2020/09/21 - 2020/09/22
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ブリッヂ・トレック(橋梁旅行)さん
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中央西線沿線の橋梁は3回に渡って巡ってきましたが、中津川辺りから下流は中央西線と木曽川は別れ、中央西線は南西へ向かって伸びています。今回はその中央西線と別れた先の木曽川大井ダム~八百津間を中心に観てきました。
八百津から丸山ダムの間にはダム建設資材運搬の為に丸山水力専用鉄道が敷設され、県道に生まれ変わった今もその遺構が結構残っています。鉄道橋から転用された油皆洞橋やダム湖に沈む旅足橋等も見逃せません。
- 旅行の満足度
- 4.5
- 観光
- 5.0
- グルメ
- 2.5
- 同行者
- 一人旅
- 一人あたり費用
- 1万円 - 3万円
- 交通手段
- レンタカー 徒歩
- 旅行の手配内容
- 個別手配
-
【名鉄 八百津駅跡】
1930年(昭和5年)東美鉄道が開業、2001年(平成13年)廃止。
名鉄広見線の明智駅から八百津駅まで八百津線が走っていました。八百津線廃止により、八百津駅跡は宅地分譲され、家が建っています(中央の白い家から奥)。西の方に駅があったことを記念したモニュメントもありますが、駅のあった場所とは少し離れているようです。
ここから木曽川沿いに上流へ進みます。 -
【東野橋】
レール製の方丈ラーメン橋が架かっていましたが、架け替えられていました。 -
旧橋台にかろうじてレールを切断した跡が残っていました。
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◆Map1
丸山水力専用鉄道の路線を地理院の1975年撮影写真に描いてみました。
丸山水力専用鉄道は丸山ダム建設資材運搬のため、名鉄八百津駅から丸山ダムとの間に敷設された鉄道。森林鉄道と違いダム建設軌道は曲線半径も大きく、勾配も緩やかで、現在は県道381号/358号等の道路に生まれ変わっています。
写真左端に写る名鉄八百津駅から八百津線に乗り入れていました。 -
【深沢橋】
1943年(昭和18年)竣工、上路プレートガーダー橋。
関西電力が架橋した丸山水力専用鉄道の橋で、道路橋に転用されています。J型スティフナーの桁を側面から覗きたかったのですが、工事中で足場か掛けられており、観られませんでした。工事内容は塗装塗替と伸縮装置取替との事なので、また観る事ができそうでひと安心です。 -
鉄道橋時代の写真がありました。丸山ダム方から八百津駅方を望む写真と思われます。
出典:旧八百津発電所資料館 -
◆Map2
丸山水力専用鉄道の路線図の続きです。本線以外に支線が2本あったようです。 -
【錦織網場】
木曽川沿いは木曽桧の産地として有名ですが、ダムができるまでは川に丸太を流して運材していました。錦織綱場 名所・史跡
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一本一本流れてきた丸太をここで筏に組んで、犬山・名古屋方面へ送っていたそうです。(一部のダムには筏を流す流筏路や舟も通せる舟筏路を設置してある所もあります)
錦織網場の全景写真には木曽川橋(蘇水峡橋)の旧橋と思しき吊橋も写っています。 -
丸山ダム建設時にはこの少し北西に錦織駅が設置され、セメント倉庫を併設。八百津駅~錦織駅間は名鉄が工事関係者を対象に旅客営業運転も行っていました。
出典:旧八百津発電所資料館 -
イチオシ
【蘇水峡橋】(木曽川橋)
1952年(昭和27年)松尾橋梁大阪工場製、1953年(昭和28年)竣工、上路トラストランガー橋。 -
深沢橋と同様、関西電力が架設した丸山水力専用鉄道の橋。道路橋転用に当たり、道路管理者は「木曽川橋」と命名したようです。少し下流にあった吊橋の名を引き継いだものかもしれません。
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関西電力の銘板が残っていました。丸山ダムは日本発送電が1943年に着工しましたが、太平洋戦争により中断。戦後、電力事業再編により関西電力が承継して完成させました。
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【蘇水峡トンネル】
1954年(昭和29年)竣工。
関西電力の社章を型取った扁額が付いています。 -
このトンネル、実はトンネル内で二股に分岐しています。
左:蘇水峡橋 右:丸山発電所 へと繋がっています。
トンネルが単線から滑らかに拡大しているのも興味深い所。よくある段差を付けた拡大の方が設計は簡単です。 -
丸山発電所方の坑門です。こちらは県も関西電力も使用していないようで、柵で閉ざされています。その先は・・・
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丸山発電所の建屋へ向かって急坂になっており、インクラインのレールが残っていました。軌間は1067mm、国鉄太多線広見駅から名鉄広見線・八百津線を経由して、資材を運搬していました。
ちょうど関西電力の車両が出ていくところで、門扉が空いている隙に撮影できました。 -
