‘25冬フランスで風邪をひく　⑩ジャンヌ・ダルク終焉の地 ルーアン

2025/01/17 - 2025/01/17

1月のフランスを旅した3週間の旅行記です。

真冬のフランスは、かなり寒いです。旅の最初から、うっかり風邪をひいてしまいました。もうだいぶ回復しましたが、無理せず、のんびりと旅を続けています。

今日はパリからルーアンへ日帰りで出かけます。ノルマンディ地方の街で、モネが何枚も描いた大聖堂が有名。そしてあのジャンヌ・ダルクが処刑された街でもあります。

エリア ルーアン(フランス)

1月17日金曜日。
パリ14区のレジデンスインホテルを朝７時前に出ました。冬のフランスの夜明けは遅く、まだ真夜中のような暗さです。

きょうは日帰りで、ノルマンディ地方の街ルーアンに行ってきます。
まずはトラムT3のDidot 駅に来ました。
地下鉄に乗り換えて、サン ラザール駅に行きます。

サン ラザール駅から、北へ向かうTGVに乗車しました。列車にはNOMADOという名がついています。

チケットはフランス国鉄のHPから購入しておきました。今回は、往復でひとり３６ユーロです。(発車時刻や条件で価格は変動します)

サン ラザール駅 駅

７時４０分、NOMADが走り出しました。

2階席に座りましたが、まだ外が暗く景色は楽しめません。車内は空いていて、静かでした。

TGV 鉄道系（地下鉄・モノレールなど）

ルーアン リヴ ドロワ駅に着く頃に、ようやく明るくなりました。９時です。

駅を出て、寒さに縮みあがりました。
ノルマンディ地方に位置するルーアンは、パリよりもさらに寒いです。また風邪をひかないようにしなくては…

ルーアン リヴ ドロワ駅 駅

駅から少し歩いたあたりにあるのが，ジャンヌ・ダルクの塔です。
窓がほとんど無い、無表情な外観。見るからにぶ厚い石壁。中の様子を想像すると、暗い気持ちになります。

ジャンヌはここに幽閉されたそうです。当時のルーアンは、イングランド占領下でした。
処刑が行われた場所に、ジャンヌ・ダルク教会が建てられています。後で見学に行こうと思っています。

ジャンヌ ダルクの塔 建造物

旧市街まで歩くと、美しい大時計に迎えられました。
14世紀末に作られた時計だそう。今も休まず、時を刻んでいます。短針だけの表示なので、わたしには何時なのかわからないですが…

大時計台 モニュメント・記念碑

ルーアン大聖堂に到着しました。

画家クロード・モネの連作のモチーフになったあの大聖堂です。時間や天候による光の変化を、３０枚もの作品で表現しました。(33枚とも言われます)

レース編みのような細かな装飾がファサードを飾っています。この陰影が画家を魅了したのでしょう。いくら見ても見飽きない華麗さでした。

ルーアン大聖堂 寺院・教会

内部も見学できました。
厳かで静か。気持ちが落ち着きます。

ついで訪れたのは、サン マクルー教会。

繊細な装飾は、大聖堂に勝るとも劣らない美しさです。
ステンドグラスも見事だと聞くのですが、中には入れませんでした。この教会のドアが開くのは、週末と月曜日の10時から15時半(昼休み２時間あり)だけなのだそうです。今回は諦めざるを得ません。

サン マクルー教会 寺院・教会

教会の近くにあるMarche des Emmureesで、蚤の市を覗いてみました。
日用品が目立ち、やや地味な印象です。掘り出し物を探すと面白いかもしれませんが、寒いです。早々に切り上げました。

ルーアン美術館に来ました。楽しみにしていた場所です。
風格を感じる立派な美術館は、とても入場無料とは思えません。

ルーアン美術館 博物館・美術館・ギャラリー

館内も重厚で綺麗でした。
広い展示室に、見応えのある絵がたくさん並びます。ベラスケス、ブーシェ、ラ・トゥールなどの有名画家の作品を見られました。
写真は、カラバッジオの「柱に繋がれたキリスト」です。

