2020/02/19 - 2020/02/19
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ブリッヂ・トレック(橋梁旅行)さん
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奈良県と三重県北部は近鉄王国。特に名阪間はJR関西本線の方が15kmほど短距離にも関わらず、最高速度130km/hの近鉄特急がチケットレス特急券の便利さも加わって、一部非電化の関西本線を完全に圧倒しています。
今回は、近鉄大阪線沿線と名張川を経由して関西本線沿線の隧道や橋梁等を観てきました。まずは近鉄沿線から。
◆近鉄大阪線(伊賀神戸~伊勢中川)の歴史概略
1930年(昭和5年)参宮急行電鉄が伊賀神戸駅~参急中川駅(現伊勢中川駅)間を開業。
1941年(昭和16年)大阪電気軌道が参宮急行電鉄を合併、関西急行鉄道に改称。
1944年(昭和19年)関西急行鉄道と南海鉄道が合併、近畿日本鉄道に改称。
1960年(昭和35年)伊勢中川駅を無停車化(スイッチバック)して鶴橋駅~名古屋駅間でノンストップ運転を開始。
1971年(昭和46年)東青山駅~榊原温泉口駅間で”特急同士の正面衝突事故”が発生。死者25名、重軽傷者224名の大惨事。
1975年(昭和50年)新青山トンネル開通。西青山駅~垣内信号場間の新線切替により、全線複線化完成。全長5,652mは西武鉄道秩父線の正丸トンネル(4,811m)を抜いて、当時の国内大手私鉄山岳トンネル最長記録を更新。
1988年(昭和63年)21000系(アーバンライナー)の営業運転開始(120km/h)。
1994年(平成6年)特急の130km/h運転開始。
- 旅行の満足度
- 4.0
- 観光
- 4.0
- 同行者
- 一人旅
- 一人あたり費用
- 1万円未満
- 交通手段
- レンタカー 徒歩
- 旅行の手配内容
- 個別手配
PR
-
イチオシ
【末広橋梁】
以前観た可動橋です。平日なら上がっているかと思って夜景を撮りに行きましたが、夜間は降ろしているようです。ケーブル等が傷むので当然ですね。
【重要文化財】
早朝から観て廻りたいので、津に前乗りしました。末広橋梁 名所・史跡
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イチオシ
【D51 499】
1941年(昭和16年)鉄道省鷹取工場製造。
G-3タイプの後藤式デフが独特のシルエットを作り出しています。津偕楽公園に保存。 -
【近鉄 波瀬川橋梁】
下り(近鉄名古屋行) 下路プレートガーダー+上路プレートガーダー
上り(大阪上本町行) 下路プレートガーダー
下り線は単線時代のもの。橋脚は5角形断面です。
3月で廃止される鮮魚列車を観たかったのですが、来ませんでした。 -
【亀甲橋】
1991年(平成3年)竣工、3方向吊床版橋。
近年吊床版橋は増えてきましたが、中央に橋脚を設置せずに3方向を結ぶ非常に珍しい橋です。
青山高原カントリークラブのクラブハウス裏にあり、フロントに撮影をお願いしたらあっさりOKして頂きました。感謝。
【田中賞受賞作】青山高原カントリークラブ 宿・ホテル
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【近鉄 佐田架道橋】(正式名称不明)
半円でも欠円でも馬蹄形でもない縦型半楕円形断面の橋です。卵型とも言います。
ここからいよいよ近鉄大阪線旧線を辿っていきます。 -
◆Map1 榊原温泉口駅切替地点~垣内信号所跡
旧線のルートを紫色の破線で地図に落としてみました。赤色の破線は先行して完成した新惣谷トンネルや新梶ヶ広トンネルを含む新線と旧線とを接続する仮線です。
実際に観た順番とは違いますが、榊原温泉口方から順に追っていきたいと思います。 -
【近鉄 榊原温泉口駅方新旧線切替地点】
特別高圧線が特高鉄柱から鉄塔へ逸れていきます。旧線跡の一部はこの鉄塔/特別高圧線の用地として利用されています。 -
【猪の倉温泉橋 交差箇所】
最初のトンネルまでの間に、道路と交差しています。 -
この橋は1990年(平成2年)竣工なので、旧線現役時代には道が無かったか踏切で横断していたものと思われます。
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【旧梶ヶ広隧道 東坑口】
1930年(昭和5年)頃竣工、1975年(昭和50年)頃廃止。(以降同年竣工は省略)
