2019/06/05 - 2019/06/15
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【ポドゴリツァ2018年7月16日/ロイター】モンテネグロの景勝地モラカ川渓谷では、コンクリート製の巨大な柱の上にいる数十人の中国人作業員が、南欧でも有数の起伏に富んだ地形に、最先端の高速道路を敷設する工事を行っている。
巨大な橋や深いトンネルを備えた全長165キロに及ぶ高速道路の建設プロジェクトについて、モンテネグロ政府は「世紀の建設工事」であり、「近代世界への入り口」だと位置づけている。
この高速道路は、アドリア海に面したモンテネグロの港町バールと、海を持たない隣国セルビアを結ぶ計画だ。だが、第1区間となる首都ポドゴリツァ北部の山間部を結ぶ41キロの難工事が終わると、政府は難しい選択を迫られることになる。
第1区間に対して提供された中国からの融資により、モンテネグロの債務は急増し、政府は財政規律を取り戻すため増税や公務員の賃上げ凍結、母親向けの給付金廃止を余儀なくされた。
こうした措置にもかかわらず、モンテネグロの債務は今年、国内総生産(GDP)の8割近くに達する見通しで、国際通貨基金(IMF)は、野心的な高速道路プロジェクト完成のために、さらに負債を負う余裕はないと同国に警告している。
「どうしたら完成できるのか、大きな疑問がある」と欧州連合(EU)の当局者は語る。「モンテネグロの財政余地は大きく縮小している。自らの首を絞めているような状況だ。現段階で、これはどこにも行き先のない高速道路だ」
EU加盟国に加え、モンテネグロやセルビア、マケドニア、アルバニアなどEU加盟を目指す西バルカン諸国では、この高速道路プロジェクトは、中国が欧州に与える影響を巡る活発な議論の中心となっている。
野心的なシルクロード経済圏構想「一帯一路」を掲げた中国が経済的影響力を拡大する中、アジアやアフリカの貧しい国々は、同国が提供する魅力的な融資や、大規模インフラ計画の約束に飛びついてきた。
これにより、中国の巨大な外貨準備へのアクセスなしには不可能だったであろう規模の開発プロジェクトが可能となった。だが、スリランカやジブチ、モンゴルなど、いくつかの国には負債が重くのしかかり、中国依存をより深める結果となっている。
新しい高速道路によって国に明るい未来をもたらそうという夢を追うモンテネグロは、そうした立場に追い込まれた欧州初の国だ。
「この高速道路計画は、モンテネグロでは一大事だ。チトーと社会主義時代の大規模開発プロジェクトを国民に思い起こさせるものだ」。研究者のMladen Grgic氏は、旧ユーゴスラビアの共産主義指導者だったチトー大統領に触れながら、そう指摘した。
「だがそれは、罠(わな)だ。始まったからには、どれほどの害悪をもたらすものになっても政治家には止められない。また率直に言って、政治家は止めたいと思ってもいない」と、この高速道路についての研究を昨年発表したGrgic氏は語った。(後略)
(翻訳:山口香子、編集:下郡美紀)
https://jp.reuters.com/article/china-silkroad-europe-montenegro-idJPKBN1K90L3 2019年12月3日閲覧
- 旅行の満足度
- 4.0
- 観光
- 4.0
- グルメ
- 3.5
- ショッピング
- 3.0
- 交通
- 3.0
- 同行者
- その他
- 一人あたり費用
- 25万円 - 30万円
- 交通手段
- レンタカー
- 旅行の手配内容
- 個別手配
-
シュコドラからモンテネグロとの国境へは,半時間くらい走ると着く距離だ。
あまり早く行ってグリーンカード(国際自賠責保険)の窓口が少なかったりするのも困ると思い,のんびりと朝9時頃に宿を出る。
途中で,ガソリンを満タンにする。
オクタン価95の安いガソリン(169ALL/L)だが,それでも40リットル弱入って6500ALL。(1ALL=約1円)
ヨーロッパのレンタカー旅は,高い燃料費が気分を萎縮させる。
ロマ乞食(少年)が数人寄ってきたので追う払う。 -
国境近くに免税店があるのを横目に見ながら,
-
やがて国境ゲートの車列が現れた。
-
一番手前のプレハブ小屋には,モンテネグロ限定のグリーンカード(15EUR)の料金が表示されている。
(1EUR=約125円) -
適当な道路脇に車をとめて,プレハブが立ち並んでいるところに行ってみる。
すると,差配をしているらしい男が声をかけてきて,待ち客のいないプレハブに案内してくれた。
別に,ブローカー同士で客を取りあっているとか,平等に分けあう仕組みにしているとかいう雰囲気ではなく,のんびりしたものだった。 -
中のデスクに座っていたブローカーの男は「モンテネグロ?」と尋ねてきた。そこで,「All balkan countries,11days(全バルカン諸国,11日間)」と前置きして訪れる国を列挙していったが,途中で「OK,OK」と遮って「40EUR」と言ってきた。レンタカー会社で聞いていたとおりの金額なので,意思は伝わっているのだろう。
車検証(と念のためパスポート)を差し出すと,ブローカーの男はすぐにPCを叩いて証書の作成にかかった。パスポートは不要だった。
