2019/06/05 - 2019/06/15
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タヌキを連れた布袋(ほてい)さん
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「ところで,ICTY(引用者註:旧ユーゴスラビア国際戦犯法廷)で起訴され,逃亡中のルキッチ(引用者註:ミラン・ルキッチMilan Lukić。このあと2005年8月にブエノスアイレスで逮捕され終身刑)の逮捕劇は,スルプスカ共和国の現状を窺い知らせてくれる格好の事件なので,次に紹介する。
ルキッチは,ボスニア紛争が始まった当時弱冠24歳であったが,無法者の民兵集団『ホワイト・イーグル』を率い,セルビア本国に近いボスニア東南部ヴィシェグラッドのモスリム人居住地域で,殺人,放火,拷問など多数の犯罪を犯した。そのため,モスリム人からは最も恐れられ,また憎まれている一方,田舎町ヴィシェグラッドのセルビア人からは,大物戦犯のカラジッチとムラジッチに次ぐ民族の英雄と見られている人物である。筆者が最初に裁いたヴァシルヴィッチは,このルキッチの共犯である。
ルキッチは,ボスニア紛争中にモスリム人から略奪した金で,両親が住むヴィシェグラッドに数件のカフェを手に入れ,たびたびそこを訪ねている。このような事情から,ルキッチの居所は比較的つかみやすかったにもかかわらず,これまでスルプスカ共和国の警察は,ICTYにルキッチの身柄を引き渡す努力をしてこなかった。ところが,2004年4月18日,スルプスカ共和国の警察は,早朝にルキッチの両親の家を取り囲んで襲撃し,パジャマ姿で寝ていた彼の兄を誤って撃ち殺してしまった。
当初,国際社会は,『やる気のなかったスルプスカ共和国の警察も,ついに立ち上がった』と拍手を送った。だが,後に明らかになったのは,まったく違う次のような事実だった。
ルキッチは,カラジッチの逃走を支えるネットワークの重要なメンバーで,ネットワークが逃走資金を手に入れるために営むヘロイン密輸に関わっていたが,その利益の配分をめぐって,カラジッチのボディガードと争い,銃撃戦となって,その後,行方をくらました。ルキッチは,この事件の後,カラジッチを裏切る決意をしたと思われ,ICTYが現地との連絡調整役に使っているある男に,『カラジッチの居所や逃走資金に関する情報資料を,”自分のところ”で渡す』と電話してきた。この電話は,スルプスカ共和国の警察に盗聴されていた。スルプスカ共和国の警察も,カラジッチ逃走支援ネットワークの一部であり,警察は,”自分のところ”とは,ヴィシェグラッドにあるルキッチの両親の家をさすものと判断し,さっそく裏切り者を消す行動に出たのである。
ルキッチ本人と誤って殺された兄の葬式が行われたヴィシェグラッドのダリーナ川の川沿いは,超民族主義者でセルビア急進党の党首シェシェイ(引用者注:前出の民兵集団『ホワイト・イーグル』の創設者)を支持するビラで溢れたという。
なお,国際社会から派遣され,デイトン合意を確実に実施してボスニアを民主化するために全権を与えられているOHR(Office of the High Representative 高等代表者事務所)の代表アシュダウン卿は,この事件から少し経った2004年6月下旬,カラジッチ逃走支援ネットワークに属すると考えられるボスニアの政治家60人のクビを切り,『ボスニアの腐敗した政治家グループは,一般の市民の期待を妨げ,その利益に反するガンだ』との声明を出した。クビを切られた政治家の中には,カラジッチによって作られたSDS党首兼共和国議会議長のカリニッチ,司法大臣デリッチ,警察のトップなどが含まれていた。」
多谷千香子著『「民族浄化」を裁く』(岩波新書)より
- 旅行の満足度
- 3.5
- 観光
- 4.0
- ホテル
- 4.0
- グルメ
- 2.0
- ショッピング
- 2.0
- 交通
- 2.5
- 同行者
- その他
- 一人あたり費用
- 25万円 - 30万円
- 交通手段
- レンタカー 徒歩
- 旅行の手配内容
- 個別手配
-
ヴィシェグラードVišegradでは,車を停めてカフェレストランに入った。
-
そこそこ品数のある店だったので,主なメニューを記録しておく。
◎冷菜HLADNA PREDJERA(数値は100gあたりの価格,単位1BAM=約62円)
カイマクKajmak(クロテッドクリーム) /2.5
フェタFeta sir(白チーズ) /2.5
鶏肉ハムŠunka pileća /2.5
豚肉ハムŠunka svinjska /2.5
クーレンKulen(クロアチアの名物チョリソ) /3.3
