鎌数伊勢大神宮・掩体壕･大原幽学★『干潟八万石』ぶらり旅③2022

2022/01/17 - 2022/01/18

久しぶりの「北総ぶらり旅」は1泊2日で、地元の人に『干潟八万石』を案内してもらいました。
かつて『椿海（つばきのうみ）』と呼ばれた土地を江戸時代に干拓して、広大で肥沃な『干潟八万石』にした先人たちのゆかりの地も巡りました。
千葉県の温泉登録第1号の「矢指ケ浦（やさしがうら）温泉館」に宿泊。

①は、1日目『浜ゆう･飯岡･龍福寺』⇒ https://4travel.jp/travelogue/11735208

②は、１日目後半～2日目朝『袋公園･九十九里･矢指ケ浦温泉館』⇒ https://4travel.jp/travelogue/11735217

本編③は、2日目前半『鎌数伊勢大神宮・掩体壕･大原幽学』

④は、2日目後半『東庄県民の森・夏目の堰・猿田神社』⇒ https://4travel.jp/travelogue/11735225

エリア 九十九里(千葉)

• 旅行の満足度: 4.0
• 観光: 4.0
• グルメ: 3.5
• ショッピング: 3.5
• 交通: 4.0

• 一人あたり費用: 1万円未満
• 交通手段: 自家用車 徒歩
• 旅行の手配内容: 個別手配

【２日目】続き

鎌数（かまかず）伊勢大神宮（千葉県旭市）

袋（ふくろ）公園に寄ってから移動してきました。

なぜ旭市と『伊勢』が関係があるのか?
江戸時代に『椿の海』を干拓しようとしたが、農民、漁民の反対が多く、伊勢内宮神主に祈願を依頼。
その後、順調に工事が進み、広大な『干潟八万石』ができた。
伊勢神宮の御分霊を移して、鎮守の神様としてお祀りしたとのこと。

鎌数伊勢大神宮の神楽 祭り・イベント

手水舎の龍と『花手水』

『花手水』を実際に見たのはこれが初めてです。良いですねぇ！　心の中で感動しています。

『要石』かと思ったら、違うようです。塩の化石だそうです。
太平洋戦争時代に、この大神宮の裏手に香取海軍航空基地を建設中、出てきた物のひとつ。江戸時代まで『椿の海』だった頃の貝殻、漁具のおもりなどと一緒だったらしい。

御神木の大銀杏。樹齢400年以上。本殿の創建よりも古い。
雌木で、枝から垂れる大きな『乳柱』が珍しい。
また銀杏の実がよくできることから、子宝、お乳の出が良くなるのを祈願する人が多いらしい。　

夫婦杉
樹齢約320年。根がひとつになっていることから夫婦杉と呼ばれている。
さらに間から子どもの木が1本生えている。
子宝に恵まれるようにと祈る人も多いそうです。

拝殿
本殿は1671年の創建。

神楽殿
３月の「春の祭礼」で岩戸神楽や五穀豊穣祈願舞が奉納される。江戸中期の1756年から続く。神楽は、千葉県の指定無形民俗文化財。

掩体壕（えんたいごう）（旧香取海軍航空基地）（千葉県旭市）

日中戦争時代に作られた施設です。敵機が襲来した時に、その攻撃から航空機を守る為に壕の中に退避させるためのものです。
かまぼこ型で強度がある構造をしていて、敵機からも発見しづらくなっています。表面は草を生やしてカモフラージュしています。
鎌数伊勢大神宮のすぐ裏にあります。

幅29m、奥行き4m、高さ7m。
25基あった掩体壕のうち、旭市内では現在これ１基のみが保存されています。
現在私有地のようで、壕の中には農機具等が入っています。
立ち入ることは出来ません。

山の上にある大原幽学遺跡史跡公園へ向かいます。

大原幽学遺跡史跡公園（千葉県旭市）

幕末にこの地で農村指導者となった大原幽学に関する資料を保存、展示している公園です。国の史跡指定。
大原幽学住居跡、旧林家住宅、大原幽学記念館、その他の史跡や遺跡があります。

