デュアルライフ Season 2, Ep. 2 ～松本ショートトリップ 前編～

2025/05/22 - 2025/05/23

今年も蓼科滞在中の月に一度は、近隣温泉や観光地への小旅行を続けます。

５月は松本へ１泊２日で行ってきました。目的は独り居酒屋です。松本は何度も訪れており大好きな街のひとつですが、振り返ってみるとこれまで登山の中継やサイトウキネンフェスティバル、孫のスズキ・メソード夏期学校などピンポイントの訪問ばかりで、ちゃんと観光をしたことがありません。今回はじっくりと街歩きを楽しんできました。

エリア 松本(長野)

• 旅行の満足度: 5.0
• 観光: 4.5
• ホテル: 3.5
• グルメ: 5.0
• 交通: 4.0

• 同行者: 一人旅
• 一人あたり費用: 3万円 - 5万円
• 交通手段: 高速・路線バス JRローカル 徒歩
• 旅行の手配内容: 個別手配

５月２２日（木）曇りのち晴れ
朝９時、別荘を出発。

シャトルバスで茅野駅へ。

駅直結の茅野市民館図書室で借りていたオペラのDVDを返却します。
ついでにトイレも借用。ここのトイレは清潔なのはもちろん、設備も充実しています。

茅野市民館 名所・史跡

茅野駅～松本駅はパスモが使えます。

茅野駅 駅

10:14発 中央線（普通）松本行

11:20頃、松本駅に到着。先行のあずさ５号のトラブルで６分程度遅延。最近の中央本線はダイヤの乱れが常態化し、かつての国鉄とは様変わり。安全第一なら仕方ありません。

松本駅 駅

公園通りを東へ。

松本パルコは今年２月末に閉店しました。井上百貨店も３月末に閉店しましたが、一概に松本が衰退したと言うより、業態が時代に合わなくなったと考えたほうが良いのでしょう。事実、井上百貨店は郊外型のアイシティ21店が残っているし、パルコは2017年にオープンしたイオンモール松本の影響もあるでしょう。

御そば打処 野麦
ランチを摂ろうと訪れましたがこの行列。即座にあきらめます。蕎麦にそれほどこだわりはありません。

あとで街の人に聞きましたが、２人掛けの小さなテーブル３卓だけなので店内は６人で満席、メニューもざる蕎麦オンリー。SNSで騒がれているだけで、地元の人間はあまり行かない由。

野麦 グルメ・レストラン

和食処 はなむら
なので、目と鼻の先のこのお店へ。

日替りの銀鮭フライ定食 1,250円
小鉢や味噌汁も丁寧に調理され、普通に美味しい。

現金払いですが、ふだん小銭を持ち歩かない私は、ちょうど良い両替になってお釣りの百円玉にこのあとのコインロッカーで何度も救われます。

12時過ぎ、あがたの森通りを東へ。

まつもと市民芸術館
2004年開場。セイジ・オザワ 松本フェスティバルの主会場。スズキ・メソード夏期学校もここで行われるので、孫を連れて蓼科から車で通った場所です。

私が2002年に小澤征爾指揮、ベンジャミン・ブリテン 歌劇『ピーター・グライムズ』（記念碑的名演）を聴いたときはまだ完成していないので、会場は長野県松本文化会館（現・キッセイ文化ホール）での公演でした。当時は「サイトウキネン・フェスティバル」と呼んでいました。

まつもと市民芸術館 美術館・博物館

隣のNHK松本支局は老朽化のため、昨年６月に信毎メディアガーデンに移転しました。

ここまで歩いてくると汗びっしょり。蓼科では数日前までストーブを使っていたので、下界の暑さがこれほどとは思い至りませんでした。

松本市美術館
最初の目的地はここ。コレクション展示・企画展セット料金 大人1,000円。リュックはコインロッカーに入れるよう諭されます。さっそく百円玉が必要です（あとで戻ってきます）。