なお,グリーンカードは自賠責(強制)保険なので「車両が入る保険」だ。一台のレンタカーに運転者が複数いても,加入は車の数が基準になるので念のため。
(1EUR=約125円) -
これがグリーンカード加入証書。
今回,レンタカーで走る期間は11日間なので,「15日間以内40EUR」のグリーンカードでカバーすることになる。
今後,この証書と車の車検証,そしてパスポートを出入国の際に提示することになる。 -
「有効地域」の欄をよく確認する。
略号(国際識別記号)になっているが,『Aオーストリア,Bベルギー,BGブルガリア,CYキプロス,CZチェコ,Dドイツ,DKデンマーク,Eスペイン,ESTエストニア,Fフランス,FINフィンランド,GBイギリス,GRギリシャ,Hハンガリー,HRクロアチア,Iイタリア,IRLアイルランド,ISアイスランド,Lルクセンブルク,LTリトアニア,LVラトビア,Mマルタ,Nノルウェー,NLオランダ,Pポルトガル,PLポーランド,ROルーマニア,Sスウェーデン,SKスロバキア,SLOスロベニア』がひとつのグループ(ひとつずつの略号が四角で囲まれていない国々)になっている。
これらの国は,グリーンカードのルール上,必ず包括的に保険に加入しなければならない。つまり,たとえば「オーストリアとドイツとフランスはレンタカーで走るけど,他の国には行かないから,オーストリアとドイツとフランスだけに限定したグリーンカードがほしい」ということはできず,上記の国々のグリーンカードは一括で購入しなければならないということだ。
言いかたをかえると,上記の国のいずれかでレンタカーを借りる場合,その車はすでに一括で自賠責保険(=グリーンカード)に加入済みなのだから,上記のグループに属する他の国へレンタカーで行く際に追加のグリーンカードを購入する必要はないということになる。
なお,これらの国の次に「CHスイス」があって,点線の四角で囲まれているが(↑写真参照),この点線が何を意味するのかはよく分からなかった。(www.cobx.orgのサイトを詳しく読めばどこかに書いてあるのかもしれない。)
スイスの次には,『ALアルバニア,ANDアンドラ,AZアゼルバイジャン,BIHボスニア・ヘルツェゴビナ,BYベラルーシ,ILイスラエル,IRイラン,MAモロッコ,MDモルドバ,MKマケドニア,MNEモンテネグロ,RUSロシア,SRBセルビア,TNチュニジア,TRトルコ,UAウクライナ』の国々がそれぞれ四角で囲まれて並んでいる。
これらの国は,オプションが可能な国だ。つまりルール上は,たとえば「アルバニアの保険はいらない」「アンドラもいらない」と取捨選択することができる国ということになる。(除外した場合は,四角で囲まれた略号に×印が印字されて消されるようだ。)
しかし,料金体系上,これらオプション国のうち数国以上を訪れる場合は,それ以外の国のオプションを除外したとしても保険料は同じになるように設定されていて,事実上は取捨選択をすることがないのだと思う。
今回,グリーンカードが必要なのは,オプション国のうち「ボスニア・ヘルツェゴビナ,マケドニア,モンテネグロ,セルビア」だけだが,レンタカー会社もプレハブのブローカーも当然のように「フルオプション15日間40EUR」を提示してきたのはそういうことだろう。 -
「有効地域」欄には,次のような注記がある。
「この証書は,(有効地域欄の各国のうち)四角の中が×印で消されていない国において有効である。各国当局は,本証書記載の車両の利用について,各国の強制保険関連法規に基づき補償を行う。」
さらにその下に(1)~(3)の条項がある。
「(1) キプロスにおけるグリーンカードの効力は,キプロス政府が実効支配している地域に限定される。」
(2)と(3)は,「キプロス」がそれぞれ「アゼルバイジャン」と「セルビア」に入れ替わるだけで同文。
つまり,バルカン諸国についていえば,この(3)により「コソヴォはグリーンカードの適用範囲外」ということになる。 -
グリーンカードの手続をしているうちにも,車列はどんどん伸びていく。
ロマ乞食が車の間を縫うように歩き,物乞いを働いている。 -
グリーンカードの手続を終えて車列に復帰してから,小一時間並ぶ。
ゲートまであと数台というところで,係官がパスポート,車検証,グリーンカードを回収しに来てくれる。
ゲートの窓口のところでは乗車したままでOK。返された書類を確認して発進する。パスポートに出国スタンプは押されていない。
結局,ゲートを通過したのは11時過ぎだった。もう少し早く来るべきだった。 -
ゲートを通過したあと,しばらく走ってもモンテネグロの入国ゲートが現われない。
「?」と思いながら走っていると,モンテネグロの民家や商店がぽつぽつと沿道に見え始める。
どうやら,さっきのゲートでアルバニア出国とモンテネグロ入国が同時に済んでしまっていたようだ。 -
国境からは,アドリア海に面した街ウルツィニ(Ultinj)を目指す。
-
モンテネグロの通貨はユーロである。
モンテネグロはEU及び通貨協定に未加盟なので,いわば「勝手に」ユーロを通貨としている状態だ。