【八百津橋】
1954年竣工、汽車製造製、下路ワーレントラス橋+上路プレートガーダー橋。
丸山水力専用鉄道関連をずっと辿ってきましたが、少し戻ります。
1992年並行して新橋が架けられ、歩行者用になりました。 -
右岸側の橋脚が水流の圧力をまともに受けそうな角張った形をしていますが、吊橋だった旧橋の橋脚を利用した由緒ある橋脚のようです。
出典:八百津町商工会 -
イチオシ
丸山水力専用鉄道の廃線跡の道路から新旧の橋を見下ろすことができました。新橋主桁側面には歩道用のブラケットが準備されているので、旧橋撤去・歩道切替は予算措置待ちの状態かもしれません。
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【油皆洞橋】(ゆかいどうはし)
1954年(昭和29年)竣工、100ft下路ポニートラス橋(ピン結合)
鉄道橋の1913年英国製錬鉄トラスの転用と言われているトラスです。竣工年が丸山発電所と同年なので、補償として建設されたものかもしれません。 -
崖を降りて桁下から覗いてみました。本橋の最大の特徴は魚腹型の横桁。「本邦鐵道橋梁ノ沿革ニ就テ」の図面と同一と思われる、魚腹型の横桁が道路橋に転用後も、両端を切り詰めて使われています!同じ英国製錬鉄トラスの浜中津橋や大宮橋は幅員が狭いため、道路橋転用に際し横桁が交換されていましたが、本橋は単線にしては広い幅員が幸いしてか、横桁も転用されたようです。この横桁の上に単線軌道桁・軌框が載っていました。
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イチオシ
塗装塗替さえも満足になされていませんが、貴重なトラスなので、しっかりメンテして末永く使って欲しいものです。
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【旧八百津発電所】
1911年(明治44年)運用開始、1974年(昭和49年)新丸山発電所完成(1971年)に伴い廃止。
【重要文化財】旧八百津発電所資料館 美術館・博物館
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【放水口発電所】
1917年(大正6年)完成。
八百津発電所の放水口は高水位よりも高い位置に設けられており、落差に余力があった為、この落差を利用して放水口にも発電機を設置し発電していました。 -
発電所の廃止後、発電所施設は八百津町に譲渡され、資料館として一般公開されていましたが、耐震強度不足の為、2018年12月以降公開を休止しています。
なので、窓からちょっとだけ覗かせて戴きました。資料館の状態のままホコリを被っているようです。 -
【丸山発電所】
1954年(昭和29年)運用開始。
新丸山ダム建設に伴う17.0mの水位上昇分を有効利用するため、発電機や水車・水圧鉄管の交換等、発電能力を増強する工事を絶賛施工中でした。 -
【丸山ダム】
1943年(昭和18年)日本発送電が着工、1956年(昭和31年)竣工、重力式コンクリートダム。丸山ダム 名所・史跡
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【小和澤橋】
1952年(昭和27年)竣工、補剛トラス吊橋。 -
竣工年から、丸山ダム建設に伴う架替と思われます。旧橋は1901年竣工の木造吊橋。
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【のぞみ橋】
2003年(平成15年)竣工、PC吊床版橋。
小和澤橋は6tの重量制限があり大型車が通行できない為、新丸山ダム建設に際し架設された仮設橋。従来の吊床版橋と異なり、床版端部で上床版と吊床版を一体化した端部分離構造を採用し、下部構造に作用する水平力を低減させています。
【土木学会田中賞受賞】 -
丸山大橋(新小和沢橋)からのぞみ橋・小和澤橋・丸山ダムが一望にできます。
小和澤橋の架替の為、新丸山ダム工事事務所は下流に丸山大橋を建設しており、新丸山ダム竣工の暁にはどちらも撤去されるようです。のぞみ橋については、吊床版及び上床版の再利用を前提にした外ケーブルを採用しており、どこかのダム関連工事で転用される可能性もありそうです。 -
新丸山ダムは既設の丸山ダムの殆どを残しつつ、下流側47.5mの地点に隣接して建設、堤体高さを20.2mかさ上げするもので、『ダムの再開発事業』と呼んでいます。これにより総貯水容量は65%増、洪水調節容量に至っては257%も増加し、治水能力が大幅に増強されます。
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イチオシ
【旅足橋】
1954年(昭和29年)竣工、補剛トラス吊橋。
上弦材の一部がケーブルと兼用している珍しい補剛トラス。アメリカの吊橋の大家D.B.Steinman氏の考案したFlorianopolis-typeの吊橋は、世界でたったの5橋、現存は3橋のみ。その内主ケーブルをアイバーで代用した橋を除くと、ウォルター・テイラー橋と本橋のみという大変希少な形式の橋です。設計は笹戸松二氏。 -
新丸山ダムの完成後は水没してしまうので、水没後の腐食による流下・堤体破損を避ける為、撤去されるものと思われます。観たい方はお早めに!