ティーソーセージČajna(スプレッドタイプのサラミ)※2 /4.0
プルシュトPršut(スモークしない生ハム) /5.5
◎サラダSALATE(数値は一品あたりの価格,以下同じ)
トマト&チーズParadajz sa sirom /2.5
ショプスカŠopska(ブルガリアの名物サラダ) /3.0
グリークサラダGrčka salata /6.0
シーザーサラダCesar salata /7.0
◎朝食セット
甘い朝食Slatki doručak /2.5
…(内容)パンPecivo,バタPuter,ジャムDżem
ベーコンエッグBekendegs /4.5
…3玉の目玉焼きjaje na oko,ベーコンSlanina,トマトParadajz,サワークリームPavlaka
緑の朝食Zeleni doručak /4.5
…ホウレンソウSpanać,ハムŠunka,玉子Jaje,バタ
冷たい朝食Hladni doručak /5.0
…豚首肉(or肩肉?)の生ハムSvinjski(suvi) vrat※1,プロセスチーズZdenka sir,トマト,カイマク(クロテッドクリーム)
◎サンドウィッチSendviči
クラシックKlasik
・豚肉/鶏肉ハム+黄チーズKačkavalj /各2.5
・豚首肉(or肩肉?)の生ハム+黄チーズ /3.0
・プルシュト+黄チーズ /3.2
インデックスサンドウィッチIndex sendvič /3.5
…チーズ,ハム,マッシュルームSampinjoni,ケチャップKečap,マヨネーズMajonez,サワークリーム
ホームメイドサンドウィッチDomaćinski /5.0
…チーズ,ハム,ゆで玉子Kuvano jaje,トマト,カイマク(クロテッドクリーム)
◎特製料理-チキンSpecijaliteti-piletina
プリェスカヴィツァPljeskavica klasik /6.0
鶏ささみバーガーPileći file u lepinji /6.5
鶏肉シュニツラ・ウィーン風Pileća bečka šnicla(ヴィーナー・シュニッツェル=パン粉の衣) /8.5
同・パリ風Pileća pariška šnicla(玉子の衣のシュニッツェル) /8.5
同・カラジョルジェ風Pileća karađorđeva šnicla(巻きシュニッツェル) /12.0
ベーコン巻きチキン串焼きRolovani pileći ražnjići /8.5
チキンフィンガーPohovani pileći štapići /8.5
ビフテキBiftek /15.0
◎飲み物
ネクタルビールNektar pivo(スルプスカのビール,330ML) /2.0
イェレンビールJelen pivo(セルビアのビール,330ML) /2.0
グラスワイン /5.0
ボトルワイン(700ML,1000ML) /12~15
トルココーヒーTurska kafa /1.0
エスプレッソEspresso kafa /1.2
ネスカフェ /1.5
なお,チャイČajにミルク入りはなく,レモンかハニーだけだった(1.0/1.3)。 -
(前のコマの注記)
※1 Svinjski(suvi) vratは「豚首肉(or肩肉?)の生ハム」とやや曖昧なことを書いた。vratは直訳で「首(肉)」。↑は後日セルビアのスーパーマーケットのデリカで撮ったものだが(見えづらい点はあしからず),首の肉といっても「ネック(豚トロ)」のような細かい脂肪層がびっしりと入った部位ではなく,肩ロース肉のようにくっきりした脂肪層の断面になっているのが分かる。
イタリアのコッパに似ている。この地域のサンドウィッチの具材として極めてポピュラーだ。
※2 Čajnaは,ドイツ(ポーランド)のTeewurstと同じようにパンに塗るタイプのものだと思うのだが(Čaj=Tee),この地域には普通のサラミのように薄切りにして食べるスタイルのものもあるのかもしれない。今回は食べる機会がなかったので,今後の課題。 -
さて,ヴィシェグラードを出ると,セルビアとの国境(Vardiste)まで20km弱だ。
今日は国境から50kmほど先にあるセルビアのウジツェUžiceに宿をとってある。 -
国境へ向けて走りはじめると,
-
すぐに道路に平行して鉄道線が現れた。
これはかつてベオグラード~ウジツェ~サラエヴォを結んでいた,オーストリア=ハンガリー帝国時代に敷設された軽便鉄道の一部を,観光鉄道として復活させたもののようだ。
この軽便鉄道は,サラエヴォからイヴァン峠を越え,ネレトヴァ峡谷に沿って進み,モスタル,チャプリナを経由してアドリア海のプロチェ港,ドゥブロヴニク,コトル湾まで結ぶものだった。
