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城陽市は京都盆地の南東部、南山城地域に位置し、北は西端の一部の久御山町と接する部分を除いて宇治市に接し、東は丘陵地となっており宇治田原町に、南は井手町となる。西側は木津川を挟んで、八幡市、京田辺市となるが、八幡市との間に架かる橋はなく、直接行き来することは出来ない。私の住んでいる京田辺市とは4つの橋で結ばれているが、歩いて渡れる橋は山城大橋のみで、あとは近鉄橋梁と高速道が2本。<br /><br />東西9km、南北5.4km、総面積32.74平方kmあり、市内を南北に縦断する国道24号・JR奈良線・近鉄京都線が京都市と奈良市を結んでおり、城陽市は両市のほぼ中間にある。市南部を東西に青谷川が流れる。地勢は西部(大久保バイパス近辺)は概ね平坦で、東部に向かうにつれて起伏の多い地形になっている。人口は2020年4月現在で7万5千人足らず。京都府の市では15市中、8番目とちょうど真ん中。私の住んでるお隣の京田辺市は約1000人少なくその次。<br /><br />1951年に久世(くせ)郡久津川(くつかわ)村・寺田村・富野荘(とのしょう)村と綴喜(つづき)郡青谷村が合併して久世郡城陽町が発足し、1972年に市制施行して城陽市となった。市名は、4村合併の際に公募で決められたもので、「山城国南部、陽の当たる豊かな土地」という意味。<br /><br />Jリーグ(2020年現在はJ2)の京都サンガF.C.のホームタウンの一つであり、練習場であるサンガタウン城陽がある。鮮やかな金属光沢を持ち、ニット、織物、刺繍紙などに用いられる金銀糸の生産は、城陽市を中心とする南山城地域で日本国内シェアの80%を占めている。その他、温暖な気候と肥沃な土地を活かした梅、茶、イチジク、寺田イモ、豊富で良質な地下水を利用した花しょうぶ、カキツバタ、カラー、ハスなどの湧水花卉の栽培が盛んで、いずれも市の特産品となっている。<br /><br />俳優の玉山鉄二(1980年生まれ)は市内の寺田小、城陽中、西城陽高校出身。その2つ下、2020年現在ライオンズに所属している内海哲也投手は、久世小、東城陽中から福井の敦賀気比高校に進んだ。2020年現在はベルギーのサッカーリーグのシャルルロワSC(Royal Charleroi Sporting Club)に属する元日本代表(2014年)の森岡亮太選手も同じ小学校、中学校の9学年下で、お隣久御山町の久御山高校に進んだ。関西の人でも知らない人が多いような気はするが、「おはよう朝日です」によく出ているやのぱん(1974年生まれ)は西城陽中出身(高校は私のかつての通勤路の途中にある田辺高校)。<br /><br />山城大橋の少し北から城陽の木津川堤防は下流の寺田までの6.5㎞が「桜づつみ木津川 緑と水辺のやすらぎ回廊」として整備されている。1989年にふるさと創生事業として整備事業が決まり、1991年から順次桜の植樹などが行われてきた。<br /><br />国道24号線から分かれてやすらぎ回廊に入るとまず広がるのが河川敷に広がる茶畑(表紙の写真)。城陽市は宇治茶の主産地の一つで、主に抹茶の原料となる碾茶(てんちゃ)を生産している。そしてその多く畑はこの河川敷にあり、上流からの肥沃な土砂の流入と砂地であることから茶の生産に適しており、高品質な茶が生産されている。生産農家約25戸により約30haの畑があり、荒茶としての生産量は約28トンになる。<br /><br />伝統的な葦簀(よしず)や薦(こも)を使って遮光調整した、最高級の碾茶栽培を行う本ず栽培も行っていて、全国茶品評会で過去何度も農林水産大臣賞や産地賞を受賞している、日本一の碾茶の産地。