2025/03/02 - 2025/03/02
2位(同エリア333件中)
旅猫さん
『高崎線沿線ぶらり旅』の13回目は、北鴻巣駅界隈。北鴻巣駅は、昭和59年(1984)に開業した比較的新しい駅である。以前は、東口だけであったが、それまで水田が広がっていた西側の開発が進み、2009年に西口が出来ている。周辺は、かつての箕田村で、嵯峨源氏の流れを汲む箕田源氏発祥の地である。今回は、その箕田源氏の史跡を訪ねる。
(2025.03.07 投稿)
- 旅行の満足度
- 3.5
- 観光
- 3.5
- グルメ
- 3.5
- 交通
- 3.5
- 同行者
- 一人旅
- 交通手段
- JRローカル 徒歩
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北鴻巣駅に降り立たのは、9時半であった。西口側に出て、月曜日にも歩いた道を再び歩いて行く。武蔵水路を渡ると、小さな畑に菜の花が咲いていた。春は、もうすぐ近くまで来ている。
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先日も立ち寄った満願寺の境内では、河津桜が咲き始めている。
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箕田2号墳まで来た。先日は、ここで時間切れとなり戻ったので、ここからが、今日のぶらり旅である。
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説明版によれば、この古墳の南側に箕田源氏の館があったようだが、その痕跡はまったく無い。歩いていると、住宅街の片隅に、小さな石碑が立っていた。その石碑には、『荒神 山神』と刻まれている。
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道なりに歩いて行くと、小さな畑の向こうに、木造の大きな民家が立っていた。周囲は区画整理され、新興住宅街のようになっているが、そこだけが、かつての箕田村の面影を残しているようである。
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道が突き当たると、そこが宝持寺であった。その墓地の入口に、古い庚申塔のようなものが立っていた。六体の地蔵が刻まれている。明治十七年の銘と箕田村の文字が確認できた。
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宝持寺は、渡辺綱が、祖父である源仕と父である源宛の菩提を弔うために建立したと伝わる寺である。本堂は、鴟尾の載った唐招提寺様式の屋根を持つ特徴的な建物であった。
箕田源氏の菩提寺 by 旅猫さん宝持寺 寺・神社・教会
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本堂手前に、『渡辺綱公之碑』と言うものがあった。渡辺綱は、嵯峨源氏源融の子孫で、箕田源氏二代源宛の子として、箕田館で生まれたとされている。後に、摂津国西成郡渡辺に移住し、渡辺氏の祖となった。清和源氏三代目の源頼光に仕え、四天王の筆頭として活躍。大江山の酒呑童子退治が有名である。石碑にも、その退治の場面が浮き彫りとなっていた。
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境内には、全国渡辺(部)会により建立された嵯峨源氏の顕彰碑もあった。
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境内の一角では、梅の花もさいている。
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墓地の入口にも、大きな白梅が満開の花を咲かせている。
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宝持寺の南西側には、箕田氷川八幡神社が鎮座している。この社は、箕田源氏初代源仕が、石清水八幡宮を勧請した八幡社と、清和源氏初代源経基が勧請した氷川社を、明治になってから合祀したものだそうだ。
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拝殿で参拝すると、賽銭箱には、渡辺家の家紋が施されていた。宝持寺の寺紋も、この社の神紋も、渡辺家の家紋なのである。
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境内の一角には、大きな石碑が保存されている。『箕田碑』である。宝暦9年(1759)に、源経基や箕田源氏の事象について伝えるために建立されたものだそうだ。
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その東側には、龍昌寺と言う寺があった。永長2年(1097)開山と言う古刹で、末寺を三十三ヶ寺を持つ本山であったそうだ。
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広い境内の片隅に、崩れそうな鐘楼が立っていた。新しい鐘楼もあったので、こちらはすでに使われていないようだ。古びた姿と、藪椿の素朴さがとても絵になっていた。
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龍昌寺を後にし、途中、箕田古墳群を観ながら駅へと戻る。まず現れたのは、七号墳である。住宅街の中に緑に包まれている。戦前の発掘調査で石室が発見されたそうだが、報告書などは無いそうである。今となっては、開発で削り取られ、辛うじて残されている状況だ。
箕田古墳群 名所・史跡
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七号墳の向かい側に、八号墳があるはずなのだが、住宅ばかりである。二周ほどして探してみると、住宅の隙間から小さな社が見えた。回り込んでみると、奥の方に塚のようなものが見えた。それが八号墳であった。周囲は完全に個人宅に囲まれてしまい、まったく近付くことが出来なくなっていた。もう少し、史跡の保存をしっかりとやって欲しいものだ。