現在,観光鉄道のセルビア側の区間(モクラ・ゴラ~シャルガン・ヴィタシ)は「シャルガン8(シャルガンスカ・オスミツァŠarganska osmica)」として有名だ。
しかし,ボスニア・ヘルツェゴビナ(スルプスカ)側区間(ヴィシェグラード~モクラ・ゴラ)は常時運行に至っておらず,たまに臨時列車が走る程度のようだ。
だから写真↑のレールは錆びてしまっているのが判る。 -
ボスニア・ヘルツェゴビナ側の最後の集落Dobrunを抜ける。
ここは,14世紀に建立されたドブルン修道院のあるところだった。「歩き方」にもしっかり掲載されているというのに,このときは完全に失念していてスルーしてしまった。 -
国境地帯は,なかなか険しい地形をしていることが多い。
-
そんな国境近くの山の中に,ひっそりとモスクが建っているのが見えた。
-
その先に現れたのは,まことに小さな国境だった。
まずここ↑が,ボスニア・ヘルツェゴビナの出国ゲート。 -
ボスニア・ヘルツェゴビナの出国ゲートからセルビアの入国ゲートまでの区間も,線路は道路に平行して走っている。
-
駅らしきものを発見。
国境と国境のはざまに駅があるのは珍しいと思う。
臨時列車が走るときは,乗客はこの駅で出入国の手続をするのだろうか。 -
駅名標のようなものが建っているが,駅名は入っていない。
-
そのうち,セルビアの入国ゲートが現れた。
セルビアの入国審査官はこちらの車検証を見て,「ああ?アルバニアナンバーの車?」と不審・不愉快そうな視線を向けてくる。
そういう喧嘩は当事者同士でやってくれ。 -
しばらく走ると,セルビアの伝統家屋がたくさん見えてきた。
モクラ・ゴラMokra goraだ。 -
モクラ・ゴラの鉄道駅。
観光鉄道「シャルガン8」の起点となる駅だ。切符もここで買える。 -
駅前には,シャルガン8を楽しむツアー客を待つ大型バスがひしめいている。
なかなか壮観。ひとつは日本のツアーだった。 -
駅の構内には小型の機関車や機関車庫,
-
レトロな客車,
-
レトロな貨車まで留置されていた。
観光列車の切符を持っていなくても駅構内へ入ることはできるので,見学だけなら無料。
そのうち,シャルガン・ヴィタシ駅から観光列車が戻ってきた↓。(動画0分57秒)
https://youtu.be/bfr3HGB62IE -
モクラ・ゴラを出て,ウジツェへ向けて走る。
国境を越えたら,とたんに道路がボロくなった。ところどころに大きな穴があったりするので,先行車がいないときは警戒して走行しなければならない。 -
ウジツェの街が見えてきた。
-
今日の宿は,社会主義時代のアパートメントを日割りで借りている。
-
建物は古いが,壁などはきちんと塗り替えられて,小ぎれいに維持されている。
エレベータは偶数階に止まるものと奇数階のものに分かれてはいるが,すべての階で乗降することができる。 -
部屋の内装もきれいに更新されていた。
キッチン付きなのはありがたい。
キッチンの左のほうに,電気コンロ付きのオーブンが置いてあった。
アジアでは見ないタイプの家電製品なので使ってみたかったのだが,配置が悪く,上のキャビネット(吊り戸棚)の扉を熱や油で汚してしまいそうなのでやめた。 -
さっそく近所のスーパーマーケットへ行ってみる。
疲れているが,飲み物とちょっとした食材くらいは買っておきたい。
レジの店員に「ユーロは使える?」と尋ねてみたが,にべもなく駄目だと言われた。ボスニア・ヘルツェゴビナにようにはいかなかった。
残念ながらスーパーの中にATMはない。とぼとぼと街の中心部へ向かって歩きだす。 -
やっと見つけたATM。
とあるクレジットカードでキャッシングを試みると,警戒が必要な表示が出た。
「1USD=96.257RSD」というレートでの両替になるという。今日の仲値は「1USD=104RSD」だから,スプレッドだけで7%以上も抜かれている。ひどい。
それに,引き出し時に「米ドル建て」と言ってきたときは,あとで繰り上げ返済(円建て)をする時点でさらに手数料やスプレッドが上乗せされているはず。怒りが湧いてくる。
とはいえ,今から最良レートを求めて街をさまよう気力はない。引出金額を必要最低限にして,当座をしのぐことにしよう。
さっきのスーパーで少しだけ買物をして,部屋へ戻る。 -
部屋は高層階にあるので,バルコニーからの眺めは素晴らしい。
-
今回のバルカンドライブの行程は,ここらで半ばを迎える。
ウジツェでは少しだけのんびりするつもりだ。
写真↑は,セルビアの代表銘柄イェレン(鹿ビール)とモンテネグロの代表銘柄ニクシチ(コ)。一本75RSD程度。(1RSD=約1円)
お疲れさん。
(つづく)
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