2023/02/24 - 2023/02/24
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たのちゃんさん
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最近はリバイバルで硬券のきっぷがクローズアップされており、よくTVや雑誌で特集記事を目にします。
しかしマニアではない放送局や出版社などの記者が正確な情報を把握しているとは思えない為(時々とんでもないマチガイや、思い込み記事を散見する)、今どこの鉄道で硬券の切符を売っているのか、現役で改札鋏を使っているのはどこかなどをまとめてみました。
知っていれば、また旅の楽しみも増えるものと思います。
ネットニュースでも的外れな記事を書くライターもいるので注意が必要です。
ここで注意しなければならないのは、【硬券発売駅=改札鋏使用】ではないということです。
硬券は売っているが、改札はチケッター(日付スタンプ)を使用という会社、
逆に切符は券売機のみだが、改札には鋏を使用、などという例がたくさんあります。
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硬券(こうけん)とは、写真のように0.7ミリ程度の厚紙に活版印刷した切符のことをさします。(最近はオフセット印刷のこともあります。)
これに対し、券売機や発券機の薄くやわらかい紙(ロール紙など)の切符は、軟券(なんけん)と呼びます。
改札鋏(かいさつきょう)は、切符が使用開始されたことを示すため、一辺に特定の形をした切れ込みを入れるためのハサミです。
特定の形の切れ込みの形状のことを、鋏痕(きょうこん)と呼び、駅によって、また時刻によって形が変えられています。
*写真の券は鋏痕から、品川駅から乗ったことがわかります。
(12/28に前売りとして西日暮里駅で購入し、12/30(から5日以内)に品川駅から乗車)
切符に鋏を入れる(切る)ことを「入鋏(にゅうきょう)する」といいます。
自動改札機では使用開始した切符に丸穴が開けられますが、これも入鋏です。
使用開始された切符は通常払い戻しには未使用とは違う所定の手数料がかかります。近距離のきっぷは使用開始したら払い戻しできません。
改札はこうして切符が使用前か使用中かを判定する重要な役務なのです。
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写真の券は部内で「区片510」と呼ばれていたパターン常備券です。
(パターン番号/設備番号の説明はコチラhttps://4travel.jp/travelogue/11770030 の18コマ目に詳しく説明)
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2024-7 改訂版 Rev.6
各社導入状況を見直ししました。
コラム① 改札鋏こんはどうやって決めた
コラム② パンチラリー
コラム③ 硬券の活版印刷とオフセット印刷
を追加しました。
-
ここでその実例を。
【写真左】せっかくの硬券なのに鋏ではない
【写真右】入鋏はされてるけど、券売機の券
残念!
しかし、こ れ ら の 会 社 では 【こ れ が デ フ ォ】なんですよ。 -
長野電鉄 小布施駅の乗車券箱
~硬券ってこんな箱に入れて売ってましたね~
昔はJRへの連絡乗車券も売っていたのですが、今では自社線内だけです。
2025-11-1 -
まず硬券の乗車券を売っている鉄道会社です。北から順に。
・津軽鉄道:全有人駅で発売 津軽五所川原、金木、芦野公園、津軽中里
・弘南鉄道:一部区間のみ硬券あり
