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2020年8月の終わり、その前の週に山城青谷のスーパー山田屋に城陽名産のイチジクを買いに行った時に幟を見つけた(下の写真1)が、その時は時間が遅かったので行かなかったイチジクの直売所に出掛けた。早く行かないとすぐに売り切れるとの話を、いつも行くサンドイッチ屋さんで聞いてたので、10時頃散歩がてらに歩いて向かうが、山城大橋西詰で交通事故に遭遇。予定外に時間をロスする。<br /><br />山城大橋を渡るが、すでに摂氏36度。下流方面を見ると、川岸に黒い鳥のかたまりがおり、川の中には白い鳥がポツンポツンと。黒い鳥は時々見掛けるがカワウ(川鵜)らしい。木津川にも淀川から天然アユが遡上し、それを狙ってカワウが集結し、その被害が問題になっているらしい。<br /><br />カワウは日本でも古くから本州、四国、九州に生息しており、1970年代には公害の影響などで一時は3000羽以下まで減少したが、その後公害規制による河川水質の向上で餌となる魚が増え、現在は15万羽以上に増えたと云われる。関西では琵琶湖の竹生島に大コロニーがあり、そこから各地に広がり、営巣時に生木の枝を折り取ることによる樹木の枯死や多量の糞による水質・土壌汚染や漁業被害を引き起こしている。2007年には狩猟対象の狩猟鳥に指定されている。<br /><br />白い鳥はおそらく白鷺(下の写真2)。この辺りには白鷺だけでなくアオサギ(青鷺)も多く生息している。白鷺は厳密にはチュウサギ(中鷺)と思われる。白鷺にはほかにダイサギ(大鷺)とコサギ(小鷺)、カラシラサギ(唐白鷺)も含まれるが、この辺りには生息していないようだ。白鷺はアオサギと比べると小さい。また、私のイメージでは白鷺は群れでいることが多く、アオサギは単独が多い。<br />https://www.facebook.com/media/set/?set=a.4499614306775225&amp;type=1&amp;l=223fe1adec<br /><br />10時半過ぎに山城大橋東詰交差点から国道307号線を400mほど東に行ったところの道路下にあるイチジクの直売所、KYOTOいちじくFACTORYに到着。イチジクって私にとっては小学校の図書館ならぬ図書室の前にあったなあってイメージが残るくらいで、スーパーで売ってるイメージもなく、あまり食べることがなかった果物。原産地に近いと云われるメソポタミア(Mesopotamia)では6000年以上前から栽培されていた。旧約聖書(Old Testament)の有名なアダム(Adam)とイブ(Eve)の話では禁断の果実を食べた後に身に着けたものがイチジクの葉で作った腰ミノ。落葉低木なんだけど、私の記憶では小学校の時の木は、普通の木だった。品種の違い?<br /><br />日本には秀吉の時代の1591年にポルトガルの神父が天草に持ち込んだと伝えられる。イチジクと云う名は中国名の映日果を「エイジツカ」と読んだものが変化したと云われる。映日果は中国にペルシャ・インドから伝わった時に中世ペルシア語の名前アンジール(Anjir)に映日の漢字を充て、果物の果を付け加えたもの。<br /><br />日本では無花果と書かれるが、これも中国での名前。実の内側に多数の白い小花を密生した花托がつぼ状に肥大発育し、外部からは花が見えるこどなく果実が発育するため、この字が充てられた。ちなみに食べておいしい部分はこの花托とその内面に密生する多数の小果で、外側の果肉ではない。伝来地の天草では南蛮柿と呼ばれる。英語ではFigだが、ヨーロッパ各言語の表記も似たようなもので、全てラテン語のFicusから転じている。<br /><br />現在の日本では主に食用として栽培され、自給率は100%近い。年間収穫量は約1万6千トン余りで、果樹としては20番目くらい(ちなみに、トップ3はみかん、りんご、梨)。世界ではエジプト、トルコ、イランがトップ3で、日本はトップのエジプトの約1/16で14位。日本では愛知県が国内生産の約20%を占め、和歌山県がそれに次ぐ。