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旅足川上流の道からかろうじて側面を捉える事ができました♪
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【湯谷橋】
1953年汽車製造製、1953年竣工、下路ポニートラス橋。
丸山ダムからダム湖沿いにこの橋までは車で通行できましたが、この先は「幅員狭小路肩軟弱で危険」との理由で通行禁止となっています。この先には五月橋という吊橋もあるのですが、またの機会に。 -
【新旅足橋】
2010年(平成22年)竣工、PC3径間連続ラーメン箱桁橋。
旅足橋を含む木曽川沿いを走っていた国道418号の付替として整備されました。新旅足橋 名所・史跡
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【岐阜バンジー】
信貴山の開運橋と同様、バンジージャンプの設備が付加され、賑わっていました。高さ215mはバンジージャンプ施設では日本一だそうです。皮肉なことに、以前は飛び降り■■の名所でしたが、その抑止を狙ったものかもしれません・・・ -
【大井ダム】【大井発電所】
1924年(大正13年)運用開始、重力式コンクリートダム。
大井発電所は我が国初のダム式発電所。我が国初の半川締切工法採用ダム。木曽川水系で多くの発電所を手掛けた『電力王』福澤桃介氏の大同電力が建設した、当時日本最大の発電所です。大井ダム 名所・史跡
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イチオシ
下流の渓谷に合わせ中央に向かって深くなる堤体の曲線と、渓谷と一体化した角張った減勢工が特徴的です。
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【東雲橋】
1930年(昭和5年)日本橋梁製、1931年(昭和6年)竣工、下路ボーストリングトラス橋他。
上横構があるのに、ポニートラスのような対傾構が外側に付いています! -
対傾構はボルトで後付されたもので、上弦材等もプレートで補強されており、橋の延命化の為に新たな設計荷重に基づいて各部を補強したのかも知れません。
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右岸に石碑がありました。
漢字だけなので全く読めないのですが、「明治四十二年十二月竣功」という文字だけは判読できます。どうやら旧橋の架橋に尽力された方々の功績を讃えたもののようです。 -
こちらが吊橋だった旧橋。
1909年(明治42年)竣功、木造補剛トラス吊橋。
右岸の少し下流に案内看板と共に橋台の遺構が残っていました。 -
【和田川橋】(正式名称不明)
1922年頃竣工、充腹アーチ橋。
大井発電所入り口にある橋。ダム竣工時から殆ど変わっていないようです。 -
阿寺川
木曽川の橋を観た後は阿寺ブルーと呼ばれる綺麗な水で有名な阿寺渓谷へ! -
今回の旅は以上です。
2つの鉄道転用橋の油皆洞橋と蘇水峡橋がじっくり観られていい旅でした。ダム湖に沈む旅足橋や湯谷橋、いつ架け替えられてもおかしくない油皆洞橋等はいつ観られなくなるか分かりませんので、興味のある方は急いだほうが良いかも知れませんね。 -
トータル 橋12、ダム・発電所6、他4 を巡る旅でした。
今夜は阿寺渓谷キャンプ場で初キャンプ♪
△阿寺渓谷キャンプ場△初めてのソロキャンプの旅△ へ続きます。
→https://4travel.jp/travelogue/11650260
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