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「この回廊の四ヵ所に,NATO軍機はミサイルを降らせた。<br /> 次は同じ回廊を少し行ったところを見に行った。<br /> これもまたスゴイ。耕運機だけでなく,たまたま対向車線を走っていたボルボのセダン……,元ボルボまで黒コゲである。<br /> 家族団欒(だんらん)の写真が落ちている。その近くには靴が散乱し,靴の横側には大きな穴が開いていた。<br /> この靴は荷物として運ばれていただけなんであろうか……。それとも,誰かが履いているときに穴が開いたのであろうか……。<br /> 写真に写っている人たちは,どうなったのであろうか? 皆一様に楽しそうな顔である。その人たちはどうなったのであろうか? 人形がある。おもちゃもある。耕運機の上は,私のつつみ荘よりひどい荒れようである。<br /> あっ,また靴が落ちていた。<br />『………』<br /> 次の瞬間,私は言葉を失った。<br /> 靴に何か引っ付いている。<br /> 足だ……。これは,どう見ても人間の足である。ご丁寧に,靴下まで穿いている。スパッと切られたというのではなく,ブチッと引きちぎられたような足である。いったい……,どないしたら,人間の足が道に落ちるのであろうか……。<br /> シュールである。ふと,まわりの景色を見渡すと,散乱した耕運機,黒コゲのボルボ以外,平和そのものの農村である。<br /> 遠くでまた空爆があったのであろうか,黒煙が上がっている。<br /> なんちゅう光景や! 『アルプスの少女ハイジ』に出てきそうな,雪を頂いた山の中腹の村道に,人間の足が転がっているのである。この足の持ち主はどないなったんや? ……と捜すまでもなかった。<br /> 地面に転がっている足から5メートルほど離れた木かげに,まるで,強い日差しを避けて涼んでいるかのように,アルバニア人の老人が座り込んでいた。その老人の片足が……,というより両足がやっぱりなかった。老人がもはや,その痛みを訴えることもないのは明らかであった。<br /> ミサイルの爆風とは,かように,ごっついものである。おそらく,この老人は耕運機に乗っていたのであろう。爆発で,瞬時に自分の体から足を引きちぎられ,そのまま絶命であろう。」<br /><br />「さらに先に進むと……,ありました。ありました。この四ヵ所の回廊のうち三番目,遠目からも,死体がゴロゴロなのがモロわかりである。<br /> これはエグそうである。すでに死臭がプンプン漂っている。私の見たところ,臭いから察して,10体は転がっている。<br /> カメラマンたちは,ダッシュで死体らしき物体に駆け寄った。<br />『………』<br /> 無惨であった。これはエグイ! モロ,アルバニア難民の家族である。ティーン・エイジャーの女の子も,うつろな目を宙に向けたまま横たわっている。彼女の父親であろうか,その横のオッサンなんか,目から上がない! 顔の上半分がふっ飛んでいる。おまけに顔の内部が,パックリ空洞なのである。人間の頭蓋骨の中は,こんなふうに空だったのであろうか。それとも頭半分が吹き飛んだとき,中身も一緒にふっ飛んでしまったのであろうか?」<br /><br />「注意して道路に駆け上がると……,お~っと! これまた凄まじい!<br /> 黒コゲや! ただの黒コゲやない。バラバラになったうえ,燃えている。スゴすぎる……。こんな死に方だけはゴメンである。どんな爆発があったら,人間はこんなにバラバラになるのであろうか。凄まじい威力である。とんでもない爆発力である。<br /> 一つの焼死体は,耕運機の運転席に座ったままであった。黒コゲすぎてまったくわからない。が,よーく見ると,背中は焼け残ったのか,肌色のままであった。運転席から逃げる間もなく,ミサイルの炎に包まれたのであろう。」<br />「ヨーロッパののどかな農道,はるか先にはモンテネグロまで続く山々が雪で覆われている。今後,似たようなのどかな光景を見るたびに,私は,今日の,この地獄の光景を思い出すのであろうか。<br /> 今日見たのは約20体の死体。もう一ヵ所の回廊がいちばんひどかったらしいが,時間の都合とやらで行くことができなかった。やむをえない。私はこのバスに乗れただけでも幸運者。文句を言えない立場である。」<br /><br />「バスは9時に出発し,今度は8時間で無事ベオグラードに辿り着いた。<br /> 朝毎読の三紙の記者が昨夜送稿できなかったことや,コソボ灼熱地獄の行軍を聞いていちばん喜んだのは,行けなかったほかのメディアの特派員たちであった。<br /> 私の疲れた顔を見るや,皆『あーあ,行けなくて本当によかった!』と嬉しそうに叫んだのであった。<br /> その後,BBCなどではコソボの死体にマシンガンで撃たれたものがあったとか,空爆はユーゴ軍のミグによるものだという報道もあったが,少なくとも私は射殺体を見ていないし,周囲に散らばっていたミサイルの破片には,すべて英語しかなかった。<br /> もしミグから撃たれたものなら,ロシア語が一語くらいあってもよさそうなもんである。NATOお得意の濡れ衣(ぬれぎぬ)作戦であろうが,それも限界がある。<br /> ほどなくして,NATOはパクられた万引き常習犯が,ポツリポツリ過去の万引きを白状するように,誤爆を認めはじめた。しかし,あんな耕運機を誤爆するかいなあ? 確信犯であろう。<br /> NATO本部のあるブリュッセルでは,セルビアの主張なんぞ誰も耳を傾けない。世界各地から送り込まれたバリバリのエリート特派員の皆様が,NATOスポークスマンのあのいやらしい声のジェミー・シェイの言葉を一言一言聞き逃さないようにし,それをそのまま世界に垂れ流す。居並ぶ記者の中には,一度として修羅場を踏んだ記者がいないことも確かなようである。」<br />  宮嶋茂樹著「空爆されたらサヨウナラ 戦場コソボ,決死の撮影記」(クレスト新社1999)より

