2021/05/04 - 2021/05/04
3位(同エリア316件中)
旅猫さん
高崎線ぶらり旅の6回目は、桶川駅界隈を散策。
桶川は、中山道の江戸から6番目の宿場であり、本陣1軒、脇本陣2件、旅籠36軒を擁し、大名家の定宿としても利用されていた街であった。
現在でも、本陣の一部や旅籠であった旅館など、宿場の風情を残している。
今回は、その宿場界隈を歩いてみることにした。
桶川宿は、これまで数回歩いたことがあるのだが、街並みがかなり変わってしまい少し寂しい感じがした。
(2021.05.10 投稿)
- 旅行の満足度
- 3.5
- 観光
- 3.5
- グルメ
- 4.5
- 同行者
- 一人旅
- 交通手段
- 徒歩
-
桶川宿の南の木戸址から散策を始める。
そこに建つ木戸址の碑は、以前、建物の傍らにあったので側面の碑文が読みづらかったのだが、いつの間にか取り壊され、四面すべてが見えるようになっていた。
そこから宿場内へと入ると、やはり街並みがかなり変わっていた。
鍾馗様が載っていた古民家も建て替えられてしまっていたが、鍾馗様は無事だった。
その先にあった火の見櫓も消えていた。 -
少し歩くと、左手に武村旅館が見えて来る。
その建物は、桶川宿にあった旅籠のひとつで、明治になって旅館業を営む際、向かって左手部分を増築したそうだが、間取りほぼ旅籠当時のままだそうだ。武村旅館 名所・史跡
-
増築部分は、格子窓になっているが、微かに紅色が残り、往時は艶やかな姿をしていたのではないか。
現在、この建物には泊まれないのが残念である。 -
武村旅館の斜向かいに、鳥弥太本店と言うひな鳥専門店があった。
鶏好きとしては入らないわけにはいかず、ふらりと立ち寄ってみると、かなりお年を召した女性が奥から出て来た。
店先には何も無かったが、尋ねてみると、すべて注文してから出すそうである。
総菜もあったので、チキンカツとささみフライを注文した。
15分くらい掛かるというので、近くを散策して時間を潰すことにした。 -
家に帰ってから食べてみたが、感動するくらい美味しかった。
しかも、チキンカツは3枚で140円で、ササミフライは1本80円。
220円でかなり満足する量があり、正直、もうスーパーの総菜を買うことはできない。
次回は、1時間掛かるというもも焼き(550円)を食べてみよう。 -
鳥弥太本店からとりあえず先へ進む。
すると、左手に古い家が二棟見えて来た。
手前の建物は、稲葉屋本店と言う魚屋で、今も現役なのが嬉しい。
連休中なので、この日は休みのようだ。 -
その先の桶川駅前交差点の手前にも二棟あった。
その内の一棟は、桶川名物のべに花まんじゅうの店だった。
開いているかと思ったが、やっていないようだった。 -
歩道の脇に、小さな石碑を見つけた。
境橋と刻まれているので、ここに橋があったのだろう。
確かに、その脇を通る細い道は、川の跡に違いない。 -
交差点で中山道を渡り、浄念寺を目指す。
途中で、桶川市のマンホールを見かけた。
描かれているのは、もちろん紅花である。 -
浄念寺には、立派な仁王門がある。
寛保元年(1741)に再建された楼門で、楼上に梵鐘があり、以前は宿場中に美しい音色を響かせていたそうだが、第二次世界大戦の際に供出されてしまったそうだ。浄念寺 寺・神社・教会
-
門に安置されてる仁王像は、明和五年(1768)に開眼されたもの。
かなり色褪せているが、以前は極彩色だったようだ。 -
境内には、板石塔婆が保存されていた。
浄念寺は、室町時代後期の天文15年(1546)に開創された古刹だが、板石塔婆の中には、正和4年(1315)のものもあった。 -
鳥弥太本店でカツを受け取り、散策を続ける。
駅入口の交差点を越え、さらに先へと歩いて行くと、右手に島村老茶舗と言う店が見えて来る。
嘉永7年(1854)に創業した『丸木』の屋号を持つ茶商で、現在でも続いている老舗である。