水辺の砂地で作られたお茶は、山間部で栽培される山茶と対比して浜茶と呼ばれ、やすらぎ回廊が終わった先、城陽市の一番下流になる上津屋地区の浜茶畑は、2015年度に「日本茶800年の歴史散歩~京都・山城」を構成する景観として、日本遺産に認定されている。<br /><br />お茶畑が続く先には桜づつみ奈島緑地。このやすらぎ回廊に5ヶ所整備された桜づつみ(洪水から堤防を守るために必要な堤防断面に加えて、堤防の市街地側に土を盛り、そこに桜を植栽し、堤防を強化するとともに、良好な水辺空間の形成を図るもの)の一番南のもの。ソメイヨシノだけでなくいろいろな種類の桜が咲き、美しい。ヤマボウシ(下の写真1)やネムノキ(下の写真2)もあり、桜のあとも楽しめる。<br /><br />奈島は、平安時代に記録のある地名で、梨間とかあるいは菜島、名島とも表記されていた。木津川水運の中継地として官制の旅館にあたる宿駅が奈島に置かれ、都に近い荘園地帯としても発展した。13世紀前半に成立した中世日本の説話物語集である宇治拾遺物語には、奈良の高僧が京都の内裏の法会を長く勤めて奈良に戻る途中に、奈島の丈六堂の辺りで折詰の昼食をとった時に弟子の一人が近辺の民家で魚をもらったとある。この高僧は普段は魚料理しか食べない方で、内裏での勤めの間は魚料理は出ずに衰弱していたそうだ。後日談として、この魚を奉った家だけは、のちに疫病がこの村を襲った時に、その難を免れたとのこと。<br /><br />その後、室町時代になると山城国一揆を経て住民自らが国を治める自治の歴史を築き、木津川水運に加えて発達をとげた陸上交通における街道の中継地として賑わった。江戸時代に入ると村の自治が一層進み、稲作だけでなく多種類の農作物を栽培する豊かな農村地帯として発展した。<br /><br />奈島緑地の先にあるのが生れ口(うまれぐち)樋門(下の写真3)。堤防内側下には排水機場もある。1899年(明治32年)に造られた樋門の隣に新しく作られたもので、堤防下の淀姫さんの祠のとなりにある旧樋門の記念碑が1992年に造られたものなので、同時期に竣工したものと思われる(下の写真4)。淀姫さんの祠は古くから水難除けとして祀られているが、淀姫さんは豊臣秀吉の側室で秀頼を生んだ淀の方(茶々)とは全く違い、初代神武天皇の祖母の豊玉姫のことで、水を操る神・水難除けの神として信仰されている。<br /><br />樋門の先は天井川の長谷川。長池の陸上自衛隊の演習場付近から流れ出して来ている約4㎞の川で、中流からは天井川となり、JR奈良線、国道24号線の上を越えている。長谷川を渡ったところに建つのが城陽市の名木・古木に選ばれている長谷川河口のエノキ。樹高13mで幹周は4.3mある。昔は六ケ池のエノキと呼ばれ、田辺、井手方面から東富野への目印となっていた。このエノキの建つ堤防下の公園のソメイヨシノは見事!<br /><br />エノキの先には桜づつみ富野緑地。5ヶ所あるこの回廊の桜づつみの南から2番目のもの。行ってないが、さらに下流に枇杷庄(びわのしょう)緑地、水主(みずし)緑地、寺田緑地がある。富野は城陽市の中部東側の地区で、古くは富野村だったのが、1889年に枇杷荘村・観音堂村と一緒に富野荘村となった。富野荘は富野と枇杷荘から命名されたものだが、観音堂は無視されたのね。富野緑地の河川敷にも茶畑が続く(下の写真5)。<br />https://www.facebook.com/chifuyu.kuribayashi/media_set?set=a.3850154771721185&amp;type=1&amp;l=223fe1adec<br /><br /><br />以上