バルカンドライブ2200km(2019年6月コソヴォ)~その13:プリシュティナ~北マケドニア国境

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2019/06/05 - 2019/06/15

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タヌキを連れた布袋(ほてい)

タヌキを連れた布袋(ほてい)さん

「この回廊の四ヵ所に,NATO軍機はミサイルを降らせた。
 次は同じ回廊を少し行ったところを見に行った。
 これもまたスゴイ。耕運機だけでなく,たまたま対向車線を走っていたボルボのセダン……,元ボルボまで黒コゲである。
 家族団欒(だんらん)の写真が落ちている。その近くには靴が散乱し,靴の横側には大きな穴が開いていた。
 この靴は荷物として運ばれていただけなんであろうか……。それとも,誰かが履いているときに穴が開いたのであろうか……。
 写真に写っている人たちは,どうなったのであろうか? 皆一様に楽しそうな顔である。その人たちはどうなったのであろうか? 人形がある。おもちゃもある。耕運機の上は,私のつつみ荘よりひどい荒れようである。
 あっ,また靴が落ちていた。
『………』
 次の瞬間,私は言葉を失った。
 靴に何か引っ付いている。
 足だ……。これは,どう見ても人間の足である。ご丁寧に,靴下まで穿いている。スパッと切られたというのではなく,ブチッと引きちぎられたような足である。いったい……,どないしたら,人間の足が道に落ちるのであろうか……。
 シュールである。ふと,まわりの景色を見渡すと,散乱した耕運機,黒コゲのボルボ以外,平和そのものの農村である。
 遠くでまた空爆があったのであろうか,黒煙が上がっている。
 なんちゅう光景や! 『アルプスの少女ハイジ』に出てきそうな,雪を頂いた山の中腹の村道に,人間の足が転がっているのである。この足の持ち主はどないなったんや? ……と捜すまでもなかった。
 地面に転がっている足から5メートルほど離れた木かげに,まるで,強い日差しを避けて涼んでいるかのように,アルバニア人の老人が座り込んでいた。その老人の片足が……,というより両足がやっぱりなかった。老人がもはや,その痛みを訴えることもないのは明らかであった。
 ミサイルの爆風とは,かように,ごっついものである。おそらく,この老人は耕運機に乗っていたのであろう。爆発で,瞬時に自分の体から足を引きちぎられ,そのまま絶命であろう。」