大原幽学住居跡

大原幽学(1797～1858年)は尾張の出身。
18歳から20数年間漂泊の旅をしていて、38歳の時に、長部村（現在の旭市長部村）を訪れた。（『おさべむら』ではなく、『ながぺむら』と読むそうです。）
当時崩壊の危機にあった東総の農村を見て、その立て直しを決意した。

大原幽学住居跡 名所・史跡

幽学自らの設計で居宅兼教導所として使用し、1842年に住居として改築した。
もともとは茅葺き屋根だったものを、大正末に銅板に改修。

旧林家住宅

幽学の弟子の中で優れていた林伊兵衛の住居。天保15年(1844年)建造、幽学の設計によるもの。
千葉県有形指定文化財。

囲炉裏の間を中心に、合理的に部屋や廊下が配置されています。

異なる世代が同居するのに、プライバシーを確保しながらも、共同生活を居心地良く送れるように配慮されています。

敷地内の紅梅が開き始めました。

茅葺き屋根が保存されていて、美しいですね。
幽学は、合理性と、美的にも優れた感覚を持っていたんでしょうね。

大原幽学記念館（千葉県旭市）

幕末にこの地で農村指導者として大きな実績を残した大原幽学の生い立ちから、自決に至るまでの歴史の解説と、資料を展示しています。

大原幽学記念館 美術館・博物館

入館料300円を払って、エントランスで大原幽学座像の前で、15分程度の紹介VTRを見ました。スタッフの方が「もしご覧になるならば最初から再生しますが」と言ってくれました。紙芝居風アニメで歴史をわかりやすく製作されていました。

1階郷土展示室
鉄牛和尚
江戸時代まで、東西約12km、南北約6kmの湖だった「椿海」の干拓に貢献した人々は多かったが、その中でも鉄牛の名は欠かせない。幾度も行き詰まった工事も鉄牛のおかげで開発が進んだ。
後に東庄県民の森の高台の福聚寺を創建し、最期までそこで過ごした。

「椿海」の干拓によってできた新田の分割図
いわゆる「干潟八万石」の分割図。

様々な農機具

2階幽学展示室
『先祖株組合』
世界初とも呼べる「農業協同組合」の原型となる「先祖株組合」の組織作りと、運営のコツなどをわかりやすく説いた。

『性学（せいがく）』
道徳と経済の調和を基本とした独自の学問を説いた。
農業技術の指導や農業改革と、生活改善を実行したことで、この地の大きな復興を遂げたそうです。

虫に食われず、ボロボロにならず、良く保存できていますね。

自刃の際に使用した短刀。

村は復興したものの、農民が村を越えて活動を行ったことから、幕府の嫌疑を受けて6年間拘束されたそうです。
村に戻った時、自分が教えたことがすっかり元通りになってしまい、失意から安政5年（1858年）3月8日自害した。62歳。

鞘に「難舎者義也」（捨て難きは義なり）の文字が刻まれている。

達筆な手書きの文書も多く残されています。

幽学が18歳で勘当されて家を出るときに、父親から譲り受けた大小の刀。
自決の際はこの刀を使わず、傍らに置かれていたそうです。

記念館横の日本庭園
滝もあります。

このあと東庄県民の森へ向かいます。

オオナギファーム（千葉県旭市）

周辺に他にお店はなく、「貴方に食べてもらいたくて造りました」「あんころ餅」の大きな文字が目に飛び込んできました。

オオナギファーム お土産屋・直売所・特産品

駐車場に駐めて入口を見ると、「『珍百景』放映」とも書いてあります。
聞くと、この店以外のあぜ道など、色々な場所に「あんころ餅」とだけ書かれた手書きの看板があることから取り上げたようです。お店の名前も場所も値段も一切書いていないことから、何の目的で、何処かもわからない、不思議な「看板」ということみたいです。

中に入ると、取れたて野菜などが並んでいます。

お赤飯、焼きおにぎりなども並んでいます。

そこら中に書いてある『あんころ餅』を試してみなくちゃ。

『あんころ餅』『お赤飯』『おこわ』を購入。
このあとに行く東庄県民の森でピクニックをすることにしました。

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④は、2日目後半『東庄県民の森・夏目の堰・猿田神社』⇒ https://4travel.jp/travelogue/11735225