城陽 やすらぎ回廊(Yasuragi Corridor, Joyo, Kyoto, JP)

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2020/04/04 - 2020/04/04

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旅行記グループ 城陽

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ちふゆ

ちふゆさん

城陽市は京都盆地の南東部、南山城地域に位置し、北は西端の一部の久御山町と接する部分を除いて宇治市に接し、東は丘陵地となっており宇治田原町に、南は井手町となる。西側は木津川を挟んで、八幡市、京田辺市となるが、八幡市との間に架かる橋はなく、直接行き来することは出来ない。私の住んでいる京田辺市とは4つの橋で結ばれているが、歩いて渡れる橋は山城大橋のみで、あとは近鉄橋梁と高速道が2本。

東西9km、南北5.4km、総面積32.74平方kmあり、市内を南北に縦断する国道24号・JR奈良線・近鉄京都線が京都市と奈良市を結んでおり、城陽市は両市のほぼ中間にある。市南部を東西に青谷川が流れる。地勢は西部(大久保バイパス近辺)は概ね平坦で、東部に向かうにつれて起伏の多い地形になっている。人口は2020年4月現在で7万5千人足らず。京都府の市では15市中、8番目とちょうど真ん中。私の住んでるお隣の京田辺市は約1000人少なくその次。

1951年に久世(くせ)郡久津川(くつかわ)村・寺田村・富野荘(とのしょう)村と綴喜(つづき)郡青谷村が合併して久世郡城陽町が発足し、1972年に市制施行して城陽市となった。市名は、4村合併の際に公募で決められたもので、「山城国南部、陽の当たる豊かな土地」という意味。

Jリーグ(2020年現在はJ2)の京都サンガF.C.のホームタウンの一つであり、練習場であるサンガタウン城陽がある。鮮やかな金属光沢を持ち、ニット、織物、刺繍紙などに用いられる金銀糸の生産は、城陽市を中心とする南山城地域で日本国内シェアの80%を占めている。その他、温暖な気候と肥沃な土地を活かした梅、茶、イチジク、寺田イモ、豊富で良質な地下水を利用した花しょうぶ、カキツバタ、カラー、ハスなどの湧水花卉の栽培が盛んで、いずれも市の特産品となっている。

俳優の玉山鉄二(1980年生まれ)は市内の寺田小、城陽中、西城陽高校出身。その2つ下、2020年現在ライオンズに所属している内海哲也投手は、久世小、東城陽中から福井の敦賀気比高校に進んだ。2020年現在はベルギーのサッカーリーグのシャルルロワSC(Royal Charleroi Sporting Club)に属する元日本代表(2014年)の森岡亮太選手も同じ小学校、中学校の9学年下で、お隣久御山町の久御山高校に進んだ。関西の人でも知らない人が多いような気はするが、「おはよう朝日です」によく出ているやのぱん(1974年生まれ)は西城陽中出身(高校は私のかつての通勤路の途中にある田辺高校)。

山城大橋の少し北から城陽の木津川堤防は下流の寺田までの6.5㎞が「桜づつみ木津川 緑と水辺のやすらぎ回廊」として整備されている。1989年にふるさと創生事業として整備事業が決まり、1991年から順次桜の植樹などが行われてきた。

国道24号線から分かれてやすらぎ回廊に入るとまず広がるのが河川敷に広がる茶畑(表紙の写真)。城陽市は宇治茶の主産地の一つで、主に抹茶の原料となる碾茶(てんちゃ)を生産している。そしてその多く畑はこの河川敷にあり、上流からの肥沃な土砂の流入と砂地であることから茶の生産に適しており、高品質な茶が生産されている。生産農家約25戸により約30haの畑があり、荒茶としての生産量は約28トンになる。

伝統的な葦簀(よしず)や薦(こも)を使って遮光調整した、最高級の碾茶栽培を行う本ず栽培も行っていて、全国茶品評会で過去何度も農林水産大臣賞や産地賞を受賞している、日本一の碾茶の産地。水辺の砂地で作られたお茶は、山間部で栽培される山茶と対比して浜茶と呼ばれ、やすらぎ回廊が終わった先、城陽市の一番下流になる上津屋地区の浜茶畑は、2015年度に「日本茶800年の歴史散歩~京都・山城」を構成する景観として、日本遺産に認定されている。

