2021/06/12 - 2021/06/12
6位(同エリア308件中)
旅猫さん
9回目の高崎線沿線ぶらり旅は、三度桶川駅界隈をぶらり旅。
今回は、桶川市の西に位置する川田谷界隈を歩いてみることにする。
川田谷地区は、古墳や戦国時代の城跡、戦争の遺産などがある界隈だ。
江戸時代、桶川臙脂で名の知れた紅花を、今でも見られる場所があるので、併せて訪れることにした。
(2021.06.12 投稿)
- 旅行の満足度
- 3.5
- 観光
- 3.5
- 交通
- 3.5
- 同行者
- 一人旅
- 交通手段
- 高速・路線バス 徒歩
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-
桶川駅西口バス停から、8時38分発の川越駅行のバスに乗車。
本来7分で行くところを、20分も掛かって柏原バス停に到着した。
この路線は、いつも大幅に遅れるので、あまり使いたくは無いのだ。
バスは、荒川に架かる太郎右衛門橋を渡って行く。
橋の向こうは川島町である。 -
道を渡り、橋の脇へと続く側道へと入る。
その先に、桶川飛行学校平和祈念館がある。
手前の住宅地のそこかしこに、旧陸軍の境界標が建っていた。 -
途中には紫陽花が咲いている。
今年は、紫陽花の季節と、梅雨の季節がずれ、代わりに夏のようである。
紫陽花も、瑞々しさがいまひとつのようだ。 -
平和祈念館の駐車場の片隅に、小さな建物があった。
説明板があったので読んでみると、それは、旧熊谷陸軍飛行学校桶川分教場の弾薬庫だった。
分厚いコンクリートで造られているが、屋根だけが簡素なのは、爆発した際、屋根が吹き飛ぶように設計されていたそうだ。 -
門を入ってすぐの所には、守衛棟があった。
門衛が待機していた建物だが、売店もあったらしい。 -
その隣には、当時本部棟があったそうだが、今は基礎だけが残っていた。
終戦後、進駐軍により解体されたそうだ。
その向かいには、車庫棟が残されていた。 -
その奥には、兵舎棟の大きな建物があった。
現在、その建物は、祈念館として利用されている。 -
兵舎棟は、戦後、引揚者などのための市営住宅『若宮寮』として、平成19年(2007)まで使用されていたそうだ。
その後、復元され、現在、祈念館として資料の展示室となっている。 -
部屋のひとつは、当時の寝室が再現されていた。
幅は狭く、頭と足が互い違いとなっている。
寝心地は悪そうだが、睡眠時間は8時間あったそうだ。 -
兵舎棟の後ろには、教室棟の基礎と便所棟があった。
教室棟とその奥の空地にあった講堂は、本部棟と同じく、進駐軍により解体されたそうだ。 -
裏側の出口から外へ出ると、静かな住宅地だった。
緑が多く、子供の頃に住んでいた街のようで懐かしい。 -
歩いていると、舗装されていない道があった。
惹かれる道だったが、目的地から離れすぎるので、諦めた。 -
家が建ち並ぶ界隈に出た。
その片隅で、ニッコウキスゲのような花が咲いていた。 -
その住宅街では、古い家と新しい家が混在していた。
僅かに残された古い民家には、敷地の裏手に祠があった。
中には、広かったであろう敷地を切り売りした結果、祠が取り残されたようになった家もあった。 -
住宅街を抜けると、長閑な景色が広がった。
畑は耕した後で、まだ何も植えられていない。
桶川では、地元産の野菜などがスーパーで売られている。
その種類は多く、農業が盛んな市でもある。 -
しばらく歩くと、場違いなほど巨大な圏央道の高架が見えて来た。
その高架の下の道を荒川の河川敷の方へと下って行く。
途中の南側には、鬱蒼とした森が広がっていた。
そこが、明治期以降の開発により多くが失われた川田谷古墳群のひとつである原山支群である。
9つの方墳が残っているようだが、草が生い茂り、中に入るには難しそうな上、まむし注意の看板がいくつもあり、諦めることにした。 -
原山古墳群を後にして、城山公園へと向かう。
その途中の道も長閑で気持ちよかった。
曲がりくねった細い道が、向こうの丘を越えて行く。
歩きたくなる道と言うのは、そんな道である。 -
城山公園は、その名の通り、城跡に関係がある公園だ。
その城は、公園南側の台地上にあり、ほぼ三角形の形をしている。
土塁や堀跡が残されているが、原山古墳群と同様に、この季節に中へ入るのは無謀のようなので、外から眺めるだけとした。城山公園 公園・植物園
-
公園を出て、県道57号川越栗橋線沿いに歩いて行くと、洋風建築のような洒落た建物があった。
調べてみると、旧川田谷郵便局の建物だそうだ。
入口上部に〒の印が残っていた。 -
そのすぐ近くで、もうオシロイバナが咲いていた。
まだ6月上旬だと言うのに気が早いものだ。 -
その先に、使われなくなった歩道橋と、新しい歩道橋があった。
新しい方は、『狐塚こんこん橋』と言う名前だった。