旧線の榊原温泉口方から最初のトンネルです。
門扉が設置されていますが、開いています。轍ができているので、特別高圧線の保守車両が定期的に通行しているのかもしれません。 -
イチオシ
側壁(アーチ最下部も)はコンクリート造、アーチ部はコンクリートブロック長手積み、モルタルで覆工している箇所もかなりありそうですが、真っ暗で坑口付近しか分かりません。
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【旧梶ヶ広隧道 西坑口】
坑門はコンクリートブロック積み。
架線を添架するための金具が側壁とアーチに付いています。 -
旧梶ヶ広隧道と次の隧道との間にも近鉄の管理票の付いた鉄塔が建っていて現用されています。
奥は先程の坑口。 -
【旧惣谷隧道 東坑口】(総谷隧道)(そうだに)
1971年(昭和46年)10月25日に発生した通称「青山事故」の現場です。
「総谷隧道」との記述もあり、どちらが正しいのか分かりません。 -
【旧惣谷隧道 西坑口】
坑口が延長されています。
ブレーキが効かない下り列車が33.3‰の下り坂を120km/hの速度で惣谷隧道へ進入し難波行上り特急と正面衝突、3・4両目は坑門に激突しました。 -
1両目は横転してトンネルに進入したそうですが、側壁に残る傷跡は事故時のものでしょうか。
慰霊碑等は見当たりませんでした。ご冥福をお祈り申し上げます。 -
【新惣谷トンネル 西坑口】
隧道内は剛体架線!
トロリー線に剛体架線、しかもコンパウンドカテナリーを採用し、130 km/hの高速運転とトンネル内での断線防止の両立を図っています。近鉄凄すぎ! -
廃線跡を通っていた特別高圧線は、ここから現在線へ戻っていきました。2014年までは旧線の鉄塔を経由していたようなので、先程の鉄塔もいずれは使われなくなるのかも知れません。
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廃線跡は「東青山四季のさと」という近鉄所有の公園北側に続いて行きます。
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【垣内信号所跡】(かいと)
垣内信号所は総谷隧道と二川隧道との間に、東と西の2つがあったようですが、場所がはっきりしません。恐らく上の写真の辺りが東、この写真の辺りが西と思われます。 -
トラフの脚や枕木・碍子・速度制限標識等が残っていました。
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◆Map2 垣内信号所跡~旧東青山駅跡
※全マップの権利帰属は©YahooJapan、©ZENRINです。Googlemapは道路等地図が不正確なので使用をやめました。 -
【二川隧道 東坑口】
特別高圧線の保守車両が通行しないせいか、フェンスで常時閉ざされています。 -
フェンスの脇から内部を撮りました。これまでの隧道と同一構造のようです。
この先、旧東青山駅との間に溝口隧道・滝谷隧道があるのですが、諦めて旧東青山駅へ向かいます。 -
【垣内橋】(正式名称不明)
旧東青山駅へ向かう途中、レールを使った橋が有りました。
下流側は50PS、後から付け足した上流側は37kg位のサイズ。 -
垣内の集落を抜けると、こんな誰も通っていない林道を進んで行きます。
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苦労して急坂を登っていきましたが、なんと!途中で道が崩落していました。
地図で確認すると、この先を左に曲がると旧東青山駅跡に着くはずでした・・・orz
旧東青山駅へ行くには、①トンネルを突き進む、②東海自然歩道を行く、③この山を越える、の何れかを選ばなければならなくなったようです。
無念、出直してきます。
なお、旧東青山駅の東には滝谷隧道西坑口、西には青山隧道東坑口や更に山道を進むと旧青山変電所跡等があります。 -
【滝谷川橋梁】
旧東青山駅に行けなかったので寄り道をしました。
新青山隧道と垣内隧道の間、線路脇には新青山変電所があります。
橋梁上で剛体架線の支持点を細かく取るため、架線柱でトラスを組んでいます。
この川に沿って20分程上流へ進むと、溝口隧道西坑口と滝谷隧道東坑口に出られるようなので、次回はここから攻略しようと思います。④ルートです。 -
◆Map3 旧東青山駅跡~西青山駅切替地点