お茶畑が続く先には桜づつみ奈島緑地。このやすらぎ回廊に5ヶ所整備された桜づつみ(洪水から堤防を守るために必要な堤防断面に加えて、堤防の市街地側に土を盛り、そこに桜を植栽し、堤防を強化するとともに、良好な水辺空間の形成を図るもの)の一番南のもの。ソメイヨシノだけでなくいろいろな種類の桜が咲き、美しい。ヤマボウシ(下の写真1)やネムノキ(下の写真2)もあり、桜のあとも楽しめる。

奈島は、平安時代に記録のある地名で、梨間とかあるいは菜島、名島とも表記されていた。木津川水運の中継地として官制の旅館にあたる宿駅が奈島に置かれ、都に近い荘園地帯としても発展した。13世紀前半に成立した中世日本の説話物語集である宇治拾遺物語には、奈良の高僧が京都の内裏の法会を長く勤めて奈良に戻る途中に、奈島の丈六堂の辺りで折詰の昼食をとった時に弟子の一人が近辺の民家で魚をもらったとある。この高僧は普段は魚料理しか食べない方で、内裏での勤めの間は魚料理は出ずに衰弱していたそうだ。後日談として、この魚を奉った家だけは、のちに疫病がこの村を襲った時に、その難を免れたとのこと。

その後、室町時代になると山城国一揆を経て住民自らが国を治める自治の歴史を築き、木津川水運に加えて発達をとげた陸上交通における街道の中継地として賑わった。江戸時代に入ると村の自治が一層進み、稲作だけでなく多種類の農作物を栽培する豊かな農村地帯として発展した。

奈島緑地の先にあるのが生れ口(うまれぐち)樋門(下の写真3)。堤防内側下には排水機場もある。1899年(明治32年)に造られた樋門の隣に新しく作られたもので、堤防下の淀姫さんの祠のとなりにある旧樋門の記念碑が1992年に造られたものなので、同時期に竣工したものと思われる(下の写真4)。淀姫さんの祠は古くから水難除けとして祀られているが、淀姫さんは豊臣秀吉の側室で秀頼を生んだ淀の方(茶々)とは全く違い、初代神武天皇の祖母の豊玉姫のことで、水を操る神・水難除けの神として信仰されている。

樋門の先は天井川の長谷川。長池の陸上自衛隊の演習場付近から流れ出して来ている約4㎞の川で、中流からは天井川となり、JR奈良線、国道24号線の上を越えている。長谷川を渡ったところに建つのが城陽市の名木・古木に選ばれている長谷川河口のエノキ。樹高13mで幹周は4.3mある。昔は六ケ池のエノキと呼ばれ、田辺、井手方面から東富野への目印となっていた。このエノキの建つ堤防下の公園のソメイヨシノは見事!

エノキの先には桜づつみ富野緑地。5ヶ所あるこの回廊の桜づつみの南から2番目のもの。行ってないが、さらに下流に枇杷庄(びわのしょう)緑地、水主(みずし)緑地、寺田緑地がある。富野は城陽市の中部東側の地区で、古くは富野村だったのが、1889年に枇杷荘村・観音堂村と一緒に富野荘村となった。富野荘は富野と枇杷荘から命名されたものだが、観音堂は無視されたのね。富野緑地の河川敷にも茶畑が続く(下の写真5)。
https://www.facebook.com/chifuyu.kuribayashi/media_set?set=a.3850154771721185&type=1&l=223fe1adec


以上

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  • 写真1 ヤマボウシ

    写真1 ヤマボウシ

  • 写真2 ネムノキ

    写真2 ネムノキ

  • 写真3 生れ口樋門

    写真3 生れ口樋門

  • 写真4 旧生れ口樋門の記念碑と淀姫さんの祠

    写真4 旧生れ口樋門の記念碑と淀姫さんの祠

  • 写真5 富野緑地からの河川敷茶畑

    写真5 富野緑地からの河川敷茶畑

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