近くにある川田谷小学校の児童により名付けられたそうだ。
その『狐塚』と言う名に興味が湧いたので調べてみると、近くに狐塚堂坂地蔵堂と言うものがあるようなので、行ってみることにした。 -
その地蔵堂は、思いのほか立派だった。
残念ながら、堂内は拝観できなかったが、御堂の周りには、多くの石像が祀られ、入口近くには、文化8年(1811)の銘がある石灯篭も建っていた。
だが、肝心の狐塚の由来は分からなかった。 -
歩道橋のあった交差点を横断歩道で渡り、上尾道路沿いに歩いて行く。
オオタカ問題で名を知られた道路だが、今でも建設が続けられている。
所々四車線高架化されているが、中途半端に工事が行われているため、無駄な部分が多く造られ、工事費が嵩むばかりだ。
正直、交通量に合わない規模の道を計画通りに作り続けるのはいかがなものなのか。
おかげで、街は分断され、景観も悪くなるだけだ。 -
上尾道路を離れ、川田谷生涯学習センターへと向かう。
途中にあった道標に富士塚とあったので、立ち寄ってみることにする。
歩いて行くと、こんもりとした古墳のようなものが見えて来た。
それが富士塚で、都内で見かける溶岩を積み上げて造られたものとは違い、自然の丘のようなものだった。 -
富士塚の周囲や上には、石碑がいくつも建っていた。
この富士塚は、築造時期は分からないらしいが、古くから地元の人々により、浅間様と呼ばれて親しまれてきたそうだ。 -
この季節、桶川市内では、江戸時代まで特産だった紅花の花が咲く。
いつもなら、川田谷界隈では多く見られるのだが、今年は、コロナの影響により、大規模な栽培は行われず、残念ながら観ることはできなかった。
それでも、川田谷生涯学習センターの入口に、少しだけ咲いていた。 -
例年であれば、観光用に栽培される畑があり、満開の頃は、見事な景色となるのだが、残念ながら来年までお預けである。
※写真は、2003年に訪れた時のもの。 -
川田谷生涯学習センターにある歴史民俗資料館に立ち寄る。
前回、加納の後谷遺跡で発掘されたものが、ここに展示されていると知ったので、今回楽しみにしていたところである。
なかなか立派な資料館で、無料と言うところが良かった。桶川市歴史民俗資料館 美術館・博物館
-
展示物は、古代から江戸時代までの資料で思いの外見応えがある。
中でも、後谷遺跡からの発掘資料は素晴らしかった。
遺跡からは、膨大な資料が発掘されたそうで、多くが他の国内の遺跡からはほとんど発掘されていない貴重なものばかりだ。
特に、漆が塗られた櫛は、歯も残っていて見事なものだった。 -
土器も見応えがあったが、土偶も興味深かった。
漆が塗られたミミズク土偶は、初めて見るものだった。
他にも、遮光器土偶などもあり、土偶好きには嬉しい内容だ。 -
耳飾りも多く展示されていた。
色々な形や大きさがあり、観てるだけでも楽しい。
後谷遺跡から発掘された資料が重要なのは、木製のものが多いからだそうで、それを含めて、645点が国の重要文化財に指定されている。 -
桶川と言えば、やはり中山道の宿場としての顔が有名だ。
資料館には、その資料も展示されている。
宿場の模型も展示され、前々回の街歩きが思い出される。 -
そして、桶川のもう一つの顔が紅花だ。
江戸時代、全国で二番目の生産量を誇り、桶川臙脂の名で知られていた。
紅花染めの原料となる紅餅は、紅花の花弁を発酵させて作る。
桶川産のものは、京都の商人が買い付けに来るほど上質だったらしい。 -
隣には、紅花で染められた布も展示されていた。
その色は、古式ゆかしい色合いで、とても美しかった。 -
資料館を出て、前領家地区へと向かう。
結構歩いたので、そろそろ帰るために、近くのバス停を探す。
すると、近くに朱塗りの鳥居が見えた。
近付いてみると、山王大権現の扁額が掲げられていた。
小さな社だったが、個人的には好きな感じである。 -
生涯学習センター入口バス停で、バスの時間を確認する。
すると、10分ほどで来るので、やはりこのまま帰ることにする。
朝は曇っていたが、いつの間にか青空になっていた。
気温も上がり、散策するにはつらくなっていた。 -
しばらく待つと、12時7分発のバスが少し遅れてやって来た。
往きのバスと違い、乗り込んだのは、桶川市内循環バス『べにばなGO』。
一回200円で乗車できる市民の足である。
難点は、本数が少ないことだ。 -
帰りのバスは循環バスなので所要時間は長めだが、思ったよりも早くに桶川駅西口に到着した。
駅の近くでは、桶川市のマンホールを撮影。
図柄は、もちろん紅花である。
紅花の花と遺跡の資料を観に行く旅だったが、残念ながら満開の紅花畑は観ることが出来なかったが、遺跡の資料は大満足だった。
次回は、そろそろ一駅進みたいところである。
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