「さらに先に進むと……,ありました。ありました。この四ヵ所の回廊のうち三番目,遠目からも,死体がゴロゴロなのがモロわかりである。
 これはエグそうである。すでに死臭がプンプン漂っている。私の見たところ,臭いから察して,10体は転がっている。
 カメラマンたちは,ダッシュで死体らしき物体に駆け寄った。
『………』
 無惨であった。これはエグイ! モロ,アルバニア難民の家族である。ティーン・エイジャーの女の子も,うつろな目を宙に向けたまま横たわっている。彼女の父親であろうか,その横のオッサンなんか,目から上がない! 顔の上半分がふっ飛んでいる。おまけに顔の内部が,パックリ空洞なのである。人間の頭蓋骨の中は,こんなふうに空だったのであろうか。それとも頭半分が吹き飛んだとき,中身も一緒にふっ飛んでしまったのであろうか?」

「注意して道路に駆け上がると……,お~っと! これまた凄まじい!
 黒コゲや! ただの黒コゲやない。バラバラになったうえ,燃えている。スゴすぎる……。こんな死に方だけはゴメンである。どんな爆発があったら,人間はこんなにバラバラになるのであろうか。凄まじい威力である。とんでもない爆発力である。
 一つの焼死体は,耕運機の運転席に座ったままであった。黒コゲすぎてまったくわからない。が,よーく見ると,背中は焼け残ったのか,肌色のままであった。運転席から逃げる間もなく,ミサイルの炎に包まれたのであろう。」
「ヨーロッパののどかな農道,はるか先にはモンテネグロまで続く山々が雪で覆われている。今後,似たようなのどかな光景を見るたびに,私は,今日の,この地獄の光景を思い出すのであろうか。
 今日見たのは約20体の死体。もう一ヵ所の回廊がいちばんひどかったらしいが,時間の都合とやらで行くことができなかった。やむをえない。私はこのバスに乗れただけでも幸運者。文句を言えない立場である。」

「バスは9時に出発し,今度は8時間で無事ベオグラードに辿り着いた。
 朝毎読の三紙の記者が昨夜送稿できなかったことや,コソボ灼熱地獄の行軍を聞いていちばん喜んだのは,行けなかったほかのメディアの特派員たちであった。
 私の疲れた顔を見るや,皆『あーあ,行けなくて本当によかった!』と嬉しそうに叫んだのであった。
 その後,BBCなどではコソボの死体にマシンガンで撃たれたものがあったとか,空爆はユーゴ軍のミグによるものだという報道もあったが,少なくとも私は射殺体を見ていないし,周囲に散らばっていたミサイルの破片には,すべて英語しかなかった。
 もしミグから撃たれたものなら,ロシア語が一語くらいあってもよさそうなもんである。NATOお得意の濡れ衣(ぬれぎぬ)作戦であろうが,それも限界がある。
 ほどなくして,NATOはパクられた万引き常習犯が,ポツリポツリ過去の万引きを白状するように,誤爆を認めはじめた。しかし,あんな耕運機を誤爆するかいなあ? 確信犯であろう。
 NATO本部のあるブリュッセルでは,セルビアの主張なんぞ誰も耳を傾けない。世界各地から送り込まれたバリバリのエリート特派員の皆様が,NATOスポークスマンのあのいやらしい声のジェミー・シェイの言葉を一言一言聞き逃さないようにし,それをそのまま世界に垂れ流す。居並ぶ記者の中には,一度として修羅場を踏んだ記者がいないことも確かなようである。」
  宮嶋茂樹著「空爆されたらサヨウナラ 戦場コソボ,決死の撮影記」(クレスト新社1999)より