平賀、津軽尾上、黒石
・三陸鉄道:有人駅で発売(自線内のみ)
久慈、陸中野田、普代、田野畑、島越、岩泉小本、宮古、陸中山田、大槌、釜石、盛
・IGRいわて銀河鉄道:一部駅を除く有人駅で発売(連絡券も一部を除き発売)
渋民、岩手川口、御堂、奥中山高原、金田一温泉、小鳥谷
・秋田内陸縦貫鉄道:全有人駅で発売(JR連絡券も一部発売)
・由利高原鉄道:全有人駅で発売(JR連絡券も一部発売)
・山形鉄道:一部を除く有人駅で発売(JR連絡券も一部発売)
赤湯、宮内、長井、荒砥
・ひたちなか海浜鉄道:一部駅で発売(自線内のみ)那珂湊、阿字ヶ浦
・関東鉄道:一部駅で発売(自線内のみ)
・流鉄:全有人駅で発売(自線内のみ)
・小湊鉄道:五井を除く全有人駅で発売(自線内のみ)
・いすみ鉄道 :大多喜駅のみ 自線内と急行券
・銚子電鉄:銚子を除く全有人駅で発売(JR連絡券も一部発売)
・秩父鉄道:全有人駅で発売(自線内のみ)
・上毛電鉄:一部駅のみ 江木、粕川、大胡
・上信電鉄:全有人駅で発売(自線内のみ、高崎行きの一部は軟券)
・東武鉄道:委託販売所(上毛電鉄の駅他)で発売の特急券の一部は硬券あり
・小田急電鉄:JR松田駅のふじさん号(旧あさぎり号)用の特急券のみ硬券
・長野電鉄:一部駅で発売
市役所前、権堂、善光寺下、本郷、桐原、信濃吉田、朝陽、小布施
・富山地方鉄道:JR連絡券の一部が硬券 立山、宇奈月温泉
・岳南鉄道:全有人駅で発売(JR連絡券も一部発売)
・大井川鉄道:全乗車券発売駅で発売(JR連絡券も一部発売)
・天竜浜名湖鉄道:一部を除く全有人駅で発売(JR連絡券も一部発売)
・明知鉄道:全有人駅で発売(JR連絡券も一部発売)
・長良川鉄道:一部駅で発売(自線内のみ)富加、美濃市
・三岐鉄道:三岐線の全有人駅で発売(近鉄連絡券も一部発売)
・伊勢鉄道:津(近鉄窓口)、鈴鹿(JR連絡券も一部発売)で発売
・近江鉄道:全有人駅で発売(連絡券も一部発売)
・北近畿タンゴ:全有人駅で発売(連絡券も一部発売、自由席特急券も硬券)
・紀州鉄道:御坊を除く全有人駅で発売(JR連絡券も一部発売)
・若桜鉄道:一部を除く全乗車券発売駅で発売(JR連絡券も一部発売)
・土佐くろしお鉄道:窪川で発売
・安佐海岸鉄道:宍喰発行の一部が硬券
・島原鉄道:一部を除く全有人駅で発売(JR連絡券も一部発売)
・松浦鉄道:佐世保の一部区間のみ
・くま川鉄道:全有人駅で発売(一部区間の自線内のみ)
・南阿蘇鉄道:高森のJR連絡
*マニアの蒐集向けに入場券だけ売っている会社、イベント催事で臨時に一時的発売する会社は除外しました。
【写真】令和6年4月購入 芦野公園 -
大手私鉄が硬券を売るのは特殊事情がある場合のみです。
特急「ふじさん号」が停車するのは線路配線の関係から小田急の新松田駅ではなく、乗り入れ先のJR東海松田駅です。
小田急の硬券を売るのは、このJR東海の御殿場線松田駅のみとなりました。
ふじさん号でもJR区間はMARSに入っているので小田急区間だけが硬券です。
JRのMARSでは、会社線区間のみの乗車券、指定券は発行出来ないため苦肉の策でこのような発行形態となっています。
*【2019年3月よりMARSに小田急の乗車券が登録され、硬券でなくなりました。
乗車券のみ特別企画乗車券でMARSに登録されました】
特急券のみが硬券で発売されています。
松田から秦野、本厚木、相模大野、新百合ヶ丘、新宿の5口座があります。
写真:上 特急券の表面
中 特急券の裏面
下 乗車券の表面(2019年以前)
小田急線内のキロ程は、松田駅と新松田駅を同じに設定しているため、実際乗車するのが松田駅にもかかわらず乗車券は「松田から」ではなく「新松田から」になっています。 -