旧ユーゴスラビア連邦のディナールは,1990年代の数年で切り下げ幅1京(けい)分の1というハイパーインフレを起こしたため,事実上の流通通貨はドイツマルクであった(建前上は違法)。ユーゴの盟主セルビアだけはディナールを維持したが,他の連邦各国は当然見切りをつける。モンテネグロは面倒くさかったのか,現実にあわせてドイツマルクをそのまま通貨にしてしまい(たしかに現実的ではあるが,ボスニア・ヘルツェゴビナは一応「兌換マルク」という自国通貨を造った),2002年,ドイツマルクのユーロ移行に伴ってユーロが通貨となった。
アルバニアでは「170」前後に表示されていたガソリン価格が,モンテネグロでは「1.37」になった。
ガソリンの値段は,国境を越えても変わらない。
(1EUR=約125円) -
国境を越えて最初に気づいた変化は「パン屋」の表記。
アルバニアでは「Furrë Buke」だったのが,モンテネグロに入ると「Pekara」になった。
そして,以後のバルカン諸国(クロアチア,ボスニア・ヘルツェゴビナ,セルビア,マケドニア)では,パン屋をあらわす語はPekaraかそれに近い言葉だった。
Pekaraというのは,ドイツ語のベッカライBäckereiや英語のベーカリーBakeryと同源で,PとBが転訛したものだろう。
一方,アルバニアのFurrëというのは,トルコ語の名残なのかもしれない(トルコではパン屋のことをフルンFirinという)。
写真のパン屋↑は,国境に近い立地のせいか,両者折衷のような表記になっている。 -
さて,ウルツィニは,そんなに大きくないが美しい砂浜のある街だった。それ目当てに訪れる観光客で賑わっている。
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面白い形のパラソルが砂浜に密集している。ハイシーズンには,さぞかしすごい人混みになるのだろう。
-
国境に近いので,アルバニア系住民が多いようだ。
-
ウルツィニからバールへ向かう。
途中にバールの旧市街(Stari Bar)があるので立ち寄ってみよう。 -
バール旧市街(スターリ)には,きれいに整備された一角があり,レストランなどが並んでいる。
ちょうど40年前に起きたモンテネグロ地震によってこの旧市街は壊滅し,水源まで失ったため,住民は港湾地区の新市街などへ移っていかざるを得なくなったらしい。
バールの旧市街(スターリ)は古い歴史を持つ貴重な文化財であり,それは近くにある樹齢二千年というオリーブの樹に象徴されている。住民がいなくなると,荒廃が拡がるのは必定。観光地として整備することで,保全が進めばいいのだが。 -
かつての城塞の跡地は広大で,現在も修復作業が続けられているようだ。
モンテネグロらしい岩山を背景にして眺める石造りの建物群は,なかなか見事。 -
とても可愛らしい”MUSEUM”もあったのだが,残念ながら開いていなかった。
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ワイン,オリーブオイル,蜂蜜を売る典型的な土産物店。
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このあたりの建築物の特徴が,だんだん分かってきたような気がする。
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ツーリストメニューの看板を見つけた。
ただし載っている料理は,「チキンスープ」「魚スープ」「ミートボール」「グラーシュ」「メルルーサ(Hake fish)」に「ミックスサラダ」と「ピュレ(マッシュポテト)」などシンプルで,名物料理が何なのかはよく分からない。 -
おや,名前は替わっているが,このトレードマークは「Wall’s」ではないか。
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でもまあ,食べるのはマグナムではなくジェラートにしておこう。
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続いて,バール港のあるバール新市街へ。
バールは,ベオグラードとの間を結ぶバール鉄道の終着駅だ。
また,イタリア・プーリャ(プッリャ)州のバーリとの間に国際航路がある。
「バールとバーリの国際航路」なんていうややこしい船,いつかぜひ乗ってみたいものだ。 -
ここはモンテネグロにとってはもっとも重要な港のようで,海軍などの艦艇も停泊している。
-
ヨットの数がすごい。林立するマスト。
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何か食べようと思い,ブレク屋に入ってみる。
ここには細長く巻いたパイ(Pita)があった。
「ピタ」というと,ポケットのあるトルコ風のピタやギロピタを包むギリシャ風のピタが頭に浮かぶが,こういう細長いパイ(ブレク)もまた「Pita」なのだ。
「PITA sa Sirom」がチーズ入り,「PITA sa Mesom」が挽肉入りで,いずれも一本1EUR。(1EUR=約125円)
食べるときは,一口大にちょんちょんとカットしてくれる。
細長いのを渦に巻いて丸い形に仕上げたPitaも,このあとよく見た。ソーセージと同じ発想だ。
(つづく)
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