印象派のコレクションが充実していました。
モネのルーアン大聖堂連作のひとつ「グレイのカテドラル」も展示されています。

曇天の下の大聖堂。さっき実物を見てきたばかりです。この絵と同じ灰色で、同じ鳥達が飛んでいました。寒さとカモメの声が、絵の中に蘇ります。
ルーアンで生まれた絵をルーアンで見る…すごく贅沢をしている気がします。

この街ならではの展示が、もうひとつありました。

「ジャンヌ・ダルクの部屋」には、ジャンヌを描いた絵画や彫像が集められています。
生前の肖像は残っていないそうです。画家たちは、伝説から彼女の人物像をイメージしたのでしょう。悲しげな作品が多い気がします。

ジャンヌ・ダルクが歴史に登場するのは、１００年戦争でフランスが敗色濃厚だった頃です。
神の言葉に従い、軍を率いて戦果を挙げました。その後捕虜となって、宗教裁判にかけられます。男装などが異端と見做され、１４３１年に１９歳で処刑されました。

戦争終結後、復権裁判で異端の汚名が雪がれました。
以来、信仰と愛国心、勇気の象徴として語り継がれることになります。
１９０９年にパリ ノートルダム大聖堂に列福、１９２０年には聖人に列せられました。

鑑賞を終えると、もう正午です。昼食に出かけました。

市庁舎のあたりに飲食店が多く、中でもクレープリー「Rouennaise」が人気のよう。おしゃれで感じの良いお店です。

Complete (１２.５ユーロ)を注文しました。
パリッと焼いた生地に、自家製ハムとエメンタールチーズが包んであります。トッピングは温泉玉子？でした。
美味しくてボリュームたっぷり。大満足でした。

食後に街を散策しました。
ルーアンは賑やかです。綺麗なパティスリー、おしゃれな衣料品店、立派なデパートなどが並んでいます。
街並みや建築が美しく、歩くのが楽しい街でした。

ジャンヌ・ダルク教会がオープンする時間になりました。
教会の傍には、高い十字架が立っています。

この十字架の場所で、ジャンヌ・ダルクは火あぶりにされました。高い位置に縛りつけられ、灰になるまで焼き尽くされたと言います。その灰も川に流されました。

シャルル7世は、ジャンヌの尽力で即位したにも関わらず、彼女を助けようとしませんでした。
彼女を救えば自分も異端と見做される、それを恐れたのだろうと言われています。(諸説あります)

ジャンヌ ダルク教会 寺院・教会

ジャンヌ・ダルク教会は１９２０年に献堂されました。特徴的な屋根の形は、天に昇ってゆくイメージだそう。

現代的な建築様式のせいか，普通の教会とは趣が違います。慰霊の場に感じられました。華麗なステンドグラスは、ジャンヌに捧げる花にも見えます。

夕方のNOMADOに乗って、パリに帰ります。

サン ラザール駅まで１時間２１分。ルーアン観光の疲れで、寝てしまいそうになりました。

ルーアン リヴ ドロワ駅 駅

ホテルに帰ると、すっかり夜になっていました。

今夜も部屋で簡単な自炊をします。冷凍食品専門店のピカールのお惣菜を温めました。
それに、ルーアンのブーランジェリーEnma で買ってきたクロワッサン。…これが、パリの名店に迫るほどの美味でした。写真を撮っておかなかったのが無念です。

レジデンス イン バイ マリオット パリ ディド モンパルナス ホテル

明日は土曜日、フランスで過ごす最後の週末です。

午前中は、モンパルナスの朝市に出かけるつもりです。そのあとは、パリで一番と言われる精肉店ユーゴ・デノワイエで買い物。夕食には、素敵なレストランを予約しました。

長い旅ですが、いつのまにか終わりが近くなりました。今夜はゆっくり休み、明日からはパリの街歩きを楽しもうと思います。