松本市美術館 美術館・博物館

草間彌生『幻の華』2002年
屋外展示の巨大な作品です。
先月、霧島アートの森で『シャングリラ』を観て以来、不思議なご縁です。

美術館の建物自体、草間彌生ワールドです。

草間彌生は松本市の種苗問屋の生まれ。そういえば駅から歩いて来た途中に種苗問屋があった（珍しいので記憶に残っていました）けど、生家はあそこかしら？

特別展示「草間彌生 魂のおきどころ」へ。
展示室には14作品が展示されています。これを目的に訪れるインバウンド客が大勢来ています。

草間彌生『大いなる巨大な南瓜』2017年
コレクション展示で撮影を許されたのはこの作品だけ。圧倒されます。

コレクション展示室には他に信州ゆかりの上條信山と田村一男の記念展示室があります。上條信山の書はよくわかりませんが、田村一男の絵画は圧巻です。

企画展「老いるほど若くなる」は飛ばしても大丈夫です。

旧制松本高等学校跡地
２番目の目的地です。信州大学の前身で、現在はあがたの森文化会館と呼ばれていますが、重要文化財旧松本高等学校の建物を利用しています。

有名な松本深志高等学校は　旧制松本中学校（創立時の名称は「第17番中学変則学校」）の後身です。

あがたの森文化会館 名所・史跡

まず講堂へ。1922年（大正11年）築。

講堂ホールの広さは約330平方メートルあります。

見事なシャンデリア（復元）です。

階段室

講堂玄関

こちらは本館。1920年（大正9年）築。
松本では1899年（明治32年）から20年の歳月をかけて高等学校の誘致活動を展開し、1918年（大正7年）設置が決定したそうです。

建物は洋風木造建築で、明治期のナンバースクールの中央入り左右対称形ではなく、隅入りコの字型。これが隅入りの正面玄関。

復元校長室

復元普通教室

建物は重要文化財ですが、教育関係の団体・組織や市民が利用する文化施設・ホール・会議室として現役で利用されているのが素晴らしい。なので本館・講堂とも入場無料です。

中庭に出るとコの字型に配置されている建物がよくわかります。

復元門柱
旧制松本高等学校には開校以来、出入口の門が５箇所ありましたが、正門を除き解体撤去され野積みされていました。この門は、その石を使い中庭の出入口に復元されたもの。

隣の旧制高等学校記念館が無料だったので入ってみました。

全国の旧制高等学校に関する様々な資料を集め展示しています。

これが意外に面白い。
旧制松本高等学校のジオラマ、松本高校が生んだ北杜夫と辻邦夫の友情物語や

バンカラ服着用体験コーナー、寮歌データベース、映像シアターなどお宝満載、見どころいっぱい。

私より上の世代なら感涙モノだけど、もはや存命している人は少ないかも。とは言え、時間があればここだけを訪れる価値が十分あります。オススメです。

見学を終えて秀峰学校前バス停から

横田信大循環線で向かったのは、

浅間温泉入口バス停。

松本市内を走るバスは全てクレカタッチOKなので、旅行者は助かります。鹿児島の空港バスもそうでしたが、全国のバス会社でクレカタッチ決済が急速に拡がっています。もはやSuicaの時代ではありません。

こんな風景です。

歩くこと15分、温泉街が見えてきました。

14:50 湯々庵 枇杷の湯
３番目の目的地です。

湯々庵 枇杷の湯 温泉

湯々庵 枇杷の湯は、初代松本城主 石川氏が浅間に湯御殿を造営したことに始まります。初代湯守の石川晶光（改易後 小口楽斎）は、石川数正の三男康次の子で、1594年（文禄3年）以来、小口家は御殿湯の湯守を勤めていました。

日帰り温泉の入浴料800円。貴重品ロッカーにここでも百円玉が必要ですが戻ってきます。

源泉掛け流し（加温）、泉質はアルカリ性単純泉、源泉温度49.1℃。
檜の露天風呂が素晴らしい（写真はGoogleマップから拝借）。内湯のほかにサウナ、水風呂もあります。ゆったりと堪能しました。

歴史ある湯殿だけに湯上り処も風情があります。庭園には松本城主 石川三長お手植えの契りの松も残っています。

欧米系インバウンドも訪れる人気の日帰り温泉です。

温泉街の山の手通りを歩いてバス停まで。

帰りは、より近い場所にある浅間温泉バス停から。

貸切です。
キッセイ文化ホールやエア・ウォーターアリーナ松本、信州大学キャンパス・医学部附属病院など、居ながらにして松本見物。

16:20 本町バス停で下車。
夕食までの待ち時間に床屋に行こうかと思いましたが、すでに閉店していて叶いませんでした。

ホテルに向かう途中、こんな石碑がありました。
旧開智学校は、1876年（明治9年）にこの場所に建てられ、その後、現在地である松本市沢村（現在の松本市開智２丁目）に移築されたらしい。

国宝 開智学校には明日訪れる予定です。

旧開智学校跡地の碑 名所・史跡

女鳥羽川の眺め

女鳥羽川 自然・景勝地

千歳橋の袂にガマ侍。縄手通りのシンボルだそう。

ガマ侍 名所・史跡

通りがかりの四柱神社に参拝します。
御祭神は、我が国の歴史上で最初に出現された造化の三神（天之御中主神、高皇産霊神、神皇産霊神）と、その三神の御神意を地上に顕現された最高至貴の天照大神の四柱の神を祀っているそうです。