旅行の満足度
3.0
観光
3.0
ホテル
3.5
グルメ
3.0
ショッピング
4.0
交通
3.5
同行者
その他
一人あたり費用
25万円 - 30万円
交通手段
レンタカー 徒歩
旅行の手配内容
個別手配

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  • 夜遅くプリシュティナへ到着した翌朝,

    夜遅くプリシュティナへ到着した翌朝,

  • さっそく街なかに出てみた。

    さっそく街なかに出てみた。

  • コソヴォの通貨はユーロである。<br /><br />(1EUR=約123円)

    コソヴォの通貨はユーロである。

    (1EUR=約123円)

  • プリシュティナの街は事前情報のとおり特徴がなく,

    プリシュティナの街は事前情報のとおり特徴がなく,

  • いまだに「アメリカ万歳」的なところが散見されて,やや見苦しいのだが,

    いまだに「アメリカ万歳」的なところが散見されて,やや見苦しいのだが,

  • それはそれとして一国の政策なのだから,余計なお世話というものだろう。

    それはそれとして一国の政策なのだから,余計なお世話というものだろう。

  • とはいえ,こういう名前の大通りが首都を貫いているのを見ると,ため息が出る。<br /><br />現職の米大統領(2020年8月現在)に問題が多いということはすでに明らかだが,思えばこの大統領↑もたいがいな人物であった(関西弁で失礼)。<br /><br />個人的なスキャンダルは今さら書く気にもならないが,日本との関係では,「日米貿易摩擦→ジャパン・バッシング」「ウルグアイラウンド」「スーパー301条」「ルービン/サマーズ財務長官」「ジャパン・パッシング(露骨な中国優遇策)」‥‥と,この政権に何ひとついい記憶はない。「とにかくジャップを潰せ」を行動指針としていた。<br />そして,相手の「ジャップ」は思ったよりずっと情けなく,肥満した腹部へパンチを何発も打ち込まれ,「マネー敗戦」で地に塗(まみ)れた。<br /><br />日本が昏倒したあとの東アジア情勢は,現状が示すとおりだ。世界にとってよかったのかどうか。<br /><br />「マネー敗戦」と同じ時期,この政権から一方的に「悪」のレッテルを張られてNATOの空爆を受け,コソヴォを取り上げられたのがセルビアだ。こちらは文字どおりの敗戦。同胞を殺され領土を奪われているだけに,誇り高いセルビア人の反米・反NATO感情は相当根深いものと思われる。

    とはいえ,こういう名前の大通りが首都を貫いているのを見ると,ため息が出る。

    現職の米大統領(2020年8月現在)に問題が多いということはすでに明らかだが,思えばこの大統領↑もたいがいな人物であった(関西弁で失礼)。

    個人的なスキャンダルは今さら書く気にもならないが,日本との関係では,「日米貿易摩擦→ジャパン・バッシング」「ウルグアイラウンド」「スーパー301条」「ルービン/サマーズ財務長官」「ジャパン・パッシング(露骨な中国優遇策)」‥‥と,この政権に何ひとついい記憶はない。「とにかくジャップを潰せ」を行動指針としていた。
    そして,相手の「ジャップ」は思ったよりずっと情けなく,肥満した腹部へパンチを何発も打ち込まれ,「マネー敗戦」で地に塗(まみ)れた。

    日本が昏倒したあとの東アジア情勢は,現状が示すとおりだ。世界にとってよかったのかどうか。

    「マネー敗戦」と同じ時期,この政権から一方的に「悪」のレッテルを張られてNATOの空爆を受け,コソヴォを取り上げられたのがセルビアだ。こちらは文字どおりの敗戦。同胞を殺され領土を奪われているだけに,誇り高いセルビア人の反米・反NATO感情は相当根深いものと思われる。