正面の店部分は大正15年(1926)に建てられたものだが、続く主屋は嘉永七年創業当時のものだそうだ。 -
その裏手に、宿場内で穀物問屋を営んでいた島村家の土蔵がある。
三階建ての特異な建物で、天保7年(1836)に、飢餓で苦しむ人々に仕事を与えるため建てられたことから 『お助け蔵』と云われてるそうだ。
内部は、江戸時代の生活用具の資料館となっているが、公開は月一度。
以前見学したことがあるのを思い出した。島村家住宅土蔵 名所・史跡
-
宿場内をさらに進むと、右手に川越で見られるような蔵造りの立派な建物があるが、これは穀物問屋を営んでいた矢部家の店蔵で、明治38年に川越の職人たちにより建てられたものだそうだ。
紅花商人としても活躍した矢部家の英華を物語る建物だ。矢部家 (蔵造りの商家) 名所・史跡
-
矢部家の向いには、小林家住宅がある。
小林家は材木商を営んでいたそうだが、建物は、江戸末期に旅籠だったものを利用したそうだ。
現在は、喫茶になっているが、この日は休みだった。小林家 (住宅主屋) 名所・史跡
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そこから少し歩くと、握手に冠木門が見えて来る。
ここが、桶川宿の本陣遺構である府川家である。
非公開なのが残念だが、皇女和宮が下向の際に宿泊した場所であり、上段の間や御湯殿などが現存しているそうだ。
県内に残る唯一の本陣遺構なので、一度は観てみたいものである。桶川宿本陣遺構 名所・史跡
-
府川本陣の斜向かいには、桶川宿の案内所である中山道宿場館がある。
前にも立ち寄ったことがあるが、最新の情報があればと入ってみたが、なぜか渋沢栄一の資料が増えていた。
それでも、地図がもらえたのは良かった。中山道宿場館 専門店
-
宿場館の少し先に、桶川宿手洗い処と言う新しい施設が出来ていた。
その敷地内に、『お茶博士・辻村みちよ顕彰碑』と言うものがあった。
説明板を読んでみると、緑茶の中にカテキンがあることを世界で初めて発見した研究者で、日本初の女性農学博士だった方だそうだ。
桶川出身者に、これほどの方がいたとは初めて知った。 -
その碑のそばに、真新しい道標が建っていた。
観光用に建てられたものだが、設置された時代は良いが、これから100年、200年を経た頃、その時代の人が観たら、どう思うのだろう。
本物ではないし、時代を経ても歴史的価値は発生しないし。 -
手洗い処のある区画の北側には、チキンカツを買った店のすぐ近くにあった魚屋稲葉屋の支店があった。
このご時世、魚屋が同じ街中に2軒あり、しかも系列店であることに驚くが、桶川駅周辺では、西口に大手系列のスーパーがあるものの、旧中山道の通る東口には大型店舗が無いため、昔ながらの商店が結構残っているようだ。 -
その区画の北側には、東和銀行桶川支店があり、その建物の前に『市神社の跡』と言う標柱が立っていた。
市神社とは、江戸時代、宿内で五と十の付く日に開かれていた『五十の市』を守る神を祀った社で、旧中山道と旧菖蒲道の三又路の中央に鎮座していたそうだ。
現在は、稲荷神社の境内に遷座しているとのことだ。 -
そのすぐ先に、大雲寺と言う寺院があった。
弘治3年(1557)の開山と伝わる曹洞宗の寺だそうで、本陣府川家の菩提寺であり、墓地には墓があるらしい。大雲寺 寺・神社・教会
-
本堂の近くには、三体の地蔵が並んでいた。
その内の一体は、『女郎買い地蔵』と呼ばれ、宿内の飯盛り女に入れあげた若い僧を諭した住職に纏わるものだそうだ。
飯盛り女の下へ通う罪を被ったその地蔵の背には、今でも鎖を繋げた鎹が残っていた。 -
一里塚跡を通り過ぎると、宿場の北の外れにある桶川市役所入口交差点に到着した。
近くの小学校の敷地には、東松山市にある箭弓稲荷神社へと向かう松山道への道標として、天保7年(1836)に建てられた『松山以奈り道の道しるべ』があった。
