悪い感熱紙で、昭和53年以来15年余マニアを泣かせてきたものです。
平成3年以降、首都圏全駅に自動改札導入開始により【写真下】の裏の黒い高保磁率の「M感熱1種」に切り替わりました。上は平成2年11月、下は平成3年12月で同じ駅発行ですが、1年しか違わなくてもこれだけ保存性が異なるという見本です。常温保存で写真は令和7年10月撮影。
またこの中間に裏面の茶色い原紙もあるのですが、保存性は白と変わりませんでした。北府中駅 駅
-
自分が使用した乗車券を貰って来る場合、無効印や乗車記念印を押されますが、印字の上にスタンプを押すとサーマル式ではインクと化学反応して文字の下の印字だけ消えることが多いです。
出来ればインクを薄く押してもらうか、印字の上に重なることを避けるようお願いするといいでしょう。
ティッシュを用意して余計なインクを押したらすぐに吸い取ることもかなり有効です。(化学反応がおこるのはインクが乾燥するまでが80%) -
汚い券でお目汚しが続いたので、購入後すぐにスキャナ撮りしておいた鮮明な東武の地図式券です。
2013年12月まで売られていました。 -
国鉄に次いで地図式を多数登場させた東武でしたが、自社管理の券売機では全駅金額式にしてしまいました。
奇跡的に残っているのが、直営でない「委託駅」
東京地下鉄管理の北千住駅ミルディス口の券売機に、1230円区間のみ地図式で現在(2025-10)入手可能です。
日本で最後の地図式片道乗車券となってしまいました。
硬券全盛のころは、目もくれませんでしたが今のこの状況となっては、”カワイイ奴”です。北千住駅 駅
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写真:日本初の硬券券売機で売られた地図式片道乗車券
10銭硬貨を入れレバーをガチャンと押し下げると・・・手動です。
鉄道博物館に1台保存されていて、たまに公開されます。
【編集後記 2025-10】
券売機、印発機の券は眼中になかったので放置してきましたが、硬券がなくなり車補も風前の灯の時世になったので、やっと重い腰を上げました。
消えてしまう券は、ネットでもあまり見かけないので保存してあるコピーで1本書くという暴挙に出ました。
いずれはスマホのスクショしか残すものがなくなるかもしれませんね。
すでにチケットレス乗車券もそうですし。
【前編】
地図式乗車券の楽しみ(1)首都圏車内補充券めぐり
https://4travel.jp/travelogue/11770030
地図式乗車券の楽しみ(2)駅売りの地図式硬券
https://4travel.jp/travelogue/11778726
地図式乗車券の楽しみ(3)首都圏私鉄の車内補充券
https://4travel.jp/travelogue/11830684
地図式乗車券の楽しみ(4)券売機と印刷発行機の地図式券
https://4travel.jp/travelogue/12012853/ ←イマココ
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