大丸有の地下空間に潜入～地域冷暖房を探る～

2023/09/08 - 2023/09/08

「OPEN CITY MARUNOUCHI 2023」というイベントの「地下空間探検～大丸有エリアを支える地域冷暖房～」に参加しました。大丸有とは、大手町、丸の内、有楽町の一帯のことらしい。

今日は「丸の内オアゾ」の地下にある丸の内熱供給（株）「丸の内一丁目センター」から「三菱ＵＦＪ信託ビルサブプラント」までの地下トンネルを通って探検します。

エリア 丸の内・大手町・八重洲(東京)

台風が接近している悪天候でしたが、地下空間なので大丈夫でした。
正面の東京駅に面したビルがセンター「丸の内オアゾ」、左端がサブプラントの「三菱ＵＦＪ信託銀行ビル」。この一帯の丸の内一丁目地域の地域冷暖房を見に行く。

丸の内オアゾ1Ｆ「ＯＯ広場」に集合
悪天候からなのか、参加者は少なかった。

エレベータで地下4階に降りて、丸の内熱供給（株）丸の内一丁目センターへ。

まず初めに会議室でオリエンテーションがあった。
■地域冷暖房について
全国140か所で導入されている。
他に新宿副都心、横浜みなとみらいなどがある。
丸の内地域は1984年4か所の供給から始まった。
丸の内熱供給（株）は三菱地所の子会社で、株式の6割の株式を保有している。
今ではこの地域の約3割の冷暖房、温水の供給を担っている。
供給エリアは、東京駅の丸の内側を中心（大丸有）に74棟18駅12施設、供給延べ床面積は約733万m2。（2022年9月現在）
地域配管の総延長は：約15,900ｍ（皇居周回道路3周分）
洞道の総延長：約2,900ｍ

地域冷暖房見学
「丸の内オアゾ」の地下にある丸の内熱供給（株）「丸の内一丁目センター」から「三菱ＵＦＪ信託ビルサブプラント」までの地下トンネルを見学します。

地域冷暖房のメリットとしては
熱源設備を一括管理することで、大気汚染物質、温室効果ガスを削減する。
屋上冷却塔、煙突等が不要になり、都市美観が向上する。
熱源設備の集中化によるスケールメリットにより、運転効率が向上する。個別熱源方式と比べ、一時エネルギーの使用を約15％削減できる。
個別のビル内の熱源設備への初期投資、設備の運転維持管理費用が不要となる。
建築容積率の規制緩和を受けられる。

丸の内熱供給（株）
https://www.marunetu.co.jp/index.html

「丸の内一丁目センター」冷凍機械室へ

丸の内一丁目センター
面積　708m2

吸収式熱式冷凍機（2基）
冷媒の気化熱を使って冷却している。

冷凍機から約5℃の冷水を供給し、約12℃になって戻ってくる。

ターボ冷凍機（3基）

ボイラー室へ
炉筒煙管ボイラー（15ｔ/ｈ×2基）
都市ガスで蒸気を作り、ビルの暖房や温水に使われる。

燃焼室の窓からを覗く。

青く完全燃焼している炎が見える。

ボイラーから約175℃の温水を供給し、約55℃になって戻ってくることになっている。

蒸気ヘッダーから各ビルへの分岐配管。

丸の内系統、オアゾ共用系統、日本生命ビル系統へ

三菱ＵＦＪ信託銀行サブプラントへの配管トンネル入口

トンネル内部
通路は人がひとり通れる50㎝ほどしかない。

奥側　三菱信託サブプラント方向
手前側　丸の内一丁目センター方向

左上　蒸気（175℃）
右上　環水　（55℃）
左下　冷水（還水）（12.5℃）
右下　冷水（往）（5.5℃）

連絡洞道断面図
ビル間を東京メトロ丸ノ内線の下を推進工法で通した。道路横断以外はほとんど民地に敷設されている。
深さ　20.1ｍ
長さ　75.5ｍ

洞道断面図
内径2.6ｍ

三菱信託サブプラントへ

三菱ＵＦＪ信託サブプラント
面積　2,589m2
丸の内一丁目センターの3倍以上と広い。
両プラントともに職員の姿はなく、他のサブプラントから遠隔監視している。

氷蓄熱槽
蓄熱材の入った10cmくらいの丸いカプセルが充填されていて、安価な夜間電力で冷却して、昼間に放熱する仕組み。

ブラインターボ冷凍機（2基）
不凍液を0℃以下まで冷却する。一般的なターボ冷凍機よりも低温に冷却できる。

ターボ冷凍機（3基）

吸熱冷凍機（2基）

みずほ丸の内タワーへの分岐配管。

マシンハッチ
機器の搬出入のためのスペースとなる。公道の下に地下構造物ができるのは意外。20～30年の更新時しか使わないので、合理的なスペースといえる。
2年前に機器の更新工事を行った際の動画を見せてもらった。道路の上なので夜間にパネル開けて、トラックでからクレーンで部品を下し、下で組み立てて設置していた。

丸の内一丁目センター側へ戻る。

これほど広大な面積で地域冷暖房を展開していたのには驚いた。
丸の内熱供給（株）は今後も拡大していく。