さらに「特殊な場合」です。
これは旅行エージェント「東武ツーリストセンター」が発行した硬券です。
東武のSL列車で当日空席のある場合にのみ発売する指定席券です。
鉄道会社の発行する「乗車券類」ではなく、旅行会社がバス、鉄道、船舶、航空機などのチケットを代行販売する場合の「船車券」の位置付けです。
別に硬券でなくとも、軟式手売り券でもよかったのですが、観光列車なのであえて硬券にしたのでしょう。
東武日光駅と鬼怒川温泉駅に併設されているツーリストセンターのみで発売しています。前売りはできません。
*【2023-7-1に東武トップツアーズに業務移管されたため、硬券の発売はなくなりました。現在は端末発券のバウチャー券となります。(駅の指定券とは様式が異なります)】 -
昭和30年代の国鉄静岡駅出札窓口内部です。
券箱には約280口座もの硬券が用意されています。
窓口は近距離(50キロ以下)、長距離上り方面、長距離下り方面の3つに分かれていましたから、この約3倍もの乗車券、急行券が用意されていたことがわかります。
勿論過去の販売実績から「よく売れる駅」のみ印刷され常備されていたわけです。
東京、名古屋、大阪などの巨大ターミナル駅では方面別に5~8の窓口に別れていました。
*常備券の無い駅へは、補充券(手書き)により発行されます。 -
さて、次に改札鋏のある鉄道です。
これは「存在する」「改札口に置いてある」というだけで「常時改札に使用している」「黙って切符を差し出せばフツーにハサミを入れられる」とは限りません。
自動改札があり、チケッター(日付入鋏印)もあって鋏は旅行エージェントの船車券、遅延証明や1人で自動改札を通れない身障者くらいにしか使わないものも含みます。
殆どが改札係員に言えば(特別に?)入鋏してもらえます。(切ってくれます)
ただ入鋏した切符は降りるとき自動改札に入れないよう言われるでしょう。
*は通常、普通乗車券に入鋏している、「切符を差し出せばハサミを入れられる」会社です。
<一般鉄道>
弘南鉄道、津軽鉄道*、秋田内陸縦貫鉄道*、由利高原鉄道、
秩父鉄道*、小湊鉄道*、いすみ鉄道(車掌)、銚子電鉄*、箱根登山鉄道、
富士山麓電気鉄道(旧富士急行)富士山駅では富士山型の鋏を新調しました。、
えちごトキめき鉄道
黒部峡谷鉄道、岳南鉄道*、大井川鉄道*、天竜浜名湖鉄道*、遠州鉄道、えちぜん鉄道*、近江鉄道*、一畑電鉄*
錦川鉄道、土佐くろしお鉄道、高松琴平電気鉄道、島原鉄道*
京王電鉄、京成電鉄、北総鉄道、東葉高速鉄道、東京地下鉄(メトロ)、福岡市交通局
<ケーブルカー、ロープウェイ>
藻岩山ロープウェイ*、富良野ロープウェイ、鬼怒川ロープウェイ*
高尾登山電鉄*、御嶽登山鉄道*、鋸山ロープウェイ*、筑波山ケーブル*
十国峠ケーブル*、昇仙峡ロープウェイ*、かんざんじロープウェイ*
<船舶>
奥只見観光*
<その他>
華厳の滝エレベーター*昇降券
日光山輪王寺*拝観券
普通乗車券に通常入鋏しているところに*をつけました。時間帯により省略、職員不在で入れない場合もあります。
どこで、どんな鋏痕を使っていたかは、過去分も含めこちらにまとめられています。
http://travelcecum.xsrv.jp/kyoukon.htm
北総鉄道はこちら
https://akaden.org/mat/sta/punch.html -
鉄道以外で改札鋏が使われている一例です。
寺社拝観券、昇降券など。 -
後楽園ゆうえんちでは、昔から昭和58年頃まで、減算式の回数券などに鋏を入れていました。【写真】
遊具により痕形を変え、200円、300円、500円、600円と減算額がわかるようになっていました。残額を知るのに暗算が必要?!