関西各府県で多く生産されており、京都府では約500トンが収穫され、収穫量国内7-11位。その中でも城陽では昭和に入った1920年半ばから栽培が始まり、戦後の1950年頃から栽培農家が増え、現在は100軒以上の農家が生産して年間450トンほどと京都府内の生産のほとんどを占めている。<br /><br />KYOTOいちじくFACTORYは森島平兵衛農園が運営するイチジク販売部門で、この城陽市南部の奈島地区に直売所を開設している。森島平兵衛農園は古くから続く城陽の農園で、平兵衛は昔からの屋号。イチジクの他、カラーや花菖蒲、蓮、それにお米の生産を行っている。<br /><br />この季節、8月中旬から2ヶ月ほどこの直売所で朝採りのイチジクを発売しているが、9時からの販売は、すぐに売り切れになることが多いそうで、この日は月曜日平日だったので、午前中は余裕かなと思って、10時半頃に行ったのだが、すでに5パックしか残っていなかった。<br /><br />この日買えたのはバナーネ(Banane)。熟しても赤くならない品種だが、100g以上の大果で、果肉はイチゴ色。皮は柔らかで薄く、皮ごと食べられ、とても甘い。フランスから輸入された品種でイチジクの傑作と呼ばれる。確かに結構好きかも。<br /><br />ちなみにイチジクの品種は大きく分けると江戸時代に普及した日本イチジクと云われる早生日本種と、近年海外から輸入された西洋イチジクに分かれ、この日買ったバナーネも西洋イチジクの一種。市場に出回っているものはほとんど西洋イチジクで、桝井ドーフィン(Dauphine)と呼ばれる品種がほとんど。<br /><br />桝井ドーフィンは明治の終わりに広島の佐伯郡宮内村(現廿日市市)の桝井さんが米国から輸入した品種で、6月下旬から7月上旬にかけての夏果と8月中旬から10月に掛けての秋果の2回収穫でき、果実が大きく、果皮がしっかりとしていて輸送性に優れていることで広まった(下の写真3)。森島平兵衛農園でも当然一番多い品種だが、この日は売り切れてたようだ。この農園では他にも甘味と酸味のバランスが良い米国原産のコナドリア(Conadria)、小粒で濃厚なフランス原産のネグローネ(Negronne)、これもフランス原産の甘味の強い黒いちじくビオレソリエス(Viollette de sollies)なども生産しているそうで、機会あれば食べ比べてみたいものだ。<br />https://www.facebook.com/media/set/?set=a.4499601890109800&amp;type=1&amp;l=223fe1adec<br /><br />売り切れ寸前で無事イチジクを買った後は、国道307号線の南側の井出町の山城多賀に足を延ばし、何度か行ったことのあるJA京都やましろ井手町なごやか市でお昼用のチラシすしなどを買って帰る。なごやか市については下記URLの旅行記に書いた。<br />https://4travel.jp/travelogue/11632066<br /><br />ついでに別の日に別の直売店で山城ブドウを購入したが、これは特に城陽の特産と云うほどのものではない。京都府のブドウの収穫量は年間700トンほどで、トップの山梨県の4万3千トンとは桁違いの都道府県別で30位台。さらに城陽市では6トンほどで京都府内の28市町村中13位と普通。<br /><br />ちなみに買ったのはベーリーA(Muscat Bailey A)と云う品種で1927年に日本で開発された黒色系の品種。ベリーAと云われることも多いが、ストロベリーやブルーベリーのベリー(Berry)ではなく、アメリカ系品種のベーリー(Bai-ley)とヨーロッパ系品種のマスカットハンブルグ(Muscat Hamburgh)の交雑育種で生み出されたもの。皮は厚く、甘味と酸味が凝縮されたジューシーな果肉を持ち、生食だけでなくワインにもなる。日本では8番目に多く作られている品種で、全体の約3%。<br />https://www.facebook.com/media/set/?set=a.4534758939927428&amp;type=3<br /><br /><br />以上