以前にも一度観たことがあったが、柵に囲われていて、下の部分が良く見えないのが残念である。 -
交差点近くに、以前は上の木戸址の石碑と小さな祠があったのだが、探しても見当たらなかった。
地図を見ると、撤去されてしまったそうだ。 -
交差点から少し戻ると、歩道橋がある。
そこから裏道へと入ると、古い煉瓦造りの建物があった。
細田農機と言う会社の社有物だそうだが、元は造り酒屋だったそうで、以前は煙突も残っていたらしい。 -
さらに裏道伝いに歩くと、桶川稲荷神社に辿り着いた。
その社は、桶皮郷の惣鎮守として嘉禄年間(1225~27)に創建されたもので、現在も桶川市民に親しまれ、元日には参拝客が境内の外まで溢れるほどの混雑となる。桶川稲荷神社 寺・神社・教会
-
境内には、周辺に鎮座していた社が合祀されている。
その中には、先ほど観た市神社跡にあった社が、八雲社(写真中央)として祀られていた。 -
拝殿の前には、背の高い一対の石灯篭が建っている。
これは、安政4年(1857)に建てられたもので、江戸時代には宿場内の不動堂にあったが、神仏分離の影響により、稲荷神社へ移設されたそうだ。 -
その台座には、寄進した紅花商人24人の名前が刻まれている。
桶川宿周辺は、当時、紅花の生産量が国内で二番目に多く、桶川臙脂として知られていたそうだ。
現在は、観光用として栽培している紅花が市内に僅かに残るのみである。 -
境内の一角には、大磐石と呼ばれる大きな力石もある。
日本一重いと言う力石だが、嘉永5年(1852)2月、江戸一番の力持ちと評判の力士であった三ノ宮卯之助が持ち上げたそうだ。
ちなみに、重さは610㎏もある。 -
この社の一角には、日本で最も小さいと云われる神社がある。
その社は、欅の古木幹に空いた洞に鎮座している。 -
かなり小さな社だが、鳥居もお狐さまも、もちろん鏡もある。
賽銭箱もあるので、年に一度は参拝している社である。 -
稲荷神社から、桶川駅前交差点まで戻って来た。
そこから駅までは、商店街が続いている。
以前は、多くの店が軒を連ねていたが、駅前再開発が始まり、交差点の駅側はすでに空き地となっていた。 -
商店街に入ると、多くの店がすでに店を閉め、建物が撤去された場所は空き地となり、以前と比べると、かなり寂しくなっていた。
-
駅が近付くと、ひと際広い空地が現れた。
以前は、木造の建物が多くあり、風情のあった場所で、奥には、大谷石を使った美しい倉庫が立っていたのだが、すっかり変わってしまっている。
駅前にあったみずほ銀行も取り壊され、空が大きくなっていた。 -
駅前再開発が進む駅東口には、バスターミナルなどが整備され、今とは全く違う姿となるようだが、用地取得率はまだ80%くらいのようだ。
駅前通りも、今は10mにも満たない幅だが、20mに拡幅されるため、現在ある街並みは姿を消してしまう。
駅の目の前にある中華料理屋は、何とか頑張っているが、周囲の建物はすでに取り壊され、風前の灯火と言った感じだ。
最近、どこもかしこも再開発で、風情のある街並みが消え、何の変哲も無い、綺麗過ぎる駅前になってしまうのが寂しい。
今回はここまでとし、帰宅することにした。
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この旅行記へのコメント (4)
-
- 前日光さん 2021/05/19 22:54:20
- 消えゆく町並み
- こんばんは。
桶川宿歩きですね。
駅前再開発の流れは、止めようのない早さで進んでいる様子、跡に現れるのはこぎれいな、でも馴染みの薄い、どこにでもある町が金太郎飴のように生み出されていくのですねぇ(-_-)
全国各地で、このような現象は起きているようです。
よそよそしい清潔な町が、みなさんお好きなのでしょうか?