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そこから少し西へ行くと、空き地のような場所に、六号墳があった。正式な発掘調査もされていない上、南側を大きく削り取られているそうだ。前方後円墳であったとも云われ、周豪の痕跡も残されているそうである。
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さらに北側に歩くと、四号墳もあった。三方を住宅に囲まれ、北側は農地となっていて、やはり近寄れない状態であった。近くに五号墳もあったのだが、見落としてしまった。
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旧中山道を駅の方へと歩いて行くと、追分と言う交差点に出た。そこは、忍や館林の城下へ向かう道が分かれる場所である。歴史解説版が置かれ、角には、箕田地蔵尊と庚申塔もあった。
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さらに進むと、『箕田の石塔』と呼ばれるものがあった。かなり風化していて、詳しいことは分からなかった。
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その近くに、廃屋のような建物が二棟ほど立っていた。新建材の家が多い中、そこだけ時間が止まったかのような風情があった。
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その先に、また古墳らしきものがあった。説明版は無かったが、地図には『べったら塚古墳』と表示されている。詳細は分からないが、箕田古墳群の一部らしい。
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墳丘上には、六地蔵が彫られた石碑が置かれていた。この近くに、『箕田の庚申塔』と呼ばれるものがあるのだが、これも見落としてしまった。
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べったら塚古墳から、駅へと向かう。途中、瓦屋根の民家が三棟取り壊されている現場があった。庭の紅白の枝垂れ梅が花を咲かせていたが、やはり伐採されてしまうのであろう。すぐ近くまで、薄っぺらい新興住宅とマンションが迫ってきているので、ここも開発されてしまうのだろう。今回のぶらり旅は、これでお仕舞いである。
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この旅行記へのコメント (4)
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- pedaruさん 2025/03/13 14:41:45
- 箕田源氏
- 旅猫さん こんにちは
鴻巣市民は地元の歴史を教えられずに、無駄に土地が放置されもったいない、平らにして畑にしよう、物置を建てよう、などと考え、止める人もないまま古墳などは削られてしまいました。
今残っているうちに保存しなければ後悔が残ります。文化とは無縁の地だと全国から蔑まれることでしょう。市に文化課というものがあるなら、今日から柵をつくり、歴史を伝え、教育していくべきです。 鴻巣の皆さん、ごめんなさい、意識の高い人も居るはずですからね。あなた方は箕田源氏の子孫だとおだてて、遺跡を守りましょう。
古い農家の家が取り壊されるのを目撃したのですね。それは仕方ないにしても、りっぱな梅の巨木も切り倒そうとしているのですね、とても残念です。
我が家のように古い家でも保存しようとしています。意識が高いから?いえ、高いのは建築費です。新築の便利な家を建てればかみさんも機嫌がよくなりますが、貯金がないのが真相です。
pedaru
- 旅猫さん からの返信 2025/03/13 18:47:50
- RE: 箕田源氏
- pedaruさん、こんばんは。
書き込みありがとうございます。
関東平野は、高度経済成長期に、多くの史跡が消滅してしまいました。
当時は、史跡を保存しようと言う考えが希薄だったので。
奇跡的に残ったものも、最近の再開発の波に呑まれ、消えようとしています。
この国は、歴史的な遺物を大切にしようと言う考えが希薄ですよね。
ローマの地下鉄工事の特集を観ましたが、遺跡が発見されれば、まず保存のために工事を中断し、計画を変更して駅の位置を変えるなど、驚きでした。
この国では、先日の高輪での発掘でも、多くの保存の声を無視して再開発を優先してしまい、遺跡は破壊されてしまいました。
経済優先の現状に悲しくなります。。。
北鴻巣駅周辺は、かつては農村だったので、古い民家がかつてはたくさんありました。
今は田圃もすべて消え、新しい住宅街になっています。
僅かに残った民家も、取り壊しが進んでいるようです。
旅猫
-
- ポテのお散歩さん 2025/03/09 20:57:01
- 歴史のかけら
- 旅猫さん こんばんは。
今回のぶらり旅は、歴史のかけらを探すのが難しい地域だったようですね。
幾つも古墳がある事から、古くから人々が暮らしていたようですが
都心に近いので 新しく越して来た方々も多く、
そこに流れていた時間は消えそうですね。
大江山の鬼退治伝説は福知山や宮津・舞鶴など、大江山近辺では
大切に語り継がれているので、都心から離れて土地に根ざして暮らしている人々に
守って頂きたいものです。
宝持寺の白梅が立派ですね(*^-^*)
ポテ
- 旅猫さん からの返信 2025/03/10 00:50:45
- RE: 歴史のかけら
- ポテさん、こんばんは。
いつもありがとうございます。
北鴻巣は、宿場と宿場の間にあるため、あまり歴史的なものが少ない感じです。
とは言え、由緒ある寺社も多く、坂東らしく、源氏所縁の史跡が多いです。
群馬から最短北部に掛けては、畿内に匹敵するほど古墳が多い場所なのです。
ヤマト王権の大王並みの古墳もあります。
ですが、埼玉県内は完全に都市化されているので、古墳はほとんど消滅していて、僅かに残っているものも、酷い有様です。
大江山と言えば鬼退治ですよね。
あの界隈では、色々な言い伝えが残っていることでしょう。
一度は訪れてみたいと思っています。
そうそう、宝持寺の白梅は、見上げるほどの大木でした。
梅であそこまで大きいものは滅多にないと思います。
旅猫
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