城陽KYOTOいちじくFACTORY(Morishima Heibei Farm Direct Shop, Joyo, Kyoto, JP)

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2020/08/31 - 2020/08/31

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ちふゆ

ちふゆさん

2020年8月の終わり、その前の週に山城青谷のスーパー山田屋に城陽名産のイチジクを買いに行った時に幟を見つけた(下の写真1)が、その時は時間が遅かったので行かなかったイチジクの直売所に出掛けた。早く行かないとすぐに売り切れるとの話を、いつも行くサンドイッチ屋さんで聞いてたので、10時頃散歩がてらに歩いて向かうが、山城大橋西詰で交通事故に遭遇。予定外に時間をロスする。

山城大橋を渡るが、すでに摂氏36度。下流方面を見ると、川岸に黒い鳥のかたまりがおり、川の中には白い鳥がポツンポツンと。黒い鳥は時々見掛けるがカワウ(川鵜)らしい。木津川にも淀川から天然アユが遡上し、それを狙ってカワウが集結し、その被害が問題になっているらしい。

カワウは日本でも古くから本州、四国、九州に生息しており、1970年代には公害の影響などで一時は3000羽以下まで減少したが、その後公害規制による河川水質の向上で餌となる魚が増え、現在は15万羽以上に増えたと云われる。関西では琵琶湖の竹生島に大コロニーがあり、そこから各地に広がり、営巣時に生木の枝を折り取ることによる樹木の枯死や多量の糞による水質・土壌汚染や漁業被害を引き起こしている。2007年には狩猟対象の狩猟鳥に指定されている。

白い鳥はおそらく白鷺(下の写真2)。この辺りには白鷺だけでなくアオサギ(青鷺)も多く生息している。白鷺は厳密にはチュウサギ(中鷺)と思われる。白鷺にはほかにダイサギ(大鷺)とコサギ(小鷺)、カラシラサギ(唐白鷺)も含まれるが、この辺りには生息していないようだ。白鷺はアオサギと比べると小さい。また、私のイメージでは白鷺は群れでいることが多く、アオサギは単独が多い。
https://www.facebook.com/media/set/?set=a.4499614306775225&type=1&l=223fe1adec

10時半過ぎに山城大橋東詰交差点から国道307号線を400mほど東に行ったところの道路下にあるイチジクの直売所、KYOTOいちじくFACTORYに到着。イチジクって私にとっては小学校の図書館ならぬ図書室の前にあったなあってイメージが残るくらいで、スーパーで売ってるイメージもなく、あまり食べることがなかった果物。原産地に近いと云われるメソポタミア(Mesopotamia)では6000年以上前から栽培されていた。旧約聖書(Old Testament)の有名なアダム(Adam)とイブ(Eve)の話では禁断の果実を食べた後に身に着けたものがイチジクの葉で作った腰ミノ。落葉低木なんだけど、私の記憶では小学校の時の木は、普通の木だった。品種の違い?

日本には秀吉の時代の1591年にポルトガルの神父が天草に持ち込んだと伝えられる。イチジクと云う名は中国名の映日果を「エイジツカ」と読んだものが変化したと云われる。映日果は中国にペルシャ・インドから伝わった時に中世ペルシア語の名前アンジール(Anjir)に映日の漢字を充て、果物の果を付け加えたもの。

日本では無花果と書かれるが、これも中国での名前。実の内側に多数の白い小花を密生した花托がつぼ状に肥大発育し、外部からは花が見えるこどなく果実が発育するため、この字が充てられた。ちなみに食べておいしい部分はこの花托とその内面に密生する多数の小果で、外側の果肉ではない。伝来地の天草では南蛮柿と呼ばれる。英語ではFigだが、ヨーロッパ各言語の表記も似たようなもので、全てラテン語のFicusから転じている。

現在の日本では主に食用として栽培され、自給率は100%近い。年間収穫量は約1万6千トン余りで、果樹としては20番目くらい(ちなみに、トップ3はみかん、りんご、梨)。世界ではエジプト、トルコ、イランがトップ3で、日本はトップのエジプトの約1/16で14位。日本では愛知県が国内生産の約20%を占め、和歌山県がそれに次ぐ。関西各府県で多く生産されており、京都府では約500トンが収穫され、収穫量国内7-11位。その中でも城陽では昭和に入った1920年半ばから栽培が始まり、戦後の1950年頃から栽培農家が増え、現在は100軒以上の農家が生産して年間450トンほどと京都府内の生産のほとんどを占めている。