そういえば昔は、大学病院など大病院の診察予約券に鋏こんで外来予約時間がわかるようにしていたところもありましたね。院長や事務長が「鐵」なお方だったのかもしれません。昭和40年代のはなしです。(医者って鉄っちゃんが多いような気がします)
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上記一覧はここ3年以内に確認したものです。
その後追加・廃止されて私が未確認の場合もあります。確認次第逐次見直し変更を行います。
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ここ数年の間に硬券をやめた会社
わたらせ渓谷鉄道 、アルピコ交通(旧松本電鉄)
発券機(レシート券)になりました。
上田交通(旧上田電鉄) 券売機化
ここ数年の間に改札鋏の使用をやめ、現場から回収した会社
東京都交通局、小田急電鉄
函館山ロープウェイ QR乗車券になりました
東日本海フェリー QR乗車券になりました。
*誤り等ありましたら、コメント欄でご指摘下さいますようお願いいたします。 -
これは東京メトロ(東京地下鉄)の副都心線が開業したとき、記念に券売機で切符を買って改札でハサミを入れてもらったものです。
さすがに硬券は売っていませんでしたが、どの改札にも新品の改札鋏が置いてありました。
記念切符を買うよりも、良い記念になると思います。
今でもメトロは各駅に鋏が置いてあります。 -
では鋏こんの話を少しだけ。
どの駅でどの形の鋏を入れるかは、会社ごとに内規(営業規程)で決まっています。
写真は一例として「千葉鉄道管理局」(現在のJR東日本千葉支社)の規程集からですが、この会社では基本35種の鋏こんを近隣の駅で被らないように配置しています。
そのほか、特殊鋏こんとして両国駅、予備鋏、無人駅で臨時に改札を行うものが定められています。
よく知られている、不正乗車摘発用の改札(特別改札と言います)では、この規程とは別に事務連絡として例:「中央線神田駅から藤野駅までの各駅は初電から正午までは予備鋏使用 何月何日から何月何日まで」というような特別な指示を出して突発的に行われたこともありました。
*詳しく知りたい方はこちらを参照ください。
http://travelcecum.xsrv.jp/kyoukon.htm
写真は昭和42年4月現在の旅客営業取扱基準規程の別表 無断転載禁止 -
私鉄の中では一番鋏こんの種類が多い、小田急電鉄の例です。
会社ごとにこのように決まっており、私鉄国鉄を含めて全国では155種類、世界では220種類の鋏こんが確認されています。(海外では中国が多い)
*写真は縦長だと4トラの仕様でパソコンの画面上で拡大表示されないため、わざと横長画像にして細部が見やすいようにしております。スマホは横長でご覧ください。
平成13年9月1日 小田急電鉄 改札鋏痕表 -
ではここで海外の例をご紹介します。
英国、ドイツなどヨーロッパ諸国では鋏こんの種類は多くはないのですが、中国鉄路局の旧満州地域では突出して種類が多く、日本では見かけない形状のものがあります。形状別に整理すると、日本とは明らかに異なる形状のものが65種類ありました。
写真は昭和9年(民国23年)頃の鋏こん表の一部ですが、その後いつ頃まで使われていたのかははっきりしません。現在は顔認証に変わっています。 -
では明治5年10月14日、日本で最初の鉄道が新橋~横浜間で開業しました。
当時、切符の印刷機も改札鋏も英国から持ってきたものでした。
写真は初期の切符(明治5年~9年)と改札鋏こんです。
切符はカバー写真と同じA型のエドモンソン券でした。
改札鋏こんは、以前は関西型の5種程度だったのだろうと言われていましたが、最近、汐留駅跡地の遺跡発掘調査により全容が判明しました。
なんと新規開業の7駅で図の2種類だけたっだわけです。
現在の首都圏3号(ホームベース型)と首都圏20号(左半円)相当です。
近年おなじみのM型や□型や凸型はまだなかったんですね。
これは、ちょっとビックリしました。
その後改札鋏の国産化が進み、器用な日本人職人によっていろんな形状の鋏こんが生まれたわけです。
今年は鉄道開業152年目にあたります。
ちなみに当時の運賃は一等が1円12銭5厘、二等が75銭、三等が37銭5厘だったので今の価格に換算すると7000円(三等)から21000円(一等)くらいだったことになります。
現在のJR新橋ー横浜の普通運賃は490円なので初物はいかに高額だったかわかりますね。当時の籠(かご)の運賃を基準に算出したといわれていますので今のタクシー料金11600円に近似の額なんでしょうか。
その後何回か値下げされ、明治20年には初期の半額程度になっています。 -
<コラム①> 【改札鋏こんはどうやって決めた?】 ~ 最悪の鋏こん
日本で最初の地下鉄、銀座線のハサミを決めるのに面白い「いわれ」があります。