自分の価値観が、次第に世の中から取り残されていくのを感じます。
古きものに惹かれない感性、寂しい限りです。
ところで桶川って、紅花の栽培が盛んだったのですか?
これは全く存じ上げませんでした。
紅花と言えば、山形という連想しかなくて(^^;)
そうそう、渋沢栄一は藍の栽培をしていたのですね。
実はこれも大河を見るまでは知りませんでした。
飛鳥山にある「渋沢栄一記念館」を見ておけばよかったのですが。
あまりに多くのことをされた方のようで、渋沢栄一を、たとえば聖徳太子といえば「十七条憲法」みたいな、一言でキャッチフレーズ化するのは難しいですよね。
話が逸れましたが、「鳥弥田本店」で購入したチキンカツとささみフライは、見るからにふっくらとおいしそうですね!
本日我が家は「はんぺん入り鳥だんご」と、「はんぺんの明太マヨあえ」、昨日は「そら豆と鶏ささ身の中華炒め」と鶏づいていますので、お写真を拝見して食べてみたいなぁと思いました(^_^;)
前日光
- 旅猫さん からの返信 2021/05/21 21:50:32
- RE: 消えゆく町並み
- 前日光さん、こんばんは。
書き込みありがとうございます。
再開発後の絵を観ましたが、まさにどこにでもある駅前です。
金太郎飴みたいで嫌ですね。
もう少し、古い物を大切に使うような感じになれないんですかね。
街並みは、その土地の成り立ちと歴史から作られているのですから。
寂しいですね。
桶川は、山形最上地方と並ぶ紅花の一大産地でした。
今でも畑が観光用に残されていて、毎年紅花まつりを行っているんですよ。
行ったことがりますが、なかなか綺麗でした。
深谷は、藍玉の産地でした。
江戸では、藍の一大消費地だったので、江戸に近い深谷は反映したそうです。
渋沢栄一は、凄いですよね。
今も残る500以上の企業に関係したらしいですからね。
実は、桶川に20年住んでいるのですが、『鳥弥田本店』は気付きませんでした。
今回散策の途中で見つけて、思わず立ち寄ってしまいました。
若鳥専門の店で、注文してから揚げるので、熱々サクサクで美味しかったです。
この後、また買いに行ってしました。
旅猫
-
- hot chocolateさん 2021/05/17 23:11:29
- 高崎線沿線ぶらり旅 桶川駅界隈
- 旅猫さま、こんばんは。
「高崎線沿線ぶらり旅 桶川駅界隈」の旅行記にお邪魔しています。
高崎線ってほとんど乗っていない気がします・・・
まだまだ昔ながらの雰囲気が残っていますね。
中山道・・・当然のことながら、昔の人たちは歩いて旅をしていたんですね。
昔の宿場町を辿りながら散策するのもいいものですね。
感動するほど美味しかったというチキンカツとささみフライ、食べてみたいわ♪
hot choco
- 旅猫さん からの返信 2021/05/18 22:18:31
- RE: 高崎線沿線ぶらり旅 桶川駅界隈
- hot chocoさん、こんばんは。
書き込みありがとうございます。
高崎線はほぼ毎日載ってます(笑)
駅の多くは昔の宿場町なので、街歩きはなかなか楽しいです。
桶川は、その中でも思いの外古い建物が残っています。
今は列車で楽に回れますが、昔はみなさん歩いていたのだから驚きですよね。
チキンカツもササミフライも、無茶苦茶美味しかったです。
サクサクで、今まで食べた中では一番でした。
旅猫
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