KYOTOいちじくFACTORYは森島平兵衛農園が運営するイチジク販売部門で、この城陽市南部の奈島地区に直売所を開設している。森島平兵衛農園は古くから続く城陽の農園で、平兵衛は昔からの屋号。イチジクの他、カラーや花菖蒲、蓮、それにお米の生産を行っている。

この季節、8月中旬から2ヶ月ほどこの直売所で朝採りのイチジクを発売しているが、9時からの販売は、すぐに売り切れになることが多いそうで、この日は月曜日平日だったので、午前中は余裕かなと思って、10時半頃に行ったのだが、すでに5パックしか残っていなかった。

この日買えたのはバナーネ(Banane)。熟しても赤くならない品種だが、100g以上の大果で、果肉はイチゴ色。皮は柔らかで薄く、皮ごと食べられ、とても甘い。フランスから輸入された品種でイチジクの傑作と呼ばれる。確かに結構好きかも。

ちなみにイチジクの品種は大きく分けると江戸時代に普及した日本イチジクと云われる早生日本種と、近年海外から輸入された西洋イチジクに分かれ、この日買ったバナーネも西洋イチジクの一種。市場に出回っているものはほとんど西洋イチジクで、桝井ドーフィン(Dauphine)と呼ばれる品種がほとんど。

桝井ドーフィンは明治の終わりに広島の佐伯郡宮内村(現廿日市市)の桝井さんが米国から輸入した品種で、6月下旬から7月上旬にかけての夏果と8月中旬から10月に掛けての秋果の2回収穫でき、果実が大きく、果皮がしっかりとしていて輸送性に優れていることで広まった(下の写真3)。森島平兵衛農園でも当然一番多い品種だが、この日は売り切れてたようだ。この農園では他にも甘味と酸味のバランスが良い米国原産のコナドリア(Conadria)、小粒で濃厚なフランス原産のネグローネ(Negronne)、これもフランス原産の甘味の強い黒いちじくビオレソリエス(Viollette de sollies)なども生産しているそうで、機会あれば食べ比べてみたいものだ。
https://www.facebook.com/media/set/?set=a.4499601890109800&type=1&l=223fe1adec

売り切れ寸前で無事イチジクを買った後は、国道307号線の南側の井出町の山城多賀に足を延ばし、何度か行ったことのあるJA京都やましろ井手町なごやか市でお昼用のチラシすしなどを買って帰る。なごやか市については下記URLの旅行記に書いた。
https://4travel.jp/travelogue/11632066

ついでに別の日に別の直売店で山城ブドウを購入したが、これは特に城陽の特産と云うほどのものではない。京都府のブドウの収穫量は年間700トンほどで、トップの山梨県の4万3千トンとは桁違いの都道府県別で30位台。さらに城陽市では6トンほどで京都府内の28市町村中13位と普通。

ちなみに買ったのはベーリーA(Muscat Bailey A)と云う品種で1927年に日本で開発された黒色系の品種。ベリーAと云われることも多いが、ストロベリーやブルーベリーのベリー(Berry)ではなく、アメリカ系品種のベーリー(Bai-ley)とヨーロッパ系品種のマスカットハンブルグ(Muscat Hamburgh)の交雑育種で生み出されたもの。皮は厚く、甘味と酸味が凝縮されたジューシーな果肉を持ち、生食だけでなくワインにもなる。日本では8番目に多く作られている品種で、全体の約3%。
https://www.facebook.com/media/set/?set=a.4534758939927428&type=3


以上

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  • 写真1 KYOTOいちじくFACTORYの幟

    写真1 KYOTOいちじくFACTORYの幟

  • 写真2 白鷺とカワウ

    写真2 白鷺とカワウ

  • 写真3 桝井ドーフィン

    写真3 桝井ドーフィン

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