浅草:観音さまのお札の形 ∩
田原町:2つ俵 m
稲荷町:下谷神社のお札の形 □
上野:「上」の字形 L
末広町:「末」の字形 (写真)
三越前:ローマ字のM、三越のM
日本橋:ビルの形 凸
(以上、営団地下鉄の社内広報誌1981-2月号より転載)
さて、現在でも末広町以外の駅では上記を踏襲しています。
しかし末広町はやってみたら問題が多く、早々に別型に替えざるを得なくなりました。
写真は上記を制定した直後の昭和10年の切符で、鋏痕は「末」の字に似ております。しかし力学に堪能な方には、これは問題だとお気づきでしょう。
改札鋏の構造を考えると、左右の辺がこのようにくびれた形は適しません。
応力が集中して刃が折れやすいのです。硬券を3枚も重ねて切ろうとすると「バキッ」と逝ってしまいます。
パチンと切ったあと、切符がスッと手前に引き抜けずオス刃にひっかかります。
さらに上面が平だと、刃が摩耗して切れにくくなったときチカラが要るようになります。
そして極めつけはオス刃とメス刃をすり合わせて研磨調整するのに途方もない時間がかかる。製造元の石川忠三郎商店によると製作に他の形の3倍かかったそうです。
駅員からも製造職人からも「この形はやめてくれ」との声が高く、早々に変更されてしまいました。
まさにアイデア倒れだったわけです。
(現在どんなのかお知りになりたい方は、3つ上のキャプションにあるリンク先を見て下さい。もしくは末広町駅に行って見てきてください。鋏は改札に置いてあります) -
JRグループ各社からは平成4年頃、硬券切符と改札鋏が一斉に姿を消しました。
これは自動改札によるトラブルを防止するためです。
硬券を自動改札機に投入すると機械を破損し、券を取り出すのに膨大な手間がかかるからです。
このため、私鉄各社に対してはJRへの連絡乗車券は軟券(ハガキ程度の厚さで誤って自動改札機に投入しても反って機械内部通過に支障のない紙)にするよう協力要請が出されています。
写真:委託駅でJR線着となるきっぷは、硬券ではなく軟券。
これなら誤って自動改札機に入れても機械を損傷しない。 -
また磁気券に入鋏すると、誤って深く切り込みを入れた場合、磁気エンコードを切断して読み取りエラーになるからです。小型の近距離券でも上下辺から8ミリ以内の切込みなら影響無いのですが、万一を考えたのでしょう。
では検証してみましょう。
写真ではどの範囲に磁気エンコードが入っているかを示しています。
赤枠の範囲内に切れ込み、破損があると読み取りエラーになります。
実際5ミリ角の改札鋏と自動改札の丸パンチ穴が入っていますが、この程度の位置なら全く影響しないことを示します。
エンボスの検札鋏も磁気エラーの原因なので同時に廃止されスタンパーに替わっています。
こうして自動改札化を推進するJRや大手私鉄から改札鋏が淘汰されていったわけです。 -
写真の右上にある〇にNは検札鋏で入れられたエンボス(型押し)です。
もしこれが磁気券だったら、この位置は確実に磁気エンコードに支障してアウトですよね。
1991年、首都圏にやっと自動改札機が導入されはじめた頃、長岡から上りの上越新幹線に乗っていたら検札に来た車掌さんが妙な行動をしていました。
半数くらいの客には、きっぷに検札鋏でエンボスを入れていたのですが、私のきっぷには赤エンピツでチェックを入れ、検札鋏は入れなかったのです。
「なぜですか?」と聞くと、「都内で自動改札の導入が進んでいて、検札鋏を入れるとひっかかるらしく、東京方面行きの乗車券に鋏は入れないよう上から言われてるんです」とのこと。
私の持っていたのは、定乗印発で発行の券で裏が白く自動改札は通れないきっぷだったのですが、当時券売機で売った券は裏が茶色い自動改札対応の券だったので、車掌さんはいちいち裏をひっくり返して確認する手間を省いて東京都区内行きは反射的に赤エンピツにしたんだと思います。
当時新幹線のラッチはまだ有人で自動改札はありませんでした。 -
というわけで、硬券きっぷと改札鋏の近況についてまとめてみました。
状況は今後も刻々と変わるかもしれないので、逐次ウォッチングしてゆきたいと思います。
写真:昭和50年代には東鉄では主役だった<CI>印の改札峡の元箱。
*表示の住所、電話は現在は存在しません。 -
<コラム②>
【パンチラリー】(改鋏ラリー)
改札鋏というのは元来不正乗車などを摘発するツールと認識され、マイナーなイメージが持たれていました。当時はネットが普及していなかったこともあってマニアの関心外であったともいえます。
平成初期、JRや大手私鉄などが相次いで改札鋏を使わなくなり、アンタッチャブルだった分野にも関心が集まりブログや紹介サイト、単行本などが登場して白日の下に晒されるようになります。
それまで「公然の秘密」だった社外秘事項をバラしても誰にも迷惑はかからないだろう(損害賠償責任は生じない)、といった憶測によるものでしょう。
昭和40年代だったら国鉄から威力業務妨害で訴えられたかも???