四柱神社 寺・神社・教会

なわて通りを散策しながらホテルに向かいます。インバウンド客が目立ちます。

なわて通り 名所・史跡

一ツ橋を渡ると、

今夜のホテルがすぐそこ。

16:50 ホテル池田屋にチェックイン。

ホテル池田屋＜長野県＞ 宿・ホテル

窓からは美ヶ原高原の絶景。

夕食の予約時刻までテレビで大相撲を観て過ごします。大の里が勝ち、豊昇龍が負けたので明日にも優勝が決まりそう。

18時 きく蔵
この旅の目的はここ。超有名な居酒屋です。ホテルもこの店に一番近い宿にしました。予約なしで入れない人気店、２週間前に電話予約済みです。

きく蔵 グルメ・レストラン

カウンターのほぼ中央に通されます。

メニューボードに美味しそうな季節の料理が‥。

１階はカウンターと小上がり、２階に個室があり全38席。

次々に予約客が入店し、ほどなく満席です。

とりあえず生中。喉が渇いていたので撮影の前に飲んじゃいました。

お通しは、左から
みる貝の胡麻和え
叩きわらび
サーモンの木の芽ソース。

繊細な仕事です。

地場産 極上馬刺し
やっぱりこれは外せない。大好物です。

山菜の女王 雪笹
ユリ科の高山植物。たまたまカウンターの隣席になった常連独り呑みのお姉さんに教えてもらいました。季節になっても全く入荷しない年もあるらしい貴重な山菜だそう。見た目の通りアスパラのような食感。

隣席のお姉さんは、草間彌生の母校 松本高等女学校（現：長野県松本蟻ヶ崎高等学校）の後輩に当たる地元の方で当店には月１回訪れる常連。会話が弾みます。

山菜 あけびの芽
お姉さんに教えられるままに山菜のオンパレード。シャキシャキとやや苦みのある味わい。

焼 根曲り竹
皮をむいて信州味噌でいただきます。これもイケる。

日本酒は
大雪渓
生酛黒澤　純米吟醸
夜明け前
の３杯。

カウンターの沢蟹は生きています。次回に試したい。

稚鮎の天ぷら
これも大好物なので外せません。名物の自家製鮎の一夜干しは次回のお楽しみ。

仕上げに薩州 赤兎馬を水割りで。

シメは名物 筍まんじゅう
〆て12,690円。その価値が十分にある料理の数々に大満足です。

２代目店主と先代の奥様が切り盛りしていますが、満席の客を手際よく捌く手腕は見事としか言いようがありません。

カウンター客との過不足ない会話も絶妙で、評判通りの素晴らしいお店です。私の居酒屋遍歴の中でも間違いなく一番のお店。リピート決定、次は妻と一緒に訪れたい。

約２時間半、料理とお酒、会話を楽しんだあと、次の店を教えてもらい夜の街へ。松本は「BARの街」と呼ばれるそう。

やってきたのはバー SIDECAR（サイドカー）。

サイド・カー グルメ・レストラン

ウイスキーの品揃えが豊富です。

最初にギムレット。
私の師匠から「バーテンダーの力量を測るならギムレット」と教えられています。当店は文句なく美味しく、ゴーサイン。

アードベック コリーヴレッカンをニート（ストレート）で。
大好きなアイラ、憧れのラベル。

アラン バレル リザーブ（ニート）
アイランズの未体験のシングルモルト。爽やかな味わい。

おつまみはなんだったかな？ドライフルーツとチーズ。これもよいチョイス。

最後はボウ モア ９年（ニート）
９年ものは珍しい。サントリー傘下のアイラ。サントリーは良い買い物をしました

〆て6,000円。久々にバーライフを楽しみ、松本の夜を満喫しました。

人気のない夜の街をホテルに戻ります。と言っても徒歩１分。
きく蔵で飲むためにホテルを選びましたが、２軒目も至近でした。

２万円前後の手頃な温泉旅館で美味しい料理を食べるのも楽しみですが、居酒屋＋ビジホで好きな料理を選び、コストパフォーマンスを追求するのも個人的にはアリだと思います。今回は大満足の旅となりました。

この旅行記へのコメント （2）

• にゃんさん 2025/05/24 21:20:19

  私も5月22日と23日、松本旅行してました。

  beanbagさん、こんばんは～
  旧松本高等学校の写真に、びっくりしました。
  そして、訪問日をみて、さらにびっくり。
  私は5月23日、そこを訪れて、素敵～とうっとりしながら見学しました。特に中庭が素敵でした。
  偶然ですね。
  にゃん

  beanbagさん からの返信 2025/05/25 17:02:10

  RE: 私も5月22日と23日、松本旅行してました。

  にゃんさん
  
  コメントありがとうございます。
  
  私も旅行記拝見しました。
  開智学校と松本高等学校、似たような場所を訪れていますね。ひょっとしたらどこかですれ違っていたかも。
  旅館すぎもとは良さそうな宿ですね。松本は行きやすい場所だし、まだ観光の積み残しもあるので、機会があればぜひ泊まってみたいです。
  
  これからもよろしくお願いします。
  
  beanbag