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【旧西青山駅跡】
今は乗馬クラブが利用しています。見学自由と看板に書いてあったので、遠慮なく見学させて頂きました。 -
車止めに使われている古枕木や特高鉄塔くらいしか痕跡は見つからず、駅がどの辺りにあったのかも分かりません。この奥にトンネルの坑門があるはず・・・
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【旧青山隧道 西坑口】
建物脇を覗くと坑門が見え、鉄塔もあります。
社員の方に通っていいか聞いたらこちらもあっさりOKしてくれました。ありがたい!でも川があるので、長靴を履いて来ないと渡れません。 -
イチオシ
坑門の扁額には「徳無疆」の文字。当時の大阪電気軌道社長だった金森又一郎氏の揮毫です。
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この先も廃線跡が残っていますが、鉄塔はいつの間にか消えてしまいました。
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さらに先へ進むと、右手に現西青山駅が現れ、現在線と廃線跡が合流していきます。
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【近鉄 新青山トンネル】
1975年(昭和50年)竣工。
全長5,652mは我が国の大手私鉄最長の山岳トンネル。剛体架線から普通の架線に切り替わります。
こちらのトンネルにも着工時の社長佐伯勇氏の揮毫による「徳不孤」の扁額が掲げられています。旧トンネルのものと韻を踏んでいてこちらも観たかったのですが、架線の支持金具等で全く見えませんでした。 -
【近鉄 新三軒家橋梁】
上路ワーレントラス他。
架線柱を桁端部でない箇所で受けており、近鉄の電気屋さんと土木屋さんの連携の良さが伺えます。
よーく見ると桁の向こう側に旧橋の橋脚が残っていました。 -
◆Map4 旧三軒家橋梁跡~伊賀上津駅切替地点
この先にも旧線のトンネルがいくつか残っていて、探索しようとしたのですが、レンタカーの底やサイドを傷つけてしまいそうなので、またの機会にしました。探索するならバイクかジムニーの様な車の方が良いと思います。
廃線跡をじっくり辿りたい方は「くるまみち」さんのHPが詳しいのでお薦めです。 -
【伊賀鉄道 木津川橋梁】
1922年(大正11年)竣工、上路プレートガーダー橋。
以前車窓から撮った写真を載せた橋です。
4つの桁はやはり全て桁高が違いました。 -
イチオシ
【タサ1形タンク車】
3軸20噸積タンク車。
伊賀市才良のガソリンスタンドで軽油の貯蔵タンクとして再利用されています。残念ながら台枠を含め足回りはありませんがタンクだけでも非常に貴重なものです。給油のついでに観せて頂きました。感謝。 -
車輪の当たる箇所には切り欠きがあります。
ガソリンスタンドの方にお話を聞くことができましたが、昔は道が悪く加太峠でドラム缶を積んだトラックが立ち往生してしまう事も少なくなかったそうで、貯蔵タンクも高価だった所へ国鉄の貨車を貰えるという話があり、先代が伊賀上野駅から夜中に運搬したとの事。途中どうしても1箇所近鉄伊賀線(現在の伊賀鉄道)の踏切を渡らなければならず、架線に当ってしまうのでタイヤの空気を抜いて車高を下げ、何とか渡ることができたそうです。
いつまでも大切に使って保存して頂きたいですね。 -
以前から観たかった近鉄の廃線跡が観られて良かったです。廃線跡は藪にガードされている事が多いですが、冬なので思ったほど藪も深くなくて助かりました。ただ観られなかった坑門がいくつかあるので、また来たいと思います。
近鉄は3月に新特急車両「ひのとり」を投入し、更なる快適性向上を図りますが、どんな車両か楽しみですね。こちらも今年中には乗車してみたいと思います。 -
あと、今回タサ1形の情報はtwitterで得られました。情報を流してくれた『鉄太郎@鐵垢』さん、ありがとうございます。今後もtwitterを活用して色んな場所の情報をタイムリーに入手したいと思います。
トータル 橋7、トンネル坑門8、SL・貨車2、他2 を巡る旅でした。
◆名張川と関西本線沿線の橋梁等を巡る旅◆に続きます。
https://4travel.jp/travelogue/11607123
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