一方、日本で唯一全駅異なる鋏こんを使っていた小田急電鉄は公開に積極的で、改札口の目立つ場所に鋏こん表が置いてありました。更に1985年など過去2回、「パンチラリー」なるイベントを開催し全駅を回って鋏こんを集めることを推奨しておりました。
その後JR東日本も改札鋏全廃後の2009年に中央線の八王子地区12駅でパンチDEラリーを開催しています。この時は往時キセル摘発のため午前中だけ使用していた予備鋏まで登場させたという凝りよう。
今回、西武鉄道では椎名町、中村橋、ひばりが丘、清瀬の4駅でパンチラリー(西武では改鋏ラリーと呼んでいる)を2024-6-11から1か月行うとの発表がありました。詳細はググって下さい。
ヤフオクやメルカリで改札鋏が大量に売られている時代、改札鋏ブームの再来はあるのでしょうか? -
<コラム③>
【活版印刷とオフセット印刷】
昔から硬券乗車券の印刷といえば、活版印刷が使われてきました。
1文字ごとの活字を組み合わせて版を作り印刷します。
【写真上】が活版印刷の乗車券です。
発駅名の荒屋新町の囲みは、鉛板を組み合わせています。4隅にすき間がありますね。文字の向きが微妙に揃っていません。
しかし、昭和58年頃から民間の外注で乗車券を印刷するようになり、仙台、新潟、長野の3印刷場の券を共同印刷に委託することとなりました。
当時商用印刷はオフセット印刷に移行されており、乗車券も【写真下】のオフセット印刷となったわけです。
活版はゴム印を押すのと同じで、同じ文字でも場所によって微妙な力のかかり方で濃淡と曲がりが生じ、紙を圧迫することにより凹凸が生じて立体感がありました。
オフセットはインキの乗りが均一なので、のっぺりとした印象ですね。
文字の向きや間隔は完璧に揃っています。
違いがお分かりになりますでしょうか。
券面レイアウトはPCを使ってDTPで描画しています。
数量が少ないと活版よりもコストがかかりますが、既に活版印刷の設備は廃棄していたのでオフセット印刷で引き受けたようです。
(現在、活版印刷で硬券印刷が可能なのは関東交通印刷だけです) -
『追記』2025-3-3
先日、久々に松田駅から特急「ふじさん」号に乗ってみました。
JR東海松田駅には北口、南口とも乗車券箱があり硬券各5口座がありました。
松田から、秦野・本厚木・相模大野・新百合ヶ丘・新宿の5駅までの特急券です。
券面は活版からオフセット印刷に変わっており、地紋の色も黄色から黄褐色に変わっていました。(写真:左オフセット、右活版)
活字に比べ印字が濃く、文字の輪郭が明瞭です。
恐らく印刷業者が変わったのでしょう。
日付はダッチングではなく回転ゴム印です。
北口では、券番号が5446と料金値上げ後2年半で新宿行きは5000枚以上売れたことになります。(1日平均約6枚)
指定券はJR東海のシステムから120mm券で発券されました。(写真下)
乗車券も買うと、同じく120㎜券となり自動改札は通れません。
*JR東海がシステムの大改修をしない限り、この硬券はなくならないでしょう。
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