  • 次はこちら。XHORXHは英語でGeorgeになる。<br /><br />この表記では父か子かそれともそれ以外か判然としないが,経緯から考えるとこれはジョージ・W・ブッシュ大統領のことであろう。<br />2008年にコソヴォが国家として独立することを宣言したとき,それに全面的な支持を与えたことに対する賞賛である。<br /><br />ジョージ・W・ブッシュ大統領は,就任後まもなく9.11同時多発テロをやられてしまったので,実際のところコソヴォ紛争のことなんかきれいに忘れていただろう。<br /><br />そういえば,この大通りの名はティラナ(アルバニア)にもあった。

    次はこちら。XHORXHは英語でGeorgeになる。

    この表記では父か子かそれともそれ以外か判然としないが,経緯から考えるとこれはジョージ・W・ブッシュ大統領のことであろう。
    2008年にコソヴォが国家として独立することを宣言したとき,それに全面的な支持を与えたことに対する賞賛である。

    ジョージ・W・ブッシュ大統領は,就任後まもなく9.11同時多発テロをやられてしまったので,実際のところコソヴォ紛争のことなんかきれいに忘れていただろう。

    そういえば,この大通りの名はティラナ(アルバニア)にもあった。

  • ティラナと似て,カフェはとても人気がある。<br /><br />店の数が足りていないのか,どこも満席に近く少々落ち着かない。

    ティラナと似て,カフェはとても人気がある。

    店の数が足りていないのか,どこも満席に近く少々落ち着かない。

  • プリシュティナの印象は,「金回りのよさそうな街」。<br /><br />お金を持っている人がここに集まってきて,やや浮ついた「消費社会」を形成しているような感じがする。これまで訪れたバルカンの街とは,ずいぶん雰囲気が違う。<br /><br />ある意味,アメリカや日本の新興都市に似ているかもしれない。

    プリシュティナの印象は,「金回りのよさそうな街」。

    お金を持っている人がここに集まってきて,やや浮ついた「消費社会」を形成しているような感じがする。これまで訪れたバルカンの街とは,ずいぶん雰囲気が違う。

    ある意味,アメリカや日本の新興都市に似ているかもしれない。

  • ここはトルコ系のファストフード店。<br /><br />物価の高いプリシュティナの中では安く,ホットドッグ,ハンバーガー,トスト(ホットサンド)がいずれも1EURだった。(1EUR=約123円)

    ここはトルコ系のファストフード店。

    物価の高いプリシュティナの中では安く,ホットドッグ,ハンバーガー,トスト(ホットサンド)がいずれも1EURだった。(1EUR=約123円)

  • こちらは地元系の焼き栗,焼きトウモロコシの屋台。

    こちらは地元系の焼き栗,焼きトウモロコシの屋台。

  • コソヴォのスーパーマーケット・チェーンの店に入ってみると,

    コソヴォのスーパーマーケット・チェーンの店に入ってみると,

  • セルビアと同様に乳清を売っていたし,

    セルビアと同様に乳清を売っていたし,

  • セルビアで出会ったウルネベスも売っていた。<br /><br />セルビア系の人もアルバニア系の人も,ふだん食べるものはそんなに違わないのかもしれない。

    セルビアで出会ったウルネベスも売っていた。

    セルビア系の人もアルバニア系の人も,ふだん食べるものはそんなに違わないのかもしれない。

  • おっと,こちらは初めて見た。何だろう。<br /><br />さっそく買って食べてみると,塩漬けの黄色いパプリカを,さらにサワークリームで漬けたようなものだった。あまり酸味はない。<br /><br />そういえば,どこかの市場でパプリカの中身を抜いて白チーズを詰めたものが並んでいるのを見たことがある。パプリカは生ではなく,浅く塩漬けにしたような色つやをしていた。たぶんあれの仲間だろう。<br /><br />ちなみに,コソヴォのVAT(付加価値税)は18%で,乳清などは軽減税率の8%であった。

    おっと,こちらは初めて見た。何だろう。

    さっそく買って食べてみると,塩漬けの黄色いパプリカを,さらにサワークリームで漬けたようなものだった。あまり酸味はない。

    そういえば,どこかの市場でパプリカの中身を抜いて白チーズを詰めたものが並んでいるのを見たことがある。パプリカは生ではなく,浅く塩漬けにしたような色つやをしていた。たぶんあれの仲間だろう。

    ちなみに,コソヴォのVAT(付加価値税)は18%で,乳清などは軽減税率の8%であった。

  • プリシュティナの空港へちょっと寄り,そのあとはもう北マケドニアへ向かうことにした。<br /><br />昨日行けなかったペヤPejaへ回ったり,暗い中をただ通過してしまったミトロヴィツァMitrovic&#235;へ戻るという考えもあったのだが,昨日の運転の疲れがやや心配なこと,そして何より「今走らせているこの車は,コソヴォでは無保険状態なのではないか」という疑念から,さっさとコソヴォを出てしまうことにした。

    プリシュティナの空港へちょっと寄り,そのあとはもう北マケドニアへ向かうことにした。

    昨日行けなかったペヤPejaへ回ったり,暗い中をただ通過してしまったミトロヴィツァMitrovicëへ戻るという考えもあったのだが,昨日の運転の疲れがやや心配なこと,そして何より「今走らせているこの車は,コソヴォでは無保険状態なのではないか」という疑念から,さっさとコソヴォを出てしまうことにした。

  • 北マケドニアへは,日本の高速道路並みの高規格道路が通じていた。<br /><br />長い坂をカーブしながらぐんぐんと下っていく。<br /><br />料金所は現れず,結局無料だった。コソヴォは太っ腹。

    北マケドニアへは,日本の高速道路並みの高規格道路が通じていた。

    長い坂をカーブしながらぐんぐんと下っていく。

    料金所は現れず,結局無料だった。コソヴォは太っ腹。

  • コソヴォの出国ゲートで問題が起きた。<br /><br />係官は,私の差し出した書類一式をしばらく見ていたが,”No,noooo! It’s a big problem!”とか叫んでみせて,同僚を呼んだ。<br /><br />三人ほどで話をしている。やはりグリーンカードのことだろうか。何が問題になっているのか知りたかったが,向こうから何か言ってくるまで余計なアクションは起こさないほうがいいだろう。<br />係官らは話をしながら,チラチラとこちらへ視線を向けてくる。ずっと微笑んで動じない態度を見せておいた。<br />やがて協議が終わったのか,二人の同僚は戻っていった。係官は「お前は日本人だから行っていいよ」と言って書類一式を戻してきた。<br /><br />何が問題になっていたのか,なぜ「日本人だから」行っていいのかさっぱり判らないままだったが,私はそそくさと北マケドニアの入国ゲートへ向かうことにした。<br /><br />(ちなみにこのあと,北マケドニアへ入った途端に道路は有料になった。料金所ではユーロ払い可だが,公定レートは当然よくない。)<br /><br /><br />(つづく)

    コソヴォの出国ゲートで問題が起きた。

    係官は,私の差し出した書類一式をしばらく見ていたが,”No,noooo! It’s a big problem!”とか叫んでみせて,同僚を呼んだ。

    三人ほどで話をしている。やはりグリーンカードのことだろうか。何が問題になっているのか知りたかったが,向こうから何か言ってくるまで余計なアクションは起こさないほうがいいだろう。
    係官らは話をしながら,チラチラとこちらへ視線を向けてくる。ずっと微笑んで動じない態度を見せておいた。
    やがて協議が終わったのか,二人の同僚は戻っていった。係官は「お前は日本人だから行っていいよ」と言って書類一式を戻してきた。

    何が問題になっていたのか,なぜ「日本人だから」行っていいのかさっぱり判らないままだったが,私はそそくさと北マケドニアの入国ゲートへ向かうことにした。

    (ちなみにこのあと,北マケドニアへ入った途端に道路は有料になった。料金所ではユーロ払い可だが,公定レートは当然よくない。)


    (つづく)

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